奈良市  令和4年9月 定例会  09月13日-02号

【1,市長の政治姿勢について】
【2,前期の定員適正化計画の評価について】
【3,環境行政について】
【4,新クリーンセンター建設の今後について】
【5,県域水道について】
【6,中間報告以降の部会協議の進捗と本市の意向について】
【7,奈良市の森林環境政策について】
【8,旧東山霊苑火葬場の解体収去の進捗状況について】
【9,県域水道一体化の是非の市民への周知について】
【10,教育行政について】

◆内藤智司

 会派を代表して、市長並びに企業局長、教育長に一括質問一括答弁により、通告に従い質問します。

【1,市長の政治姿勢について】

 新・奈良市行財政改革重点取組項目--平成30年度から令和3年度--の評価について、本市では、第5次奈良市行財政改革大綱の理念を継承し、重要経営資源のヒト・モノ・カネ・情報を有効活用し、経費節減と事業・業務の質的向上を図るため、平成30年度から令和2年度までの3年間、さらには新型コロナウイルスの影響を勘案して1年延長し、特に優先的に取り組むべき9項目の新・奈良市行財政改革重点取組項目を策定し、取組できた。その評価は?

 また、今後の奈良市行財政改革をこれまでの評価、課題を踏まえてどのように取組をするのか?

◎市長(仲川元庸) 

 まず初めに、新・奈良市行財政改革重点取組項目の評価については、昨年度まで取り組んできた9つの重点取組項目における進捗状況としては、全体としておおむね計画どおりの進捗となっている。

 また、評価としては、歳入を増やす取組として、施設使用料などの受益者負担の適正化による経営基盤の安定化及び財源確保の観点から、使用料及び手数料の見直しを行った結果、令和元年10月より改定をした一般廃棄物処理手数料で、令和3年度末までで累計で約3億7000万円、令和2年5月より改定をした下水道使用料で、同じく約14億3000万円の財政効果を得ている。

 また、公共施設の運営効率化としては、令和2年4月より児童館に指定管理者制度を導入し、民間の知識や経験などを活用することで運営の柔軟性やサービスの向上を図り、財政面でも年間で約6000万円の効果を出すことができている。

 これらの取組の成果もあり、令和3年度には大幅な黒字が見込まれたため、令和4年3月の補正予算には住宅新築資金等貸付金特別会計における繰上充用の解消、また、今回の補正予算でも、長年の課題であった地域振興基金の繰替運用の解消などに予算を措置することができた。

 また、今後の行財政改革の取組については、今後も引き続き本市を取り巻く現状認識、これまでの取組による成果と課題に基づき、計画を策定している。

 本市の現状としては、中核市平均より高い総人件費、また公債費比率などに加えて、生産年齢人口の減少等により、税収の大幅な伸びはすぐには見込めない状況がある。将来的に公共施設の老朽化がさらに進むことなどもあり、それらの維持更新に係る必要経費の増大も見込まれている。

 こうした状況を踏まえ、将来に負担を先送りしない改革としては、職員数の適正化はもちろんのこと、幼保施設の民営化、人権文化センターの運営方法の見直しなど、公共施設の最適化を中心に取り組み、また、自主財源確保のための対策としては、企業誘致による法人市民税や事業所税、固定資産税等の税収増に加えて、雇用創出による個人住民税の増収を目指すとともに、働きやすいまちづくりを創造することを念頭に、行革に引き続き取り組んでいく。

 また、新たな取組としては、民間提案制度の導入、企業版ふるさと納税の促進等、官民連携・協働の推進を図るべく施策の構築、そしてデジタルトランスフォーメーションの推進による業務の改善に伴う行革効果の検証など、新しい分野でも着実に行財政改革を推し進めるべく、取組をさらに加速したいと考えている。

【2,前期の定員適正化計画の評価について】

◆内藤智司

平成28年度から5か年における定員適正化計画を策定され、コロナ禍において1年延長され取り組んできた。その評価については?

 また、本年度以降の計画においては、先般の本会議では、行革のタイミングに合わせて計画しているとのことだが、その方向性については?

◎市長(仲川元庸)

 平成28年に策定した定員適正化計画は、1年延長の見直しを含めて、計6か年で策定をした計画だ。この6年においては、計画当初に想定をしていなかった待機児童対策に向けた保育教育士の増員、また児童相談所設置に伴う採用増など、新たな行政需要への対応などもあったが、最終的には令和4年4月時点で、目標値である2,600人に対し2,565人となっており、計画を上回る形で職員の適正化が実現できたと考えている。

また、令和4年度以降の適正化計画については、人口減少社会の到来の中でデジタルトランスフォーメーションをさらに進め、次期奈良市行財政改革重点取組項目を踏まえて、さらなる職員削減に向けた次期計画を策定したいと考えている。

◆内藤智司 〈主張及び要望〉

 奈良市の新・奈良市行財政改革重点取組項目の評価、それから今後の取組の方針、併せて定員適正化計画の評価と今後の見通しについてお聞かせをいただいた。やはり行財政改革を進めるに当たっては、その職員の定員計画、定員数というのが非常に重要な位置を占めているのではないかと思っている。

 これまでの中で、今、市長がおっしゃられたように、自主財源の確保に努める、それから総計で計画になかった、例えば保育士さんの増員、児童相談所の設置、これらは非常に大きなウエートを占めていると思う。しかし、評価として、2,600人を切る実績をされたというところについては、評価はしつつも、その現場との意思疎通が大きなポイントではないかと思う。

 以前、システムの最適化をする議論をしたときに、多くの人材を削減できると、数十億円の金をかけて最適化をしてきた。しかし、した後、では、どれだけの削減が可能になったのか検証をしてくれと言ったときに、検証できないということを議場でも議論したと思う。それは、新しく最適化をしたがために次の新しい業務が増えていく、こういったことも一つの大きな要因であったと思う。

 そういった意味から、行財政改革をしていく上においては、そこに係る人、職員の考え方というのを、現場の状況をきちっとやっぱり意思疎通を図りながら、一方的に上から削減するということはあってはならないと要望する。

 今後、DX等でますますIT化が進められようとしている。窓口がAI化されて、職員が減っていく、窓口で行っていた業務がコンビニでできるようになるだろう。もっと言えば、家のパソコンからマイナンバーカードで、要は窓口の業務がどんどん減っていく構想もあろうかと思う。しかし、それ以上に今抱えている職員の業務を私は、きちっと見てほしいと思う。そのことを要望する。

 それと、行革の中で、私は以前からずっと議論している、公共施設の統廃合、これは財政の大きなウエートを占めていると思う。どんどん古くなっていく総合福祉センター、プールとか、それから富雄のスポーツセンターとか、そこのところを本当に残していくのか、言えば連絡所の話もある。閉鎖すべきところは閉鎖していくべきだと思う。

 そのために市民サービスが低下していかないように、これは市長の口癖だと思うが、人を減らして、設備を減らして、市民福祉が低下しないということはあってはならないと思う。その辺は先ほど答弁にあった民間活用、それから協働。今、市長がまさしく地域自治協議会というものを立ち上げて、市民と協働していくということも含めて今後その地域の活力というものも考えていく必要があると思う。

【3,環境行政について】

◆内藤智司

 まず、環境清美工場の管理運営を含めた環境事業計画の進捗について、本年3月の予算決算委員会総括質疑において市長は、修繕の実施を効率的かつ効果的に行うため、今後、現工場の施設修繕業務と運転管理を一体化した包括的管理業務委託の検討を進めると答弁されたが、包括的管理業務委託の検討状況については?

◎市長(仲川元庸)

 環境清美工場の安定稼働を継続していくため、施設修繕業務と運転管理を一体化した包括的管理業務委託の検討を進めてきた。しかし、現時点で発生が想定される余剰人員への対応、また、昨年のプラント調査で指摘をされている多種多方面にわたる維持修繕業務の優先的かつ計画的実施等について、さらなる経費の見直し等の検討が必要であると考えている。

 今後、新クリーンセンターの建設までの間、現環境清美工場の安定的、安全な稼働を続けることが最も重要であると考えており、引き続き様々な方策を検討していきたい。

◆内藤智司 〈主張及び要望〉

 次に、環境清美工場の運営と、それから新クリーンセンターについて、現時点で新クリーンセンターの建設の目途は立たず、現環境清美工場をどこまで維持できるか、さらにこれの懸念が募ってきているというのが朝からの議論にもあったと思う。新クリーンセンター建設ばかりに気を取られて、現施設--工場の現状課題が二の次にはなっていないのか危惧する。

 現工場の安定稼働の見通しはいかがなものなのか。これまで修繕を重ねてきているとはいうものの、実際には、現工場は我々が聞いている以上に老朽化が進んでいるように思う。私どもも何度も何度も視察に行き、行くたびにその様子が見てとれるという状況だと思う。今は何とか運転継続していても、今後大きな故障が起きる可能性も否定はできない。

 幾ら熟練した職員が運転管理をしているとはいえ、運転管理されている職員も1年1年たてば年を取っていき、定年する。厳しい職場環境に、向こう10年間の稼働はやはり限界ではと思う。市長はこのような深刻な状況をどこまで認識されているのか。多分、認識はされていると思うが、この問題については日々施設の安定稼働に努めている現場との間で温度差がないように、きちっと現場を見てほしい。

 引き続き様々な対策案を検討されているようだが、ごみ処理施設は社会の大切なインフラだ。老朽化した施設にかかるコストは、当然割高になると思う。包括管理の外部委託を検討している。また、職員で今後どれだけ維持していくのかというところにおいても、職員でやれば当然技術の継承は必要だ。そのためには新しい職員を早く雇わなければならないし、プラントを少しでも延命させるためには、一緒になった包括委託というのも、一つの手だとう。

 しかし、そこにも大きなコストはかかる。コストがかかるからできないでは、今の施設は延命はできないということを、強く要望しておきたい。財政的な問題があって悩ましいところではあると思うが、その施設の安定稼働の役割、重要性を改めて認識されたいと指摘しておく。

 今後、時間の経過とともに施設の故障の頻度が上がり、さらに厳しい状況が続くと考えられる。現状の修繕や運転管理体制では乗り切れないトラブルを未然に防ぐためにも、早期の決断が不可欠と考える。早急な対応を願う。

 

【4,新クリーンセンター建設の今後について】

◆内藤智司

 斑鳩町が離脱したことによって広域化の前提が崩れた今、今後の新クリーンセンターについて、地元及び周辺地域の住民の皆さんに喜んでいただけるような施設やまちづくりを奈良市単独で策定していくことになるが、具体的にどのように考えているのか?

◎市長(仲川元庸)

 今年度、奈良市としては、ゼロカーボン戦略策定事業として、2050年のゼロカーボンの実現に向け、本市の目指す将来ビジョンを具現化している最中だが、その将来ビジョンのまちづくりの拠点の一つとして、新クリーンセンターが挙げられると考えている。議員御指摘のとおり、新しいクリーンセンターが単なるごみを処理する施設ということではなく、様々な可能性を持ったまちづくりの核となる施設であることを建設候補地の地元及び周辺住民の皆様だけではなく、広く奈良市民全体に理解をいただくことが重要であると認識している。

 今後、策定をするまちづくり基本構想や施設整備基本計画の中で検討していくことでだが、新しいクリーンセンターのポテンシャルとしては、例えば余熱利用によるハウス栽培や植物工場、また6次産業化による観光分野への展開など、地域の雇用にもつながる取組が考えられ、また一方で、日常的には環境学習や地域住民のにぎわいの場として活用し、災害時には防災の拠点となるような多面的な機能を持った地域住民の命を守る施設としても、大きな役割を果たすことができると考えている。

 このような多面的価値を創出する施設として、従来の廃棄物処理機能に加え、自立分散型のエネルギーセンターとして地域の魅力の向上、課題解決に資する施設として価値を高めていくことができると認識している。

◆内藤智司 〈主張及び要望〉

一方、新クリーンセンターの建設については、今後、単独建設を余儀なくされている。実質は白紙になったと考える

 現施設の状況を鑑みれば、一刻も早く建設に着手しなければならないことは、ますます重要な課題になってくる。単独建設となった今、七条地区での建設を進めていくことが本当に最善なのか。次世代の施設のよさを知ってもらい、すばらしい施設が地元で地域還元施設として受け入れてもらえるはずだ。このことを広く訴えていくべきだ。

 厚木市で机上のシミュレーションもされている。パッカー車を全台電気自動車にして、災害時にはそれを避難所の電源にするとか、街中に電気自動車のスタンドを建てるとか、お年寄りの認知症の--いわゆるWi-Fiを、全部GPSを備えるとか、いろんな防災設備もそのエネルギーの施設の中から生んでいくことが可能だ。そのことをもっともっと私は地域の人たちに伝えるべきだと思っている。

 いずれにしても、奈良市のどこかに建設しなければならないわけで、先ほど市長は多面的価値を創出する施設だとして、従来の廃棄物処理機能に加え、自立分散型のエネルギーセンターとして、地域の魅力向上や課題解決に資する施設として価値を高めていくことができるというような答弁があった。全くそのとおりだし、自信を持ってこれを地域の人たちに受け入れていただくようにすることが大切なのではないでしょうか。一度原点に返っていく、このことも私は必要だと思うし、一刻も早く建設地を決定することが不可欠であることを指摘しておく。

【5,県域水道について】

◆内藤智司

 市長は、奈良県提案の奈良県県域水道一体化に関し、本市の参加の是非を検討するに当たり、学識経験者から幅広い意見を聴取するため、奈良市県域水道一体化取組事業懇談会を4月に設置され、5月20日に第1回目を開催されてから8月31日まで5回に及ぶ有識者、市民代表、議員などの意見を聴取された。懇談会の評価と総括については?

◎市長(仲川元庸)

 懇談会の評価と、それから総括については、奈良市県域水道一体化取組事業懇談会には、学識経験者、また市民団体及び市議会議員の皆様など、多方面から参画をいただき、将来の水道事業を維持していく上での投資規模と水道料金のバランス、また先行事例から見た統合効果の検証、料金統一を前提とした事業統合以外の広域化手法などについて、専門家として、また市民代表としての立場から御意見をいただいたと認識している。

 また、本市が企業団に参加をする条件として、一定期間、本市に独自の水道料金を設定し、独立的に経営するセグメント会計、また、県が企業団に対し財政的にさらなる支援を行う垂直補完についても、踏み込んだ議論ができたと考える。

 全般的には広域化の意義は理解ができるものの、現在の統合案では奈良市として参加することは難しいのではないかという意見も多かったように受け止めている。また、セグメント会計については、一定期間猶予はあるものの、いずれ料金が統一となり、問題を先送りしているのではないかという御意見も頂戴した。懇談会は最終的な結論を答申の形でまとめていただく場ではないが、いただいた御意見についてはしっかりと受け止め、本市の最終判断に生かしたい。

◆内藤智司 〈主張及び要望〉

私も5回の懇談会に参加をした。その議論の経過についても、よく承知をしているところだ。ただ、市長もおっしゃられたように、ここが判断する場でもなく、意思決定をする場でもなく、多くの意見を聴取する場として私も発言をしたが、昨今の新聞とか部会の報告とかを受ける中で、奈良市がどうしていくのか、奈良県内の一つの大きなポイントだ。

 私は懇談会でも言ったが、広域化自身には反対はしない。言えば、広く進めていくべきだろうと。水道だけではなく、クリーンセンターもそうだし、消防の広域化についても、もっと奈良市が入れるような状況をつくっていけば、消防の広域化もできたのではないかと思う。

 そのことをいち早く察知して大和郡山市は離脱したが、奈良市が本当にその意味で、奈良県の一体化から離脱することがいいのかと考えたときには、もう少し検討が必要だと思う。

 これまで数年にわたって、企業局と県とこの話をしてきた。それをベースに、今はまだスタートラインに立てていない状況だと懇談会でも申し上げた。まだ何の議論もできていない。では、安全対策はどうなのか、人の配置がどうなのか、給料はどうするのか。奈良市が月ヶ瀬村と都祁村と合併するときに、特別委員会で何年もかけてこのことを、確かにスケールは違うが、奈良市の水道と奈良県の水道が一体になるということは、大きなことだと思。

 早くから特別委員会で議論しようよと言っても、県から下りてくる情報がないからできないというような状況であるということは、まだスタートを切れていない、その中で、期限ありきで11月の基本計画、2月の法定協議会という逼迫した、また限られた時間の中でという答弁もあったが、そこはもう一歩踏み込んで、奈良市が入ってほしいという市がたくさんある。では奈良市が入れる状況をみんなで、奈良県全体で考えていく、このことを奈良市からも発信すべきだ。

 令和7年にスタートしなければならない、それまでにもう少し時間を置いて、半年でもいい、1年でもいい、時間を置いて、私は奈良県の市町が納得する解決をしていかなければ、一方的に離脱していくということは、私は奈良市にとっても損だと。損得ではないが、奈良県内の奈良市としての位置づけを担っていかなければならない。そのためにも、奈良市民にきちっと説明できる制度をもう一度つくり上げていくべきだと考える。

【6,中間報告以降の部会協議の進捗と本市の意向について】

◎市長(仲川元庸)

中間報告--これは令和4年2月開催の第2回協議会だが、それ以降、令和4年6月に新たに設置された県域水道一体化論点検討部会においては、9月までに4回の部会が開催された。この部会には、奈良市県域水道一体化取組事業懇談会における様々な御意見の報告を随時行いながら、意見を反映し、議論を進めてきた。

 一方、中間報告以降に新たに設置された企業団設立後における経営方針の意思決定を行う意思決定プロセス部会については、本市は参加をしていないが、現在、開催はいまだされていないと聞いている。

 今後も引き続き各市町村の意見、また、議会等で積み重ねてこられた様々な議論、また、市民の皆様の声などを踏まえた上で、部会の中で精査をし、残された時間の中でしっかりと熟議を重ねていくということが必要であると認識している。

【7,奈良市の森林環境政策について】

◆内藤智司

今後の体制整備について、奈良県では令和2年、森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例が制定され、具体的な指針が示された。また、令和3年には、併せて森林環境の維持向上及び県産材の利用促進に関する指針も制定されている。

 奈良市においても、令和6年度以降に森林環境譲与税の交付額がさらに増加して付加されているが、今後の体制整備についてどのようなビジョンを持って取り組んでいくのか?

 また、森林環境譲与税の使途の整理を行うと、施業放置林の整備、人材育成と担い手の確保、里山づくりの推進、森林環境教育、ナラ枯れ、獣害対策、木材利用の推進とある。これまでの本市の森林政策は、鳥獣対策や施業放置林の整備等の従来施策の域を出ているように見えない。これまでの森林政策では、現状の持ち主不明林の意向調査や従来どおりの間伐を行うなど、新しい税に見合った攻めの政策に転換しているようには見えない。今後の具体的な方針は?

◎市長(仲川元庸)

 森林経営管理法に基づく林業経営の効率化及び森林の管理の適正化を図るために、今後は森林で作業する人材をしっかりと確保し、育てていくことが重要であると認識している。

 また、森林環境譲与税の活用については、これまで間伐などの森林整備、また公共建築物への木材の利活用、さらには経営管理の意向に関する調査、そして森林環境教育体験学習などの森林の中での体験活動などを行ってきた。

 今後は、これまでの森林整備や木材の活用事業を継続しつつも、先ほど申し上げた、これから実際に森林で作業する人材をしっかりと確保し、その人たちが自立していくことの支援を行うということ、そしてそれに伴い、森林内の路網のさらなる整備や、木材の出口となります付加価値をつけて販路を拡大する取組などに特に重点を置いて、森林環境譲与税を活用していきたい。

◆内藤智司 〈主張及び要望〉 

新たな担い手と人材の確保では、奈良県がこれまでに奈良県の県費で学校を設立し、森林環境管理士、森林環境管理作業士を育成し、来年から7つの自治体に配備される。希望する自治体については、今後も数年を費やして育成を考えているそうだ。

 奈良県職員としての派遣になるが、財源は全額、森林環境譲与税の負担が認められている。実際の派遣に至る細部についてはまだ情報不足だが、現在の担当課での体制についても、業務量の多さや専門的知識を有する職員不足など、問題が多いことはこれまでも明らかだ。

 奈良市民にとっての森林行政をつくり上げ、今後共生していくための体制整備を行う。現状のままでできるのかではなく、しっかりとした調査研究の上、判断をしていただくように要望しておく。

【8,旧東山霊苑火葬場の解体収去の進捗状況について】

◆内藤智司

 供養塔収去と残骨灰処理について、検討経過、経緯については?

 また、残骨灰の処理については、残骨灰に含まれる有価物を売却し、利益を得る自治体もあると聞いる。これまで直近の本市の処理についてはどうしたのか?

また、ここ数年来、金等の有価物の価格が高騰する中で、有価物を売却し、それらを市民に還元することは、御遺族をはじめとする市民の一定の理解が得られると思うが、どのように考えているのか?

 また、東山霊苑供養塔の代替施設については?

 次に、納骨堂の整備については、寺山霊苑の無縁墓群を整備することで、東山霊苑供養塔の代替施設や、これまで市が整備してこなかった永代供養に係る施設を整備することができないか?

◎市長(仲川元庸)

 その後の解体収去の進捗状況は、7月に火葬場解体に伴う建築設計業務委託の入札を行い、これに対しては、「株式会社岩崎建築設計事務所」が落札した。現在、建築設計業務を進めている。

 今後、アスベストやダイオキシン等の調査を行う。その後、12月頃に解体工事に係る工事業者を決定し、令和5年3月末日までに、地上にある構築物については収去する予定だ。

 次に、供養塔の収去と残骨灰の処理については、供養塔本体については、土地所有者である宗教法人西勝寺と令和2年12月23日付で締結した合意書において、旧東山霊苑火葬場の他の構築物と同様に、今年度中に収去する。残骨灰処理については、供養塔の収去計画に合わせて供養塔内から残骨灰を搬出し、無害化処理並びに最終供養地における供養を行う予定で、詳細については現在検討を進めている段階だ。

 また、直近の残骨灰処理における有価物の処理状況、また有価物売却に対する認識ということだが、前回の残骨灰処理については、平成27年10月に指名競争入札で残骨灰搬出処理業務委託の事業者を選定し、同月中に処理を完了した。火葬後の残骨灰を搬出し、中間処理及び最終埋葬作業を行うということを業務内容にしていたので、このときには有価物の処理については業務内容には入れていない。

 有価物の売却については、賛否様々な御意見があり、市としても認識している。そうした中で、他市の取組など様々な処理方法を検討する中で、有価物の売却についてもそのメリット、デメリットを現在調査している。広い意味では市民の皆様の財産とも言える残骨灰の有価物とその売却益については、例えば墓地や納骨堂整備に活用するなどによって、その利益を市民の皆様に還元するということであるが、有価物の売却についても、有益なものとして一定の御理解を賜われるものと認識している。

 次に、東山霊苑供養塔の代替施設については、旧東山霊苑火葬場の稼働停止後も、供養塔へ参拝にお越しになる方がおられるということを認識している。この供養塔に代わる祈りの場となる施設については、どのような形を取ることが政教分離の原則にも抵触することなく、かつ参拝をされる方々の鎮魂への思いを継承できるのか、現在、具体的な検討を進めている段階だ。

 また、納骨堂の整備については、近年の家族形態の多様化、また葬送に対する価値観の変化により、これまでに代わる多様な葬送手法のニーズが生まれている現状を実感している。その中で、永代供養には大きな関心が寄せられているものと認識している。

 これまで本市においては、納骨堂は御遺族が故人の墓を御用意されるまでの一時的な預かり施設という側面があった。一方で、葬送手法という極めて個人的かつ宗教的な問題ではあるが、今後、高齢化時代が本格化する中において、自治体としてどのような役割を担うべきであるのか、他市の事例等も参考に調査研究を進めている。

 寺山霊苑につきましては、昭和44年に開設されており、駐車場やアクセス面に課題があるということを認識している。納骨堂等の整備を行った際には、寺山霊苑の利用者数の増加が見込まれることも考えられ、そのためには今後どのような整備が必要であるのかということも併せて検討したい。

 続いて、永代供養に係る施設の整備については、寺山霊苑においては、その敷地の一部に墓石が高く積み上げられた場所がある。この場所を整備し、供養塔に代わる施設とするためには、これまでの経緯、また参拝される方々の思い、自治体として守るべき政教分離の原則等の法的な内容も含め、広く検討を行う必要があるものと認識している。

 また、永代供養については、他の自治体や民間事業者が行うサービスなども多様に存在しているという状況がある。提供するサービスの内容により市民の皆様の御負担が変わることからも、本市においてどのようなサービスが求められるのか、引き続きの調査が必要であると認識している。

◆内藤智司 〈主張及び要望〉

 白毫寺地区での東山霊苑の稼働停止による解体収去の事業者も決定し、令和5年3月末に向けて粛々と作業を開始されることの答弁については、安堵する。加えて、新しい残骨灰処理の新しい可能性についても、真摯に御答弁されたことについては一定の評価をさせていただく。この点については、市民理解が得られるような報告、説明を逐次欠かすことのないように要望する。

 その上で、新たな納骨堂の整備についての可能性についても言及された。市長は過去の答弁において、霊苑管理等の事業は民間事業の圧迫であるとの発言もあったが、霊苑管理を含む葬送業務こそ自治体に課せられた業務の一つだ。この点にしっかりと重きを置きながら、調査研究に当たっていただけるよう要望する。

【9,県域水道一体化の是非の市民への周知について】

◆内藤智司

 企業局長への質問として、3月定例会でもお聞きしたが、一体化の是非の市民への周知についてどうされてきたのか?

◎企業局長(池田修) 

 市民への周知としては、本年1月発行の「奈良上下すいどうだより」にて、県域水道一体化の概要や問題点について掲載している。

 また、市民の声を反映するために、本年5月から8月に開催した奈良市県域水道一体化取組事業懇談会では、市民団体の代表あるいは市民から選出された市議会議員の皆様にも委員として参加いただき、意見を聴取することがでた。また、計5回開催した懇談会では、延べ213人というたくさんの市民の方の傍聴があった。懇談会の配付資料及び議事概要は、毎回終了後、企業局のホームページに掲示して周知を図った。

 企業団への参加の是非という問題は市民生活に直結する案件なので、最終判断までの限られた時間の中で、今後も市民への周知に努めていきたい。

【10,教育行政について

◆内藤智司

 教育現場では、教員不足、教員の欠員が生じており、教育現場の負担が増加していると聞いている。この現状に対する認識及び市が取り組む対策については?

 また、教育現場の負担軽減に向けてさらなる対策が必要であると考えるが、本市の考え方は?

◎教育長(北谷雅人) 

 教員不足、教員の欠員により、教育現場の負担が増加している状況に対する認識及び市が取り組む対策については、教員不足は全国的な課題となっており、奈良市においても例外ではなく、学校現場において、育児休業や病気により休暇を取得する教員に対する講師などがすぐに補充できないという状況がある。そのことにより、欠員分の業務を学校内で誰かが担わなくてはならず、結果として他の教員に負担が生じていることについては認識している。

本市教育委員会としては、学校定数内の欠員補充については県教育委員会に強く要請するとともに、大学訪問や講師募集の広報手段の工夫を行うなど様々な手段を講じながら、現在の欠員を解消するため、人員の確保に取り組んでいる。

 次に、教育現場の負担軽減に向けてさらなる対策が必要であることについては、教員が欠員とならないよう教員補充に努めるのはもちろんのことであり、併せて特別支援教育支援員や教員の事務作業を軽減する教員業務支援員、いわゆるスクール・サポート・スタッフ、部活動指導員などの外部人材を活用することをさらに進めたい。

 また、これらの取組に加え、業務のデジタル化を進め、校務の効率化を図ることにより、教員が子供たちと向かい合い、学習指導に集中できるよう、チームとしての学校として学校の運営体制を強化し、教育現場の負担軽減に努めたい。

◆内藤智司 

 取組状況については理解したが、現場の先生からは授業中の人手不足、人が足りないとの話を聞いているが、特にこの部分のサポートが必要であると考えるが?

◎教育長(北谷雅人) 

 学校は以前に比べ、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童・生徒の増加、外国人をルーツに持つ児童・生徒への教育など、授業を行うに当たり様々な状況への対応が求められていることは認識しております。こうしたことから、本市におきましても児童・生徒への授業の補助を行う役割として、特別支援教育支援員や教員を目指す学生による学校サポーターを配置している。

 今後も多様な子供の学びを支えるために、教員に対する支援の充実をさらに図りたい。

◆内藤智司 〈主張及び要望〉 

 特別支援教育支援員について、各学校に配備されるなど、これまでも取組が進められてきた。学校サポート事業による学校サポーターについては、学校サポーターが授業中に児童・生徒の指導補助に当たることで、教員の負担軽減につながっていると聞いているものの、5年前には約200名いた登録者数は年々減少が続いており、本年度は約110名となっている。その大きな要因は、報酬や旅費支給をなくしたことであり、人員不足で一人でも多くの学生が来てほしいと思う学校側の思いと反する結果になっている。

 この結果は大きな問題であると指摘するが、また、教育長は先ほど人員補充に努めるのはもちろんのことであると答弁している。それであるならば、学校サポーターを増やすために報酬や旅費支給を実施し、学校へ派遣する学校サポーターを早期に増やすべきではないか。

内藤より

 最後に、西谷副市長には、1期4年であったが、市の厳しい財政の中、大変御苦労も多かったと思う。寝食を忘れて、昼夜を公僕として尽力されたことに対して、改めて敬意を表し、お礼を申し上げたいと思う。

 一方、新たに後任となる鈴木子ども未来部長におかれては、今後のさらなる大波の中、船出をしていかなければならない本市に対して、果敢に英断をしていただいたことに敬意を表したい。議決において、全会一致の同意は我々の期待の表れだ。

 連合奈良の西田会長のフェイスブックの談話を抜粋、御紹介したい。

 奈良県で初、奈良市で女性の副市長就任決定。意思決定のポジションに女性が就くこと、特に定数の少ないポジションへは進みにくい。いわゆるガラスの天井。人事権限のある人のジェンダー平等、多様性への向き合い方、人権感覚が表れる。奈良市長の決断と奈良市議会の良識ある判断に敬意を表する。初物として何かと大変かもしれない。その初物に負けず、孤立させないよう皆さんで支えていただきたいとの激励がされているところであります。大いに期待するところであります。