平成31年3月 予算審査等特別委員会「総括質疑」 03月18日

平成31年3月 予算審査等特別委員会「総括質疑」 03月18日

【1、防犯カメラ設置拡大の件について】

【2、クリーンセンターの建設、広域化について】

【3、児童相談所について】

【4、給与のカットの問題について】

【5、予算編成の評価と今後について】

【6、意見・主張・要望】

【1、防犯カメラ設置拡大の件について】

◆内藤智司

新年度、本市が設置するカメラの予算として2200万円が計上されている。駅から観光地に今まで200台ほどつけたと思うが、今度は小・中学校の通学路、いわゆる生活道路帯に入っていくが、これは、住民に直接影響する場所であり、自治会等の対応も必要だと思うが、逆に自治会等の設置補助の拡大についての見直しについては?

◎仲川元庸市長

  防犯カメラの設置事業については、これまで鉄道駅の周辺、また交通の要所となる交差点などのほか、不特定多数の方が集まる寺社仏閣周辺の観光スポットなどの場所を重点的に選定して防犯カメラを設置し、結果としてひったくり、また自転車盗などの街頭犯罪の抑止に効果を示してきた。 その中で、自治会の防犯カメラの設置事業だが、平成29年度は11地区で11台、30年度は10地区で19台の補助実績だが少し、低調な部分があるように認識している。 今後、市が設置をする防犯カメラについては、幹線道路沿い、また通学路などを主として整備していきながら、自治会等への補助の拡大についても検討していきたい。具体的には、補助額の上限などの見直し、また地域の方々がより利用しやすい補助事業の内容となるような制度の充実を検討する。

◆内藤智司

本市が設備を設置すれば、イニシャルコストもさることながら、それに係る維持コストも当然かかってくるわけだが、それを今後通学路という形になれば、どこまでそ通学路に対して本市として設置していくのかといったところの考え方、そして自治会の中にいわゆるカメラを持って入るということになれば、相当な労力が必要だ。私も自治会でつけているが、やはり映る家のプライバシーや同意などの苦労があった。 総論よくても各論がだめだというのが基本あり、それを本当に100台を、危機管理課の職員でその労力を使っていくのか?そして、それをどこまで拡大していくのかということよりも、やはりそれをまだ自治会のつけるこの補助率の使い方とか台数、この辺を拡大していって生活帯に入っていけば、自治会の方々にお任せして、それを補助するという考え方のほうが私は今後の防犯カメラの設置に対しては、よりよい方向で設置できるんのではないかと思う。事業がだめではなく、カメラの必要性は十分感じている。それを適正な方法でするほうが、スムーズにこの事業が拡大していくと思う。

【2、クリーンセンターの建設、広域化について】

◆内藤智司

さきの本会議で我が会派からの代表質問に対し、市長は広域化を軸に取り組むと明言された。また、今後の広域化の枠組みづくりや建設候補地の選定についても、自らがきちんと責任を持って対応していくと力強い答弁があった。 本特別委員会では、阪本委員の質問に対して、本市が候補地を示すことで各市町の広域化参加検討がより具体的となり、枠組みと場所が整うことで方針決定につながると、部長からも広域化に踏み込んだ答弁があった。 これまで市長は、今の任期中にこのクリーンセンターの問題に道筋をつけると答弁してきた。新年度7月には任期の折り返しを迎えることになるが、その考えは変わりないか?

◎仲川元庸市長

  本市の喫緊の課題と認識しており、これ以上先送りができないということから、あらゆる方法で検討していかなければならないと考えてい。私の任期中に何としても道筋をつけるという思いに変わりはない。

◆内藤智司

クリーンセンター問題の解決を図るための方針として、広域化や現地建てかえも含め、あらゆる手法でこの問題を解決していくとされているが、その一方で、今議会では広域化を軸に検討するともされている。広域化と現地建てかえは、相反する問題であり、いわゆるダブルスタンダードとしか思えない。 今こそどちらを選択、決断するかのタイミングが来ていると考えるが、市長自らが広域化に絞って、不退転の決意でクリーンセンター事業を進めていくことをお示しいただけないか?

◎仲川元庸市長

  県北部地域でのごみ処理広域化の意義、必要性、また財政面も含めてのメリット等について、非常に有効な手段であると答えてきた。いわゆる広域化の優位性ということについては、皆様方にも一定御理解いただけるものかと存じている。 そういったことからも、本市としては、今回広域化という方向に大きくかじを切りたい考えで、今後広域化で事業が実現するように最大限の努力をまさに不退転の決意で行っていく。

◆内藤智司

 この事業は、本当に成功するか否かというのは、候補地の選定にかかっているといっても過言ではないと思う。本市が適地を示すことで、ほかの市町も参加の是非を判断できることになり、またそれを待っているというのが現在の状況だと考える。 この問題は、本市を挙げての喫緊の課題なので、候補地については現段階では明確にできないとしても、本市が目指す方向を明確にして、市民を初め広く内外に示すべきであり、それが市長のリーダーとしての使命と考える。それが広く市民の理解や議会の理解につながり、また5市町の協議と事業の推進にも結びつくものと考える。今後の市長の決断をよろしくお願いしたい。

【3、児童相談所について】

◆内藤智司

児童相談所は、児童虐待や親が子供を育てられない場合など、さまざまな困難な状況を強いられている子供たちの健やかな成長、暮らし、そして命を守る砦です。 それだけに途中でやめるわけにはいかず、中途半端な取り組みでは子供は守れない。だから、制度、体制をしっかりと構築し、事業もしっかりと検討し、見通しを持って確実に進めていただきたい。

◎仲川元庸市長

  昨年からも重大な死亡事案が発生をするなど、その対策は、やはり日本の国としての喫緊の課題であると認識している。 このことについては、他人事ではなく、奈良市の子供を守り、健やかに成長できるよう子供やその家庭も含めた支援を充実していくことが本市の責務だと考える。 本市が計画している童相談所については、人口規模や中核市としての機能を生かし、児童虐待対応や児童虐待の未然防止、そして重症化の予防、さらには子育て支援の取り組みが行えるよう専門職の配置を行い、万全の体制をとりたいと考える。また、今後、児童相談所の設置後においても、変動する社会情勢にも対応できるよう継続して専門家をしっかりと養成していくということが、これらの取り組みの継続性につながっていくと考えている。 これらの決意を持ち、さまざまな課題に対応できる児童相談所の設置をしっかりと準備し、進めたいと考えている。

◆内藤智司

児童相談所は、奈良市にとって本当に大切な事業だと思う。子どもセンターについては、新年度に設計費が計上されているが、その中で児童相談所は、まさにさまざまな困難な状況を強いられた子供たちが健やかに暮らし、そして命を守る最後の砦。それだけに児童相談所の運営を始めてしまえば、途中でやめるわけにはいかない。もちろん、中途半端な取り組みも子供たちを守っていくことができない。 先日の委員会の中で、設置後の職員体制を聞いたところ、正規、非正規を合わせて60人程度を想定しなければならないとの答弁もあった。体制をしっかりと構築することが重要だと思う。各地で児童虐待による痛ましい事件が起こっている。本当に命を預かる責任を持って、財源見通しをしっかりと確保して進めていただきたいと思う。そして、県との連携の形も見えない。そんな中で、子どもセンターだけが先走っているようにも思う。 今、国は急速に児童相談所のことについて動いていると思う。今後の国の動きも注視しなければならないと思うし、今、独自カットをしなければならない現在の奈良市の状況の中で、本当に急いで児童相談所を建設するのは拙速ではないか。もっと着実に進めなければならないと思う。

【4、給与のカットの問題について】

◆内藤智司

当初より市長は制度の見直しであると答弁しているが、結果的に財源の確保と言っているが、その考えについては、財源確保ではなく制度の見直しであるのか?

◎仲川元庸市長 

 やはり制度の是正、最適化を図るということの前提には、財源をどのように確保していくかということも、当然、念頭に置いての制度の見直しでなければならないと思っている。 一方で、今般も見直しを行ったように、費用がかかる制度の見直しというものも必要性があれば行っていくことで、現下の経済情勢、また他市の事例等の総合的な判断の中で、制度としてこの先維持をしていく必要性がどれほどあるかということを慎重に判断した中で、今回は制度の見直しとして項目が挙げられた。 ただ一方で、それが結果としての財源対策になるのではないかということについては指摘のとおりなので、その両面があるように私は感じている。

【5、予算編成の評価と今後について】

◆内藤智司

今回前倒しで行った予算編成について、どのように評価しているか。また、次の当初予算編成、32年度の予算についても、同様に7月からの予算編成を行おうとするつもりなのか。

◎仲川元庸市長

  その趣旨としては、時間をかけて各施策の目的、成果を一旦、一から見直して、手法についても精査をして、精緻な事業計画をつくることを目指した。一方で、膨大な時間をこれまで要した予算編成事務については、いわゆるピークの平準化ということを行うことを目的として、いわゆる働き方改革の一環としても超過勤務の削減につながるよう方向性を示した。これを受け、予算編成の締め切りについては、国の概算要求と同様の8月末とした。3カ月もの大幅な見直しを前倒しで行うということに対しては、職員間にも戸惑いがあったところは事実かと考えている。 評価については、実際に私の自己評価だけではなくて、周りのいろいろな職員にも率直に意見を求めてみたところ、具体的に調書については、11月から各部局と私がさまざまな議論をしたこともあり、今までよりも、よりじっくりと方向性を共有しながら、各課での施策の再度の練り直しなどについても一定の時間が確保できたのではないかと思っている。 一方で、各課からの要求段階で根拠をしっかりと持って政策の企画立案を行うという点、また既存事業の根本的な見直しを行うという部分については、まだまだ十分ではないと認識している。この点については、時間をかけるということと、かけた時間の中身・質を高めていくということ、これがやはりリンクしていかなければならないことだと考えている。 一方で、超過勤務という部分については、当初の目的としていたことに対して、前年度に比べると、全庁的に減少しているという点、そして、これまで遅くまで残業していることが多かった財政課についても、残業時間が減っているということについては結果が出ている。この点については、予算編成全体のプロセスをしっかりと見直ししていくことが重要かと考えている。 32年度の予算編成についても、今回の見直しで一定の成果が出たということをベースにして、さらに改善、工夫をするべき点は、修正をしながら考えていきたい。

◆内藤智司

  先日の委員会で、人事課より時間外勤務の予算が30年度で6億円のところ、決算見込みが7億3000万円程度になると答弁があった。新年度の予算については、同額の6億円となっており、人事課より、さらなる業務改善や民間委託、それからRPAの活用で時間外勤務の抑制に努めるという答弁があった。

 しかし、7億3000万円を6億円に抑える、それはおよそ2割弱の削減が必要だ。定員適正化計画で職員数が抑制されている中、それに加えて、児童相談所の設置に伴う研修、また国の省庁への派遣、これまで以上に人員が割かれている。こうした状況の中で、たった9つの業務へのRPA導入がどれだけの業務改善につながるのか、意識改革だけで2割もの時間外勤務の削減ができるのか疑問だ。

 また、民間委託については、ごみ収集や西部出張所の窓口の民間委託を拡大する予算があるものの、総務事務センターや市民サービスセンターは、あと半年で委託を中止し、直営に戻すということもあり、新年度予算では民間委託は、むしろ後退している部分もあり、その分、職員に業務がしわ寄せされ、職員の負担が増えているのではないかと思う。 31年度には幼児教育無償化の関係で事務が増える。プレミアム付商品券発行事務などの新たな業務も生じてくる。

 また、針テラスの問題に対応するための業務量の増加についても、先日指摘したところだ。法的な部分については専門家に任せていく、そういった答弁だった。 しかし、その事務方の業務は増大し、現在の針テラスの運営をすること、今後、針テラスをどうしていくのだという業務等というのは、ますます増えていくということは市長としても懸念していただかなければ、今10億円の債務を取り戻さなければならない、今後針テラスの運営をとめることができない、このことは肝に銘じて当たっていただきたい。

  一方で、時間外勤務手当のことだけではなく、今議会には給与カットが提案された。その内容は、行財政改革重点取組項目懇話会で議論のあった地域手当ではなく、期末勤勉手当の管理職加算廃止、通勤手当の見直し、そして独自カットとなっている。これは、単に財政が苦しいから人件費を削るのではなく、他市に比べて高い人件費を適正化する、他の中核市ではほとんど支給されていない管理職加算などを適正に見直すのであるという説明をこれまでも、先ほどもされたところだ。

  しかし、これは適正化の名をかりた単なる収支不足対策であると私は思う。制度の見直しで行うのであれば、緩和措置を適用するのが相当だ。これまで個人の生活給としてきた中で、突然大きな減額が個々人の生活を脅かすことになり、疲弊を促すばかりではないか。特に独自カットについては、単なる予算の帳尻合わせとしか思えない。 時間外手当についても6億円ではおさまらないのはわかっているのに、予算の収支を合わせ、予算の人件費率を少しでも低く見せるために無理に金額を抑えているようにしか見えない。

  市長は、人件費を削減する意味を本当に理解されていないと思う。 新年度から組織が改正され、管理職の管理幅が増え、マネジメントに専念させるためには、職員一人一人の業務を増やしていくことは明白だ。管理職の手当が引き下げられ、職員の給与を削減し、時間外を認めず、本当に市長の言う働き方改革が生み出されると思うか。

  本市の財政状況は、29年度決算では経常収支比率が100%を超え、将来負担比率など他の指標を見ても、他の中核市と比べて極端に厳しい状況にある。また、地域振興基金は40億円が既に10年間も繰りかえ運用が続き、これまでの答弁でも具体的な返還の見通しが示されておらず、言いかえれば、40億円の隠れ借金が続いている、40億円の赤字を抱えたままだということも言える。

  また、30年度では、補正予算で地方交付税などが減額され、財政調整基金の取り崩しが計上されている。決算の見通しの詳細はまだ不明でだが、黒字の確保に苦慮されているのではないかと思う。特に31年度は前年度になかった当初予算での財政調整基金の取り崩しが予算化され、さらに人件費カットをあわせて予算の歳入として歳出を合わせているなど、本当に苦労しているところが見てとれる。

  こうした中で、ICTによる観光案内や多言語やベンチャーエコシステムは、今どうしてもやらなければならない事業か。外国人観光客やベンチャー起業家のために今市税を入れていくことが、人件費を削減しなければならない財政運営ではないと思う。

  今議会に提案されている新年度予算は、事業の必要性や手法を見直し、時間をかけて事業計画を立てるという趣旨で、予算編成の日程を大幅に前倒しされた。しかし、時間をかけて見直しを行ったはずの予算案であるにもかかわらず、特に緊急でない新規予算が提案され、その財源が職員の給与にしわ寄せをされている。

  今日、財政課の時間外が減ったとの答弁があったが、他の委員からも指摘があったように、時間外勤務削減が言われる余り、管理職の残業に振りかわっている部分があることは、否定はできないと思う。このことは、予算審査資料ナンバー26、管理職の出退時間実績の資料要求にも見てとれると思う。このことは、さきの予算委員会でも指摘はする予定だったが、時間がなく、資料要求だけにはなっているが、月々の時間外が1,000時間を超え、1万時間を超え、課によっては1人で100時間、500時間を超えている管理職もいる。このことは看過できないと思う。

  最前線で事業を行う各課の負担も考えていただきたいと思う。また、人件費のカットなど職員の痛みを強いるような、その場しのぎの予算にならないよう、32年度の予算編成については十分な審査を行うよう要望する。