平成29年10月 市民環境委員会 10月20日
平成29年10月 市民環境委員会 10月20日
【1、クリーンセンターの建設計画について】
【2、環境対策について】
【3、地域自治協議会の件について】
【1、クリーンセンターの建設計画についての質疑応答・意見・要望】
◆内藤智司
仲川市長は、中ノ川町・東鳴川町の地域内を最終候補地としたクリーンセンター移転建設計画が暗礁に乗り上げている、閉塞しているという状況から、選挙公約に「広域化や現地建てかえも含め、あらゆる手法によりクリーンセンター問題の解決を加速させる」と掲げて、問題を市民に問い、3選の当選を果たしたという経過がある。この方針転換は、これまでの2期において、中ノ川町・東鳴川町内の移転計画を推進していた市長自身の政治姿勢を自ら転換され、大きな判断であったと考えるが、これは、「このままでは何も進まない状況を何とか打開したい」という市長の強い思いがあるということも理解したいと思う。
その後、市長は当選後において、クリーンセンター建設計画策定委員会で選定が進めてきた東里の断念を表明し、行き場の見えなくなった建設候補地について、さきの9月定例会では、選挙公約をベースとしながらも、もう一度全市からフラットに候補地を見直す考えを示した。
また、今期中の9月24日には、左京地区の住民の方々とこの問題についての懇談会を持つことも聞いたが、住民の方々は、「公害調停を遵守して移転計画を遂行してください」という、厳しい意見ばかりが寄せられたと聞いている。
この大きな転換に当たって、担当課では、今後どのように対応するのか? まず、建設候補地の選定にこれまで主導的な役割を果たしてきた策定委員会と市の関係はどのように進めるのか?
◎松田伸一クリーンセンター建設推進課長
公害調停の調停条項に基づき、平成18年2月に設置された移転建設を目的とする委員会です。これまで57回開催され、建設候補地の選定などを進めてきたが、市としては、地元交渉の進展が難しいことから、東里地区での現移転計画について見直しをすることにした。
委員会設置以来10年以上が経過し、公害調停に定められた移転目標年次も既に超過していながら事業が進捗しないこの状況も踏まえると、設置目的やこれまでの経緯も尊重しながらも、今後運営のあり方も含め、市がより主体性とスピード感を持って事業展開を進める方向を策定委員会と協議したいと考える。
◆内藤智司
これまで環境清美工場の老朽化が非常に進み、相当な修繕費がかかっていること。お金をかけて改修してもそう長くはもたない。その一方で、新クリーンセンターの建設には約10年もの期間が必要であるなど、この問題には一刻の猶予もないことを繰り返し議論しているが、先日の左京地区の懇談会では、当然ながら反発もあったようだが、現地建てかえが現実的、客観的にはやっぱりコスト面や事業期間においても一番メリットがあると考える、その可能性については?
◎松田伸一クリーンセンター建設推進課長
公害調停の締結があり、調停申請人3,524名の方々との移転約束があるので、その重みは十分に認識しており、まず公害調停申請人の方々を初めとして、左京地区住民への丁寧な対応が大前提だと考えている。これまでの取り組みの経過、現環境清美工場の現状や新クリーンセンター建設計画の内容について話す中で、理解を得ることが重要だと考える。
現地建てかえについては、公害調停をどのように解決するのか。住民の理解を得られるのかなど、大きな課題がある一方、用地取得及び大規模造成等の費用や業務が不要であることから、コスト面等でのメリットは大きいと考える。
また、県条例の規定により、環境影響評価の実施が義務づけられており、この期間が約4年間必要となるので、ほかの全く新しい候補地での建設と同様に、事業着手から都市計画の変更手続、基本設計及び建設工事を経た竣工、稼働までは約10年程度の期間が見込まれるが、用地取得交渉や大規模造成等の期間は短縮できると考える。
◆内藤智司
広域化の検討についての、具体的なメリットやデメリット、現在の状況は?
◎松田伸一クリーンセンター建設推進課長
施設のスケールメリットにより、各自治体のコスト削減が期待できることや、現制度では県からの財政支援を受けられるなど財政的に有利であり、将来の人口減少やごみの減量化等を考慮すれば、効率的にごみ処理ができる有効な手法であると考える。
その具現化のためには、近隣市の施設の老朽程度、更新状況など、それぞれ個別の事情を踏まえ、連携の時期をすり合わせる課題がまず上げられる。 またもう1つ、建設候補地の問題があり、どこに建てられるのかが一番の協議事項となる。今回、奈良市と近隣市との連携を考えた場合、人口規模やごみ量からして、建設地をほかの市に求めることは現実的に厳しく、本市が建設計画全般をマネジメントしていく必要があると考える。
このような前提条件のもと、今後も引き続き、近隣市との情報共有と連携を図り、県の助言も得ながら実現する方法を探りたいと考える。
これまでの議会での質疑が示しているように、クリーンセンター問題は、一刻の猶予もない、待ったなしの状況であるということは承知のとおりだと思う
市は、これまでの移転建設計画を見直し、新たな方向を探る大転換を図ろうとしているが、クリーンセンター建設問題は、時間をかけて丁寧に事業を進める時間は限られているのではないか?悠長なことを言っていられないのが、今の奈良市のごみ処理の現状ではないかと考える。
また、公害調停は大きなハードルだと思うが、当時の状況とは社会情勢も環境技術も進歩しており、環境に配慮したごみ焼却施設の稼働は確保されていると聞いている。そうしたことからも、現地建てかえを有力な選択肢として、現実的に時間短縮のできる方法を見きわめ、早急に見える方向を定めることを要望する。
【2、環境対策についての質疑応答・意見・要望】
◆内藤智司
地球温暖化対策は、CO2の削減がその重要性を秘めてきているのではないかと思う。
まずは、この気候変動枠組条約、このCOPという分については、1994年に世界的にこの条約が発効されて、2005年に京都議定書という協定書が発効された。近年においては、COP21でパリ協定、これが採択され、世界的な問題として進んでいる中で、トランプ大統領はこのパリ協定から離脱するということも、最近のニュースで掲げられた。その理由は、「目先の生活が大事」というアメリカの問題で、炭鉱に従事する人たちが「トランプ氏の支持だからそれの支持を得なければ」、と言うのが大きな理由らしいとニュースで出ていた。
この世界的な大きな問題は、家庭の消費電力、ガソリン、車を減らす、そういった細かい対策に結びつくことが、今回のこの大きな地球温暖化対策の一つの特徴ではないかと思っている。国内では、地球温暖化対策推進法が施行されて、近年においては、身近に取り組める地球温暖化対策として、クールチョイスという取り組みも推進してきた。
奈良県、奈良市も同じような形で、奈良市環境基本計画が先般改訂をされ、取り組みをしているが、地球温暖化対策を本市で進めるに当たり、奈良市の環境の現状を把握していく必要があると思うが、今どのようにこのデータを収集し、把握しているのか?
◎前田仁志環境政策課長
特に地球温暖化対策地域実行計画を策定する際には、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を推計するということが必須となる。
奈良市では、環境省の地球温暖化対策地方公共団体実行計画策定マニュアルをもとに推計を行っているが、まず、ボイラーやエンジンなどの燃料の燃焼に伴い排出されるエネルギー起源の温室効果ガス、それと農業やフロンガスの漏えいといった燃料の燃焼以外の要因で排出される非エネルギー起源の温室効果ガスというものに大きく分類する。そして、それぞれ各種の統計情報をもとに、電力使用量や自動車の保有台数、あるいは水田面積といった指標を捉えて、その指標からエネルギー種別の消費量を求めた上で、エネルギーごとに排出される温室効果ガスの排出係数というものを乗じて温室効果ガスの排出量を算出している。
しかし、電力の使用量を指標とする場合に、平成28年4月から電力自由化により、電力調達先の切りかえが進み、その場合に、温室効果ガス排出係数の異なる電力会社ごとの使用量を把握する必要があるが、現状ではできない。温室効果ガスの排出抑制の取り組みを進めて、その効果を適切に把握するためには、電力会社別の使用量を把握できるシステムを構築するといったことを、国等に働きかけていきたいと思う。
◆内藤智司
奈良市の今のデータ収集の中でも、国や県と比べて何の違いがあるかといえば、奈良市は工場が少ない。そういったところからも民生部門や民生の業務部門に対しての排出量が非常に大きく、それもやはり二酸化炭素の排出がこの温暖化のガスの中では一番多いということも今示しているが、それにおいては、電力の使用量に対しての排出係数、CO2の係数が非常に大きなウエートを占めてくるというところだと思うが、こうした民生部門に近い地域の団体との連携、こういった温室効果ガス排出量のデータを現状把握するような仕組みがあるのか?
◎前田仁志環境政策課長
例えばモデルとなる自治会単位で、各世帯の電力使用量を報告すると、それを市全体に反映させるといったことをお願いするなどの方法も考えられると思う。
このような地域と連携する方法も含めて、国やほかの自治体の動向も見ながら、電力自由化が進む中で温室効果ガスの排出量を正確に把握する方法を検討して、地球温暖化対策の効果的な実施に努めたいと考えている。
◆内藤智司
温室効果ガスの奈良市の取り組みの一番は、「電力使用量による排出係数をいかに把握するか、それの対策をどうしていくか?」ということだが、今、電力が競争時代に入っている中で、なかなか各企業や会社が排出係数を出さないという現状の中で、どうやってこれを把握していくのか。が非常にこれからの課題であると思う。それでも温暖化対策は進めていかなければならない。台風がどんどん大型化して、それによる被害が非常に世界的に大きくなっている。こういった小さな取り組みがぜひとも必要であると思うので、引き続き、このことについては検討するよう要望する。
【3、地域自治協議会の件についての質疑応答・意見・要望】
◆内藤智司
地域自治協議会の取り組みを始めて、約4年近くを経過したと思うが、議会でもこれまで多くの議論をしてきた。この間、行政としてもさまざまな取り組みを模索してきたと思う。
平成26年2月、連合会からの中間報告を受けて、その後、庁内では奈良市協働の「まちづくり推進庁内検討委員会」を設置して、地域コミュニティーの実態調査から始めた。平成27年には直接地域の実態や現状を把握するためのコミュニティワークショップなどの開催、それから地域の実情に応じて、機運が形成されていく段階の地域においての専門的なファシリテーターの派遣等の取り組みを行ってきたが、なかなかその実態として進んでいないのも否めないかと思っているが、今後の地域自治協議会の設置に向けた今年度の取り組みについては?
◎矢倉靖弘協働推進課長
今年度も、引き続き奈良市自治連合会と連携しながら進めているが、現在はまず活動拠点について、市の既存の公共施設の活用ができないか検討を進めている。進め方としては、奈良市自治連合会において、各自治連合会長に対し、実施された拠点施設についての調査結果をもとに、まず施設所管課とのヒアリングを行い、その後、地域とのヒアリングを経て、利用可能な施設より提供していければと考えている。
次に、周知不足との意見もあるので、対応策として、各地域においてのワークショップの実施、また年内の市民だよりへの啓発特集記事の掲載を予定している。
また、地域自治協議会の設立準備に係る支援について、来年度の予算要求の中で検討したいと考える。
なお、今後も地域自治協議会について議論する中で、持続可能な地域コミュニティー活性化につながるように、引き続き支援したいと考える。
◆内藤智司
これまでいろんな取り組みをしてきた中で、進まなかった課題や反省点等があると思うが?
◎澤野井保市民活動部長
地域住民への周知不足、市役所内部での認識や連携不足、また各地区の実情や特性についての把握が十分にできていない状況の中で、先行をして条例改正案、モデル事業の実施などを進めてきたことが大きな要因であると考えており、同時に反省すべき点であると考える。
そのことを踏まえ、今後は地域のコミュニティーの活性化に重点を置いて、各地区の特性も検証しながら、奈良市自治連合会と協働して取り組み、そして庁内の横断的な連携も強化しつつ、行政として積極的にかかわることで、地域自治協議会設立に向けての機運醸成を図りたいと考える。
◆内藤智司
これまでこの事業については、行政側はどちらかというと、行革の中で、あくまでもコスト削減を基本として進めてきたと思うし、一方、連合会側は、地域自治のコミュニティーの新たな施策、仕組みとして取り組んできたと思う。
私は、まず行政側は、「全庁的に一丸となって取り組めてきたのか」というと、やはりそこには一つの大きな課題が残されてきたのではと思うし、連合会側も、温度差があったということは否めないと思う。それぞれの取り組みに、連合会の地区の温度差も残されていると思う。そういった中で、議論がなかなかかみ合わず、進まなかったのではと思う。
最近では多くの地域でこの協議会を進められているが、これは市長の選挙公約の中で、全庁的に進めたケースが、その成功につながっているといったケースが見られるわけだが、今回、奈良市の仲川市長が3期目のマニフェストに掲げている。そのマニフェストに掲げている以上、この協議会というのは、今後、その行革コストとは別に、新たな気持ちで取り組んでいかなければならないと思うが、今後どのような方針でやっていかれるのか?
◎向井政彦副市長
市長の今回の公約の中でも、「地域力を向上させる自治協議会の設立を支援します!」と掲げている。
地域においては、人口減少とか、高齢化ということで、地域を支える組織や人の確保というのが大変重要な課題になっている。市としても、それらを支える地域力の向上のためには地域自治協議会は必要であるということで、それに対して支援をしていくという考えで進めたいと思う。
これまでの取り組みについては、地域においても、それぞれ温度差があったり、それぞれの団体の実情また特性もある。それらの課題をしっかり把握して、コスト削減というのも、我々もその地域自治協議会が自立するために、市の事業を少しだけやってもらうという考えもあったが、今後も市役所内はもとより、自治連合会、そして議会での意見も踏まえて、解決に向けて具体的に、そまた慎重に、しかし着実にということで進めたいと考える。
◆内藤智司
これから進めていく上においては、拠点というものが一つ大きな課題であろうと思うし、コストというのは、やはり別問題で考える中でも、この間9月議会のときに、連絡所の問題を一つ取り上げて、今、連絡所にかかっている年間経費1億3000万円。それの人件費が1億2000万円かかっているわけで、それをもっとうまく効率的に連絡所を運用すれば、そこからもコストが削減できるし、効率的に運用できるし、これからの公共施設の統廃合を考えていく中でも、それは別ものとして、それはそれでやっていかなければならないと思う。
9月の党代表質問の中で、公共施設の統廃合の中で、そういう拠点というものの有効活用の提言もあったと思うが、そういった中での全体的な財政に係る分については、協議会に係る分は、必要なものは必要なもの、それを生み出すものは、またはそういった全体の中で考えていく必要はあると思う。 それともう1つ、連合会側にも、市からも今後検討していく中においては、今、一生懸命やっている役員たちは、一生懸命やっているのはよくわかるが、それがこの事業を本当に継続していく、5年後、10年後の姿を見たときに、次の後継者をどうしていくのか。本当に地域の今の連合会、地縁組織の中でも大きな問題であると思う。
この協議会が本当に必要ならば、5年後、10年後の担い手を養成していく。このことも求めていかなければならないと思うし、そのことをもって、この協議会がうまく地域のコミュニティーにつながるような事業となるように要望する。