令和元年7月臨時会「代表質疑」 07月24日
令和元年7月臨時会「代表質疑」 07月24日
【市役所の移転案、改修、耐震に関する補正予算についての質疑応答】
◆内藤智司
今回、市長は臨時会を招集され、6月定例会における補正予算のうち耐震改修にかかわる予算を削減、修正された予算をほぼ同じ内容で提案した。6月定例会で耐震化にかかわる補正予算が否決されたことをどのように受けとめているのか?
◎市長(仲川元庸)
さきの6月定例会においては、耐震補強と移転建てかえ案、また現地建てかえ案との財政負担などの比較検討が必要だと指摘があり、本庁舎耐震化に関する予算を削減する修正案が可決されたが、当然のことながら提案者としてその状況は重く受けとめている。
今回、知事から提案のあった内容についても改めて詳細に検討して、議会でこれまでに頂戴をした意見も含めて今回の補正予算の提出に至った。
◆内藤智司
それでは、財政負担をどのように考慮して今回の予算に反映されたのか?
◎市長(仲川元庸)
特に長寿命化工事に関する事項を6月議会に提案した内容から追加した。
特にその追加内容については、緊急防災・減災事業債の対象にならない経費もあるが、事業費としての実質的な負担額としては約1億3900万円増えることとなっている。これについては、市民の皆様と、庁舎で執務をする職員にとって必要であろうと考えた内容について提案した。今後、本庁舎を使っていく中で、当然必要なものに絞り込んで提案していると考えているので、最終的には必要な経費として追加の提案をしたと認識している。
◆内藤智司
工事中の市民の安全確保や職員の負担軽減を目的とした経費の必要性を指摘したのは議会であり、特に議会棟のユニバーサル化の予算についても議会の指摘であった。このことは今回の6月議会を経た内容で追加したという答弁だったと思う。
しかし、議会の多数の意見でもない予算を一般財源で増額しただけの補正予算を提出された。本市の財政状況は、市長は知事との話の中でも非常に厳しい状況の中にあると、繰り返しおっしゃられてきた中で、その負担の軽減を少しでも優先するならば、今回の本庁舎の改修工事は耐震化のみとすることも望ましいのではないかと考える。
◎市長(仲川元庸)
今回追加で提案した内容は、私たちが最終的に判断し、責任を持って提案したものだ。6月議会等でもさまざまな観点で議員から指摘があった点。この点については我々も、なるほどこれは確かに必要だと強く認識をする部分も多々あった。このあたりについては、今回改めて提案をするに際しては皆様から頂戴した意見をなるべく反映して、よりよい案として出すことも私の責任だと認識している。
そして、今回の耐震工事については、リフォームという形になるので、華美なものは一切含んでいない。あくまでも耐震補強工事を行うということを核にしながらも、経年劣化が著しい部分については、費用面、工程面でも同時に施工することが望ましいところを一体的に提案した。 このあたりについても、今回何十年ぶりの大規模改修ということになるので、一定の対応ということは同時に行うことが望ましいのではないかと考えた。
◆内藤智司
基本、私は、1階の南都銀行を動かすことは本当に必要に駆られているか?もっと精査すべきところはあると考える。
本市の本庁舎耐震化問題が単に県知事と奈良市長が対立している、この話題性を持って、今マスコミを通じて全国放映されていることになっているわけだが、今回の騒動を招いたことについてどのように考えているのか?
◎市長(仲川元庸)
今回、知事から今年の1月に提案をいただいたことをきっかけに、市民の方、またメディアも含めて大変大きな話題となったという状況については私も認識している。
これについては、この約2年余り耐震化という大きな方向で進んでいた事業に対して、第3の案というか新たな提案を追加的に頂戴したということでもあったので、1つには時期、タイミングから非常に早急な検討が求められたと。そういった状況に対して大きな市民の関心が寄せられたと思っている。これがこれからどういう方策でやっていくのかという議論を始めた段階であれば、今回ほどの大きな混乱にもならなかったのではないかと考えている。
一方で、知事から提案をいただいた内容については、私もなるほどと感じる部分もあり、特に大宮通りプロジェクトについては、平城宮跡から東に向けての大きなこれからの奈良市の活性化の目玉となるという部分もあるので、まずは一旦現在の庁舎を耐用年数までしっかりと活用し切っていく。ただ一方で、その後のまちづくりという視点については、これは決して知事からの提案を否定するということではなく、やはり県市がまちづくりに関して思いを一つにして、ともにできること、汗をかいていくということは、今後も引き続き重要なことだと認識をしている。そういった意味では、今回知事から提案をいただいたこと自体は、市のまちづくりについても今後役立てていけるというような部分があったと認識している。
◆内藤智司
今回の多くのマスコミの報道で、多くの市民が本庁舎のあり方について関心を持ったのは、私も肌で感じているところだ。さまざまな意見をここ最近いただくようになった。ただ、先ほども言ったように、本市の本庁舎の耐震化問題が単に県知事と奈良市長が対立している。この話題性になっているだけであり、本来の市民の本庁舎のあり方がどうあるべきかということを、もっと市民に時間をかけて説明し、意見を反映していくべきではないかと考える。
◎市長(仲川元庸)
これについては、そもそも建てかえをするかどうかということについてはやはり市民生活にも大きな影響があるので、非常に時間をかけて対応していくべき問題だと考えている。今回は、結果として、それを大幅な見直しを考えるだけの状況には至らなかった。
一方で、耐震化を進めるという方向については、これは議会にも理解を得て、昨年度も詳細設計の予算を頂戴している。また平成28年から外部の有識者も交えて議論してきている。その都度奈良市が耐震化の取り組みを進めているという状況については、市民にもお知りおきをいただいているものだと考えている。
建てかえということではなく耐震ということから、現在の庁舎が場所も変わらず、機能も大幅には変わらないということを前提として進めているので、根本的な市民を巻き込んでの議論というのは十分ではないという指摘はあろうかと思うが、市としては必要な手続、また必要な議論を経て今日に至っているという認識だ。
◆内藤智司
奈良県知事が6月定例会の補正予算を奈良市が提出するというタイミングの前後から、記者会見等で何度も本庁舎の耐震問題について移転案を示されてきた。私は、6月議会の中でも代表質問の中で申し上げたことだと思うが、お互い公共の電波や新聞等マスコミの間で公開されてきた中で全国報道に至ったものと考える。
知事は、初めて奈良市議会に移転案を示されたのはことしの1月17日の奈良市議会での勉強会だ。それ以降、トップ同士の話し合いができていれば、今回の騒動にならなかったと考えるが?なぜもっと以前にトップ同士の話し合いができなかったのか?
◎市長(仲川元庸)
知事が1月に市議会に来られる以前にも、私も知事がそういう案を考えているのだというようなことは耳には挟んだことはある。それ以降、約半年間にわたっても知事とは何度もお目にかかる機会が立場上あるが、いろんな場面でいろんな話をした。市としては、既に今耐震化の方向で進んでいるということ、それから財政的な負担の問題なども含めて、何度となく知事にはその状況、また市の考え方についてはこれまでもお伝えをし、理解をいただこうと努力はしてきた。最終的に市が議案を出した後にも、知事からも、まだ追加的な議論を求めるというお声をいただいたので、これは知事の思いとして存在するものについては私のほうから否定をするわけにはいかないと思っていた。極力、おっしゃるように、そういうもめごとのような形にならないで事務的な調整で意見が整理できれば、よりスムーズに進むであろうと、これは私も全く同感だ。 その中で、やはり首長という立場でまちづくりについては非常に強い思いをお持ちであるという部分も、これはいい面ももちろん大だと思うので、そこについては知事の非常に強い思いが今回はあったのだなと感じている。
どういう形態でお会いをさせていただくか、どのような場でお話しをするかという方法論については、これはやはり双方の考え方というところもあるかと思うので、結果としてはかなり直前のしかも公開の場での議論という形になってしまったことがいいのかどうかというのは、本当にいろんな意見があると思う。ただ最終、最後は、万機公論に決すということも私は必要ではないかと思っているので、密室ではなくオープンな場でお互いの見解を述べ合って、最後はそれぞれの立場で責任のある判断をするという意味では、これは結果論かもしれないが、先日の対話の場も非常に有意義であったと考える。
◆内藤智司
確かに、あの公開の場というのは市民にとってお互いの考え方を知れるという意味では大事な場面だったと思う一方、市民の方には、知事は83億円移転したほうが得なのだと、言っている。片や市長は50億円得する。と言ったことだけが、今あの討論会の中でお互いの言い合いで終わったまま、今日に至っている。我々はそれを今、市長から提案を受けてジャッジしていかなければならない立場にある。知事もおっしゃった。市長もおっしゃっている。あとは市議会が判断するだけだ。我々はどちらを判断するにしろ、今市民が両方の意見を知り得た上で、私たちがジャッジした状況を、なぜそっちの耐震にジャッジしたのか、なぜ移転にジャッジしなかったのか、あの内容を全て我々は市民に説明する責任がある。だから、この臨時会においては、そこを我々37人が十分審議して市民に説明できる責任を果たしていかなければならないと思っている。 そういった中では、もしこれまでの間に話し合いができたとするならば、市の状況から、今建てかえる現状にはないですよと、そんな財力はないのですよということをもっと早くに理解してもらえなかったのか?
◎市長(仲川元庸)
財政のシミュレーションについては、知事からも当初は64億円、その次は93億円ということで、建てかえたほうが有利であるという数字をお示しいただいた。この点については、我々ももしかしたらそういう計算も成り立つかもしれないなということで事務的な計算、試算をした。 私どもも、最終的には市の事業だから、市が予算を措置して、当然償還も含めて将来にわたって市民からお預かりした税金を執行していく責任ある立場なので、やはりいわゆる計算間違いだったということは許されない立場だと認識している。
その中で、今回は一つには、積算の基準、それから時間軸にそごがあるということから、知事からの提案を数字については、なかなかリアリティーのあるものでは結果としてなかったという判断をした。このあたりはお互い違う数字が飛び交い合うというよりは、あくまでも制度論、それから事務を執行していく上で、これは県庁の職員が計算をしても市の職員が計算をしても基本同じ数字にならなければおかしい話だと思っているす。
このあたりについては、我々も説明を尽くしてきたという思いだが、特に財政のシミュレーションについては最後までなかなかすっきりと理解をいただくには至らなかったと感じている。このあたりは、場合によっては私の説明力が十分ではなかったという批判もあると思う。市としては責任のある数字をしっかりと市民にも示しをしていくことが重要だと考えているので、このあたりは今後も引き続き留意をしたいと思おう。
◆内藤智司
今の部分については、今後特別委員会等もあるので、きちっと審議をしながら理解をしていこうと思う。
それでは、次に、耐震化において6月定例会にようやく議論を深めることができた。基本構想から本庁舎の耐震を外づけフレームとした理由について、市長は、執務スペースの確保、いながら工事の実現、工費の縮減、工期の短縮等を総合的に判断して決定された。全国でも自治体では一例ですね。そう多くはない工法をなぜ選択したのか?
◎市長(仲川元庸)
外づけフレームについては特段珍しいものではないが、福知山市の市役所、また広島大学の校舎など、挙げれば切りがないが、数々外づけフレームを採用された実績がある。
特に今回、「いながら工事」をしていくことと、執務スペースを大幅に減らさないように、いわゆる内部補強箇所を減らすという観点からも外づけフレームを採用した。
◆内藤智司
それでは、前回の6月定例会の中で示された部分についても、福知山、それから広島大学等を挙げられたと思うが、これが受注業者の実績等、そういった提案もあった中で来るならば、行政としてこういった工法に対してきちっと技術的な判断ができるのか?業者任せにならないのか?
◎市長(仲川元庸)
他の構造設計者が手がけた外づけフレーム工法の事例としては、たくさんあり、埼玉県庁、広島県府中市役所など聞いている。業者任せにならないようにということは、当然重要なことなので、今回私どもも、セカンドオピニオン的な役割も持つ学識経験者などで構成をされた第三者委員会から、この技術を採用して工事を行っていくということに対して評定をしている。
◆内藤智司
今回、長寿命化工事もこの改修の中に多く予算として含まれているわけだが、これは全庁的な問題だと思う。そういった意味では、それぞれの課のニーズというのが非常に大事になってくると思うが?
◎市長(仲川元庸)
庁内の意見を聞くということについては、さまざまな観点がある。執務環境だけではなくて、例えば業務の改善、また時間外勤務の縮減、いろいろな業務に伴う職員の声を聞くなど、担当課の職員が課を順番に回ってヒアリングを何度かした。
今回は執務環境については全庁的に意見を集約するというほどではないが、一部市役所の各課についてヒアリングを行ったり、また体の不自由な方からは、段差解消の要望であったり、また多目的トイレの設置を求めるような声もいただいている。全てではないが、職員や市民の方々、つまり現在の市役所を利用する方々や、従来からいただいているような声も踏まえて今回の案になるべく盛り込もうということでプランニングをした。
◆内藤智司
今回の説明資料の中に工事ごとの執務スペースの配置図もつけたと思うが、6月定例会とは若干その辺の変更もあったようにも思う。
それでは、説明資料の財政比較において、耐震化をして30年後の移転建てかえの財政指標を検討していたが、今回の耐震化に当たっては建てかえを同時に検討すべきではないかと考えるが?
◎市長(仲川元庸)
今回、我々も耐震化、それから建てかえなどについて、当初の28年の委員会の中でも議論をした。我々としてはその結果として耐震補強工事が最も経済合理性があるであろうと判断をしたが、知事から追加的な提案も改めていただいたので、再度しっかりと検討しようということで、検討を進めてきた。その中では以前よりもより詳細なシミュレーションをしたと考えているが、今後30年後に移転建てかえ、これは移転をするべきかどうかという議論はまだ深まっていないと認識しているが、いずれにせよ北棟についても30年後には耐用年数がほぼ終わる。それから今回耐震補強をする中央棟、東棟、西棟についても30年後にはおおむね役目を終えるということはあるので、30年先にどう対応をするべきかということも含めてシミュレーションをしていくことが重要だと考えている。
一方で、30年後に市役所庁舎に求められる規模、それから機能、また市民生活の変化ということについては、現時点では将来予測が立たない部分もかなり多いと考えている。将来の方向性を縛るということは余りよくないと思っている。そういったことも総合的に勘案をして検討してきた。
◆内藤智司君
最後ですが、以前から私どもは新斎苑のことも、やはり財源ありき、日程ありきで行う議論ではない。とずっと主張してきた。その上で、今回の補正予算について、7月18日に知事との会談をされた上での今回の提案だと受けとめるが、18日の会談の内容をどのように精査されたのか?
◎市長(仲川元庸)
財政のシミュレーションの計算に少しそごがあるというところが、一番大きな争点だったと考えている。この点について、それぞれの数字の細かい積算根拠等を膝詰めで照らし合わすことができればよかったが、知事のほうからまた違うシミュレーションをお示しいただき、正直、財政事務上の検算は、そういう意味での検証は、当日の場では直なかなか難しかったところがある。我々ももう少しいろいろと情報が欲しかった部分だが、一番大きな要素としては、どうしても現在の案と比較すると、建てかえのほうがより財政支出を伴うという我々の試算があったので、そこを今までの経緯をひっくり返すだけのインパクトのある県からの具体的な財政支援があるかないかと。ここが会談に臨む以前から一番ポイントになるであろうと認識をして会談に臨んだ。
結果として、無利子融資を初めとした従来からの主張が中心であったという認識をしている。知事のお考えをスキーム、それからビジョンということをもう一回話をしっかりと聞き、そこをよくよく理解した上で、最後は私が責任を持って判断をするということだったので、いただいた情報をもとに判断した。
短い期間ではあったと考えるが、逆に言うと提案をいただいた内容は比較的シンプルであったと思うので、結果としては公正な検証ができたと認識している。
◆内藤智司
18日の会談の日程というのは、19日の内示会の招集も含めて、私はちょっと拙速であったような気はしている。内示会をいつにするのか、招集を22日にするのかという話の手前から、知事と18日に会うのですというスケジュールが来たときに、やはり招集を18日以前にかけなければ22日の開催というのはできないわけから、その上において18日にあって、それを精査して内示会に予算を提示する。という形になれば、どうしてもそこのところは日程ありきのスケジュールだったのではというのが非常に感じるところだ基本、知事の支援策等々というのを我々も非常に興味があったし、それが本当にいかせるなら移転もありかとは思うが、その分についても市長、当日おっしゃられた中でそんなに新たなものはなかったということもおっしゃっていたので、それは知事がおっしゃった内容と、実際今度特別委員会でそのことはどうなのだという議論もさせてもらいたいと思う。だから、その辺については我々もジャッジするに当たっては今後審議していきたいと思う。
最後にですが、これまで市長は、工事計画を令和2年度でおさめなければ緊防債は活用できない。このことの繰り返しをされてきたと思う。要は2年度までに工事計画、工事を竣工させなければ緊防債は使えないのですよということをおっしゃってきたと思いますが、このことについては間違いないか?
◎市長(仲川元庸)
緊防債は奈良市の財政状況を考えると、最大限活用するということがやはり必須だと考えている。制度上、令和2年度までの時限措置となっているので、当該年度予算計上分及び翌年度繰り越し分までが対象となる。一方で、活用期限をまたぐ事業計画とした場合には、緊防債の借り入れは現状としてはできなくなり、活用年度ごとで異なる起債を借り入れなければならないという事態になっている。そのようなことから、緊防債を最大限活用するということを大前提とした検討をこれまで進めてきた。
◆内藤智司
では、工事計画が令和3年度にまたいだ場合、緊防債だけではなく種別の違う起債、こういったものも借り入れるということになる。またいだ場合、15億円の交付税が、国からいただける金が全くゼロになるということではないと理解しますが、よろしいか?
そのことについては、今まで我々とは若干認識が違った。合併特例債と一緒で、あのとき合併特例債も32年度で終わらないと22億円の財源はもらえない。だから今判を押してくださいね、という新斎苑は判を押した思いがあって、今回、この間からずっと提案されている中では、32年度で工事計画を終わらないと15億円が使えなくなるのですよ、という話をずっと私どもはされてきた。では、またいで計画したらどうなるのか。ほかの種類の起債があるのではないかということも徐々にわかってきたので、このことは今改めてこの場では聞きませんが、特別委員会の中で議論します。