奈良市 令和5年3月 予算決算委員会03月17日-01号

【1,令和5年度の当初予算を編成と、高齢者福祉への施策について】

◆内藤智司

 「明日の奈良を創る会、内藤」です。

会派を代表して、このたび付託された予算について、分科会を総括して質問する。

【1,令和5年度の当初予算を編成と、高齢者福祉への施策について】

◆内藤智司

 今回の当初予算、1400億円を超える過去最大と言われる予算、市長も夢を持ってこの予算を組んでいただいたと思うが、その審査の過程において、この3年間、コロナに悩まされた長く暗いトンネルの中で、コロナの補正予算、当初予算、これを繰り返し今年度まで来

たが、やっと年が明けて2類から5類になっていく。そして、コロナがやっと落ち着いていく、元の生活に、経済に戻していく。そういった希望の光が見えたと感じている。その様な中で、今回の当初予算では夢膨らませて、我々は市長の予算を審査したと思っている。

 そういった意味で、令和5年度の当初予算を編成した市長の思いとは?

◎仲川元庸市長 

 この3年間については、新型コロナウイルス感染症の影響に本当に振り回されたような3年間だったと思う。市政、また市民の皆様の暮らし、当然それをお支えする市の事業や予算等についても、先行きが見えないということがもう常態化をするという、本当に厳しい3年間だった。この間、罹患をされた方、またお亡くなりになった方、また経済面等、様々な面で御不便や御苦労された方々、人生がある意味変わってしまったという方、本当に多くの方々がこの3年間、厳しいつらい時間を過ごしてこられたことかと存じます。

 市の予算としても、常に目の前のコロナ対応ということに終始する状況で、やはり中長期的な計画を立てて、まちの成長や発展を目指していくということにはなかなか重きを置けなかったという、そんな3年間だったと振り返っている。

 そんな中で、令和5年度においては、コロナ禍から脱却して市民の皆様が日常を取り戻し、本格的に経済が動き出す、そんな本市にとっては、新しい時代の幕開けともなる重要な年であると認識している。また、新年度においては、市税の回復が見込まれますほか、これまでの行革の取組などにより、一定財政健全化に向けた道筋も見えてき始めたと認識している。

 そういった中において、本市の将来に向けた発展につながる様々な事業を中心に、特に主要な施策としては、本市の未来を担う子供たちの成長を応援する施策や、またこれからの世代である学生さんの活躍を応援していくような様々な取組、また、まちに新たな付加価値を生み出すような産業拠点の整備や創業、起業の支援により一層力を入れるなど、本市が未来に発展をしていけるようにとの思いを込めて、予算を編成した。

◆内藤智司

 全ての市民の皆さんが令和5年度の予算を心待ちにしている中、議案提案をいただき、主要な施策を見たときに、5つの項目に分かれていたと思うが、私もそれを見た瞬間、福祉に対しての思いがそこに入っていなかったというとこに対しては、違和感だった。

 今、高齢者人口が30%を超える方が奈良市におられるわけだが、今後、団塊の世代の方が何年か前に定年退職されたとき、それから今、その方々が後期高齢者に入っていく年代になっていく。これから人口は減少していくが、2040年まで高齢者とされる方々の人口は増えていくのだ。

 2040年にやっとその方々が減少していくという人口推計も出ている。そういった中で、全国、高齢者福祉への施策というのは大変重要な課題になってくると思っている。

 そういった中で、今、先ほど市長が答弁されたが、老老介護がこれからますます増えてくる。そして独り暮らしの高齢者の方がますます増えてくるといったところで、そこへもって今回のコロナの打撃を受けて弱ってきたところへ、一気にさらに打撃が来た。表現的には災害級と言われた新型コロナ、これに対しての影響を大きく受けた高齢者に対する福祉施策というのは、重要なものではないかと考えるが?

◎仲川元庸市長 

新規の施策のラインナップを見ていただくと、確かに子育てや若者支援、また、経済発展につながるような取組が目につくというところは御指摘をいただいている。

 一方で、全体の予算ということで申し上げると、高齢化に伴う福祉関係の予算については、最も大きな配分を割いているし、これについては、例えば一律カットをするというようなことではなく、必要なものであるという認識の下、しっかりと総額を確保するということは堅持した。

 一方で、高齢者の方々が今抱えている課題が何であるのかということについては、しっかりと向き合い、市としても迅速に対応していくことが必要であるという認識は当然持ち合わせている。

 このコロナの3年間で、経済活動の停滞、また市民生活への大きなダメージということがあったが、その中でも特に人同士が交流できないということが、社会の断絶に大きくつながったと考えている。

私もいつも駅まで歩く道すがら、おうちの玄関にきれいにお花を飾っておられる高齢の御夫妻がお住まいで、いつも通りかかると御挨拶をさせていただいたり、その時々のいろんな意見交換をさせていただくが、コロナの当初はお買物であったり、また、今まで続けておられた散歩なども、人と接するのを避けるということで控えているんだということで、本当に引き籠もるような状態であるというようなことを伺っている。

 そんな方々のまさに市井の人々の声を伺う中でも、実際の科学的なコロナの対策ということ以上に、心理的に非常に大きな不安が広がり、もしかしたら過剰とも言えるかもしれないが、予防的に行動を抑制する、自粛をするということが非常に一般化していたので、そういった意味では、お年を召された方々にとっては、特に厳しい3年間だったという認識は私も感じている。

 一方で、これからコロナを乗り越えた先ということで考えると、高齢者の人口が2040年をめどに、まだまだ増え続けていく。この方々に対して、限られた資源の中でどう人やお金を配分していくのかと、これは大変難しい議論だと認識している。直接的なお金を給付させていただくというようなことは、対象人口の多さからもなかなか難しいと。一方で、行政が全て職員の手によって福祉を支えていくということもなかなか限界がある。

 そういった中で、地域福祉が特に重要であると認識している。その中ではこれまでも高齢者の方々や、高齢者の中でも特に課題を抱えた世帯に対して、民生委員の皆様方や地域の社協の皆様など、いろんな方々がこれまでも支えていただいているが、これからそういった方々とのつながりをより強くして、さらに加速をしていくということが重要だと思っている。

 市としても当然、地域福祉に対する大きな責任は引き続き有しているが、これから地域の方々のお力もより一層お借りをしていく必要があると認識している。そういったことを念頭に置き、新しい取組についても一定、新年度の事業、予算の中に反映させていただいていると認識している。

 一方、コロナが与えた影響がどの範囲にどの程度、また、いつまでその影響が表れ続けるのか、そういったことについては、現時点で全て見通しが立っているものでもないと認識している。そういったことを踏まえると、高齢者の方々をはじめ、いわゆる社会的な弱者の方々や、課題を抱えた、困難さを抱えた方々がこれから中長期的にどんな影響を受けていかれるのかということについても、市の立場として市民生活への影響を継続的に調査し、分析し、それに対する対策を速やかに講じていくということが欠かせないと考えている。

 そういった中で、今回の予算については、引き続きこれらの問題についてはしっかりと向き合い、対応させていただきたい。

◆内藤智司〈意見・要望〉

 それでは、予算に対する市長の思いから、極端な話を言えば、主要な施策は必要なのかと疑問に思うのだが、仮に主要な施策が必要ならば、部門ごとに、例えば環境部門ではこれ、観光部門ではこれ、市民部門ではこれ、福祉部門ではこれだという、各部門の今年度の目指す施策というのがあってしかるべきだと思う。

 例えば今回も予算の主要な施策の中にゼロカーボンに対応する施策も入っているが、これも今後、我々が今問題にしている森林対策が重要な問題だ。それもしっかり議論して、次の将来の施策になるのかどうかというとこと、それからクリーンセンターの構想ももう局面にある。これは、今回予算は次どのタイミングで出てくるか、そのときの大きな議論になるだろう。

 今テレビで盛んに報道されているのが、コロナが明けて若者が、特に学生も含めて、20歳代、自殺者が全国的に急増している。このことも、奈良市にとっても大きな課題であろうし、対策が必要だと思う。

 ただ、こういった点は光を見るというよりも、地道にやっていかなければならない施策であるので、市長の将来の施策に向けてというところの中においては、なかなか表現しにくいというところもある。だから、そういった意味では、それはそれとして、市長の未来を語る施策というのはあってしかるべきだが、各部門において、来年度はここだというとこのその第一歩だと。高齢者に関してもこれからずっと続くのだから、それを打ち出していくということも私は必要だと思っている。

 市長の答弁の中にあった、これから高齢社会をどうするのか?私は地域福祉が全てだと思っている。子供たちは学校があって、ママ友連携があって、基本これからそういうネットワークがどんどんつながっていく。中にはひきこもりとかその対策も必要だが・・・。それはそれとして、高齢者の方って増えていく。増えてどんどん家に籠もってしまうという方々、そこをどうしていくかというのは、行政だけではもう絶対追いつかないし、どの様に予算を入れるのかも限界がある。

やはり地域参画だ。市民の参画というのがこれからの行政運営には私は絶対必要だと、不可欠であると思っている。

 私たち地元の者も自治会の運営をしているが、現状ではもう5年先が立ち行かなくなってきている。それで5年先を、例えば自分とこの自治会、自分とこの地域、地区をどうしていこうかというのを今、一生懸命考えている。これコロナが始まって地域が何もできなかったときに、何かをしようよということで、自治協議会の立ち上げに関して全員がそろってそこへ一丸となれたというのは大きなことだ。それが今スタートをして、いろんなとこに活動の輪を広げていこうとしている。それは行政の仕事を、地域福祉というものをどこまで1軒1軒に手を差し伸べられるかということを我々も一生懸命考えている。

 今、市民参画、自治協議会という市の認定団体をつくって、そこへ小さな行政をつくっていくようなイメージだと思うが、なかなか進んでいかないというところもある。だから各地域によって事情は違うが、そういった地域福祉というところに対して我々はどんどん提案していくので、サポートしていける体制も行政と地域との関わりあと思っている。

地域の者は地域で、自分たちで守る。そこを手助けしていただくという形が、これからの行政の在り方ではないかと考えている。

 そのためには行政の中で何をするのか?それは地域づくり推進課が中心になって、今もやってもらっているが、本当に横串が必要だと思う。教育委員会もそうだし、危機管理も、それが全て地域福祉につながる。そういったところの横串を本当に本格的に市長、取り組んでほしい。

 今までもそれは言っていたが、なかなかそこの縦割りというのが、立ち行かないというところに対して、今後、福祉というものを進めていく中で、別に主要施策の中に入れてもらわなくてもよいが、行政の中でサポートしていただきたい。