奈良市  令和6年3月 定例会  03月26日-05号

◆内藤智司
 会派を代表して、議案第9号 令和6年度奈良市一般会計予算に対する委員会修正案について賛成し、修正可決した部分を除く原案について賛成する。

 その理由として、3点について討論する。

 1つ目は、クリーンセンター建設について、七条地区での建設を前提とした費用を計上された新クリーンセンター建設に係る関連事業だが、私は、早くから担当部を通じて、今回の基本計画について、全員協議会(全協)への提出はしないのかということを指摘した。にもかかわらず市長は、今回の七条での建設関連を決め、基本計画を一度も示さず、今回当初予算に計上された。

 この基本計画はいつ提出するのか。担当部は、今月末とした。では、4月になってからまた臨時会をするのか。この当初予算に上げられた予算は、何を根拠に私たちは審査すればいいのかと尋ねてきた。その上で、2月21日に予算が内示され、その後、2月26日に執行部主催の説明会をされた。このことは、我々議会にしてみれば、本当に遺憾である。

 早くに、できれば1月に全協を開いて、一体七条にどんな建物を建てて予算はどれぐらいかかるのか、そういうことを踏まえた上で、今回の調査費用、道路設計費用、これを審査するのであって、どんなものを建てるか何も分からない中で今回の予算を審査していくということにはならないのではないかということを思うと同時に、私たち会派は、新斎苑と同様に、一刻も早くこれは建てなければならないということをずっと主張してきた。

 しかし、昨年8月に、140億円の債務負担行為補正をかけて現工場を修理しなければならないという事態になった。これは最低10年、新しいクリーンセンターが建ったら、その時点でこの債務負担は償還しなければならない。年間14億円の借金を返していかなければならない。その後の審議で、区域外処理は20億円かかりますよ、破砕機の修理をするよりも、これも区域外に出したほうがトータルコストは安くなりますよ、こういう審議がされた。では、その予算も140億円に積まれていくことになる。

 では、200億円の財源をもって10年間、この古い老朽化した焼却炉を維持しなければならない。そんな中で、七条で建てることに対してどれだけの予算がかかるか分からない。ましてや、分科会で申し上げた電気代を無償にする、このスキームは、できないことはないということも確認している。しかし、それをするためには幾らの市税をそこに投入しなければならないのか、このスキームも決まっていない中で、それを市長は広く広報されていることに対しても、私は遺憾である。

 それらを含めて、今回の新クリーンセンターの関連予算については、認めることができないということを申し述べておきたい。

 もう一つは、修正案の趣旨説明の中にもあったが、1年前の3月定例会の令和5年度当初予算に、借地料として見込まれる年間1200万円の一部の300万円がふれあい会館の整備に係る土地賃借料と設計業務委託費が計上されていたことが述べられている。令和2年度には政策決定されているにもかかわらず、令和5年度になってから、そのふれあい会館建設と併せて公民館の廃止を地元に説明され、当該地域からは請願書が出される原因となった。

 公民館土地売払い収入がふれあい会館建設計画に含まれるという重大な施策の変更が含まれていながら、議会に説明がなかったことが原因であったことについては、現在、行財政改革及び公共施設等検討特別委員会で審議中だ。

 令和2年度に政策決定するときに、公民館を廃止する、その分をふれあい会館、そしてその土地を借りて50年にわたり6億円の金を生み出していかなければならない、そのことが本当にできるのか、そういうことを市長に提言、ブレーキをかける理事者はいなかったのか。このことが非常に悔やまれる。

 なぜ、このことを今持ち出すのか?

 今定例予算において国際発信事業経費、通称サマルカンド交流費予算が計上されている。しかし、この事業には国費や県費が充当される見込みもなく、明確でない。今後においては4億円の事業費を見込む大きな事業にもかかわらず、予算審査で初めてその詳細を知ることになった。

 なぜ10月に渡航して帰国したときに議会に報告がなかったのか。このサマルカンドの事業、ウズベキスタンと協定を調印するときに、後に4億円がかかってくる。そのことを議会で審議しなければならない。これが議会で通るのかということで頭をかすめるのが、私は今の理事者の仕事だと思う。

 この事業自身は、いいか悪いか分からない。聞かされていない、説明されていないということもあるが、その審査をする前後に控えている4億円の説明もなく、その入り口だけを見せた予算計上のやり方は、1年間、理事者の皆さんは何をされてきたのかなと残念でならない。昨年、令和5年度の当初予算の300万円のことを踏まえれば、僕は同じ轍を踏むべきではないというふうに思うし、我々議会というものをきちっと掌握していただきたいと思う。本当に残念だ。

 これから新年度を迎えて、また新しい1年、いろんな計画をされていくと思が、ぜひとも皆さんが計画する予算については、我々議会と歩調を合わせた形で、よりいいものを市民に提案していってほしい。

 その一方で、学校給食に関して、昨今の物価高騰の影響でも、保護者負担を増やすことなく栄養の行き届いた給食を提供するため、様々な努力をされている。しかし、現状においては、今回見込まれた物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金6000万円を充当しても、現状を維持するだけということも今回の審議で分かった。

 子供たちや保護者から1人当たりの量が少ないという声が寄せられていることや、食育の観点から麦御飯を提供していたものが、物価高騰の影響により米飯となっている点を鑑みると、これまでどおりの予算措置では、給食の質・量ともに担保することが困難な状況となっている。

 先般の春季生活闘争(春闘)に伴う賃金上昇分は、価格転嫁で財源確保が前提になるということが言われている。これから中小がベースアップ、賃上げをしていくこと、これは全て価格転嫁でその財源を担う、これは、運賃が上がる、商品の値段が上がる、物価が上がる、このことを予期している。また、国では、ガソリン価格が今は補助金で抑えられているが、5月以降の補助金は確保されていない。そんな中で、今後も続くことが予想される物価高騰を見据えて、子供たちへ十分な栄養価のある給食を提供できるよう、市としてさらなる予算措置を強く求める。

 残余については賛成をする。  以上を「新世の会」の討論とする。