平成28年3月 定例会【代表質問】-03月04日
◆20番(内藤智司君) 改革新政会の内藤でございます。
私は、会派を代表いたしまして、市長並びに企業局長、教育長に質問させていただきます。
本日最後となりました代表質問でもあり、若干重複する部分もあろうかと思いますが、よろしくお願いをいたします。
平成27年の国勢調査の速報が、先日総務省より発表されました。大正9年の国勢調査開始以来、初の人口減となり、全国で94万7000人が減少、高齢化で自然減が拡大、加速したとの内容でした。近畿圏内では特に深刻さが浮き彫りとなり、大阪が減少に転じるほか、和歌山、奈良県の山村部では都心部への流出に歯どめがかからず、消滅自治体が現実の姿となってきているとの報道がありました。地方自治体がそれぞれ打ち出す地方創生、総合戦略に力強く取り組まなければならない一方、今後の人口推計に合わせたまちづくりが不可欠になってくるものと考えます。取り巻く環境の中で、本市においても行政運営、財政基盤を支えていくことが今以上に求められてくるものと思われます。
それでは、質問に入らせていただきます。
新年度予算につきまして、平成28年度予算の歳入では、財源対策として地域づくり推進基金や財政調整基金の取り崩し、また、延長された退職手当債が活用されるなど、財政のやりくりに苦慮している様子がうかがえます。今回の予算編成でも大変厳しい財政状況を受け、15%のマイナスシーリングを設定されていますが、実際に達成できた事業の見直しによるコスト削減の効果は6億5000万円という結果になっています。単年度ごとの財源対策で対応し切れるものではなく、もはや予算編成の中だけでこの厳しい財政を克服することはとてもできないのではないでしょうか。
今進めている行財政改革を計画的に行い、公共施設マネジメント計画の進捗を早めて、統廃合等による経費の削減や貸し付け、売却など財源を創出し、これらを総合的に財政計画に組み込み、将来の財政を中期的に見通した上で予算を編成する必要があると考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
退職手当債については、制度が10年間延長されることになりました。実施してきた行革効果や退職者の数によって発行が許可される仕組みになっているようですが、これまでと違って発行可能額をかなり抑制されているようにお聞きしています。しかし、激変緩和措置が平成28年度から30年度までの間設けられていますが、今後5年間で可能額を全部発行した場合には財政にどのような影響があるのかお聞かせください。
続きまして、平成23年度から5年間を対象につくられてきた定員適正化計画では、平成27年度で2,940人、平成28年4月1日の時点で目標値は2,916人としています。しかし、平成27年度時点での職員数が2,779人であることから、目標値以上の削減がされている状況にあります。9月定例会で、次期定員適正化計画については、第4次総合計画後期基本計画の財政見通しとの整合性を図りながら、職員数は2,500人程度を想定しているとの総務部長の答弁がありました。また、先月2月9日の総務委員会でも、平成28年度の職員数について質問したところ、平成27年4月1日に比べて43人の減員見込みとのことでありました。そこで、改めて平成28年度からの次期定員適正化計画についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
また、職員数が減るとなりますと、正規職員に係る業務負担はますます大きくなります。そんな中でさらに職員を削減するとなると、市民サービスを維持していくために職員一人一人の資質向上が必須になってきます。これまでも職員の研修など育成に取り組んでこられたと思いますが、人材育成のあり方についてどのように考えているのかお聞かせください。
次に、地域自治協議会の設立において、きょうも朝からさまざまな御質問がありましたが、これまでも定例会ごとに議論を重ねてまいりました。また、連合会を中心に地域コミュニティ実態調査やパイロット地区でのコミュニティワークショップを開催しながら、さらには、庁内において横断的な検討委員会を設置し、精力的にその設立に向けた取り組みをされてきたというふうに感じるところでございます。今定例会において、条例改正案が提案されました。伴って、設立準備の予算が計上されています。改めて地域自治協議会設立によって、従来の地域自治とどのようにかわるのかお聞かせください。また、今後の行政の担い手として、地域自治協議会へ期待するものは何か、お聞かせください。
続きまして、新斎苑基本計画についてお聞きいたします。
奈良市の長年の重要課題として、歴代の市長を初め、関係職員の皆さん、そして、我々市議会議員の先輩議員の皆様もそれぞれの立場で精いっぱいの努力をしてこられたと思います。候補地につきましても、市内のあらゆる地域から検討され、何カ所かは実際に交渉地として地権者や周辺住民とも交渉を重ねてこられました。最終的には実現ができなかったということでもあり、本当に困難な課題であると誰もが認めるところであります。仲川市長の今回の事業に対する思い、決意を改めてお聞かせください。
今回の事業についていろいろな文書やうわさが飛び交っていることも承知をしていますが、昭和30年代からの経過を見ましても、候補地選定や住民の理解を得ることは大変難しいことと承知をしております。現在、地権者、地元周辺住民との話し合いを続けていることで、先ほどからの答弁でその内容は一応理解をいたしますが、住民の新斎苑に対する意見というのはどのようなものがあり、どのように対応されているのかお聞かせいただきたいと思います。
次に、東アジア文化都市事業についてお聞かせいただきます。
その他の重点項目として上げられております東アジア文化都市事業について、議案説明では日中韓の3カ国において文化による発展を目指す都市を選定し、交流プログラムを通じて相互理解、連帯感を高め、国際発信力の強化を目指すものとされていましたが、このプロジェクトはどのような経緯で始まった事業なのか、ことしは本市で行う意義についてお聞かせください。
次に、議案第23号について企業局長にお伺いいたします。
今回、奈良市東部・都祁・月ヶ瀬地域の上下水道の経営効率化のため、コンセッション方式の官民連携会社により経営を行う条例を提案されているところでございます。上下水道事業における先進市の事例が2カ所あると聞きますが、それぞれの概要を説明していただき、また、今回の企業局が提案する官民連携事業との違いがどうなのかお聞かせください。
提案では、官民が共同出資の第三セクターとなる官民連携会社が3地域の上下水道を民主体で運営していくとしていますが、地域の住民にとってはやはり少し不安なところではないかということもお聞きいたします。このことから、地域住民の不安を払拭し、契約期間となる15年について、安定して水道水を供給し下水道を処理していくことに対して説明をお願いいたします。
次に、教育行政について2点、教育長にお尋ねします。
まず1点は、安心・安全な学校生活についてでございます。
先般、2月24日、参議院本会議において自殺対策基本法の改正案が可決されました。今後は、衆議院議会で審査され、今国会で成立される見通しだと聞いています。自殺については、一時年間3万人を超えていましたが、2015年は約2万4000人と、ここ数年減少傾向が見られます。しかし、一方で、いじめが原因と見られる若者の自殺者は依然後を絶たない現状もございます。
こうしたところから、改正法案は国や自治体が学校などで相談体制を整備し、教員らへの研修の機会を設定することや、学校が保護者や地域住民と連携し、児童・生徒へのSOSの出し方などに関する教育や啓発を推進するとのことなどが盛り込まれております。いじめについては、平成25年、いじめ防止対策推進法が施行され、既に2年半がたちますが、本市ではどのような取り組みがされ、現状はどうなっているのかお聞かせください。
2月24日の読売新聞には、姫路市で中学校教員が、いじめを受けてけがをした生徒が病院を受診する際、「階段で転んだことにしろ」と虚偽の説明を指示したとの記事が載っていました。いじめ自体が許される行為ではないことはもちろんのこと、それを許さない人づくりをすべき教員が虚偽説明を行うという行為は絶対あってはならないことだと、強く憤りを感じております。
市長の提案説明の中には、全ての子供たちが安心して学校に通い、笑顔で帰っていく環境を構築するための施策を総合的に行っていくとして、幾つかの重点施策の説明もありました。子供たちが安心して学校に通い、楽しく学び、笑顔で家に帰っていくことは、もちろん公教育の基本だと思いますが、子供の教育に責任を持ち、それを具体的に進めていくのは教育委員会であり、学校現場であるべきです。そういった意味からも、まず安全・安心な学校生活についての教育長のお考えと、このことに対する本市の現状や取り組みについてお聞きいたします。
また、平成28年度予算案の重点実施項目には、いじめ対応教員の設置とあり、その説明に、いじめ撲滅を目指し全ての学校にいじめ対応教員を位置づけ、その支援のために新たに市費講師22名を配置するとあります。私は、いじめ撲滅のためには何よりも先生方の一人一人の資質を向上させることと、学校が組織的にいじめ撲滅を目指した取り組みを行っていくことが大切だと考えますが、このいじめ対応教員は具体的にどのようなことを行っていくのでしょうか。また、いじめ問題はさまざまな要因が複合的に絡んでいると考えますが、他の施策との関連の中で、安心・安全な学校生活を送る取り組みについてもあわせてお聞かせください。
2点目でございますが、学校の統合再編における教育方針についてお聞かせください。
平成28年度予算には都祁小学校の校舎改築とあり、これまでの議会説明でもありましたように、平成29年4月の統合再編に向けた施設整備だと思っております。統合再編について、少子化による児童・生徒数の減少という避けて通れない要因があることは存じておりますが、ただ単に数合わせをするのではなく、統合後の学校のあり方といった、教育本来の面からもしっかりと検討し進めていってほしいと思います。例えば、統合して児童数がふえたことによっていじめや不登校がふえないだろうか、そういったことも一つの検討内容だというふうに思います。
また、学校は地域と密接に結びついて存在しています。奈良市の特徴的な教育施策の一つでもある地域で決める学校予算事業も、地域の子供は地域で育てるという基本理念のもと地域の学校が連携し、協働して子供を育てる事業です。こういった地域と結びついた取り組みが統合再編で分断されてしまわないだろうか、そういったことを不安視する声も聞こえてきます。
本年度、帯解小学校と精華小学校が統合再編し、帯解小学校に、また、柳生中学校と興東中学校が統合再編し、興東館柳生中学校に新たな歴史を歩み始めていますが、改めて教育長に本市の統合再編における教育方針についてお聞きいたします。
以上で1問目を終わります。
◎市長(仲川元庸君) ただいまの内藤議員からの御質問にお答え申し上げます。
まず初めに、平成28年度予算に関連をいたしまして、財源対策に関連をしての御質問でございます。これまでも事業仕分けや事務事業の総点検など行財政改革には取り組んできたところでございますが、社会保障関係費など財政需要は確実に毎年増加をしており、一方で、歳入の根幹をなします税収につきましても大幅な伸びは見込めない状況があり、自主財源の低下が続いている状況を受け、本市の財政状況は依然として厳しい状況であると言えるわけでございます。
また、少子化対策や地域経済の活性化対策により、人口の流入を促し税収増へつなげる取り組みを進めてまいりましたが、やはりこれは中長期的に継続をしていく必要がございます。そのため、新年度の予算編成におきましては、待機児童対策など働く現役世代への子育て支援、観光振興や健康長寿などに重点を置いた予算編成をさせていただいたところでございます。
そのほかにも、人事課の事務業務委託や収集業務の民間委託のような、今後職員の減少にも対応し、また経費節減にも寄与するような施策を積極的に進めているところでございます。
さらに、公共施設の統廃合につきましても、公共施設マネジメント計画を策定し、速やかに実行することで、維持管理経費の縮減、また不用土地の売却、さらに民間活力の導入等による有効活用などを図り財源の確保に努めるとともに、受益者負担の適正化に向けた検討も進めていかなければならないと考えております。
いずれにいたしましても、本市の財政状況は大変厳しい状況にございますことから、行財政改革による財政の健全化はもとより、議員御指摘のように、中長期的な視点に立った行財政運営が最重要の課題であると認識いたしております。
次に、退職手当債の借り入れが財政に与える影響についてということでございますが、現在策定中の定員管理・給与適正化計画の中におきましては、今後も段階的に職員数の削減を見込んでおりますため、償還財源のもとになる行革効果額は確保されることとなり、引き続き退職手当債の発行は可能となる見込みでございます。しかし、制度改正に伴い決算方法が見直されますことから、退職手当の支払額に対して退職手当債発行が可能となる下限額が従来よりも高くなり、これまでのように毎年度発行が可能となるわけではなく、退職手当の支払いが少ない年は発行ができない年度も生じる見込みもございます。
総合計画の後期基本計画期間中に当たります平成32年度までの各年度の退職手当債発行可能額の見込みにつきましては、平成28年度が13億5000万円、平成29年度が4億9400万円、平成30年度が7億680万円、平成31年度は発行ができず、平成32年度は1億8340万円と見込んでおり、発行見込み総額といたしましては、27億3420万円と見込んでございます。また、償還につきましては、利率が1%で計算をいたしました場合は、総額30億6940万円となり、4年据え置きで20年償還、つまり実質16年間で償還をしていくこととなるわけでございます。
続きまして、定員適正化計画についてどのように考えるかということでございます。
平成28年度からの適正化につきましては、第4次総合計画後期基本計画の財政見通し及び奈良市行財政改革重点取組項目との整合性を図るものといたしまして、本市の厳しい財政状況と今後のさらなる人口減少時代に向けた自立的、効率的な自治体運営の観点から、引き続き職員数の削減を進めていくこととし、平成32年度に職員数を2,500名程度とする計画で策定をしており、今後速やかにお示しをしてまいりたいと考えております。
なお、計画策定に当たりましては、現在進めておりますごみ関連業務の民間委託や人事課の給与・福利厚生事務などの民間委託の推進、また、幼保再編によるこども園への移行、さらに、引き続いて取り組んでまいります行財政改革のほかに、適切な事務の切り分けによりさらなる非正規職員の活用を図り、正規職員が担う業務をより専門性の高い業務に集中・特化をすることなどによりまして、職員数の削減を可能なものとしてまいりたいと考えております。
次に、職員の人材育成計画についてでありますが、議員御指摘のように、職員数の削減を進める中におきましては、職員の人材育成は市民サービスの維持、向上の中で重要なものであると十分に認識をいたしております。
これまでも研修体系や研修内容につきましては鋭意見直しを図りますとともに、人材育成に主眼を置いた人事考課制度を導入し、人材育成を意識したジョブローテーションによる人事配置にも取り組んでいるところでございます。今後、将来の奈良市を担う職員の育成を、総合的かつ計画的に進めるに当たりましては、職員が果たすべき役割や目指すべき職員像などを明確に示す必要があると考えております。その上で、個々の職員には、みずからの能力や特性を認識し、自発的な成長意欲を促すことができるように、それぞれのキャリアプランに応じた適切な人材育成策として、研修制度のみならず評価制度や人事制度、給与制度等が連動した総合的な人材育成プランを策定、実施する必要があると認識いたしております。
次に、地域自治協議会の設立に関連しての御質問でございますが、この協議会の設立によって従来の地域自治がどのように変わるのかという御質問でございます。
近年は自治会や町内会等の加入率の低下に伴いまして、担い手の高齢化、また人材不足、自治会活動への無関心化などの課題を抱え、その運営方法を見直すべき時期が来ておると考えております。また、昨年度実施をいたしました地域コミュニティ実態調査の結果からも、地域社会における地縁型組織そのものの必要性や役割に対する住民の認識が薄れているとの判断もできるところでございます。
このことから、同じ地域に暮らす人たちのコミュニティーを再構築するためには、地域内のさまざまな団体が一体となって力を結集し、地域課題の解決に向けた合意形成の場と、それを実現していく体制づくりが必要であります。従来の地縁による住民同士の結びつきはもとより、地域の活動を支える各種団体が連携をすることで、担い手不足の解消と活動者の増加を見込み、また、世代や性別、立場を越えた仕組みをつくることで、地域の自治をさらに充実、強化できるものであると考えているところでございます。
地域自治協議会へ期待する点といたしましては、地域の活力を結集することによってライフスタイルの多様化やさまざまな課題の多様化、また、それぞれの地域での担い手不足や機能の低下に伴う課題の解決に向けて、地域の住民が主体的に取り組み、行政と協働しながら新たなまちづくりに取り組んでいく仕組みとして提案をするものでございます。
本市におきましても本格的な人口減少社会の到来を迎え、地域社会の状況が急激、急速に変化をする中においても、住民の皆様が安心して暮らすことができるように、いわゆる地域のセーフティーネットを強化していくことが重要だと考えております。そのためには、地域の実情に合わせた住民主体の行動による地域力や自治力が必要であり、それらを発揮できる新たな仕組みとして地域自治協議会に期待をいたしているところでございます。
続きまして、新斎苑計画についての御質問でございますが、この事業に対する思いについてであります。
議員御指摘のように、奈良市における新斎苑建設事業は、記録によりますと昭和33年からスタートをいたしており、市内のさまざまな地域で候補地を探し、その後何度も候補地を絞り込み交渉を重ねてきた経緯がございます。結果としては、これまでの歴代の市長、また行政の職員や議員の皆様方の御努力の上にも実を結ぶことができず、地元の皆様の御理解が得られないことなど、さまざまな理由によりまして断念を繰り返してきたというのが今までの経緯でございます。
私といたしましても、市長就任後に旧ドリームランド跡地を候補地として地元、地権者と交渉を重ねるなど、さまざまな取り組みを進めてきたところでございますが、やはり用地取得の理解がなければ事業を推進できないということもあり、現在まで現計画地であります横井町山林につきまして、地権者や地元周辺の皆様との話し合いを進めてきたという経緯がございます。
私といたしましては、今回の新斎苑建設計画を実現することがまさに奈良市の長年の課題を解決することにつながる、また、今後の高齢化社会を迎える中において多くの市民の喫緊の課題をかなえる唯一の方策であり、これを実現していくことが私の重要な責任であると考え、今後も引き続いて住民の皆様と真摯に話し合いを進めさせていただき、36万市民のためにその実現への最大限の努力を続けてまいりたいと考えているところでございます。
今回の計画地選定に当たりましては、多くの候補地に交渉すべきであるとの御意見、また、さまざまなそれ以外の御意見も頂戴をしていることにつきましては十分承知をしているところでございますが、議員からも御指摘がございましたように、やはり正確な情報が住民の皆様に共有をされるということが重要でございます。そういったことから、私も含め行政が直接住民の皆様方とお会いをし、丁寧かつ真摯に話し合いを重ね、正しい情報をしっかりとお伝えをし、御理解、御協力を賜るという姿勢が何よりも重要だと認識をいたしております。
これまでも自治会の役員の方々や住民の皆様方との話し合いの中で、奈良市民のために受け入れなければならないという御意見や、また、この事業を受け入れることが地元のためにもなったというふうにしたいという前向きな御意見もいただいております一方で、先ほどから御説明申し上げておりますように、一部の住民の皆様方からはこの土砂災害警戒区域に関連をした不安のお声もいただいているところでございます。
これらにつきましては、この計画地が警戒区域に該当するというものではございませんが、この事業の推進に関連をいたしまして住民の皆様から不安のお声をいただいているということにつきましては、しっかりと受けとめた上で、その区域が計画に影響を及ぼすのかどうか、また、建設工事等によりどのような対策が必要となってくるかなどの調査を現在行っており、しっかりとした科学的根拠に基づく十分な説明と対策を行っていくことが重要だと認識をいたしております。
また、一方で、火葬場というこの施設につきましては、やはり従来からのイメージによる拒否感というものがあるということも事実だと認識をいたしております。今回の市の計画案の中では、施設そのものを初め周辺の環境整備を含めまして、従来のイメージを一新できるように努力をしてまいりたいと考えております。また、地元のこれからの将来像やまちづくりについての御意見や御要望につきましては、これからより具体的な内容についての協議を重ねさせていただきまして、この新斎苑建設事業が地元にとりましても有意義な事業になるよう努力をしてまいりたいと考えておりますので、議員の皆様方にも改めて御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
続きまして、東アジア文化都市の開催経緯についての御質問でございます。
本事業につきましては、2011年に奈良市で開かれました第3回の日中韓文化大臣フォーラムにおきまして、政治・経済の関係は複雑な問題をはらむ3カ国間の関係であるが、文化交流によって、また都市間交流によってそれを乗り越えようと日本側から提案をし、中韓の同意を得て採択され、2014年から始まった国家プロジェクトでございます。文化芸術や文化産業で連携を深め、世界への3国の発信力を強めるのが狙いで、第1回目は横浜市、第2回目は新潟市、そして第3回目の開催都市として奈良市が選ばれた経緯がございます。
奈良市は、その意味におきましては、この事業が生まれた土地でもあり、国の代表として選ばれたことを誇りに感じるとともに、本市にゆかりあるこの事業をぜひとも成功させてまいりたいと考えております。東アジア文化都市事業につきましては、限られた時間の中ではございますけれども、しっかりと成果を出せるように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎企業局長(池田修君) 上下水道関係の御質問にお答えいたします。
先進都市の2つの事例の概要についてでございますけれども、1つ目は、広島県企業局と民間の水・環境の総合会社が第三セクター方式で官民連携会社として、資本金6000万円のうち県が35%、民間が65%を出資して、株式会社水みらい広島という株式会社を設立した事例でございます。
この会社は、地方自治法による指定管理者制度と水道法による第三者委託制度の両方を活用した会社でして、平成24年9月から5年契約で2つの水道用水供給事業を実施しております。1つは、広島西部地域水道用水供給事業で実施されており、日計画給水料12万3000トン、給水区域は広島県西部3市、大竹市、廿日市市、広島市の一部などでございます。それから、もう1つは、沼田川水道用水供給事業で実施されており、日計画給水量9万8600トン、給水区域は広島県の三原市、尾道市、福山市、東広島市と愛媛県の上島町でございます。なお、この会社の従業員は約50人で、うち20人程度が広島県の企業局から派遣されていると聞いております。
2つ目の事例は、神奈川県企業庁が民間事業者グループの全額出資する、資本金5000万円の特別目的会社、箱根水道パートナーズ株式会社に包括的な委託を、委託業務として平成26年4月から5年契約で水道事業を実施しているものです。神奈川県箱根地区の水道事業は、神奈川県西部に位置する箱根町の北半分で実施されており、日平均有収水量6万5000トン、給水人口6,400人です。なお、この会社の従業員は全員民間から派遣されていると聞いております。
今回の企業局が提案する官民連携事業との違いについてでございますけれども、今回の提案の方式は、まず1番、地方自治法や水道法に基づく制度ではなくPFI法に基づく制度を利用していること、2番目に、契約期間が5年ということではなくて15年と長期にわたること、3番目に、資本金の出資割合が官民半々であるということ、それから4番目に、従業員の派遣がPFI法に基づく制度を活用し、企業局から約半数を想定していること、5番目に、更新投資は役所ではなく民間事業者に任せるということなどであります。
2つ目の御質問で、地域住民の不安を払拭し、15年間安定して上下水道を運営できるのかということについてでございますけれども、今回提案しておりますコンセッション方式は、将来にわたって上下水道料金を市街地と同等にして、現在の上下水道サービスのレベルも落とさないというための方策であり、施設を民間に売却してしまうのではなく、市の保有のまま運営権のみを民間に設定していくというものでございます。
また、運営する新会社につきましては、企業局から半分以上の出資を行って新会社の経営にかかわることから、たとえパートナー企業が倒産したとしても企業局が責任を持って対応できるという仕組みになっています。料金やサービスについても、市街地と同一にする条件で運営権実施契約を締結し、なおかつ安心・安全の確保などについて要求水準を定めます。
更新につきましては、15年間で更新すべき施設をパートナー企業募集時に要求水準書として提示し、計画的に実施をしていく条件づけをしてまいります。新会社の業務開始後は、奈良市側でその業務のモニタリングを行い、運営会社の履行を監視することとなります。
上下水道事業は、水道法や下水道法などの法令に基づき規制されており、水道の供給や下水の処理などについては官民どちらが運営しても同じ法令のもとでの事業になりますので、事業の根幹が変わることはありません。また、地域住民の皆様に対しても、これまでの料金体系と上下水道サービスが全く変わりのないことを丁寧に説明していくこととなります。上下水道は、市民生活に一日たりとも欠かすことのできない極めて高い公共性を持つライフラインであることから、事業開始後も企業局と新会社は密接に連携、協力の上、水道水の安定供給と適切な下水処理に努め、災害時においても当然早期復旧に最大限努めることで、地域住民の不安を払拭できるものと考えております。
以上でございます。
◎教育長(中室雄俊君) 内藤議員の代表質問にお答えを申し上げます。
まず1点目の、安全・安心な学校生活についてでございますが、全ての子供たちが元気に登校し、きょう一日楽しかった、あす早く学校に行きたいなと笑顔で帰っていく、そのような学校生活を保障していくことが最も大事なことであり、公教育の基本であると考えております。
また、いじめは子供の命や人権にかかわる重大な問題であり、これは絶対に許されない行為であると認識いたしております。本市の小・中学校で発生しましたいじめ事象の認知件数につきましては、平成24年度は107件、平成25年度は101件、平成26年度は100件と大きく変わらない状況で推移をいたしております。本年度につきましては、1月末現在で小学校27件、中学校41件で合計68件となっております。また現在、各学校では平成27年4月に策定をいたしました改定版奈良市いじめ対策アクションプランに基づき、それぞれの学校でアクションプランを作成し、いじめの根絶を目指した取り組みを行っているところでございます。
今後につきましては、本年1月に策定をいたしました奈良市教育振興基本計画の基本方針の一つに、子供の学びを支える学びのセーフティーネットを掲げており、子供たちが安全・安心な学校生活を送ることができるよう取り組んでまいりたいと考えております。
とりわけいじめにつきましては、どこの学校にも起こり得るとの認識のもと、平成28年度は全ての学校にいじめ対応教員を位置づけ、いじめの未然防止、いじめの根絶に向けた取り組みを進めてまいります。いじめ対応教員の役割といたしましては、いじめ事象への対応はもちろんのこと、日常的ないじめの点検や児童・生徒支援を行うなど、学校体制の構築の中心的な役割を担うものでございます。加えて、平成28年度は特別支援教育支援員を現在の89名から94名に増員するとともに、現在、全ての中学校に配置をされておりますスクールカウンセラーを小学校におきましても全校配置をしてまいります。
今後も、いじめの撲滅を目指し、全ての子供が安心して学校に通い、充実した学校生活を送ることができるよう、保護者や地域の皆様とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
次に、2点目の学校の統合再編の方針についてでございますが、今年度統合再編をいたしました帯解小学校、興東館柳生中学校におきましては、精華小学校や帯解小学校、柳生中学校や興東中学校のそれぞれのよさや地域との連携を引き継ぎながら教育を進めているところでございます。また、いじめや不登校といったことにつきましても、統合によって子供たちが不安にならないよう、統合するまでの期間もあわせて十分配慮して取り組んでまいりました。
都祁地域の小学校の統合再編につきましても、平成28年度は各校にスクールカウンセラーを配置し、子供たちの心のケアに十分配慮してまいりたいと考えております。統合再編に向けましては、今後も十分に地域の皆さんと協議を行い、子供の教育環境の充実のための条件を整え、平成29年4月の開校を目指して丁寧に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆20番(内藤智司君) 2問目は自席から行わせていただきます。
市長に2点、再質問をさせていただきます。
1点目は定員適正化計画についてでございます。
昨年9月定例会で、市の職員数、いわゆる定員適正化計画においては平成32年度で2,500人程度まで職員数を削減するとの答弁があり、現状での職員の働き方を見ますと、市、すなわち公共が行うべき仕事、民間事業者が担う仕事、また、市民との協働を進めて地域を担ってもらう仕事といったような切り分けを並行して行い、仕事量の規模を市のキャパシティーに合わせていく必要があるのだろうと感じております。
今まで私は職員の数につきましては、業務量に合わせた職員数が必要じゃないのかということをかねてからずっと言ってまいりました。しかし、先ほど来の答弁から、退職手当債の起債償還については、やっぱり職員数の減少を原資として向こう10年間の財源を確保するということもお聞きをしております。そういった財政の面からすると、やっぱり職員数を減らさなければならないといった事象があるならば、そしたら、その職員数に合わせた仕事量を行政経営の中で見出していかなければならないんだろうというふうに思います。
民間に委託をしなければならない、要は、市が公共サービスとして、公共として、市長の答弁にあったように、しなければならない部分というものをきちっと把握した上で、今後の適正化計画を進める上では、今言いましたような公共の役割を見直し、新しい公共のあり方というのを検討していく必要があるのかなというふうにも考えます。その辺のお考えをお聞かせください。
もう1点は、東アジア文化都市事業でございますが、国家プロジェクトである上に、奈良市が選定されたということについては、国の補助金を使いながら、ことしだけの一過性の事業ではありますけれども、よく市民の皆さんから、こんなイベントがあったんやね、というのをよく耳にします。こんなんあったんやったら行きたかったのに。というような、いわゆる告知の仕方がやっぱりまずいんかなというふうにも思います。
せっかくのこういった文化都市としてのイベントでございます。市民の皆さんに、より多くの方に告知ができて、多くの参加をしてもらえるような取り組みについて、広報、告知方法についてどのようにしていくのかお聞かせいただきたいと思います。
◎市長(仲川元庸君) 2問目は自席からお答え申し上げます。
まず初めに、定員適正化計画の進行に合わせて、公共が担うべき役割をどのようにしていくかということでございますが、やはりあらゆる分野において、これまでは自治体が担ってきた行政サービスの一部において、今の時代では、民間企業や民間の団体、またNPOやボランティア、さらには地域の住民や地域自治組織など、さまざまな担い手によって多様化するニーズにきめ細かなサービスを提供していただいているような状況も出てきているところでございます。
本市といたしましては、市民ニーズや地域の実情に合わせて行政運営を進める中において、これまでのように全てを行政だけで担うということは、限られた職員数や財政面などから困難であると考えており、そういった観点では、むしろ多様な担い手によるサービスの提供がより効果的で適切であろうと、そのように考えております。
したがいまして、次期定員適正化計画を進めるに当たりましては、行政サービスの多様な担い手を視野に入れた業務のアウトソーシングに関する指針の策定も含めて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、東アジア文化都市事業に関連をいたしまして、より広く市民の参画、また市民への周知を図るべきではないかという御指摘でございます。
これはまさに御指摘のとおりで、限られた時間の中でどのようにこの事業の成果、効果を高めていくかということが大変重要でございます。本市といたしましては、昨年末に日中韓文化大臣会合が開かれまして、その場で初めて正式にこの2016年の開催都市としての決定をいただいたところでございます。
その後、今月予定をしております3月26日のオープニングイベントに向けての広報を中心に、フェイスブックやツイッター、またホームページなどなど、さまざま、市民だよりも含めまして、広報をスタートしたところでございます。また、1月28日には企画発表会を開催し、ことしのメーン事業の出演を予定しているアーティストなどとともに、事業のPRを兼ねた周知をさせていただきました。
さらに、現在、近鉄電車の中づり広告や主要駅でのポスターの掲出、またJR奈良駅でのデジタルサイネージなどを行っており、近鉄奈良駅前の行基広場でのバナー広告など、さまざまな角度で、今後もいよいよ始まりますこの事業の機運を醸成するために、関係機関の協力も得ながら積極的な広報に努めてまいりたいと考えております。
新年度におきましては、広範囲な広報ツールやメディアを活用し、古都祝奈良と銘打っております9月3日から10月23日までの約2カ月間のコア期間の広報を中心としまして、しっかりとしたパブリシティーを展開し、世界に向けて周知が図れるように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
◆20番(内藤智司君) 3問目は、主張、要望とさせていただきます。
まず、新年度予算につきましては、やはり昨今の年度の予算編成についてはその年々の収支バランスがやっぱり大きく問われているような感じがします。その時々の要因等があることは理解いたしますが、やはり最初に申しましたように中期的な観点で、総合計画を中心に3年ごとの行財政改革大綱、それから公共施設の統廃合のマネジメント計画、こういったものをトータル的に財政基盤を構築していくことが求められていくんではないかなというふうに感じるところでございます。
あと、予算の詳細のところにつきましては、今日程で組まれています予算審査特別委員会のほうでまた質問していきたいというふうに思います。
それから、次期定員適正化計画についてでございますが、以前からさまざまな発言の機会を捉まえてたびたび申し上げてきたことでありますけれども、やはり本市の適正化計画は、職員数の削減のみを目的化したものになっているのではないかということでございます。本市の逼迫する財政状況からは、やはり財政状況に見合った職員数の適正化、すなわち財政面の身の丈にあった職員数の削減という観点に重きを置かざるを得ないということについても一定の理解はするものの、しかしやはり地方自治体の究極の目的は、住民の幸福の増進でございます。市民サービスの維持向上であると考えます。もちろん無駄な職員数を抱える必要などありませんが、市民サービスの維持向上を効率的に達成でき得る体制整備を、市民は望んでいるんだというふうに思います。
本格的な人口減少社会を迎えた今日、市民から選ばれる奈良市を目指す上で、市民ニーズを的確に把握し、市民サービスの維持向上が必須の課題であり、これを実現するためには何人の職員が適正なのか、それを見定めることが適正化計画であるというふうに思います。
財政状況や他の類似団体の動向を勘案することも大切だというふうには思いますが、本市の業務量を精査し、選ばれる奈良市を目指した未来志向での市民サービスの維持向上に対応できる行政職員数の確保を図ることが肝要であるというふうに考えます。かたくなに数字目標の達成に固執するのではなく、その時々の行政課題に適切に対応することはもちろんですが、やはり5年先、10年先のいろんな業務のあり方はどうなんだ、そこから職員体制がどうなんだということを検討していただけるよう強く要望しておきたいというふうに思います。
また、職員の削減を進めていくのであれば、一人一人の職員にかかる負担が増大するのを懸念するところでございます。いろんな取り組みを進めておられることは理解いたしますが、個々の職員の能力と資質の向上を図り、職員の能力を最大限に引き出すことが、採用から退職までを見据えた教育プランをきちっとつくる必要があるというふうに考えます。また、メンタルヘルスなど、職員の健康の保持増進についても、今後ますます重要になってくるというふうに思います。
過日の委員会での答弁では、人事課業務の外部委託により9名程度の人事課の職員の削減が可能だということでありましたけれども、外部委託によって単純に職員数を削減するのではなく、今まで以上に人材育成の充実、職員の健康保持増進に力を注いでいけるような体制を構築されることをあわせて要望しておきたいと思います。これは、別に人事課だけに特化するものではなく、そのこと自身がやっぱり庁内の職員を向上させる、それが直結して市民サービスに、私はつながるものだというふうに考えますので、その中枢である部分の体制強化というのは、私は不可欠であるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、地域自治協議会につきましては、今回はあえて質問はしませんでしたが、地域自治協議会は、検討会が設置されて以来、指摘している点は、行政側が横断的にその協議会に対応できる仕組みを、やはり構築する必要があるんではないかということでございます。2年間検討を重ねてこられた中で、この条例案が提案されている中にあっても、先ほどの、朝からの代表質問の中にもありましたように、やはり市の、行政の抱いている方向性と、自治会、連合会が行おうとしている内容がやはりどこかで食い違っている、大きく食い違っているんではないかなということを私も感じるところでございます。
そういったところをやっぱりきちっとこの条例改正、それから要綱、規則を決めていく中にあっては、市長も先ほど申されたように、市がやはりその協議会に対して求めるものというものをきちっと庁内で統一するべきであろうというふうに思います。各部の状況を見てみますと、地域自治協議会という検討会もされているんで、そのことは知っているけれども、本当にその各部がそれに対して精力的に取り組んでいるのかというところについては、なかなかそこに至っていないのが、私は現状かなというふうに見受けられます。
それは、今担当課をされている協働推進課の問題ではなくて、これはやっぱり総合政策課なり行政経営課なり、やっぱりトップが横串を刺せる、横断的に調整できる機能が私は必要ではないかなというふうに思いますので、市長及び副市長、このことにつきましては、もっと行政側が主導的に協議会に向けて発信できるような体制をとっていただきたいというふうに思います。
それから、新斎苑につきましては、期限が迫られている合併特例債の財源を活用するためにも、今回のタイミングは、本当に候補地から建設地とするためにも、地元の皆様への理解活動をより一層進めていただき、来年度予定をされています都市計画決定に向けて最優先で市長が行っていただきますよう、強く要望しておきたいというふうに思います。
それから、議案第23号、上下水道の分につきましては、今回の企業局が提案する官民連携事業については、これまでの先進市の違いとか、朝からの質問の答弁等で、地域住民への対応について一定の理解はするものの、やっぱり民間運営への企業局のかかわりや、財務運営面でまだまだ不透明なところも多く感じております。そういったところも、今後の日程で予定されています予算審査の中で議論をさせていただきたいというふうに思います。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。