平成28年11月 総務委員会-11月16日

平成28年 11月 総務委員会-1116

【質問要旨】

1.奈良市職員の定員適正化計画について

(1)保育教育士不足の対応するH29年度の採用の考え方について

(2)保護課のケースワーカーの確保について

(3)人事課の業務一部民営委託化について

2.環境部の幹部職員の年度途中における人事異動について

◆内藤智司

内藤です。これまで所管事務であります人事施策、行政改革について提言をさせて頂いた。本日についても、職員の適正配置と民間委託について人事課と行政経営課に何点かお伺いさせて頂きます。
 正規職員の職員数が急激に減ったこと、それから市民窓口を初めとする各種業務が民営化されてきている中、非正規職員への業務の振りかえが、市役所全体の業務で本当に適正にされているのか、市民サービスの低下につながっていないのか、そういったところを再度お聞きさせていただきたい。
 

まず、定員の適正化計画について。本市は平成28年度から5年計画の適正化計画を進められようとしている。このことについては、国においても、例えば退職手当債の基本的要件として職員数や人件費の削減といったことにより財政健全化に向けて取り組む団体に対して起債可能な制度となっていること。また、地方交付税の算定に導入されたトップランナー方式について、同様に歳出効率化に向けた民間委託や指定管理制度の導入を行うことで、業務改革による地方自治体の職員の削減を推進しようとしていることが明らかになっている。
 そこで、まず人事課長に質問しますが、今年1年、私自身が職場で気になっている点について、2点ほどお伺いする。

(1)保育教育士不足の対応するH29年度の採用の考え方について

 まずは、保育教育士の件だが、この3月に代表質問で取り上げさせて以降、都度お聞きしているが、正規職員の急な減少によって非正規職員数が増加している。

一方で、公立園の統廃合や民営化の計画もいるが、市民が望む無理のない適正な業務遂行と、待機児童の解消などの市民サービスの維持向上に限界が来ているのではないかとも危惧するが、そこで定員適正化計画を踏まえての、平成29年度に向けた保育教育士の採用の考え方についてお答えいただきたい。

◎中井史栄人事課長
 平成29年度に向けた保育教育士の採用についての質問ですが、保育園・幼稚園・こども園においても行財政改革を進めている中です。さらなる事業の見直しを推進することを前提としつつ、御指摘のように複雑、多様化する市民ニーズに適切に応えることができる体制を構築するための職員数の確保については、従来より業務運営の見直しにあわせた適正な定員管理を踏まえました上で、非正規職員の処遇改善などによるさらなる活用とあわせて、適正な正規職員数の確保に努めていきたいと考えています。
 

◆内藤智司

 それでは、もう1点、保育教育士の関係で、待機児童の解消に向けた取り組みとして、就業していただく保育教育士が不足していること、これは社会的な現象として今言われているが、入園できないという現実も、私自身も市民の皆さんからお聞きしている
 このことに対して、奈良市立の園で今後何らかの対策をしていく必要があると思うが、何かあるのかお聞かせいただきたい。

◎中井史栄人事課長
 委員御指摘のとおり、公立・私立を問わず、社会的に保育者の不足が待機児童解消の障壁の一つとなっているということについては、認識をしているところです。
 そこで、本市においては、今年度の9月募集の職務経験者採用試験からの取り組みとして、試験申込書の中に不合格になった場合でも、本市において臨時職員としての任用を希望する方については、当該受験者の情報を、保育教育士を担当しているこども園推進課に提供することについて同意を求める欄を設けるといった取り組みをしているところです。これらの取り組みを初めとして、あらゆる機会を捉えまして、保育教育士の確保に努めていきたいと考えているところです。
 

◆内藤智司

 私のところにも、そういった待機児童の解消を求める市民の声がある。あった中で、担当課に状況を聞くと、やはり保育教育士が足らないと現状を目の当たりにして、私自身も心当たりがある方にお聞きしたが、保育教育士の実態本当に厳しい現状であるなというのを実感したところである。
 先ほどの4月の募集に関しても、5名の募集に対して数十名、90名の応募があった。その方々が臨時職員として応募があるかというと、来ない。やはり処遇の違いで、充足に満たないという現状があるとも思う。これは、同一賃金同一労働というものを求めながら、私も意見を提言させて頂いているが、実際面応募された方に対して、今度本当に職員が要るときに、何らかの情報公開をしながら、そういった方を集める努力を今後できることを期待する。また臨時職員の処遇改善という話があったが、できる限りの努力をして頂くよう要望する。
 

(2)保護課のケースワーカーの確保について

 もう1点、ことしの採用計画にもあったと思うが、ケースワーカーについて、国が示す1人当たりの適正な担当世帯数を超過しているという現状から、適正な人員が確保されていない状況にあるというのは、他の議員からも過去指摘があった。
 社会福祉職を募集するなどケースワーカーの確保に努められているが、補い切れていない現状ではあると思うが、御答弁いただきたい。

◎中井史栄人事課長
 生活保護の適正受給、また職員の業務負担軽減のために、ケースワーカーの人員を国の基準に合った体制にすることの重要性については、以前より認識をしている。これまでにも定員適正化を進めている中であるが、ケースワーカーの確保については、正規職員の配置を原則としつつ、不足分については再任用職員、また非常勤嘱託職員の活用を図るなど、その配置に腐心をしているところでる。
 そこで、先ほど委員御指摘のとおり、今年度からの新たな取り組みとして、ケースワーカーを社会福祉職と位置づけ、職務経験者採用試験を実施して、即戦力となります4名を今年度年度途中で増員配置をした。さらに、来年、平成29年4月にも数名の社会福祉職を採用する予定である。
 御指摘のとおり、まだ補い切れていない部分もございますので、今後につきましてもケースワーカーの年齢構成等を勘案しつつ、柔軟な採用を実施して、適正な人員配置に努めていきたいと考えている。
 

◆内藤智司
 ケースワーカーの職務は、やはり経験と知識といったものが非常に重要なところであるので、適正な人員の確保に対して御努力頂くよう要望する。
 

(3)人事課の業務一部民営委託化について

業務の委託化の件に関しまして何点か質問します。
 人事課の業務について、この10月から一部を業務委託されているが、業務委託に至った経緯についてお聞きする。

◎中井史栄人事課長
 委託をしております給与・福利厚生事務についてであるが、本市の第5次行財政改革実施計画の中でも重点取り組み項目の一つとして上げられているところでる。民間においても同様の事務が存在していて、必ずしも本市の職員によらずとも実施のできる事務、これを民間に委ねることで、従来からある給与・福利厚生事務の質を維持させつつ、本市職員を政策立案などのコア業務に集中できる環境を実現することにより、本市施策展開の充実を図ることができるということとあわせて、人件費等のコスト削減にもつながることから、取り組んできたところである。
 具体的な経緯であるが、昨年10月より業務委託に向けました準備作業として、民間の人材派遣を活用して委託業務の切り分け、また業務フローの作成などの準備作業を行うとともに、各種の検証を繰り返して、委託に向けての検討を重ねてきた。その結果、ことし10月からの本格的な業務委託に至ったものである。
 

◆内藤智司 

 今回の業務委託については、以前の窓口業務とか介護認定の部分等反省を踏まえて、幾分か手前のところで研修を重ねていただき、導入をしていただいたと思う。具体的にはどのような業務を委託されているのか。

◎中井史栄人事課長 
 委託業務の主な内容であるが、非正規職員の賃金支払い業務、また正規職員、再任用職員の給与の支払い業務、これに加えて、健康保険、年金などの共済組合関連業務、また公務災害、各種証明書の発行業務などのいわゆる定型的な業務となっている。
 

◆内藤智司

 10月からということで、委託開始から1カ月程度たっていると思うが、現在の状況についてどうか。

◎中井史栄人事課長

 委託業務の開始をしてから1カ月が経過した。やはり実際の業務に入ると、届け出一つをとってもさまざまなケースがある。今まで研修を受けてきた内容とか、引き継ぎを受けた内容だけでは全ての業務の内容を網羅できていなかったということもあり、少々戸惑う部分もある。しかし、委託先の職員一人一人が日々の業務に取り組んでもらう中で、経験と知識を積み重ねてもらい、今までは大きな問題もなく稼働していると認識している。
 今後とも委託業者としてノウハウを積み重ねていくことにより、さらに効率的かつ精度の高い業務になってまいるものと考えているところである。
 

◆内藤智司

 実際に委託をされた中で、今、御答弁あったように、なかなか準備期間とは違った形で問題点等出てくるという答弁もあったが、窓口業務等のときにも議論はあったと思うが、偽装請負にならないような形での取り組みは十分されるよう要望しておく。
 人事課の今回の同様の委託に関して、他の自治体の状況は御存じか。

◎中井史栄人事課長
 中核市だと、中核市全47市のうち8市が、現在、民間委託をしていると聞き及んでいる。

また、2市が準備段階である。今後他都市においても、さらなる行財政改革推進の必要性が高まっている。また、国の民間委託の推進策などの後押しもあることから、職員の給与・福利厚生業務の民間委託化に向けた取り組みについては拡大していくものと考えている。
 

◆内藤智司

 業務委託の部分とあわせて、民間委託の部分で行政経営課にお聞きする。

今、人事課での給与・福利厚生業務の委託等、委託が本格化することで、市が持っている業務のノウハウが失われるということになっては、将来的な行政運営に大きな支障をもたらすと思う。これは今回の委託業務だけではなく、今まで行われた窓口業務とか介護認定等と一緒だが、行政経営の観点・視点から民間委託の進め方について、どのように考えているのか。

◎杉本卓総合政策部参事 
 民間委託は、市が直接執行している事務事業及びこれに付随する業務の一部または全部を外注化することになるが、あくまでも業務の担い手を民間に委ねることであって、市の業務の内容を踏まえた上で委託の仕様を決定し、最終的に成果の検証を行うことから、いま委員指摘のとおり、委託した場合であっても業務のノウハウを継承していくことが重要であると考えている。
 そのため、委託業務の決定に当たっては、業務の標準化の過程でノウハウの中身を整理し、より汎用的なものは外部に、より機密性の高いものについては内部にとどめることをあわせて検討し、委託による弊害を招かないよう取り組んでいく。
 

◆内藤智司
 
委託する業務であったとしても、それは市としての当然知っておかなければならないノウハウと知識というものがあると思う。そういったことを十分継承できるような形での取り組みをしていただきたい。

 また、厳しい財政状況の中で、適正な業務の切り分け、そして民間の担い手のあるものについては、その対価と市民サービスの質を担保しながら事務の効率化を図り、職員の定数の削減をしていくことについては、やはり一定の理解はしていかなければならないと考える。しかしながら、奈良市が進めている職員の定員適正化計画は、本当に必要な職員定数を見きわめた上での計画であるとはやはり思えないというか、危惧するところである。
 埼玉県の所沢市は、平成27年度に策定された定員管理計画の中で、民間委託化の計画を盛り込み、その計画の進捗を見きわめながら定数の削減を図っていく計画がされている。私は以前から申しているように、やはり仕事の業務を減らした中で、人員が生み出されてくるということをしながらやっていかないと、人を減らした中で民営化を考えていくと、どうしても職員に負担がかかっていくということは必然であり、先進市の状況を研究しながら今後進めていくことが非常に大事だと思う。奈良市においての職員の担う業務、それから民間に委ねる業務、この切り分けは、本市として全体でどれだけの職員が本当に必要であるかということを考えるべきであると考える。
 今年度についても、各課で途中途中の異動がある。例えば、ある課長が病気になり、そこへ補充をしていくという形で、玉突きで動かれた。そして、最終的には減ったところの業務で、本来管理職である人がプレーヤーとして働いておられた。また、その業務を例えば課長なり補佐なりが仕事をされていて、その人が抜かれたがために、その業務が進まなくなったという現象も、多分何人か、どこかの課で聞いている。本来、市民サービスを提供しなければならない業務がとまってしまう。本来、徴税しなければならない業務がとまって、徴税できなくなる。人事異動によって、こういうことが生じている現状があるということは、まさしく業務があって人を減らしているのではなく、人を減らしたがために業務が、1人に負担がかかっているという現状がある。
 こういったところを十分私たちは見ていかなければならないと思う。このことは、また来年度採用に向けての取り組みとして、12月の議会で直接市長にお聞きをしたい。
 

2.環境部の幹部職員の年度途中における人事異動について

 最後に、1点、向井副市長にお聞きする。
 これも人事異動に関してのことですが、環境部の人事異動、去る10月5日に環境部の多くの幹部職員の異動が実施された。年度途中での特定の部署に限ってこれほど多くの幹部職員の異動が実施されたのは、本当に異例なことであると全庁的にも見える。
 そこで、今回の異動に関しての環境部を中心とした人事異動について、向井副市長にお尋ねする。
 これまでの環境部の体制については、コンプライアンスの確立等に懸命に取り組んでこられたと思うが、組織風土の根本的な刷新には至らなかったという実態の延長線が、今回の事件の発端であったと捉まえられるが、課題や問題点が大きく根深いほど、その根本解決には、現場の指揮監督をされる職員には大変な労力や御苦労が伴うと考えられる。これは、今回の異動で新たに環境部に配属された職員も同様である。
 また、今回の人事異動は、事件の発生とあわせて報道も大変な話題となった。新たに配属された環境部の幹部職員の方には、相当なプレッシャーがあるものと想像する。また、単に環境部の幹部職員が入れかわれば、何かが刷新できる、問題や課題が解決するというほど簡単なものではないと思うが、この点についてどのようにお考えか。

◎向井政彦副市長

 今回の環境部の人事異動については、職員の窃盗、それから業務横領による逮捕事案を受けて、二度とこのような事案を発生させないという強い決意のもとに、環境部の抜本的な職場環境の刷新と適正な業務管理体制の早急な構築が必要であると考え、年度途中としては異例の大規模な人事異動により、環境部の組織体制の見直しを行うこととしたものである。

従来からも業務改善を初めさまざまな改革にも取り組んできたわけであるが、今回のような事案が発生したということは、これまでの取り組みについてもしっかり検証し、今後に生かしていく必要があると考えている。
 また、委員指摘のとおり、単に幹部職員がかわるだけで、今申し上げたような目的が達成できるものではないということも確かであると考えている。
 環境部の課題については、市長を初め私ども副市長も含め市全体の課題として捉え、環境部の管理監督職員を全面的にバックアップするとともに、改革への思いや課題解決の目的、情報を共有し、過去からの経緯も含め現状の把握、分析、検証をもとに、必要な施策を一体となって確実に進めていく必要があると考えている。

◆内藤智司

 年度途中における大規模な幹部職員の人事異動は、一方では現場の混乱を招くおそれも考えられる。その結果、日常業務に支障が出たり、結局目的が達成されないということも考えられるが、人事異動の実施から1カ月が経過した現在、現場での業務はどのようになっているか。

◎向井政彦副市長

 現在、新たに配属した幹部職員が中心となりながらも、環境部における課題を全庁的な課題として捉えて、関係部署で協議を行いながら、今後の具体的な課題解決に向けた取り組みを検討、また一部実施もしているところである。環境部の職員の時間外勤務や休暇等についても、外部監査においてもさまざまな指摘もあり、今後の勤務体制の見直しということも検討する必要があると考えている。
 しかし、おっしゃるように、例えば収集課の収集業務の現場においては、臨時職員が非常に不足しているということが大きな課題となっているということも声として上がっており、臨時職員の処遇改善を早期に行い、その確保を図ることにより、まずは収集体制の安定的な確立を図っていく必要があると考えている。
 今後、職場風土の刷新やコンプライアンスの確立、また民間委託の実施など、改革の取り組みを進めるについては、日々の市民サービスを実際に支えてくれている現場の職員の皆さんの理解や、また市従業員組合との正常な労使関係も欠かせないものであると考えている。

◆内藤智司

 それでは、意見させて頂く。

今回の異動に関しては、先ほどあった事件等があったことによって、要は職場の刷新をしていくという取り組みということだが、私は、事件が起きたことと、現場の民間委託とかそれから業務の改善とかいった部分は、やはり別問題であると思う。先ほども申したように、民間委託をしていかなければならないのなら、先にその準備をしてから、職員での収集車がどれだけいるのか、どの部分を民間委託できるのか、先ほど答弁あったようにその職場、現場の職員の理解、市従業員組合との正常な労使関係を確立が私は先であると思う。事件は事件、業務改善は業務改善、それは別問題として考えていかなければならないと考える。
 ことしの4月30台のパッカー車がある。3人乗車を基本としたときに、もう既に9人足らない状況で採用されている。職員が足らない。ということは、必然的に2人乗車ありきでスタートをしている。そのことによって、15台、半数の車が2人乗車となるといった現象の中で、足らなかったらそれを民間委託しようというのではなく、民間委託の計画があって、そこが成立して初めて、何人職員が減らせるという形の職場全体の理解があって、初めてそういったことが進んでいくんだろうと思う。これは、環境部だけのことじゃなくて、やはり市全体、これから民間委託を切り分けしていかなければならないというところも、そこからの話だろうと思う。
 テレビで一部3人乗車、2人乗車といった報道もされた。そしたら、本当に現場の仕事として、3人乗車の場合の業務量と2人乗車の場合の1人にかかる業務負担、仕事量、どれだけの苦労があるということも、やはり私たちは知っておかなければならないと思う。検証された職員さんの話を聞くと、2人乗車で1人でごみ収集をしていくということに対しては、非常にやっぱり、2人でおりて3人乗車やるのとでは、雲泥の違いがあるということも聞いている。先ほど言われた現場の問題点はどこにあるのか。それを解決するにはどうすればいいのか。そこからがまず私は大事だと考える。
 この環境部の人事異動に関しては、異例な異動に対して、結果を求められるのは事実である。本庁一体となって、環境部の問題については、現場だけに任さず一体で取り組んでいただくよう要望する。
 今回の所管事務に関しては、いろいろお聞きしたいところもあり、なかなかいい答えがいただけなかった。CIO補佐官の不足分に関してもまだ解決ができていない。そういったところも含めて、職場が十分充足できる仕事ができる環境をつくっていっていただきたい。
 12月、また市長にはお聞きするが、こういった人事異動、人事政策については、市長の専権事項である。我々議員がとやかく言う問題ではないが、組織全体としての士気を上げていく、そういった取り組みをしていくためにはどうあるべきかということが、今後適正化計画、民間委託を進めていく中では、そこを育てていくというところに対して、今後の市長の思いを12月にお聞きする。