奈良市 令和5年5月 臨時会  05月02日-02号

【1,前回の債権放棄と今回の和解に伴う債権放棄と状況等について】

【1,前回の債権放棄と今回の和解に伴う債権放棄と状況等について】

◆内藤智司

令和3年10月臨時会に市長の債権放棄の議案が提案され、賛成少数で否決された。今回は和解ということだが、和解が成立すれば当然、それに伴い債権の放棄もすると思う。

 前回の債権放棄と今回の和解に伴う債権放棄と状況等はどう違うのか?

◎副市長(向井政彦)

 住民訴訟における第1段目の、奈良市は仲川元庸、樋口光弘、樋口明子に対して連帯して1億1643万705円及び、これに対する平成30年4月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよとのいわゆる請求の義務づけ訴訟の判決が確定し、その内容を検討した結果、市が仲川市長個人に対して有する損害賠償請求権を行使することは適正性、妥当性を欠くものとして、市の判断として市長への債権のみ放棄しようとした。

 これに対して、今回は第2段目の損害賠償請求訴訟が、1年以上の審理が続いた中で、後発事象等も考慮された上で、奈良地方裁判所が自らの判断と権限で和解の提示をされたものであり、その内容は仲川市長個人と樋口氏に同額の3000万円の支払い義務があること、市はその余の請求を放棄するというものだ。

 和解に伴う一部の債権放棄も、前回と違い、奈良地方裁判所が司法として判断されたものであり、市長個人、樋口氏らもそれぞれ3000万円の負担については理解を示されているということで、前回の債権放棄の議案とは状況が大きく違う。

◆内藤智司 

 今回の和解に至る経緯と理解するが、それでは、昨日、関西学院大学の曽和名誉教授による勉強会に参加した。内容としては、第2段階での訴訟でそもそも和解が可能であるのか?和解案の提案自身が住民訴訟制度の趣旨を否定するものではないのか?ということ、仮に第2段階での訴訟において例外的な和解が可能であるという立場を取るとしても、その和解は住民訴訟制度と整合的なものでなければならないなど、この制度に対する批判的な講義であったと感じた。

 そこで、第2段階目の今回の訴訟についての市の基本的方針はどのようなものだったのか?1年以上に及ぶ審理の中でどのようなことが問題になっていたのか?原告の主張、被告の主張のそれぞれの概要は?

◎副市長(向井政彦)

 市としては、前訴の義務づけ訴訟の結果を受け、回収額の最大化を図ることを基本方針として今回の裁判に取り組む、そのことを代理人と共通認識をしていた。

 1年以上続けられてきた審理の概要としては、被告らに参加的効力が及ぶのか、前訴でいわゆる仲川市長個人、そして樋口氏らは当事者ではなかった。原告が住民で被告が市である。そこで判決が下り、請求権が市にあるという判決だったが、そのときにはその当事者でなかった被告らは当事者でなかったので、その判決の効力が今回の本件損害賠償請求にも及ぶかどうかということが主な議論であったようだ。被告らに参加的効力が及ぶかどうかが中心的なものであったということで、被告らは参加的効力が及ばないと、こういう主張をされたと聞いている。

 市しては、被告らの不法行為責任に基礎づけられる事実については、前訴の住民訴訟において被告らが適法に訴訟告知を受けている(これは樋口さんに対して)、被告らに民事訴訟法第53条4項及び第46条に基づき、前訴の参加的効力が及び、被告らはこれらの事実を争うことはできないということで、代理人を通じて主張してきた。そこが一番争いの中心。

 一方、被告らは、本件住民訴訟の判決の効力が本件損害賠償請求には及ばない、参加的効力がないと、こういう主張をされて、損害賠償義務はないと主張されてきた。

 奈良地裁も、本件損害賠償請求訴訟の主たる争点は、本件住民訴訟の判決の効力が本件損害賠償請求訴訟に及ぶかどうかにあるとしながら、原告と被告らにこの争点について主張等を促してきた。

 そのような経緯の中で、1年以上かけて審理をされた中で、奈良地裁は今回の和解案、和解条項案を提示したものと理解している。

◆内藤智司

 参加的効力というところについては複雑で、我々も議論をしていかなければ分からないところではある。後に議論したいと思う。

 最後に和解について、その意味、効力等は?

◎副市長(向井政彦) 

和解は、法律関係について争いをする当事者が互いに譲歩して争いをやめることを約することによってその効力を生じる、民法第695条の規定だ。そういうものであって、「裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。」、民事訴訟法第89条に、このように規定されている。

 和解の勧試及び和解案の提示などは裁判所が自らの判断と権利により行われるものであり、裁判上の和解が成立すれば、その内容は判決と同じ効力を有する。