平成28年9月 決算審査特別委員会-09月14日
平成28年9月定例会 決算審査特別委員会質問要旨
1.平成27年度予算 重点施策項目から 住みたくなる街関連事業施策について
2.プレミアム商品券事業の経済効果について
3.新興国へのプロモーションについて
4.総合案内所の機能強化について
◆内藤智司
平成27年度の予算編成のときに重点施策項目というのが出されていたと思いますが、この中からちょっとピックアップさせていただいて、新規予算等を中心に、その成果等を検証させていただきたいと思います。
1.平成27年度予算 重点施策項目から 住みたくなる街関連事業施策について
まず、地方創生の中で、奈良ブランド推進課長お願いいたします。
住みたくなる街ということで、事業総費4880万円のほとんどが新規予算で計上されていますが、平成27年度の部分で、定住促進事業を初めとして5つの合計4080万の事業が、奈良ブランド推進課の担当事業として上げられてきています。これらの5事業の内容の成果についてお聞かせ下さい。
◎吉村啓信奈良ブランド推進課長
平成27年度予算案重点施策項目の住みたくなる街に掲げております5つの事業は、地方創生先行型交付金を財源としたもので、大きく分けて、定住促進に関する3事業と、空き家対策に関する2事業があります。
まず、定住促進に関しましては、三世代同居・近居住宅支援事業とシティプロモーション・ホームページ制作事業、そして3つ目が、定住促進事業を実施いたしました。
三世代同居・近居住宅支援事業は、市外在住の子育て中の世帯が、市内在住の親世帯と同居あるいは近居するために、住宅の取得やリフォームを行う費用の一部として、最大20万円を助成し転入、定住につなげるという補助制度であります。平成27年度に補助金を交付した9世帯32人の方に、市内に転入していただいています。また、12月には、定住促進に特化いたしましたホームページを開設し、定住促進事業の中で実施しました大阪及び京都での定住促進イベントの参加者150人を含めまして、合計243件のお問い合わせや資料請求を平成27年度中にいただいています。
空き家対策に関しましては、空き家等総合対策事業と空き家・町家バンク活用住宅支援補助事業を実施しました。
空き家等総合対策事業では、市内全域の空き家の実態調査、常設の空き家相談窓口の開設やセミナー、個別相談会の開催とともに、空き家・町家バンクのホームページを立ち上げました。現在、空き家バンクには、23件の物件登録、48人の利用者の登録があり、これまで5件が成約し、7件が交渉中でございます。また、空き家バンクと奈良町の町家バンクへの登録をふやし、物件の流通を促進するため、バンク登録物件の売買や改修及び内部の荷物撤去に対する補助制度を新設いたしました。平成27年度の補助実績は、改修に対する補助が5件、荷物撤去に対する補助が10件、合計15件となっています。
◆内藤智司
これは、主要な施策の成果説明書の24ページに当たる部分ですが、今回、先ほど答弁のあった予算4080万円に対しまして、定住促進経費について、決算額が2850万円となっておりまして、1230万円の大きな不用額が生じておりますが、この不用額が生じた主な事業とその原因について分析されているのかお聞かせください。
◎吉村啓信奈良ブランド推進課長
定住促進経費に生じました不用額は、先ほど答弁させていただきました空き家バンク登録物件の売買や改修、あるいは荷物撤去に対する補助事業におきまして、1600万円の予算額に対して執行が432万1000円となり、約1168万円の不用が生じたものが主なもので、この不用の原因としては2つあると考えております。
1つ目は、空き家バンク制度の立ち上げが昨年12月となり、十分な周知期間や改修などを行っていただく期間をとることができなかったこと。2つ目の原因は、空き家バンクの対象区域としている東部地域と奈良町におきまして、登録していただく物件の掘り起こしが十分でなかったことと分析しております。
◆内藤智司
空家等実態調査について、その結果とその成果を、今後の空き家利活用に向けてどのように生かしていくのかお聞かせください。
◎吉村啓信奈良ブランド推進課長
昨年度行いました空き家の実態調査の結果、市内で空き家となっております戸建て住宅は2,722戸でございました。地域によって空き家率の差異はありますが、市全体に空き家があることが改めてわかり、また、空き家のうち2,622戸は、利活用が可能な状態であるという結果でございました。この利活用できる空き家を、まちづくりの資源として有効活用していくため、引き続き、空き家の相談窓口体制の充実、あるいは情報提供など、今後の空き家利活用に向けた施策に生かしてまいりたいと考えております。
また、東部地域には、利活用できる可能性がある物件が約140戸ございました。空き家バンクの登録件数をふやし、東部地域への移住、定住を希望される方とのマッチングを進めるための資料として今後活用してまいりたいと考えております。
◆内藤智司
この事業が始まるときにお聞きしたときは議論があったと思いますが、、市街地につきましては、民間が空き家に対してその利活用を行っているので、東部を中心に取り組みをしていくということでございました。今、その東部を中心に取り組みをされているんですが、一定の成果を出せて、ノウハウが蓄積されるようであれば、今後においては、市街地においても民間企業と連携しながら空き家の解消につながれば、事業展開も効率的にできると考えますので、その点を要望させていただきます。
2.プレミアム商品券事業の経済効果について
次に行きます。商工労政課のほうのプレミアム商品券の事業の経済効果について、お伺いしたいと思います。
平成27年度の地域経済の活性化施策、国の緊急経済対策交付金の活用から補助予算5億700万円が予算化されたものですが、事業に対しての執行状況と、それに伴う経済効果を把握されているようでしたら、どのように把握されていますか、お聞かせください。
◎花村淑子商工労政課長
プレミアム商品券事業実施による執行額と経済効果についてでございますが、奈良市では、子育て世帯の経済的負担を軽減し、生活を支援することを目的とした子育て世帯応援プレミアム商品券と、市内の消費を喚起し、地元経済の好循環による市内事業者の活性化を図ることを目的とした奈良市ポイント付プレミアム商品券の2種類の商品券を発行いたしました。それぞれの使用額は、子育て世帯応援プレミアム商品券が7億1156万4000円、奈良市ポイント付プレミアム商品券は9億82万2685円でございます。なお、この事業についての委託額は5億610万4361円でございました。
こちらの御質問の経済効果につきましては、特に、経済効果を狙いといたしました奈良市ポイント付プレミアム商品券事業の実施に関しまして、経済効果を検証するため、使用者600人を対象にアンケートを実施し、311名の方から回答をいただきました。その結果から、プレミアム商品券及び奈良市ポイントがなければ購入しなかった商品・サービスの割合が、商品券等使用額の約38.9%でございましたので、消費喚起額は3億5046万円と試算しております。
◆内藤智司
国の交付金における事業ですので、事業に対するそのものの評価というのは控えさせていただきますが、一部経済効果をとっていただいております。このことについては、本市の事業の評価としては一定できると思いますが、いずれにしても一過性のものであり、全国的にも多額の予算を投じて行うには、いささか問題のある事業と指摘をさせていただきます。
次に、インバウンド戦略の事業があったと思いますが、総事業費が9200万円程度の分でございますが、この分を中心に幾つか質問をさせていただきます。
3.新興国へのプロモーションについて
まずは、新興国へのプロモーションについて、外国人観光客誘致のための活動として、台湾への働きかけなどを行っていると思いますが、新興国へのプロモーションについて、その内容と成果があれば、お聞かせ下さい
◎今中正徳観光戦略課長
新興国へのプロモーション活動の内容とその成果についてですが、訪日外国人観光客が急増する中、国内各自治体の海外プロモーションも競争の時代を迎えており、奈良市といたしまして、関西圏への距離が近く、経済発展を続ける東南アジアを対象に、奈良市の魅力を新たに認識していただける市場を開拓すべく取り組んでいるところでございます。
具体的には、世界第4位の人口を有し、親日的な国民も多いインドネシアを対象に、平成26年度からプロモーション活動を行っております。内容につきましては、平成26年度におきましては、奈良市の観光の全体像の説明と、エージェントとのコネクションづくりを目的に、また平成27年度は、インドネシアにおける奈良市の商品造成と知名度向上を目的にプロモーション活動を展開してまいりました。
主なプロモーション先といたしましては、現地旅行エージェントはもちろんですが、修学旅行誘致のためにジャカルタ特別州教育局、情報発信力強化のために芸能関係で人気の高いアイドルグループJKT48関係事務所、報道関係といたしまして現地新聞社やテレビ制作会社、インドネシア国民への直接的なPRとして、注目が高いショッピングモールであるイオンモールに対して総合的な活動を進めてまいったところです。
その成果といたしましては、現地旅行エージェント9社のうち4社に奈良市を訪れる商品を造成いただき、平成27年11月に行われた現地最大級の旅の見本市であるジャパン・トラベル・フェアにおいて、現地旅行社と連携して759人に販売いたしました。また、ジャカルタの環境問題に取り組むNPO団体12名が来日した機会を捉え、奈良市に宿泊していただき、市内でのごみ拾い体験を通して奈良市の魅力を実感していただき、インドネシアにSNS等を通じて発信していただきました。
このような取り組みの中、奈良市観光案内所におけるインドネシア人利用者数につきましても、平成26年が1,759人、平成27年が1,982人と約13%の増となっており、少しずつ成果が出ているものと考えております。
◆内藤智司
台湾も含め、現地プロモーションにおいて、実際の活動の中で実践している戦略についてお聞かせいただきたいと思います。
◎今中正徳観光戦略課長
現地プロモーションにおいて実践しております戦略についてでございますが、例えば、旅行見本市で配布するパンフレットにつきまして、無理にお渡しして捨てられるのを避けるため、お声がけをして、所望された方にお渡しすることや、ノベルティーをお渡しするかわりにフェイスブックへのいいねをクリックしていただくなど、発信する情報が確実に届くよう心がけております。
また、訪問する現地旅行社の特徴、例えば団体旅行が主なのか、個人旅行が主なのかなどによりましてPRする観光資源の内容を変えることなど、プレゼンテーションにも幅を持たせております。そして、新規訪問と複数回訪問する旅行社を織りまぜるなど、人間関係を構築できるように取り組み、その関係に基づいた会話や情報交換の中から現地顧客の好みや傾向などの情報を取得するなど、与えられた機会を無駄にしないよう工夫をしているところでございます。
◆内藤智司
続きまして、インバウンド戦略の中で、観光振興課に数点お聞きしたいと思います。
4.総合案内所の機能強化について
まず、奈良市総合観光案内所の機能強化の内容とその成果についてお聞かせください。
◎梅森義弘観光経済部参事
奈良市総合観光案内所の機能強化の成果についてでございますが、これは、近年のインバウンド戦略による外国人観光客の増加を受け、おもてなしの観点から観光客の利便性向上を目指し、実施した事業でございます。
機能強化の内容といたしましては、英語、中国語、韓国語のスタッフをフルタイムで配置させ、よりスムーズな多言語案内を実現いたしました。また、外貨両替機、祈祷室、授乳室、多機能トイレの設置、さらに駅の改札から案内誘導サインを表示するなど、より幅広い層に御利用いただきやすい観光案内所として整備いたしました。
平成27年12月には、日本政府観光局から外国人観光案内所の最高ランクでありますカテゴリー3の認定を受けました。同案内所の利用者数につきましては、整備前の平成27年1月から6月までの平均1カ月当たり約1万5000人であったのに対しまして、平成28年1月から6月までの平均約2万3000人と大幅に増加しております。
さらに、平成28年6月末にはカフェもオープンいたしまして、外国人観光客だけでなく、地域の方など多くの方に御利用いただいている状況でございます。7月、8月の利用者数の平均は1カ月当たり約5万7000人と、昨年同時期の平均約2万人の3倍近くになっております。
今後につきましても、奈良市を訪れた際に不自由を感じることなく安心・安全に奈良観光を楽しんでもらえるよう、案内内容をより充実させるとともに、観光客の利便性のさらなる向上と、リピーター増加を目指し、引き続き努力してまいりたいと考えております。
◆内藤智司
QRコードの観光客の案内板の多言語化、これ、予算を1500万円ほどかけていただいているんですが、その部分について、その成果についてお聞かせください。
◎梅森義弘観光経済部参事
QRコードによる観光案内板の多言語化の成果についてでございますが、これは、欧米やアジア等、多くの国々から急増する訪日外国人観光客の受け入れに対応するため実施した事業でございます。日本語の看板や印刷物を簡単に多言語化できるサービスを利用したものでございます。
具体的には、観光客自身のスマートフォンやタブレット端末で観光案内板に添付したQRコードを読み込むと、世界遺産などの主要な観光情報、バスの乗り方などの交通情報、商店街の店名や業種の情報、トイレの使用方法などの情報が、英語、中国語、韓国語、インドネシア語など11カ国語で表示されます。このQRコードを駅から主要な観光ルート上の市内案内板500カ所に設置し、観光客にとって必要な情報を必要な場所で提供し、その利便性を高めるものでございます。
ことし4月から運用を開始いたしまして、7月までの4カ月間で約3万5000件のアクセスがございました。大変多くの、また多国籍の観光客の方に利用していただいておりますことから、その成果は十分にあったと考えております。
また、今年度につきましては、柳生、田原、月ヶ瀬、都祁などの東部地域へ配置を予定しております。今後、より多くの外国人観光客の方に御利用いただくため、提供する観光、文化財情報等のさらなる内容の充実も図ってまいりたいと考えております。
◆内藤智司
今回、インバウンド戦略として、観光戦略課長と、それから観光振興課長のほうに数点をお聞きし、その成果についてお伺いをさせていただきました。新興国へのプロモーションでは、インドネシアに焦点を合わせて観光案内における利用者数が1割強増加したという指標も出されております。また、現地プロモーションにおいては、人間関係を構築し、いわゆる民間でいう営業マンとしての役割を意識しながら、地道な活動をしていただいていることが、一つ、そのプロモーションにつながっていると感じております。
総合観光案内所の機能強化においては、3語の多言語案内によってカテゴリー3の認定を受けた。このことによって1カ月の平均利用者数が8,000人、大幅な増加が図れたという評価、それからカフェオープン後の利用者数が3倍近くになったということの指標評価、こういったものを成果として把握していただいているというところでございます。QRコードにおいても、その成果指標を定めて、成果の把握に努めていただいていると思います。
今回、重要施策の一部の事業において確認させていただきましたが、これまで観光事業というのは、やはり奈良市の基幹産業としながらも、その費用対効果が求めにくく、その成果について見えにくいところでありましたが、事業の予算を執行する段階において、やはりその成果を把握する指標を定めて、事業における分析を行う。このことで、やはり次の課題も見えてくると思います。一つ一つの事業に対して、チェック、アクションが十分図れるよう、今後も要望させていただきたいと思います。
次に、施策の成果の中で道路維持課長、よろしくお願いをいたします。
街路灯のLED化の推進を図っていただいているところでございますが、平成27年度までの効果と今後の見込みについてお聞かせください。
◎木村康貴道路維持課長
街路灯LED化の進捗状況とこれまでの効果と見込みについてでございますが、本市には平成26年度末で約4万4000灯の街路灯があり、うち約3万8700灯が防犯灯タイプで、約5,500灯がハイウエー灯タイプです。街路灯LED化事業は、この防犯灯タイプの取りかえ事業で、平成24年度事業開始から平成27年度末で約1万4500灯のLED化を実施しております。進捗率は約37%でございます。
次に、LED化の効果といたしましては、電気料金につきまして、平成24年度から平成27年度までの施工分で試算いたしますと、年間で約3700万円程度の削減効果があり、CO2につきましては、約960トン程度の削減効果がございます。今後、防犯灯タイプの街路灯につきましては、平成28、29年度で、残り約2万4200灯のLED化を実施する予定でございます。
◆内藤智司
LED化のほうも、年度で進めていただいているところであります。最初のときには15年償還という形で電気代が半分になるというところから、十分、その取りかえに対しての効果が図れるというところから実施をしていただいたところでございますが、進捗については順序よく進んでいるという形で確認をさせていただけたと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは次に、奈良町にぎわい課長、よろしくお願いをいたします。
伝統的な町家が多く残る奈良町において、それらの伝統的な建造物を後世に伝えるため、外観の修理にかかる補助金として、奈良町都市景観形成地区保存整備事業や歴史的風致形成建造物保存整備事業を実施されております。また、平成25年から3カ年でモデル事業としてならまちの建物内部の改修モデル事業を実施されておりますが、それらの平成27年度の事業実績と今後の事業展開についてお聞かせください。
◎徳岡健治奈良町にぎわい課長
事業実績についてでございますが、奈良町都市景観形成地区保存整備事業とならまち町家建物内部改修モデル事業につきましては、補助申請が平成27年4月当初に予算額を超えたことから受理できない物件が数件ございました。このことから、昨年9月議会におきまして、奈良町都市景観形成地区保存整備事業は3000万円、ならまち町家建物内部改修モデル事業は1500万円の補正予算の御議決をいただいたところでございます。
それぞれの補助事業の実績につきましては、奈良町都市景観形成地区保存整備事業は14件の6486万9000円、歴史的風致形成建造物保存整備事業につきましては3件の932万3000円、ならまち町家建物内部改修モデル事業は15件の4617万6000円でございます。
また、今後の事業展開についてでございますが、奈良町都市景観形成地区保存整備事業が約30年経過し、また、ならまち町家建物内部改修モデル事業も終了したことから、今年度は、奈良町の町並み保存のあり方を考える懇話会を設置し、これらの事業成果を検証するとともに、今後の町並み保存について検討しているところでございます。
◆内藤智司委員
奈良町は、この奈良市の持つ観光事業の一つの大きな財産だというふうに思います。今後とも、地域の皆さんと連携しながら、この奈良町の保存のあり方を検討していただくよう、要望致します。
続きまして、重点施策項目の最後のところにありました、行財政改革の関係について、何点かお聞かせいただきたいと思います。
まず、市民課長、よろしくお願いをいたします。
民営化の関係でございます。業務の民営化ですが、この市民課窓口を皮切りに、各課で、今、契約更新を迎えようとしていますが、この市民課業務の窓口につきましては、3年契約がこの春に過ぎまして、次の更新というタイミングに来ているわけでございますが、既に、その更新を終えて入札を終えているとお聞きをしているんですが、今回のこの3年間をどのように評価されているのかお聞かせ下さい。
◎高井勝市民課長
市民課窓口業務等委託の3年契約を過ぎまして、3年間をどのように評価するかでございますが、導入当初は繁忙時期とも重なったことや、委託業者の業務知識及び経験不足もあり、一部混乱もありましたが、現在では円滑な窓口業務対応が可能となり、市民サービスの向上、業務の効率化につながっているものと考えております。
◆内藤智司
当初、民営化する断面において、本当に市民の窓口を民営化してもいいのか、本当に市民サービスの低下にならないのかということを大分懸念をさせていただいて、多くの議員から、その議論をさせていただいたところでありますけれども、この3年を過ぎて、窓口業務も一定安定して業務をこなしていただいていると思いますが、今回、更新という形でしていただいたと思いますが、前回の落札価格に比べて今回幾らになったのか、また、その要因は何なのかをお聞かせいただきたいと思います。
◎高井勝市民課長
契約金額の比較及び増額の要因についてですが、市民課窓口業務等委託契約は、業務委託導入当初、公募による一般競争入札により、3年の長期継続契約をテンプスタッフ株式会社と月額467万1450円で契約しております。今回の更新契約につきましては、提案内容と入札価格により総合的に判断する総合評価落札方式による一般競争入札により、引き続き3年の長期継続契約をテンプスタッフ株式会社と月額565万9200円で契約したものであります。
当初の契約と比較し今回の契約金額が増となった理由につきましては、人件費の増加やマイナンバー制度導入に伴う住民異動処理の際に生じる通知カード等への記載など、業務量の増によるものでございます。
◆内藤智司
今回は、同一業者によって増額されて契約したという御報告、答弁であったと思います。先ほど他委員からもありましたように、民間で行うということに対して、全て反対ということではないですが、同じ仕事をするに際して、1人に対しての賃金対価というものがやっぱり損なわれていくことが懸念されていく、1つの事業が、同じ100で受けた仕事を次の入札のときに70になる。これはやっぱりどうか、どうしてもそう考えざるを得ないということで、今お聞きしたわけでございますけれども、中身によりますと、人件費の増加によってのアップ、それから、ほかの仕事を追加したことによっての増額というふうな形でお答えをいただいたと思いますが、今後においてもそういった職員であろうと民間の事業者であろうと1人の労働にかかる賃金というものは同じでなければならないというのが1つ、原則の中でしていかなければならないと思うところです。
今回、同じ会社で落札をしていただいたわけですけれども、仮に、これが違った会社と契約したときに、その引き継ぎというのはどうお考えか教えてください。
◎高井勝市民課長
別の業者が落札をした場合の業務の引き継ぎについてでございますが、委託仕様書において、業務が円滑に執行されるよう、次期受注者に対して業務の引き継ぎを行うとともに必要な教育を行うこととするとうたっており、受注者間で引き継ぎをしていただくこととなっております。
また、契約後一定の期間、引き継ぎ業務を実施するに当たり、委託開始時の混乱を避けるため、次期受注者と市との間で処理判断基準等について十分な協議を行うとともに、受注者においても十分に必要な研修を行っていくように定めております。
◆内藤智司
基本は業者間で引き継ぎを行うということですね。そういうことですね。
市民課の業務だけではなく、今、いろんなところで民営委託化というのをして、当然、更新することによって業者がかわるといったこともあると思いますが、基本は、私は市の仕事を民間委託しているのであって、それを業者間で引き継ぎをするというのは、基本的におかしいと考えます。そこに、やはり市が介入しなければいけないと思います。今の御答弁の中では、多分、それは仕様書にうたっていると受けとめもできるんですが、そうじゃなくて、その仕様書やったら仕様書の中身をちゃんと熟知した人間が、きちっと引き継ぎの中で市の業務としてやってくださいよということが必要ではないと思います。今回は、同じ業者なのでそういった作業がないということになると思いますが、今後、そういった委託業務の更新を迎えるところにおいては、十分検討していただきたいと思います。
資料要求をさせていただきました、33番でございます。過去の5年間の人件費、そのうちの職員給、それから賃金、委託料、この辺の5年間のデータを出していますが、このデータを補完する意味で、中核市における中でどの程度に位置しているのか、人件費、それから賃金、委託料別に金額もあわせてお聞かせ下さい。
◎増田達男財政課長
資料番号33番の資料にあります人件費、賃金、委託料が中核市の中でどの程度に位置しているかについてでございますが、データが判明しております平成26年度の中核市43市の普通会計決算の情報をもとにお答えさせていただきます。
まず人件費につきましては、平成26年度の奈良市の決算額は246億8985万3000円でございます。一方、中核市の平均額は233億2779万2000円で、本市が13億6206万1000円多い水準となっております。また、順位につきましては、金額の多い順から数えまして、中核市43市中19番目に位置しております。
次に、賃金についてでございます。奈良市の平成26年度決算額は22億8361万円でございます。中核市の平均は9億7575万3000円で、奈良市が13億785万7000円多いということになります。また、順位につきましては、同じく金額の多い順から数えまして、43市中3番目に位置しておることになります。
次に、委託料についてでございますが、奈良市の平成26年度の決算額は86億1865万7000円で、中核市の平均額は122億747万5000円、本市が35億8881万8000円少ないということになります。順位につきましては、同じく金額の多い順から数えますと、43市中33番目に位置しておることとなります。
◆内藤智司
補完していただいたんですが、これを聞かせていただきますと、人件費に関しては、中核市の平均からすると13億円多いですよ、19番目ですよ。賃金に対しては13億円多いですよ、多いところから3番目ですよ。逆に言えばワースト3やという感じですね。委託料につきましては、逆に35億円安いですよというふうなことが言えるのかなというふうに思います。このことは、後ほどまた取り上げさせていただきたいと思います。
それでは次に、行政経営課、よろしくお願いをいたします。
現在、民間委託を進めていただいている中にあって、市全体といたしましては、定員適正化計画を進めながら職員が減少していくというのは、本会議でも述べさせていただいたというふうに思います。そういった委託化を進める中で、基本は、市民サービスが低下しないのかということが、最近、本当に多くの議員の皆さんが指摘をされるようになってきたというふうに思います。このことを十分、今後注視していかなければならないというふうには思いますが、行政経営課として民間委託の計画、今後についてどのように考えているのかお聞かせ下さい。
◎杉本卓総合政策部参事
定員適正化計画により職員が減少していく中で、市民サービスの低下を招くことなく市政を推進していくために、民間委託の計画はできているのかという御質問でございますが、定員適正化計画による職員の削減に伴いまして、限られた人材、厳しい財政面の中にあっては、行政以外の担い手であっても市民サービスの提供が可能であるという考えから、これまで直営業務の民間委託化を進めてきたところでございます。
今後の定員適正化計画を進めるに当たりましては、民間委託を初め、指定管理制度や民営化といったさまざまな手法も検討が必要なことから、現在、これらアウトソーシングに関する指針の策定を進めておるところでございます。
◆内藤智司
先ほど財政課長からお聞きした内容で、他市中核市との平均で考えると、ややもすれば、委託料は他市よりも低いということは、逆に言えば、他市が進んでいるという形になるんですが、その分で言えば、先進市は何の業務を委託化しているのか、把握しているならちょっと教えて下さい。
◎杉本卓総合政策部参事
先進都市ではどのような業務を委託しているかという御質問でございますが、内閣府が示しております市町村の適切な管理のもと市町村の判断に基づき民間事業者の取り扱いが可能な窓口業務といたしましては、22の事業が上げられているところでございます。
直接、奈良市が調査したわけではございませんが、中核市で実施されている業務につきましては、他市の中核市が行いました調査の結果を参考に見ますと、その主要な業務の内容といたしましては、介護保険業務が47市のうち21市、国保業務が15市、保健所関連業務が12市、市民課業務が10市、後期高齢者医療業務が8市といったものがございますが、この中には、既に先ほども答弁にありましたように、市民課業務など奈良市で取り組んでいるものもございますが、この調査結果につきましては、業務の一部を委託しているものも含まれるというふうに考えておりますので、正確な状況をあらわしているわけではございませんので、引き続き、他市の状況を研究してまいりたいというふうに考えております。
◆内藤智司
それでは、本会議で市長が代表質問のときにでも、この民間委託化に対しては、市のコアな部分は職員で、それから、民間委託の力をかりたいところは民間でというふうなことをおっしゃっていたというふうに思うんですが、これも以前もお聞かせはいただいていると思うんですけれども、今、断面でどういった部分で、その切り分けを考えているのか、今後どのような形で業務のアウトソーシングをしようとしているのか、可能と考えているのかお聞かせ下さい。
◎杉本卓総合政策部参事
直営業務と民間委託業務の切り分けについてどのように考えているか、ということでございますが、繰り返しの答弁になりますが、官と民の役割分担につきましては、民間にできるものは民間に委ねるという考えに基づき、市が行う必要性やサービスの水準、コストなどの視点から検討し、奈良市でも民間委託等を実施してきたところでございます。
また、今後の業務のアウトソーシングにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、他の中核市においてもさまざまな、いわゆる業務委託に取り組んでおられるということですので、これらの事例を参考に、定員の適正化が進む中で、どのような業務をどのような形態で運営するか、それが奈良市にとって最適なのか、それぞれの事情に応じた効果的なアウトソーシングの手法を検討してまいりたいと思っております。
◆内藤智司
前に、3月の当初予算のときに、これ、松石委員から議論があったところですが、地方の交付金にかかわる仕組みとして、トップランナー方式が採用されているという議論があったように思います。今後の交付金の算定にあっては、こういった委託化とか指定管理等をすることによって、その水準を標準の算定基準として、要は、これまでの交付金を減額していきますよ、それを標準にしますよと解釈やったかなと思いますが、それはどういうことやというと、委託化しなくてもしても、要は交付金は減っていくよ、その経費は自分たちで委託化をして、その経費は自分らで努力しなさいという解釈になると簡単に思っているんですけれども、要は、国自身が地方自治体の委託化を推奨していく一つの手法にしているのかなと思いますし、退職手当債が復帰をしました。これの償還に当たっても、この人件費を削減していくといった努力代が、その償還算定基準にも取り入れられている、国自身が、そういった地方の行政コストを下げさせることによって、交付金なり、そういった手だてをやっていくとなっていて、地方の自治体としては、それをせざるを得ない、そうしなければ財政基盤がどんどん膨らんでいくという形になっていくと思います。
そういった意味では、委託化なりを進めていかなければならないことはあるんですけれども、一方では、定員適正化がどんどん進められています。本会議でも言いました。これから5年間かけて、毎年45人なりの職員が計画的に削減されていきます。その一方で、そしたら委託化なりが本当にうまく進んでいるのかということになれば、そこの部分が、片や職員が減らされていく、そのしわ寄せはどこへ行くんだという形になれば、やはり職員にかかっていくやろうし、それが一つの、現状かなと思っております。前にも議論がありました。病欠で休んでおられる方々がふえているといった状況も報告がありました。本当に、ここにおられる部長、それから課長、現場がそういった悲鳴を上げている状況というのは感じておられるというふうに思います。両副市長を初め、トップのリーダーとして、やはりこの辺の分については十分認識をしていただきたいというふうに思います。
済みません。最後に、病院管理課長お願いいたします。急いでいきます。
平成27年度の病院事業会計決算から、市立病院についてお伺いします。
診療機能強化と診療体制について、耳鼻いんこう科、整形外科、それから麻酔科、呼吸器内科において、医師それぞれ1名及び医療技術者5名を動員し、診療体制の強化を図ったとありますが、その4科に医師4名を増員していますが、どのような要因によるものなのか、また医療技術者の増員をしていますが、その職種と人数はどのようになっているのかお聞かせください。
◎松原健次病院管理課長
平成27年度に医師を4名増員している要因でございますが、整形外科が27年度に人工関節センターを設置したことにより1名、麻酔科は手術件数の増加により1名、呼吸器内科は常勤職員として1名を採用、耳鼻いんこう科は患者数の増加に対応するため1名の、合計4名増員いたしております。
また、医療技術者の増員をしているがその職種と人員数はどのようになっているのかについてでございますが、患者数の増加により診療放射線技師1名、理学療法士2名、作業療法士1名の増員、医療機器の管理業務増による臨床工学技士1名の増員を行ったものでございます。
◆内藤智司委員
では、患者数の増加により医師、医療技術者を増員させているとのことですが、実際の病院における診療時間や外来の待ち時間の現状は、どのように改善されているのか、よろしくお願いいたします。
◎松原健次病院管理課長
医師、看護師、医療技術者の増員をしているものの、外来患者も年々増加しており、平成25年度で20万1439人で1日平均685.2人、平成26年度で21万4630人で1日平均732.5人、平成27年度には22万7193人で1日平均772.8人となっております。
また、病院が平成27年度に実施した患者満足度調査における診療時間の待ち時間に関する設問では、長時間待たされた9.6%、待たされた29.9%で、合わせて39.5%という結果を確認しております。
◆内藤智司
今の御答弁から、待ち時間については外来患者数3年間の推移を見ると、1日平均が増大しているが、病院が実施しているアンケート満足度調査で、診療時間の待ち時間について、約1割程度の患者が長時間待たされているとの回答を寄せているということが確認できます。待ち時間だけではなく、病院へ車で来ても、駐車場に入る車で車列ができて駐車場に入るのに時間がかかる。受付においても、患者であふれて、多くの患者が朝一番に来ても診察をしてもらえない。ひどいときには、3時であったということも聞きます。
市立奈良病院として、この現状をどのように認識しているのか、どのように対策されているのかお聞かせください。
◎松原健次病院管理課長
市立奈良病院の役割は、奈良県地域医療構想から見て、構想区域での4疾病のがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、3事業の救急・周産期・小児救急における急性期機能区分を中心とした医療を展開するとともに、将来の事業戦略として、現状よりもさらに高度急性期医療を担うことを考えております。
しかしながら、現状としては、外来患者が年々増加しており、その対策の検討も必要と考えております。
◆内藤智司
高度急性期病院を目指しているとのことですが、現在の患者数の推移を考えても、二次救急病院としての体制が整っているようには思いません。救急や高度医療を目指すのであれば、地域の医療機関からの紹介を中心とした診療連携が必要と考えますが、現状では、日々の患者数が増加することで、一般外来者に対して医師の1人の負担が大きくなっていますが、市立病院を受診されている患者の受診内容で、地域の医療機関から紹介による診察が過去3年間でどのように推移しているのか、また逆紹介率の推移はどうなっているのかお聞かせください。
◎松原健次病院管理課長
市立奈良病院における、過去3年間の紹介率及び逆紹介率の推移はどうなっているのかについてでございますけれども、紹介率につきましては、平成25年度が26.3%、平成26年度が28.6%、平成27年度が28.8%。
逆紹介率につきましては、平成25年度が20.5%、平成26年度が23.6%、平成27年度が22.6%となっております。
◆内藤智司
二次救急や高度急性期病院を目指すということは、市立病院単独でできるものではなく、地域の連携なくしてかなうものではありません。その思いから、市立病院として、地域の医療機関からの紹介状の受診率を向上させること等、各地域の医療機関や医師会への周知を徹底することが必要と考えます。紹介状のない患者に対する初診料の見直しも検討する必要があると考えます。よりよい基幹病院を実現できるよう要望しておきたいと思います。
質問を終わります。