平成29年12月補正予算等特別委員会 12月11日
平成29年12月補正予算等特別委員会 12月11日
【1、新斎苑問題について】
【2、奈良市職員の育児休業等に関する条例の一部改正について】
【3、奈良市立こども園設置条例等の一部改正について】
【4、奈良市心身障害者医療費の助成に関する条例の一部改正について】
【5、反訴の提起について】
【1、新斎苑問題についての質疑応答・主張】
◆内藤智司
今回の新斎苑の補正予算は、計画地及びその西側の山林部分の土地買収にかかわるものだ。本会議やこの委員会で多くの議論になっているが、価格と面積に対して妥当性があるかどうかだ。 計画用地取得費用予算額に妥当性があるか否か?西側の利用に対しての考え方、そして公共事業の用地交渉は、合意内容が社会的に正当性を持つ必要があり、特に合意交渉を硬直化させることが多い交渉であり、奈良市最大の懸案である新斎苑を作るという計画の性質上、撤退という選択ができない交渉だと申し上げる。
今のタイミングで具体的な交渉内容、提示価格等を開示できないことについては?
◎向井政彦副市長
今、地権者との間で価格についての合意、内諾を得たところだ。まだ契約の締結及び契約上の債務の履行は今後になるが、当該契約に関する当事者の地位とか権利関係が確定したわけではない。
したがって、地権者と市との二者間でなされたやりとりの詳細を公にすることで、契約成立に対する第三者の不当な介入を招いたり、未確定の事項について予断が生じることで、地権者を初めとする利害関係人の信頼を害するなど、市の契約当事者としての地位を不当に害するおそれがあるため、現時点では具体的な交渉内容に係る回答は控える。
◆内藤智司
それでは次に、売買価格の正当性及び鑑定価格の取り扱いについては?
◎向井政彦副市長
特にその事業の目的や当該土地取得の必要性、そして代替性の有無、類似案件での取得価格、取得までに要する期間などの諸般の基礎事実を総合的に考慮して、裁量の範囲内で価格を決定する。その際に、考慮すべき類似の取引事例ということでは、鑑定では、あの周辺に民間の取引なかったので、山間部の民間の取引事例で鑑定価格を出した。
一方で、あの周辺で市が取得したという事例がないため、県のほうで行政目的の実現により公共の利益の達成を図るためになされた岩井川ダムを、金額の参考にした。
本件の価格決定について、最終的には鑑定価格と、県の岩井川ダムの買収価格を適切に考慮して判断した。
◆内藤智司
地権者との交渉は、以前から地権者と話し合いを続けてきたとのことだった。
地権者との交渉において、最終的な価格決定及び協議については、所管課の職員ではなく、市長、副市長の2人が対応したとのことだが、透明性が確保できているかとの指摘もあった。このことについての見解は?
◎向井政彦副市長
具体的な価格を詰めていくのは、土地鑑定価格が10月末に出たので、それ以降の交渉は、用地協議となります。地権者との交渉においては、それまでもさまざまな機会に所管課の職員とも話し合いをした。多様な意見も聞いた。
その中で、最終的な価格交渉の段階において、やはり職員だけでは高度な判断が求められる際に対応に限界がある。その場で判断ができる市長並びに私が伺った。
市長及び副市長に加え、職員も同行しての事前説明というのはしており、適正な手順を経て協議を進めており、公平・公正に交渉は行われたと認識している。
◆内藤智司
事前交渉の断面で、職員もその事前説明もしくは交渉の中に入ってきた中での、最終的な市長、副市長との交渉であったという答弁があった。 最後の段階で市長と副市長との交渉ということだが、交渉事だし、また予算もどうなるかわからない、契約もできていない段階でその内容を明かすことは地権者の方にも迷惑になると思うが、市としてどのように挑んだのか?また、価格も含めてどのように判断をしているのか?
◎向井政彦副市長
従来から地権者の方には、「奈良市にとってこの新斎苑がぜひ必要なこと」、また、今までの経緯の中で奈良市内のいろんな候補地があったが、全て地権者なり周辺住民の皆様の賛成、理解が得られず頓挫をしてきたということ。そして、現火葬場も非常に老朽化をしており、時間待ちも含めて市民に、大変利便性が低下して不便をかけていることなどを話して理解を得てきた。
この間、いろいろなことがあの土地にはあった。地権者からすれば、自分の土地を勝手に評価されたり、無断で入られたり、ということもあり、そういうことに対してのおわびということもしている。
しかし、地権者も友人が東山霊苑火葬場で火葬されたときに、非常に老朽化していて、遺族も涙を流されたと話していたし、新斎苑事業については非常に理解を得ていたと思っている。その中で、平成27年7月に覚書を交わさせていただいた。
当然、土地の取引なので、買う立場と売る立場なので買収価格が、どこが一番妥当かは大変難しい問題だと思う。値段と値打ちだということも言われたが、我々としては市民への説明責任もあるので、やはり鑑定評価を参考にしたい。という強い思いもあり、それを覚書にも書いた。
しかし一方で、県が買った価格なり、そのあたりの部分もやはり考慮をする必要があり、その辺は交渉の中で、お互いに理解を深める努力をしてきた。我々としても、この覚書の趣旨にのっとり精いっぱいの努力をやってきた。
一方で、地権者にもさまざまな思いはあったと思う。購入された金額も当然わかっているわけです。しかし、最終的には、「奈良市の課題解決に協力してあげる」という姿勢でしたので、今回理解を得たと。それまでの長い期間にわたる担当課の職員との間での信頼関係というのも非常にあったと思う。最後に市長と私が伺って、最終的な判断をした。
◆内藤智司
確かに土地の価格については、その妥当性を判断するのは非常に難しいと思う。もちろん市として、できるだけ安く買うことが大切だが、強いて言えば、売ってもらえなければ意味はないと思う。
ただ、都市計画決定が打たれた断面で、市がその交渉に当たって硬直していく断面においては、過去の事例にもあるが、収用という判断もできたと思うが、地権者もその都市計画決定が打たれた断面で、そういうことも当然頭の中にはあったと思う。
しかし、そういった収用という部分まで発展すれば、これは、本当にまた長い時間を要さなければならないと思う。それぞれの各手続等がまたかさんでいき、そのことによって土地が購入できない。そのことで工期が延びる。そうすれば、例えば今言われている、合併特例債も含めてだが、3月31日に出て行く、今の火葬場が使えないという状況になったときに、その空白が出た断面で、奈良市の火葬場はどうするのか?懸念することになる。そういった意味では、奈良市がどれだけ市民に対して説明できるか。その金額のぎりぎりの交渉であったと思う。
これまで費やした費用も相当な額、ここには費やしてきたと思う。第三者委員会をして、もう一度安全対策をしろと議論もあったし、そのニーズにも応えてきて、活断層があるない、その安全性も確認できたことも含めて、今回、この土地に対しては、やはり相当な費用もこれまで積んできた。この計画に参加し、協力してくれた住民や、もうすぐ新しい火葬場が建設されると期待する多くの市民に責任を果たすことができなくなるということも含めて、地権者との今回の交渉の結果をやはり尊重すべきであると考える。
次に、西側の山林の購入について聞きたいと思う 西側の山林については、市としては観測井戸や、そこの進入路、上水道の設備、配管などが必要であり、鹿野園町の自治会から、防災関係の整備や憩いの場としての活用の要望があるということを理解した。
鹿野園町では、昨年度まで自治会の役員は、新斎苑に対して、「奈良市のためになるんやったら受け入れていこうやないか」という思いを示していただいていたが、今の自治会の役員は、反対していた方々と聞いている。その人たちが要望書を提出してくれるということは、積極的な賛成ではないにしても、一定の理解をしていただき、進んできたものではないかと考える。
このようなことから、西側山林の活用の必要性は理解できるが、今、なぜ西側の山林も買う必要があるのか?これまでの議論の中で、事業が終わってからでもいいのではないか。という意見もあったようだが?
◎向井政彦副市長
奈良市として利用する部分もあり、「土地を市が購入して防災公園として整備する」、また「癒やしの空間、森林環境を考える心を育てることのできる場所」といった要望、提案もある。また、「今までの火葬場のイメージを一新するためのやすらぎの公園といったものを付設しては?」どうかという意見もいただいている。
市としては、新斎苑については、いわゆる火葬場だけを設置するだけでなく、周辺整備も必要であるということは今までも考えていた。この時点で、最も近い地域の、なかなか理解をしてもらえなかった住民から、要望をいただいた。我々としては、もちろん財政的な制約や優先度もあるが、そこはできるだけ真摯に対応していくということが、今後も理解を深めていく。そのことにつながっていくと思っている。
西側の山林については、計画地と鹿野園町の住宅街との間にある、いわゆるバッファゾーンでもあり、一部には民間の土地のままではいろんな開発がされるのでないか。いわゆる墓地が作られるのではないか。そういう心配もあると聞いている。
また、防災面ということで、民有地で何か起こったとしても、基本的には市がなかなか対応できないということにもなるので、市が所有して、しっかり管理することが住民のためにも必要であると判断した。
計画地の西側山林の活用については、これからも自治会と協議をしていくわけですが、他人の土地をどのようにするかを勝手に議論して、何らかの方向性を出していくというのは、今後の用地取得の保証もなく、ある面、無責任な対応ということにもなるかと思う。
地権者との話し合いの中では、現時点であるからこそ、同一価格での一体買収が可能であった。このように認識しているので、今でないと確実な取得の可能性はないと判断した。
◆内藤智司
最後に、投棄物の処理費用について、市で今回負担するとなっているが、そのように方針づけた経緯は?
◎向井政彦副市長
今回の投棄物調査において、埋設している投棄物については昭和50年ごろのものであるということが明らかになっている中で、地権者が購入されたのは昭和60年以降ということで、地権者が持っているときに、投棄物が埋設されたということではないということだ。ただ、それ以降もその周辺、計画地も含めて、鉢伏街道周辺には、埋設ではないが、地表に不法な投棄というものがあったと聞いている。そのような中で、地権者は、自分の土地の部分についてフェンスを設置したり、警察へも届けるなど、誠実にも対応され、一定の責任も果たしていたと考える。
これらのことから、投棄物の投棄・埋設時期が地権者の土地を購入した時期よりも以前と想定されること。本来は投棄した者が処理すべきであるが、現時点では特定できないこと。また今回の投棄物処理の必要性というのは市の事業により発生していること。また土地の価格からしても、処理費用の地権者負担は現実的ではないという判断から、処理費用は市が施設整備費(9月の予算ですけれども)、約51億円の中で処理できる、対応できると判断した。
◆内藤智司
最後に、この件について主張しますが、新斎苑の候補地については、これまで長い経過の中で地権者等の理解が得られない。また周辺住民の反対によって決定することができなかった。そういった全市的なところの候補地において決まらなかったということがあったと思う。
今回やっと地権者の理解が得られ、地元である横井東町の理解も得られ、最も近い鹿野園町については、賛成の方も反対の方もいるという状況で、鹿野園町自治会から要望書が出てきたということは、鹿野園町での住民の意見が分かれている状況を改善するためにも、その一歩であると思う。
市内どこにも設置できなかった新斎苑を身近に受け入れていただくことについては、幾ら新しい設備であるとしても、市民全体が感謝をしなければならないと思う。そのためには、住民の要望にできるだけ真摯に対応していくことは当然であり、一定の負担も必要なことは、市民にも理解していただけると思う。
その一つとして、また市の活用部分も含め、西側の山林を市が購入することは、やはり必要な一つの手だてだと理解をしたいと思う。また、西側山林の活用については、確かに他人の土地をどうこうすると勝手に議論を決めていくということは、今の断面ではあり得ないと思う。幾ら計画を立てても、土地が確保できなければそれこそ絵に描いた餅となると思う。また、今後、数年後に地権者の方に土地を売却してもらえるか。また価格についても計画地には投棄物があり、西側山林ではないということ。また新斎苑ができれば橋もかかり、道路も整備されることから、今の価格で納得されるかは大いに疑問があると思う。
新斎苑建設事業については、今まで多くの年月をかけて議会でも議論されてきた。その結果、必要な予算も可決され、都市計画決定もされ、現在事業者を選定する段階である。何度も主張しているが、新斎苑をつくる計画においては、撤退という選択はできない。この事業を進めるために、市民のために、よりよい施設となるため、これからも建設的な議論をしていきたいと考える。
【2、奈良市職員の育児休業等に関する条例の 一部改正についての質疑応答・意見・要望】
◆内藤智司
今回、奈良市の育児休業等に関する条例の一部改正について提案しているが、その提案理由として、「地方公務員における法律等の改正に伴うもの」となっているが、その内容は?
◎中井史栄人事課長
これについては、先般の地方公務員に関する育児休業法等の改正を受けて、本市の育児休業条例の一部を改正しようとするもので、内容については、国家公務員の育児休業制度に準ずるものです。
改正内容は、1点目に、地方公務員法第17条を任用根拠となる「非常勤職員の育児休業の期間を延長する」というもの。現行制度では、非常勤職員の育児休業期間の上限は、子供が1歳半になるまでだが、改正後は、その上限を半年延長して、子供が2歳になるまで育児休業を取得できるようにする。 2点目は、正規職員、非常勤職員ともに再度の育児休業等が例外的に認められる、やむを得ない事情の例示を追加しようとするもの。現行制度では、やむを得ない事情として、保育所に入れない場合が含まれるかどうか明確さに欠ける点があり、今回の改正により、保育所に入れない場合が含まれるということを明確にする。
いずれの改正についても、仕事と子育ての両立支援の必要性から、活用しやすい育児休業制度にしようとするもの。
◆内藤智司
それでは、本市の現在の育児休業の現状については?
◎中井史栄人事課長
平成29年12月1日現在、産前・産後休暇を含む育児休業を取得している常勤職員は63人、非常勤職員は6人、合計で69人です。
◆内藤智司
今回の育児休業条例の改正は、育児休業をさらにとりやすくするというものだと思うが、その内容自身は働く立場の者としては非常に働きやすくなっていくということは、好ましいものと考えるところだが、改正に伴う今後の影響や課題については?
◎中井史栄人事課長
育児休業を取得するかどうかは、職員の選択によるところであり、影響の度合いを見通すことは難しい部分だ。しかし、今回の改正により、働きやすい職場環境の実現に確実につながっていくものと考えている。
その結果、育児休業に入る職員の増加、また休業期間が長くなることが想定されることから、その職員が担当していた業務を引き継ぐ、いわゆる育休代替の人員確保の必要性が増大して、それへの対応が課題になってまいる。
◆内藤智司
それでは、その育休代替の人員確保に向けて、今後どのように具体的に対応していくのか?
◎中井史栄人事課長
これまでは職場の実情に応じて、正規職員、また臨時職員の配置による対応を基本としていた。今後はそれに加え、任期付職員の活用も検討したいと考える。
いずれにしても、職員が育児休業中に業務のことを心配することなく、安心して子育てに専念できるよう、育児休業職員の業務を引き継ぐ人員の適正配置に努めたいと考える。
◆内藤智司
これまで私は、職員の適正化によって職員が削減されてきている中で、こういった育児休業をとる方もその一要因となっている状況の中で、とる側、それから残された職場の状況をずっと議論をしてきた。
要は、1人職員が休むことによって、その業務をどうするか。これも本当に各それぞれの職場が大変な状況である。それをこれまで臨時職員やパート職員で1人余分におり、それを2人で賄う。しかし、それがフルタイムでないがために、きちっとした業務引き継ぎができていない。それを周りの人たちがカバーしていかなければならない。こんな現状が職場で起こっているのが現状だった。
今回、育児休業をとりやすくすることによって、働き方改革が一つ進んだのだろうと思うが、そのことによって周囲の職場の働き方改革自身も、やはり考えていかなければならないと思うので、その点を十分これからの、この条例に対しての対策をするよう要望しておく。
【3、奈良市立こども園設置条例等の一部改正についての質疑応答・主張】
◆内藤智司
こども園設置状況は、奈良市は幼保再編計画に従い、こども園化を進めているが、今年度で12園のこども園に、来年は4園が新たにこども園となる。 16園となると聞いているが、その中で現場からは、「こども園になり週休・代休がとりにくい」、「時間差勤務について大変だ」という声もある。また、例えば4歳児、5歳児のカリキュラムについて整合性とか、正規職員の配置の状況下の中で、日ごろの業務がかなり違った中で多忙化してきている状況にあるとも聞いている。 現在の課題について把握しているのか?
◎大前睦美こども園推進課長
これまで幼稚園と保育園という異なった環境で行っていた教育・保育を、こども園で一体的に行う中で、大切にしたい保育のすり合わせをするには十分な話し合いを必要とするが、その時間がなかなかとれないという悩みについては聞いている。
また、短時間利用の子供と長時間利用の子供との共通時間である、教育の時間を担っている職員と、午後からの家庭的な雰囲気で保育を行う時間を担っている職員との連携の図り方や、長時間にわたる保育を行うためのシフト勤務の体制づくりなどにも工夫が必要であると考えている。さらに、こども園は、幼稚園機能と保育園機能をあわせ持った施設であることから、国の所管で言うと、文部科学省、厚生労働省、内閣府にまたがり、それぞれの省からの調査やアンケート等の依頼があり、園での事務量が多くなっている現状も認識している。
これらの課題への対策としては、以前こども園に移行した際に携わっていた保育教育士や当課に在籍している保育教育士が、必要に応じて助言を行うことで、保育現場の職員の不安を少しでも取り除きたいと考える。
教育・保育内容については、奈良市立こども園カリキュラムをもとに進めることで、一定同じ方向で進めていくことができるようになってきたが、今後もよりスムーズにこども園へ移行できるような体制づくりについて、職員間で十分な意思疎通が図れるよう研修を重ねたいと考える。
◆内藤智司
業務量の軽減としてどんな対応ができるのか?例えば、子供にかかわることが本来の保育教育士の仕事であるのだから、やはりその事務に振り回されることのないよう事務員を置くなどの対応ができないものか?
◎大前睦美こども園推進課長
こども園では重複する提出書類の整理のほか、なれない事務作業に手をとられることは認識している。職員が教育・保育に携わる時間を十分確保し、さらなる質の向上を目指せるよう保育教育士の人材確保を進めることや、今年度9月から採用を開始した保育補助者にも担ってもらうことで、一人一人にかかる事務量を軽減できるようにしたいと考える。
◆内藤智司
今年度こども園となった「神功こども園」に引き続き、来年度、「朱雀こども園」が分園方式で行われる予定であると聞いているが、分園方式で行うことで職員の負担というものが生じてくると思う。その職員の負担についてどのように考えているのか?
◎大前睦美こども園推進課長
幼児棟と乳児棟に分かれての分園方式で行うことにより、より広いスペースでそれぞれの教育・保育を十分に保障していけるものと考えている。しかし、分園にすることにより、保護者様負担の軽減のための幼児棟への送迎や、乳児と幼児の担当職員間での連携の難しさなど、負担や課題が増えることも認識している。
今後も現場の意見をしっかりと聞きながら職員の負担軽減を図るための職員配置に努め、保育・教育の向上を目指したいと考える。
◆内藤智司
今の、「現場の意見をしっかり聞きながら」というところに力を入れていただきたいと思う。 このこども園が今現在運営されている中で、いろんな現場のそういった大変さが伝わってくるわけだが、かといって、全ての現場が大変なのかということでもなく、やはりうまくいっているところもある。幼稚園の先生の役割と保育園の保育士の運営との分担をきちっと仕分けしながら、1日の工程を運営しているところもあり、うまくいっているという声も聞く。
そういったところは、それぞれの園の方針なり運営のやり方をきちっと精査いていると思うし、そのやり方をほかのうまくいっていない園へ、工夫できるように水平展開する方向も、一つ大事なことではないかと思う。
そういったところで、保育園と幼稚園の全然違う環境の中で一つのこども園という仕事をしていくにあっては、それぞれの人間関係というのが、一番根底の部分にあると思う。園長を含めて、その園の人たちが研修、話し合い、そういうことを重ねることによって、現場の厳しさというのは解消されていくのではないかと思う。担当課としては、そこに十分配慮をし、現場で今何が困っているのかをきちっと聞きながら進めてほしいと思う。
【4、奈良市心身障害者医療費の助成に関する条例の 一部改正についての質疑応答・要望】
◆内藤智司
先の本会議においても、市長から心身障害者医療費の助成に関する条例の一部改正の質問の中で、団体への説明についての答弁があった。その後、本委員会に冒頭で陳情書が提出されたことが報告された。市長の答弁と陳情書の内容が乖離しているように感じられた方もいると思う。
私自身、少し疑義を感じるところから、障がい者団体に対してどのように説明を行ったのか?
◎堀川育子福祉部長
平成28年5月に、6団体で構成されている奈良市心身障害者・児福祉協会連合会の総会において、一部負担の導入を検討していることを伝えた。そこでは一定の理解を示してくれた団体もあったが、理解をしてもらえなかった団体もあった。
そのことから、より丁寧に説明をする必要があると考え、既に一部負担を導入している精神障がい者の団体である「しび会」を除き、肢体障害者福祉協会、肢体不自由児・者父母の会、視覚障害者協会、聴覚障害者協会と手をつなぐ親の会の5団体の会長に、平成28年10月にそれぞれに説明をした。 説明をした5団体のうち、4団体の会長には同意を得ることができたが、残り1団体の会長には理解をいただけなかった。そのため、平成28年11月には理解を得られなかった団体の役員会で再度説明をして、そこでは一定の理解を得られたが、やはり複数の受診が必要である。という状況から負担が大きくなるとの声があった。
その団体の声を受け検討した結果、一部負担導入の内容を見直し、一月の外来の一部負担の上限を1,500円にすることを決定した。その後、その団体に対して、そのことを伝えたところ、そのことに対しては評価を得て、本年2月に市長と会長が同席された会合のときに、「上限を設けたことを評価する」という旨の言葉を会長から市長に伝えられた。そのことにより理解いただけたと認識いている。その後、平成30年4月から一部負担を導入する方針について、改めて本年9月に全ての会長それぞれに説明し、全ての団体が賛成であるという旨の確認をした。
◆内藤智司
この、精神障がい者の医療費の拡大については、県の方針に基づいて1級、2級全ての障がい者に対して拡大していこうということが打ち出され、当初いろんな問題を抱えた中でのスタートだった。私もこの議会の中でもいろいろ議論してきたが、「その財源をどうするのだ?」、「システムをどうするのだ?」ということで、奈良県一斉にスタートできないのではないか。そんないろんな問題を抱えての今回のスタート。1級から始まって2級に拡大していった中であったと思う。
特にその財源については、どう捻出するのか?その間、拡大はするけれど、この整理ができない以上、一般財源から繰り入れようということでスタートをしたと思う。今後、制度を維持していくための施策というのは、我々全体としては考えなければと思う。
これは、この件だけではなくて、「はり・きゅうの診療所の件」もそうだ。今の制度を維持するためにどうしていったらいいか?ということを、みんなで考えていかなければならないと思う。
委員会で冒頭、陳情書について、理解できない、納得できないとの意見が出ていたが、今福祉部長から「各種団体の会長に丁寧に説明されている」という状況、事実について確認した。1年をかけていろんな団体からの要望も繰り入れて、一部負担の上限を決めてやることについても理解していただいたと答弁があった。その各会長から会員に説明していると思うが、たくさんいる会員全員に理解を求める、それは難しいと思う。今までの制度が、そこに負担をかけていくということに対しては、利用している皆さんには、なかなか全てに対してということは難しいと思う。
先の委員会での答弁で、福祉部長は「理解していただいていない方もおられることが今回の陳情書でわかったので、4月までの今後に丁寧に説明していく」と答弁があった。1人でも多くの方に理解していただけた上で4月から開始できるよう、障がい者の方の立場を考え、さまざまな機会を捉まえて説明する場を設けていただくことを要望する。
【5、反訴の提起についての質疑応答】
◆内藤智司
農業経営構造対策事業補助金返還に係る債務不存在確認請求事件に対する裁判に反訴を提起することについて、まずはこの補助事業の目的と内容については?
◎油谷彰浩農林課長
この事業は、国庫補助事業で、アグリビジネス、いわゆる「農業及び関連した農産品加工、農産物市場等の産業を地域戦略の柱として推進し、地域農業における所得及び雇用機会の創出を図ること」を目的としている。また、新分野への挑戦に伴う施設整備、新たな流通経路の開拓、資金調達等のリスクを伴うことから、アグリビジネスに挑戦する者を積極的に支援し、地域農業の担い手となるべき経営体を育成、確保することを目的としている。 当事業の一つで、アグリチャレンジャー支援事業を活用し、平成16年度に旧都祁村の認定農業者等で組織する法人が、針テラス敷地内において観光いちご園を開設した。その際に、イチゴ栽培温室及び附帯施設などの整備を行い、国の承認を受け、旧都祁村が間接補助事業者として、その法人に対して平成16年度に対象事業費の40%相当額の補助をした。
◆内藤智司
それでは、この補助事業主体の要件については?
◎油谷彰浩農林課長
アグリチャレンジャー支援事業実施要領には、事業主体の要件として、認定農業者等の組織する団体、市町村、農業協同組合等の規定がある。認定農業者等の組織する団体は、原則農家3戸以上が構成員に含まれている団体であって、かつ当該農家が全体の議決権の過半を占める等、当該団体の事業活動を実質的に支配すると認める団体であることが必須だ。当時は、この要件を満たす農業生産法人がみずから認定農業者として事業計画の承認を受け、事業を開始した。
◆内藤智司
それでは、今回のこの反訴の提起については、今議案で提案されたが、反訴の要旨について、これまでの経過は?
◎油谷彰浩農林課長
平成24年11月1日に、事業主体であった農業生産法人は、針テラスを運営する今回の相手方である株式会社三興に吸収合併され、権利、義務を全部継承し、解散した。 新たに事業主体となった株式会社三興は、国庫補助事業主体の対象としての要件を欠いたため、株式会社三興に聞き取りと改善指導を行ったが、改善の見込みが見えない状況であり、奈良県、近畿農政局及び訴訟代理人である顧問弁護士と補助金の返還に向け協議を重ねきた。
その結果、平成27年10月21日、奈良市として補助金等変更交付決定通知及び2344万1102円の補助金返還命令を行った。それに対して、相手方から本市に対し異議の申し立てが出たが、異議申し立ての事由に当たらないことから、申し立てを却下している。平成29年1月には、相手方から裁判所に対し、補助金等変更決定の無効を確認する訴えが提起されたが、平成29年9月15日、その訴えを却下する判決が確定している。さらに8月には、債務不存在確認請求訴訟が提起され、現在係争中だ。
◆内藤智司
この件についての今後の対応は?
◎油谷彰浩農林課長
今回の提案議案を承認いただければ、現在係争中の相手方に債務が存在するか否かが争点となっている債務不存在確認請求の裁判の中で、当該補助金2344万1102円の返還及びこれに対する遅延損害金を加えた金額の支払いを求める反訴を裁判所に提起し、その中で、訴訟代理人である顧問弁護士を通じ、本市の訴えを主張する。
◆内藤智司
今回の反訴については、今の説明でよく理解ができた。これまでの事業に対しての補助金について要件を欠いたので、その分の返還を求めていく。これは国の事業であるから、この2344万円の返還については、そのまま県に返さなければならないという議案であり、このことについては、今回の反訴の中で係争をされていくと思う。