奈良市 令和4年9月 予算決算委員会 09月28日-01号

【1,県域水道一体化について】
【2,奈良市の森林環境譲与税の決算に基づく今後の体制整備について】

【1,県域水道一体化について】

◆内藤智司

 令和3年度の水道事業会計の決算、令和3年から決算の中で、県域水道一体化の協議の予算も含め決算されているが、ちょっとまた違った側面で、朝からも話が出ていたが、報道では今、静岡県の県庁所在地である静岡市でおおよそ現在6万3000軒、昨日のテレビで3万軒は生活水が復旧したと報道もされているが、いまだ断水の状況であると。現地の住民は大変な不便を強いられている。まちの中にも粉じんが舞って、衛生的にも懸念されている状況。また、昨年は和歌山市で水管橋が崩落するなど、各地でやはり水道の事故や災害が報じられる中で、災害時の備えの重要さがそのたびに再認識されてきている。

 さて、令和4年9月21日には、奈良県広域水道企業団設立準備協議会に設置された論点検討部会が開催された。会議では、副知事や部会員である市や町の首長は、将来の安全・安心のために、何より老朽化が進む水道施設への対応が第一であり、企業団の投資水準は年間161億円が適切であると主張をしておられる。

 また、部会で配付された資料によると、奈良市主張の投資額では布目ダムから緑ヶ丘浄水場への導水管工事は不可能とされている。

 そこで、奈良市が企業団に参加するかどうかにかかわらず、奈良市域の水道老朽施設への更新投資については?

◎仲川元庸市長 

 将来の奈良市域の投資水準については、人口減少時代に対応して投資効率を高めていかなければならないという問題がある。そのためには、まず特に老朽化した施設や基幹管路を選び、集中的に投資をしていくということが効果の高い更新であると認識している。

 先日、9月21日に開催された第5回の県域水道一体化論点検討部会で配付された資料では、奈良市が主張している従来実績程度の投資額では布目ダムから緑ヶ丘浄水場への導水管工事は不可能だという意見があった。しかし、仮に本市が企業団に参加をしない場合でも、平成26年度には布目ダムの、また令和3年度には比奈知ダムの建設割賦負担金の償還が終了しており、今後キャッシュフローは改善する見込みだ。これまで以上に積極的な更新投資がそれにより可能になると考えており、強靱なライフラインを次世代に引き継ぐことができると認識している。

緑ヶ丘浄水場への導水管については、適切な点検による維持管理を図りつつ現状調査及び機能評価を行い、結果に基づいて、必要に応じて複線化もしくは更生工事などを検討していきたい。

 導水管路の工事により一時的に投資額が高額になっても、計画的に起債を発行するなど健全な財政計画を立て、さらに業務の見直しなど経営効率化を図り、水道料金の上昇は極力、人口減少分を補う範囲にとどめるなど、市民生活への影響が最小限になるよう努めていきたい。

◆内藤智司

大きな工事、投資については、これまでも奈良市の起債を使いながら、将来のトータル的な負担額として工事をしている。ましてや、今あったダムの償還が全て終わり、その償還額が投資に回せるということを以前からお聞きしながら、これから更新をしていくという矢先に奈良県域水道一体化の話が来ているという状況の認識をしている。

 過去、この議論を私なりに振り返ったときに、去年辺り、もともとこれは、26年、28年ぐらいから全体の協議をされてきたと思う。そのときは基本、セグメントを中心にずっと議論されてきた中で、突然事業統合を行うと、料金を統一するという話が来て、それは何だという話で、その年、2年前の12月に代表質問でその話をして、「何ですか?」ということで局長にも、またそれまでに企業局のほうでも、会派で勉強を繰り返した。話は、投資額、料金水準、その話をどのようにシミュレーションしているという内容だった。

 局長は、「ぜひともこれはしていくべきだ」と話されていたと思うし、3月のときは私が、「それならもう企業局長、県へ行って仕事されたらどうですか」なんて言った覚えもあるが、大変失礼なことを言ったなと反省しているが、そういった中でずっと、そしたら110億円だのということで、毎回代表質問なり各会派が議論してくるたびにこのことを問うてきたわけだが、一貫して我々は市の考えを、聞いた覚えがない。

 懇談会、確かに5回やった。しかし、県の考え方はこうですよ、一体化はこういうことですよという説明はあったが、それに対して市は議論をしていないと、私は思っている

 一体化自身は投資水準とその金額、水道料金をどうするんだという議論だが、そうではない。では、それに対する安全対策はどうする?どの設備をやめてどの設備を具体的に統合していくんだ。では企業団の体制はどうなる?奈良市の企業局からどれだけの体制を持っていくのか。それぞれ違う給料をどの水準に合わせてやるのか?何も教えてもらっていない。

 そういった中で、この間頂いたこの分厚い資料のページに、「奈良市議会での熟議を経て判断していただきたい、奈良市の独自で」と。この1冊のペーパーをこの間で熟議できるのか。何もできていないと思う。先ほど、さきの委員に「熟議を経た」と市長は言われたが、私は一切の熟議はできていないと感じている。それはなぜか、一体化の中のそれぞれ4つの部会があったと思うが、内容が一切出てきていない。災害対策をどうする?など、そのことが全て熟議できて、奈良市民の命の水の話を、どう市民に説明するんだと。市民は、うちの隣の人は知りませんよ、この話。うちの連合会長、全部知りません。市民は誰も知らない。知っているのは作間会長と伊藤会長だけだ。

 今年の3月の代表質問で局長に、「どうやって広報していくんですか」と。「ホームページに載せます、市民だよりに載せます」。では、その中身をどうやって市民は熟知したらいいのか。

 この話に、覚書に署名された市長、これは、市長の判断でされたと思う。その後、我々はその中身に対して、今言っているように投資額と水道料金の話しかできていないと思う。何の議論もできていないと思っている。だから、入る、入らないという、今迫られている中で判断は、市長がするべきだと思っている。

 入るという判断をされたら、それに伴ういろんな議案が上がってくる。条例が上がってくる。それで、2月の法定協議にサインをすれば、それを議決するのが3月。そのときに初めて我々は、この一体化に対して賛成か反対かという議会側の判断を示すわけだ。そういった意味では、私は今回、今の状況の中で、議会側は何の判断もできていないし、それは市長がすべきだ。

【2,奈良市の森林環境譲与税の決算に基づく今後の体制整備について】

◆内藤智司

 報告第41号、令和3年度奈良市一般会計歳入歳出決算の認定のうち、奈良市の森林環境譲与税の決算に基づく今後の体制整備について、私たちが生活する上で様々な恩恵を受けている大切な森林。しかし、林業の担い手不足から年々荒廃が進んでいるという声をたくさん聞く。

 我々会派は、去年、おととしあたりからこのことを重要な課題だとし、会派で講師を招いて勉強会を重ねてきた。資料もあるが、今日は皆さんに提示しないが、この中でうたわれているのは、まずは奈良県鳥獣被害。イノシシ、鹿、特に鹿の被害を中心にこれを勉強しているが、大台ヶ原がひどく荒廃している。荒れ地になっている。これを自然に復旧することはもう不可能だと言われている。

 全国でこの森林環境譲与税を制定して、これを各県、市に、これを使って環境を守っていきましょう、環境対策をしてくださいと言っているのは、全国で森林が荒れている。それが全てそういった鳥獣被害に基づくもの。

 太陽光、今、メガソーラーをどんどん進められている。このメガソーラー自身、確かに再生可能エネルギーの観点からは重要な施設だと思うが、これを設置していけばいくほど森林は荒廃する。山が削られてこのメガソーラーが設置されるから森林がなくなっていくというだけではない。この囲まれた中に、太陽光、日の当たるところ、そこに生息する鹿が、守られた中でどんどん増えていく。その頭数が。それが今度は放たれて、森林被害を拡大していくというのが、このメガソーラーの、皆さんが分からないところの森林被害だ。

 こういったことの専門的な知識を政策として取り入れていく、このことが私は大変重要なことだと思っている。本当に森林のことは、問題になっていないかもしれないが、この5年先、10年先を見たときに、春日山原始林が荒廃していく、そのことを我々は先に認知していかなければならないと考えている。

 奈良市は山林が約半分を占めている。これらの山林が生み出す資源は、木材の供給のみならず、木育といった教育や環境の分野においても有効なツールとして活用できるものだ。しかし、さきの分科会において同僚議員が森林業務について質疑をしたところ、この組織体制を含めた森林行政全般への関わりがかなり薄いと感じた。

 林業を担当する職員には専門的な知識も必要であり、また、現場に行くことも多く求められる。過去に何回か、林業を担当する職員が不足していることから、人事課に森林行政を担当する係の新設を要望された実績があるとも聞いている。以前、市長は東部地域を関西の軽井沢のようにしたいとの思いを話されたことがあったと記憶しているが、そういう意味でも、森林の管理、林業の重要性は大きいものがあると思う。

 現行の組織においては、残念ながら森林行政に特化した人材が不足している。専門性における知識の不足を補うためにも、現組織の体制強化が必要と考えるが?

◎仲川元庸市長 

 令和元年度から3年間については、特に森林整備、また普及啓発、木材利用の促進などを重点的に行ってきた。

 森林環境譲与税については、今後、令和6年度より譲与額の増額が見込まれると言われている。実際にどのように本市の森林政策を進めていくか、林政を進めていくかということは、他の先進地等でも取り組まれている取組をしっかりと研究などもして、本市内の森林資源の利活用やそれを支える人材の育成はもちろんのこと、いわゆるこれまでの森林経営の形態を新しい時代にアップデートしていくということも重要であると考える。

 そういった意味では、既に他の地域でも自伐型林業を進めていくための様々な行政としての支援策、また自立経営をしていくための様々な研修等を行っておられる。また、本市は森林面積が市域のおおむね半分ということで、奈良県内という意味で見ると、県の南部にはさらに豊かな森林資源を有する自治体もある。こういった自治体とも連携を図りながら、今後、奈良市はもとより奈良県全体、もしくは日本全体の森林政策が前進していくように、様々な具体的な方策を検討していきたい。

◆内藤智司

今、市長から心強い御答弁をいただいたと理解をさせていただく。

 意見、要望という形ではないが、さきの分科会において、令和3年度主要な施策の成果説明書における予算の執行実績、元気な森林づくり経費の決算額5864万円や、森林環境譲与税、森林活性化推進基金経費等について詳細な質疑を行ってくれている。

 本市においては、これまでに森林整備に関する施設、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用促進等の施策を促進してきたが、その根本となる森林を担うべき人材の育成や確保についておろそかになっていると感じる。

 質疑の中で、所管課及び副市長の答弁(分科会のときです)にもあったように、来年度から森林環境譲与税の譲与額がさらに増額されてく。次年度以降、所管課におけるそれらの業務の重要性は大きなものと推察される。いま一度、奈良市の森林に対する魅力を再確認していただき、林業関係者の所得向上にもつながるような新たな施策の展開を図り、奈良市の林業振興を発展させていただくためにも、人材育成を含めた組織体制の強化を強く要望する。