平成29年 総務委員会 4月25日
平成29年 総務委員会 4月25日
【働き方改革についての質疑応答・主張・要望】
◆内藤智司
3月定例会において、私は、働き方改革をテーマに挙げて質問した。その際に、市長は、本市の非管理職である職員の長時間勤務の実態について、「年間720時間を超える職員は、平成23年度は47名であったのに対し、平成27年度は23名と半減している」と答弁した。また、職員数についても「定員適正化計画に沿って削減を進めてきた」と答弁した。実態は、私も何度か指摘したが、計画より2年前倒しになっているとも指摘した。これは計画に沿ったとは言えないと思うし、表面上の数字としては長時間勤務も職員数も削減し、行政効果を出せたという意味では成果なのかもしれないが、そのしわ寄せが、管理職の長時間勤務時間の増加など、管理職の負担が増しているのではないかとも指摘した。平成28年度実績として、年間720時間を超える時間外勤務を行った管理職は何人いるか?そのうち年間1,000時間を超える管理職は何人いるか?本年2月1日から全管理職の正確な勤務時間を把握し、健康管理に努めるとして、出退勤システムによる勤務時間の管理を始めたと聞いている。その後の2月、3月の実績として、月60時間を超える時間外勤務をされた管理職は何人いるか?そのうち過労死レベルとされる月100時間を超える時間外勤務をしている管理職の数についても問う。
◎中井史栄人事課長
平成28年度においては、全管理職の長時間勤務の実態を把握できていないので、管理職のうち出退勤システムで時間外の勤務を把握できた課長補佐級職員の実態について答える。平成28年度において、年間720時間を超える時間外勤務を行った課長補佐級職員は20名、そのうち年間1,000時間を超えた職員は5名です。管理職を含む全職員の勤務時間管理を開始した本年2月からの実態は、企業局を除く全管理職492名のうち、月60時間を超える時間外勤務を行った管理職は、2月では33名、3月では69名で、そのうち100時間を超えた職員は、2月で10名、3月では18名です。
◆内藤智司
管理職の勤務実態を聞いたが、これはあくまで出退勤システム。要は出勤して退社したカードによるものと思うが、実際のところは、出退勤システムを通さなかった方がいるのか。または、先に通して仕事をしているのか。その実態も把握するのが本来かと思う。 某企業では、出退勤システムと合わせて、パソコンのオンオフの時間も同時に管理されている企業もある。それで乖離が出れば、そこの乖離に対して是正をしていくやり方もあると思う。 現時点でのデータの出し方としては、一定の参考値になると思うが、時間外の縮減、人員の削減によって一部の管理職に対しての負担が増しているということは、今出た数字からも明らかだと思う。このように、管理職が健康を害するおそれがある勤務状況は、トップである市長、副市長等に認識してほしいと思う。市長は、組織を挙げて長時間勤務の是正などの働き方改革に取り組んでいくと話していた。働き方改革は、係長以下の一般職だけではなくて、全庁的に取り組むべき。管理職も入れた形で同じく重要な課題であると思うが、向井副市長の考えは?
◎向井政彦副市長
管理職も係長以下の一般職と同様に、長時間にわたる時間外勤務を余儀なくされている、その事実については、今年の2月、3月の時間外勤務の実態からも確認している。長時間勤務の是正などの働き方改革については、管理職、一般職の区別なく全庁的に取り組むべき重要な課題であると認識している。
◆内藤智司
行政のトップである副市長の心強い考えを聞いたと認識しておく。次に、奈良市の長時間労働の実態と今後の考え方について、3月議会での私の代表質問に対して市長は、「業務分担の柔軟な変更、業務の必要性の検討」、それから「仕事のやり方の再点検、他部署との有効な連携の模索」など、全庁的に検討を進めていく必要性と働き方改革を担当する専任の職員を配置するなどの答弁があった。時間外勤務の縮減や職員の働き方、つまり労働環境の整備や各種休暇、休業制度、働きがいやモチベーションの向上についてなどは、一般的には人事課が所管課と思う。今回の人事異動では、総合政策部に参事として担当職員を配置されたと聞いた。そこで、働き方改革を担当する職員をなぜ総務部でなく総合政策部に配置したのか? また、今後の本市における働き方改革などをどのように推進するのか?
◎津山恭之副市長
この働き方改革とは、長時間労働の是正、ダイバーシティなどさまざまな要素を包含しているところだ。しかし、国において、一般的にも労務管理、そして人材育成の視点から、人事担当部局を中心として取り組まれている。これが現状だ。本市においても、これまではこのような動きをしてきた。しかし、働き方改革、この阻害要因については、労務管理、人材育成の視点、これのみならず組織のあり方、マネジメントサイクル、業務改善など複数の要因が重なっていると考えている。本市においては総合政策部、人事課を所管する総務部、これが両輪となり全庁的な改革を推進していくという形で進めていくと。そして、中でも業務改善の必要性、これを重点的に考えるということで、総合政策部の中に配置した。次に、今後の推進体制については、働き方改革を全庁挙げて取り組むと言ったが、市長、副市長、部長級職員、これらで構成する、「奈良市働き方改革推進本部」、これを本年度に設置した。今後は、この推進本部において具体的な取り組みの検証を行うが、併せて、各職場が主体性をもって改革を進めていく。そのことが重要であるので、その効果を実効性のあるものとするために、専任職員が中心となり各職場と横断的な対応を行いたいと考える。
◆内藤智司
では、長時間労働の是正について、職員数の削減が見込まれていく中、以前からワークライフバランスの確立を目指して、時間外勤務の縮減を全庁的に取り組んできたと思う。これまでも時間外勤務の縮減のワーキングでは、時間外勤務の発生要因を分析さたと思うが、今、改めてそれを行うタイミングではないと思う。今後の奈良市の働き方改革推進本部の取り組みについては、現場主導により円滑な働き方を進めるだけではなく、その先にある実効性を求めていくことが私は重要であると考える。マネジメントをされる側よりもする側がどのようにしていくのかが問われると思う。再度、働き方改革をどう推進されるのか?
◎津山恭之副市長
マネジメントする側、この動きが本当に大きなものを占めると思う。管理職が部下に対して、いかに効率的な働き方への対応を求めていくのか。まずは、市として、本来あるべき働き方の方針を示すことが重要であると思う。具体的には、部下に対しての適切な指示、オンとオフの切りかえ、時間外に仕事を命じることのないよう、管理職が自ら働き方改革を進める姿勢を持ち、先頭に立って行動を示していくことが大事だと考える。その上で、一般職員がその方針に見合う仕事の進め方を考え、実践していく中で、最終的には労働生産性が高まっていくものと思う。そして、働き方改革推進本部においても、全ての職員が業務改善の意識を持って仕事に打ち込めるようなバックアップ体制を進めたいと考える。
◆内藤智司
【主張・要望】
この働き方改革について、その対策本部を部長のチームでまず率先してやる。と心構えを聞いた。ただ、方向性を間違ってはいけないのは、長時間労働を削減するための働き方改革ではないとお願いしたい。職員がいかに働きがいを持って生産性コストを上げていくか。一組織である以上、働く人々の能力をいかに高めて、生産性につなげるのか。それが働きがいとなり、効率性のある仕事につながっていくと思う。その部分を議論したいと思う。 次に、働き方改革の一例として、ある大手とされる企業の管理職が過労死という認定を受けて亡くなった例がある。その企業に対して、当然、労働基準局が入り、調査を行い、その会社の働き方を監視、調査した。会社は、当然、今言っている「働き方改革をどうする?」という会議体が設けられ、今年4月から職場に張り紙がされた。内容は、「パソコンの電源オンは、始業前の10分以前には原則禁止。終業時刻以降、昼休みのメールの送信は原則禁止、時間外労働の事前申請の徹底並びに役職者が業務内容とその量、納期を勘案し、本当に時間外の必要性があるかを確認し、承認することを徹底する」。いわゆる時間外の指示のあり方、これを徹底する。仕事のやり方を見直し改善する。という中では、資料を作り込む前に簡単な手書きの資料で上司に相談をして、説明をする。会議や打ち合わせ、懇談等の終了時間をあらかじめ設定し、レジュメごとで時間管理を行うなどがされた。 庁内の中で話を聞くと、「所属長にきちっとした状況でないと、なかなか判を押してもらえない。その方向性を示してもらえない」。要は、資料を作ることに力を注がなければならない。なので時間がかかる。また、この8年間の中でよく言われたのは、昨日と今日で話が違う。また資料の作り変えの繰り返しで時間外が増えた。なども大きな要因ではと聞いている。仕事を与える側として、そこを把握し、職員に目標値を持ってもらい、その目標値に対してどういう仕事を与えていくのか。目標値に対して、目標値を積み上げるような仕事のやらせ方は、基本的には、その目標値に対して、やりがい感というのがなくなるだろうし、職員一人一人の能力を上げていくということに対しては、管理職マネジメントとしての責任だと思う。 そして、職員を減らすというか、行政コストを下げるという、一つの財政的な部分はあると思う。民間委託、非正規の採用を業務の切り分けをしながら、民間に任すところは任す。非正規、アルバイトでする業務の切り分けは、今後必要になると思うが、「この業務はこの賃金でこういった仕事をしてもらおう」。だから、正規職員はこの仕事をする。はいいと思うが、現業職に対して同じ仕事をしているのに、賃金は違うということは是正をしなければ、その職場の働きがいというものが全くなくなってくると思う。一部保育教育士では、正規、非正規の比率が、もう半数近くが非正規雇用という状況になっている。 今までは、「正規職員は管理の業務がある。だから、正規だ」。非正規はそうではないところが、今の実態では言えなくなっていると思う。同じ仕事をしているのに給料が違う。その上、待機児童が増えていき、お母さんたちが困っている。市民サービスの低下もその一部だ。そういったことも含めて働き方改革を進めていくには、「任期付職員の検討」というのは、もう一度再考することが、一つの働き方の考え方としては、私はいいのではと思う。 今、特別職なり専門職の方は、任期付という条例が何年か前に制定され、可決されたと思うが、それを一般職の条例にすることによって、市職員全体の働き方の担い手になるし、例えば、「園長先生が今度足らない、どうする?」というところについても、そういった制度ができれば、活用できる。特に今問題になっているのはケースワーカー。これも市職員しかできない業務なので、再考していくことで職員全体の働き方を大きく変えられるのではないかと要望する。