平成28年9月 定例会【個人質問】-09月09日
◆20番(内藤智司君) 改革新政会の内藤でございます。
私は、既に通告させていただいている項目に従い、関係理事者に一括質問一括答弁で質問をさせていただきます。
まず、職員の人材活用として、職員のキャリア形成施策についてお伺いをさせていただきます。
今回の質問に当たって、改めて平成23年度から5カ年の定員適正化計画に対する実績の確認をしてみました。5カ年の計画削減数は、全会計ベースで72名に対し、実績として233名の方々の削減が図られています。特にここ3年におきましては、平成25年度から平成27年度においては、計画削減数57人に対し、221人の職員が削減をされております。さらに、本年3月に出されました平成28年度から平成32年度の5カ年の定員適正化計画においては、全会計ベースで231人の削減、年間約47人の削減が計画をされております。平成27年度現在の2,778人に対し、約2,500人にしようとするものです。これまでの定員適正化計画人数の目標値以上に職員数が減っている中で、一方では一部の業務を民営委託化するなど、行財政改革も進められてきております。
しかし、現状では職員の業務負担増につながっており、仕事上の悩みからメンタル的な病休職員がふえているなど、さまざまな弊害も生じているのも事実でございます。定員適正化の推進とはいえ、これ以上職員を削減するとなると、市民サービスの低下を招くということも懸念されていくわけでございます。定員適正化の進め方の是非はありますが、今後の定員適正化計画を実行していこうとすれば、職員一人一人に係る業務のウエートはますます大きくなっていくこととなります。市民サービスを低下させることなく維持していくためには、職員一人一人の生み出す生産性、資質向上が必須になってきます。
そこで、2点について、総務部長にお聞きいたします。
1点は、これまで職員の研修など育成に取り組んでおられると思いますが、人材育成施策についてどのように考えているのかお聞かせください。
2点目は、人事異動となった職員については、環境の変化等で体調不安、変調を来す職員も多くおられると聞いておりますが、人事異動に伴うメンタルケアについて、どのようにされているのかお聞かせください。
次に、議案第92号についてでございますが、既に通告しております議案第92号につきましては、先日の代表質問において同様の質問があり、市長の御答弁で重複するところも多くありましたので、質問を割愛し、後ほど2問目で意見を述べ、質問にかえさせていただきたいと思いますので、御了承いただきますようよろしくお願いをいたします。
次に、保育所・幼稚園の職場環境改善策についてであります。
保育教育士等の処遇改善について、政府は先般、閣議決定したニッポン一億総活躍プランに、保育士の処遇改善が盛り込まれました。平成29年度から保育士の月給を引き上げ、経験を積んだ職員も数万円程度上がるよう手当てする、全産業の女性の平均賃金との格差をなくし、人材を呼び込むことで、安心して利用できる保育の受け皿をふやすことを目的としております。本市は本年度より、一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正し、保育教育士の処遇改善を図られてきたところであります。
改めて子ども未来部長にお聞きいたします。
保育現場における環境改善策として、保育教育士の処遇改善について、また保育教育士の安定確保に向けた施策についてお尋ねいたします。
以上で第1問とさせていただきます。
○副議長(植村佳史君) 総務部長。
(総務部長 乾 尚浩君 登壇)
◎総務部長(乾尚浩君) 内藤議員の御質問にお答えいたします。
職員の人材活用についての御質問になっております。
まず、職員のキャリア形成施策についてでございますが、職員数の適正化を進める中にあって、職員の人材育成はよりよい市民サービスの提供を目指す上で、重要な要素と位置づけております。職員の人材育成につきましては、公務員の基礎的知識習得に係る新規採用職員研修を初め、中堅職員では各種専門研修に加え、国や他団体への派遣を、管理職員では必要な資質・能力を取得するための新任管理職研修を実施しております。
あわせまして、適応能力の高い若年層の職員については、キャリア形成を目的として窓口部門、事業実施部門、管理部門などの異なる複数分野の職場を経験させ、中堅以上の職員は能力開発に資するジョブローテーションを、管理職員はモチベーション維持を狙った人事異動を行うなど、職員の資質向上に努めているところでございます。
以上のように、幅広い視野と問題意識を持った自律型人材育成と、同時に職員の能力に応じた適材適所の人員配置に努めることで、職員の能力を最大限に生かしてまいりたいと考えております。
次に、人事異動に伴う職員のメンタルケアについてでございますが、人事異動では職員に精神面においても過度な負担を生じさせないように、特に留意しているところではございますが、異動や新たな役職に昇格した職員におきましては、職場環境の変化や職務に対する責任感から生ずるプレッシャーなどで、比較的メンタルに起因した体調不良に陥りやすい傾向にございます。
これら悩みを抱える職員の対応につきましては、産業医や産業カウンセラーの相談を実施することで、精神面のフォローを図るとともに、全職員を対象としたメンタルヘルスチェック事業を実施することで、メンタルヘルスに不調を来す職員の早期発見、早期対応に努めておるところでございます。
以上でございます。
○副議長(植村佳史君) 子ども未来部長。
(子ども未来部長 木綿延幸君 登壇)
◎子ども未来部長(木綿延幸君) 内藤議員の御質問にお答えさせていただきます。
保育所・幼稚園の職場環境改善策についての御質問でございます。
まず、保育教育士の処遇改善についてでございますが、本市が抱える喫緊の課題である待機児童解消のためには、保育教育士の確保が必要不可欠であり、その中で重要なことは保育教育士の処遇であると考えております。そのための方策として、今年度においては、臨時保育士と幼稚園講師の身分を臨時保育教育士として一本化し、処遇改善に向けた取り組みを実施いたしました。
具体的には、月給制に統一したこと、クラス担任を持つ職員にその職責に応じた加算をつけること、経験に応じた加算をつけること、出産により退職した場合、その養育する子供が1歳に達する日までは在籍していたとみなし、退職前の給料号給を適用することなどの取り組みを行っております。これによりモチベーションの維持や年度途中での離職に歯どめをかけることができると考えております。
これらの処遇改善により、長く勤められる職場環境が整うことで、保育教育士の確保や定着につながり、職務経験を重ねることで保育教育士の成長を支え、保育の質の向上にもつながると考えます。さらなる今後の処遇改善については、国の動向も参考にしながら対応してまいりたいと考えております。
続きまして、保育教育士の安定確保に向けた施策についてでございますが、保育教育士の確保のために、市民だより、ホームページにおける周知を初めとして、ハローワークへの募集を行うとともに、知人等を介しての声がけなどを通じ、必要な人数を配置するよう努めておりますが、人材の確保は依然として困難な状況となっております。
このような中、より確実な保育教育士の任用につなげるため、出産等何らかの理由で一度退職した方や、今後、保育教育士を目指している学生を対象に、実際に保育園を見学していただき、子供の様子を見ていただくことで、就職意欲を高めていただく機会を設けております。
また、潜在保育士への就職の支援、就職後の研修や相談等のフォローを行う県の保育士人材バンクの活用や保育士養成校への依頼など、さまざまな機会を活用し、保育士確保に向けて取り組んでいるところでございます。
また、今年度におきましては、臨時保育士就職フェアを市役所1階市民ホールで行いました。3日間と短期間ではありましたが、直接相談を受けられる形式を導入したことにより、保育教育士募集について周知することができ、この9月から任用となった方もあり、保育教育士確保の一助とすることができました。
引き続き保育教育士不足であることに変わりはなく、今後も正規保育教育士の採用とあわせて、保育の仕事にかかわる人材をふやせるようあらゆる手法を用い、保育教育士確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(植村佳史君) 内藤君。
◆20番(内藤智司君) 2問目は自席より行わせていただきます。
再質問はありませんので、意見、主張、要望にかえさせていただきたいと思います。
まず、ちょっと前後はしますけれども、職員の人材活用についてでございますが、御答弁ありがとうございます。
今、御答弁いただいた中でも、幾つかの課題はあるのかなというふうに思います。能力を開発するための適切なジョブローテーション、それから管理職においては、モチベーション維持のための異動基準、こういったものをされていく中で、今、職員数が削減されていく中、なかなか各課、各部署間で異動がうまくいっていない状況もお聞きするわけでございます。この2つの課題は互いに深く関係しておりまして、担当者の間にいろんな部署を経験し、キャリアを積んでいき、そしてそれを管理職になったときに、そのキャリアを生かして業務を遂行していくということが理想であろうかなというふうには思いますが、特に今の管理職の異動を見ていますと、係長、補佐、課長と1年、1年、1年で異動されているケースが多く、またその方々が新任についた時点で、メンタルケアを要するそういった事態に陥っているのではないかなというふうに思います。
昨日も、適正化計画について他の議員から指摘がありました。現在の職員数から、これからまた毎年50人近い方々が削減されていくこととなります。市長は昨日、それを業務の切り分けを行って、コアな仕事は職員で、そして民間でできる仕事は民間の力をかりていく、そういったことにおいて、職員の行革を進めていきたいというふうな御答弁をされていましたけれども、もともとやはり市役所でやる仕事は職員で、それが市民から信頼を今まで受けていた事実かなというふうに思います。
今、各課で民営委託化されていますけれども、決して今まで職員がやっていた業務を、そのままサービス低下を招くことなく民営委託できているかというところも、検証もできていないというふうにも思います。広い知識を持った職員が多く退職されて、新しい新任採用によって一から行政マンとして育てていかなければならない状態、各部長は今の現場がどのような状況になっているのか、本当に危機的な状況であるということは、多分わかっておられるというふうに思います。
先般ありました2日、3日の奈良のイベントに対しまして、職員の多くに動員がかけられた事実もございます。なぜそういった動員をかけなければならなかったのか、こういったことも各職場に根深い要因が潜んでいるというところは、我々のはかり知れないところであるのかなということを御指摘しておきたいというふうに思います。市長は、そこの各課の現状をもう少し自分の肌で、身で感じて、これからの適正化計画を進めていただきたいというふうに思います。
行政コスト、職員の削減をしていくことは、財政的に大事なことも必要かというふうに思います。退職手当債の償還額の、起債の算定基準にもなっているところから、やっぱりその辺の状況も踏まえると、推し進めていかなければならないところでもありますが、やはり根底のところの市民サービスへの影響、これが直結する市役所の現状をもう一度立ち返って、確認をしていただけたらというふうに思います。
次に、保育教育士の処遇改善と保育教育士の安定確保に向けた取り組みですが、この課題は、私、ことし3月の予算審査特別委員会でも取り上げさせていただいて、今回、改めてお聞きした内容でございます。
保育所の現場実態はどうなんでしょう。正規職員が少なく、そのほとんどの業務が臨時職員に頼っているといった現状であるそうです。私も幾度か視察、見学に行かせていただきました。非正規の比率が高くなってきており、正規職員との業務の区別ができなくなっているのが現状でございます。大体3月のときにも、正規職員と非正規の同一労働・同一賃金のこともお尋ねしました。正規職員はやはり責任ある保育計画だとか、その管理をする仕事を賄っているので、当然、正規職員と臨職との差はありますよ、つけなければならないというふうなことをおっしゃっておりましたが、そのことすら一日一日の管理業務を臨職の皆さんに頼らざるを得ないといった現状が今の保育現場でございます。
昨年度においても49人の方が退職されて、採用が7人であった。その採用においては、96人の応募があったという事実から、じゃ、その中から優秀な人材も多くあったわけですけれども、臨時職員として採用できなかったのか。やっぱり臨職としては応募がなかった、正職を望んでおられる方が多いといった実態がここにあります。正規職員と非正規職員との処遇の違い、これはやっぱり労働環境が違い過ぎる結果として、今の保育教育士の不足に悩まされているというのが全国的な問題であるというふうに思います。やはり同一労働に対して同一賃金、この原則が不可欠になっているというのは、少なくとも退職される方の補充は最低限必要なのかなというふうに思います。
大きな課題は、幼保一元化の計画を整備し、少なくとも5年、10年先の幼児保育のあり方、方針を明確にして、それに対しての適正人員の配置をしていくことが必要なのかなということを指摘しておきたいと思います。
最後に、議案第92号についてでございますが、題名といたしましては、退職手当の持つ意味と考え方ということで通告をしておりましたが、このことについては、都度の本会議並びに委員会などで、退職手当の持つ性質について、私自身も議論をさせていただきました。
先般、市長から御答弁があったように、本来、退職手当とは勤続報償、それから生活保障、賃金後払い的な要素を有しており、在籍中における公務への貢献、功労に対する報償、それから特別職の退職手当については、在籍中における市政の功績に対する報償であり、より有能な人材を確保するという点からも、退職手当を支給することとの考え方が示されています。
また、今回の条例改正を行うに当たっては、現在、特例条例が制定されている市長、副市長、教育長と同様、退職手当を支給しないこととの考え方も示されましたが、これはやはり最初は平成24年7月に就任された常任監査委員及び企業局長の特別職における特例条例を平成24年9月の定例会で承認をしたことから、後に続く副市長、教育長の特例条例も承認することとなったわけでございます。今回、この特例条例を承認することは、後の任期を迎える特別職の特例条例を承認していくことを認めていかなければならず、このことが続けばこれが既成事実となっていくおそれも懸念しなければならないというふうに思います。
現在、特別職を担っていただいている方々は、行政マンのトップリーダーとして行革姿勢を十分示していただき、その役割を果たしていただいているのではないかなというふうに思います。全国中核市においても、市長の特例で廃止しているところは1市、2市あるようでございます。しかし、特別職の特例を定めているところは見当たりません。確かに財政健全化に向けた減額とかいう部分については、何市かあったようには思いますが、やはり奈良市、本市においても財政健全化に向けた取り組みをしていこうというその姿勢を見せるならば、水準の見直しをすればいいのではないかというふうに思います。このことを指摘させていただきまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。