奈良市 令和3年9月 総合計画検討特別委員会 02月04日

【1,奈良市総合防災訓練の今後の展望について】
【2,新クリーンセンターについて】

【1,奈良市総合防災訓練の今後の展望について】
◆内藤智司
 令和3年度の、これは計画段階においては総勢1万人の規模で計画された。ライフラインを担う民間企業、自衛隊、地区の自主防災・防犯組織、地元住民など、行政機関だけではなく外部団体と連携を取りながら、まさしくオール奈良市で行う理想的な訓練を計画された。しかし、コロナウイルス感染拡大防止のため縮小して行われた。
 私は当時、この訓練は奈良市にとってぜひともやっていただきたい訓練であり、過去、議会でも何度も取り上げた。だからこそ、縮小して行うのではなく、延期してでも計画どおりに行ってほしいということを去年訴えていた。
 危機管理監は、今回の訓練規模は企画、計画、それから準備、各所への調整、こういったことができれば今後につながり、そのノウハウの蓄積もこの訓練の目的である。この訓練を今後の糧にしていきたいと力強くおっしゃっていた。
 今回の奈良市第5次総合計画の期間である5年間で市民にどのような訓練を行い、伝えていくのか?いわゆる5年間の展望は?
◎國友昭危機管理監 
 私、自衛隊の現場指揮官や幕僚として様々な災害対応の経験を通じて学んだこと、感じたことを現在の危機管理監としての職務の糧としている。特に東日本大震災の現場で活動した5か月で強く感じたことは、災害に立ち向かい、それを乗り越え、そして以前よりも増してすばらしいまちに復興していくためには、人が大切だということだ。
 津波は堤防を乗り越え、建物を破壊し、被害想定や防災計画をはるかに超える惨状となったが、人々はそれでもその災害を乗り越えた。行政や地域の中心となって災害に立ち向かう防災リーダーとなる人材の育成、市民の皆様方の生き残る力、特に日頃からの防災・減災の意識、そして様々な関係機関から市民一人一人の皆様までの幅広い人と人との絆、これが防災・減災には何より大切だということを学んだ。そんな人がたくさんいることが何よりの防災力であると私は考えている。
 中でも大切なのは、子供たちに対する防災教育だと思う。20年、30年先に地域において防災・減災を担う人材であり、そしてまた災害において子供たちの元気が、地域が立ち上がる原動力になる姿を目の当たりにした。子供たちに生き残る力を与えることの大切さを感じた。このような視点で、今後の防災訓練や研修、さらには防災教育などの防災・減災の学びの機会を大切にしていきたい。
 特に防災訓練においては、できるだけ多くの市民の皆様方の参加に向けての工夫、幅広い関係機関の参加、職員を育てる機会の設定が必要であり、そしてまた、繰り返し行うことが重要である。このような認識で、今後とも創意と工夫を持って企画運営に当たっていきたい。
◆内藤智司〈意見・要望〉
 この総合計画の防災に関する、災害に対するキーワード、これまでの自助・共助・公助、それに加えてハード・ソフト・ハートという言葉、キーワードが唱えられている。
 管理監の答弁には、この総合計画にふさわしい多くの大切な項目が思いを込められていたと思う。管理監の東日本大震災5か月の体験を基に奈良市の防災対策を築いていただいていることは、奈良市民にとって、私は大きな利益をもたらしていると確信している。
 管理監の経験に基づく講義は私も聞いた。総務委員会のときに今座っている森田前議長の各委員会で視察しろという命を受けて、我々は管理監の話を聞くことができた。本当に感動して、これは一人でも多くの皆さんに体験に基づく講義の大切さを知っていただく必要があると私は思っている。
 そういった意味でも、マニュアルや教科書、資料をなぞるだけの研修、講義ではなく、経験に基づく訴えは、管理監にしか私はできないと思っている。管理監として庁内で指揮を執っていただくのも大切な仕事だと思うが、市役所に在任いただける残り時間で一人でも多くの市民に、特に今答弁にあった子供たちにその教育研修をしていただければと思うし、各部局と連携して、できるだけ機会を設けていただけるよう要望する。

【2,新クリーンセンターについて】
◆内藤智司
   もう誰しもが知るように、現在の環境清美工場の状態を考慮すると、本当に一刻の猶予も許さないという状況であり、どの建設地であれ候補地であれ、建てていかなければならない課題だ。
 そういった意味で、環境アセスを含めて10年の計画、その中で脱炭素、カーボンニュートラル社会を見据えて、新しいクリーンセンターを核とした周辺整備について、どのようなビジョンを描いているのか?
◎稲場健一郎クリーンセンター建設推進課長 
 従来のいわゆる嫌悪施設という位置づけではなくて、持続可能なまちづくりという観点を踏まえながら、脱炭素もしくは自然との共生、また資源の循環や災害の対応、ひいては地域の様々な社会課題の解決など新たな価値をいかに付加していくかということが重要であり、この施設が地域のまちづくりの核となる、そのような位置づけを目標としていくことが望ましい。
 具体的には、例えばEV充電機能を核としたモビリティー拠点として、あるいは地域に新たな活力と雇用を生み出す産業創出拠点として、あるいは地域の暮らしに寄り添う生活利便・健康施設として、あるいは老若男女を問わず誰もが学べる環境学習実践拠点として、今後の未来10年を見据えると、さらに様々なポテンシャルを秘めているものと考える。
 これからこういった考えも地域の皆様方にしっかりと伝え、共に計画づくりに努めたい。
◆内藤智司〈意見・要望〉
 最近の各地で新設され、運転されているクリーンセンターを私も数か所見学、視察した。これまでの嫌悪施設のイメージはほとんどなく、まちのシンボルとして観光場所となっているところもあり、資源エネルギーを持つことで地域の持続可能都市としての発展につなげているところもある。
 ごみを集めてくる施設、ごみを焼却する施設というだけではなく、そこには資源エネルギーの燃料を地域から調達できるという、まさに地産地消、持続可能な未来都市としての設備であることを私はもっと奈良市民に、地元、地域の方々に知ってもらうことが最も大切であろうと思う。今、課長が述べられた未来への希望あるまちづくり、ぜひ私は実現していただきたいと思っている。
 実際、新駅周辺では、新クリーンセンターの建設とほぼ時間軸を同じくして、未来都市を念頭に置いて新しいまちづくりが展開されていることからも、そのあたり、部は違えども縦割りを打開して情報共有しながら、国が目標と掲げる2050年のカーボンニュートラルに向けた取組ができるであろうと思う。これは奈良市一丸となって、この第5次総合計画を軸に本気で取り組んでいただきたいとお願いする。
 その手がかりとして提案したいのは、まずクリーンセンター建設推進課という名称から変えてみてはどうかと。副市長、部長、ちょっと聞いてほしいが、例えば未来まちづくり推進課、住みよいまちづくり推進課、循環型社会推進課、地域循環圏構想課など、以前の工場の負のイメージを払拭して、多くの市民の方々に理解してもらってはどうかと思う。
 いずれにしても、工場の建設は奈良市として何よりも進めていかなければならない事業だと思うので、いろんな発想で、あらゆる手法でぜひ一刻も早く進めてほしいし、ネーミングについては一度検討していただいて、課内で募集して、4月からでもちょっと新しいネーミングで一新してスタートしていただければと要望しておきたい。