平成29年9月 決算審査等特別委員会 09月21日

奈良市 平成29年9月 決算審査等特別委員会 09月21日

1、次世代を見据えた公教育改革について

2、待機児童の解消について

3、精神障害者医療の拡大事業について

4、医師会に対する本市が支払っている委託料について

【1、次世代を見据えた公教育改革についての質疑応答・意見・要望】

◆内藤智司

 教育政策課で、市立一条高等学校の教育改革、産学官が連携した取り組みの中での積極的なアクティブ・ラーニングを行い、これからの社会を求めていくという取り組みをされてきたと思うが、この取り組みに対しての成果、評価、と今後の課題。そして29年度の取り組み状況については?

◎高塚佳紀教育政策課長 

 これからの社会においては、学校教育で育んだ力を生活や社会の中でより実践的に活用する力が求められている。一条高校では平成28年度から、教科や科目の特性に応じてスマートフォンに自分の意見や考えを入力し、それをスクリーンに映し出して、クラス全員で共有しながら話し合うなどの思考力、判断力、表現力を育てる授業を行っている。これらの取り組みの成果は、講義を聞くだけの受け身の姿勢ではなく、生徒が自分の意見や考えを発信することで主体的に学習に取り組む姿が多く見られるようになった。しかし、全ての教科や科目でICT機器の活用を初めとするアクティブ・ラーニングをどのように展開していくかが今後の課題だと認識している。そこで、平成29年度においては、これまでの取り組みをより活性化させるような授業改革を進めている。これらの取り組みを知ってもらうために全国から参加者を募り、11月24日に1、2年生全ての学級において公開授業を行う予定だ。

◆内藤智司

 この事業については、藤原校長が去年1年間をかけて、「よのなか科」という取り組みをして、私も一度参加した。生徒と一緒になってスマートフォンで行ったが、なかなか大変な授業をしていると感じた。生徒は、主体性を持って発表したり、スマートフォンでアンケートをとって分析していた。  授業内容の変化を実感し、全ての先生が、授業に対して、すごくリーディングが大事だと思った。あるいは、サポートする先生も大変だと思い、取り入れた最初は多分混乱した状況だったと思うが、本当に効果の出る改革だとも感じた。 先生たちがうまくリーディングできるような指導をすれば、より一層これからの改革になっていくと思うので、その点要望する。  次に、学校教育課のICT教育モデル校での調査研究の推進、それから基礎的な学力の定着と思考力・判断力・表現力を育むという事業について、先ほどと同じように成果、課題、それから今後の取り組みについては?

◎東畑年昭学校教育課長 

 教育ICT活用モデル実証校における成果は、昨年度は小学校7校、中学校3校の、合わせて10校でタブレット端末の効果的な活用等について研究を行った。モデル実証校におけるこれまでの意識調査等によると、「コンピューターを使った授業はわかりやすい」、「自分の考えや意見をわかりやすく伝えることができた」など、タブレット端末等を活用することに肯定的な回答をする児童・生徒が8割程度にも及ぶことが分かった。

  また、教員からも、例えば「説明しにくい図形の面積の求め方について、アニメーションを使ってわかりやすく資料を提示することができた」、「子供同士が考えを出し合い、比較したり共有したりすることが容易にでき、活発に学び合う姿が多く見られるようになった」などの報告があった。さらに、単元テスト等の結果を統計学的に分析したところ、知識・理解の定着の部分で効果のあることも分かった。

  今後の課題としては、このモデル校での成果を他校にも広げていくことが重要であると考える。そのためには各校が日常的にICTを活用できる環境を充実させること。また、教員が授業において効果的にICTを活用できるよう支援することが必要であると考える。

  そこで、今年度はICT環境の整備として、市内全ての小学校と中学校へ1クラスの人数分、タブレット端末を配備するとともに、普通教室でもタブレット端末を有効活用できるよう無線LANの設置を予定している。また、教員への支援としては、ICT活用に関する研修を実施するとともに、ICTを活用した授業モデルを約200事例、教員向けクラウドに入れ、教材研究に活用できるようにしている。

  CTを活用した教育の推進は、新しい学習指導要領にも示されており、そこで目指す主体的、対話的で深い学びの実現に向け、積極的にICTの活用を促したいと考える。

◆内藤智司

 8割方のおおむね良好な成果を得られた。これから拡大したいと評価されたと思う。では2割の方々はどういった意見を持っているのかも、大事だと思う。そこを分析して、その2割の方に何か問題があったのか?それを10割にするのにはどうしたらいいのか?現状を把握、分析しながら、この拡大に対しての材料にしてほしいと思う。

  またこれに関しても、先生方に対しての新たな業務量という形になる。それでなくても今、学校の先生は大変な状況の中で教えていると思う。先生にかかる負荷を委員会として把握して、取り入れるよう要望する。

  もう1点、英語教育の充実、小学校1年生からの英語教育の実施と、ALTの配置ということで取り組んだと思うが、これについての評価、分析、それから取り組みについては?

◎東畑年昭学校教育課長 

 まず、英語教育の成果について、本市では平成27年度より奈良市独自の9年間のカリキュラムに基づき、全ての市立学校において小学校1年生からの英語教育を実施した。英語教育の実施に当たり、ネイティブな発音に慣れさせ、英語を積極的に活用しようとする態度を養うために、小学校低学年から英語に堪能な地域の人材や外国語指導助手、いわゆるALTを配置した。ALT等と学習することについてアンケート調査を実施したところ、「英語でやりとりするのが楽しかった」、「外国のことを知ることができた」という感想を持つ児童が90%以上だった。

  英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成が図られていると認識した。しかし、特に中学校においては、習得した英語を話したり活用したりする場面が十分確保できなかったことが課題でだと考える。そこで、今年度にいては、ALTや英語に堪能な地域人材を引き続き配置するとともに、新たに全ての中学校においてインターネット回線を利用したオンライン英会話を授業に取り入れた。オンライン英会話では、パソコンの画面を通して外国人講師と1対1で会話することになるため、これまで身につけてきた英語を駆使して話す場面を意図的につくり出すことが可能となった。

 こうした授業を通して、今後も英語教育の充実に努め、グローバル社会で活躍できる人材の育成を図りたいと考える。

◆内藤智司

 今回のこの英語の強化に対しても、今、世界の共通語は英語なので、まさにグローバルな社会で活躍できる人材は英語力が欠かせないと思う。ただ、事業に対しての指標は、成果をはかる目標値を設定できるような取り組みもできれば、なおこの事業に対しての評価ができるのではないか。例えば中学校2年生になって英語検定に何人合格できた、とか。お金もかかるので強制はできないが、そういった指標をまず作っては?

と要望しておく。

【2、待機児童の解消についての質疑応答・意見・要望】

◆内藤智司

 6億円ほどの予算をかけて市立幼稚園・保育園のこども園推進、それから民間施設の誘致という形で実施しているが、市立幼稚園の28年度における待機児童の対策の取り組みについては?

◎大前睦美こども園推進課長 

 待機児童を解消するためには人員確保が非常に重要であると考え、市立こども園・幼稚園・保育園で働く全ての臨時保育教育士を対象に、その任用面や給料面の相違を解消し、一元化を図った。

  具体的には、月額支給の給料体制を整え、経験による加算をすることで、奈良市で働きたいと思える職場環境を目指した。出産等を機に退職した方などが保育現場に復帰できるよう、復帰のための研修等にも力を入れた。

 一方で、市立幼保施設を再編し、認定こども園に移行することにより、適正規模での質の高い教育・保育を目指す取り組みとして、神功保育園と神功幼稚園及び右京幼稚園を再編し、神功こども園の開園を行うなど、合計3施設のこども園の整備を行った。

◆内藤智司

 それでは、その28年度の取り組みに対して、今日的に待機児童の問題がまだまだ続いるが、この問題点はどこにあるのか?

◎大前睦美こども園推進課長 

 臨時保育教育士が思うように集まらず、正規保育教育士の産休補充や病休補充に充てるのが精いっぱいで、待機児童解消まではなかなかつながらない状況だ。

 その理由は、朝早くから夕方遅くまでの保育時間内での時差勤務や、任期が限られていることから正規保育士への採用を望む方も多く、人材の確保が十分に進まないからだ。

◆内藤智司

 それを踏まえて今後の待機児童の有効的な対策は何か?

◎大前睦美こども園推進課長 

 保育教育士確保が最優先課題なので、本年4月より臨時保育教育士の給料ベースを8,000円増額し、職歴加算についても10年目までを4,000円、11年目以降を3,000円、21年目以降を2,000円に変更するなど、給料面での改善を行ったところだ。

 この9月からは、市立園において保育補助者を採用することで保育教育士の負担軽減を図り、さらには保育士確保につなげられるよう全力で取り組んでいる。保育士確保が困難となっている状況は民間園でも同じなので、市立園と民間園がともに人が集まる商業施設に出向いて広く募集を行うなど、潜在保育士の掘り起こしにも力を入れている。

 今後は、待機児童を早期に解消するため、市立幼稚園の余裕教室を活用した民間保育所の分園や既存する民間保育施設の改修による増員、さらには待機児童の多い地域での新設園の整備などにより、待機児童解消に努めたいと考える。

◆内藤智司

 現状では、保育園の面積定数は充足していて、全国的な問題である保育教育士が不足して、待機児童が解消されないのだと思う。面積充足率が足りていてもどうすることもできない現状であると思う。採用する臨時保育士さんの人数に対し離職する人数が勝っていく。

 公の保育園の保育教育士の現状は、多岐にわたるアレルギーに対しての対応などをしなければならない、大変な状況だ。そんな児童たちは、にも耳を傾けなければと思う。10人の正規職員の募集に100名を超える応募があった。なぜ保育士が足りないのか?

  幼保の一元化の基本計画が確立しない中で正規保育士の人数を減らしていく。これが、保育士が足りないと現状を招いていると思う。少なくとも、今不足している、保育教育士に対しては、正規で採用すべきだと強く要望する。

【3、精神障害者医療の拡大事業についての質疑応答・意見・要望】

◆内藤智司

 平成27年8月の診療分から、精神障がい者の保健手帳の1級所持者を対象としている部分を、平成29年の1月診療から2級まで拡大をしていくというところだが、28年度の精神障害者医療費助成の手帳の1級所持者、2級所持者のそれぞれの助成費は幾らだったのか?またその人数は?

◎加藤啓代障がい福祉課長

  システム上データがない。そこで、平成28年度において、1級のみが対象とた最終月の2月支払い分と、1級と2級に対象者が拡大された最初の支払い月の、3月分を比較すると、2月は187人で248万282円、3月は955人で797万2363円です。差し引きすると対象者は768人、支払い額は549万2081円が増加した。

◆内藤智司

 その予算を踏まえて29年度の予算額の見込み額はどうなっているか?またその財源については?

◎加藤啓代障がい福祉課長

  平成29年度の見込み額は1億3500万円です。財源は、県の事業費補助金として6146万円を見込んでいる。

◆内藤智司

 現在の財源としては、1億3500万円。その2分の1は県補助とある。あとの2分の1は市の一般財源から支出していると思うが、これはもともとの制度拡大時の財源としては一部受益者負担としているところから、今、精神障がいの方については500円の負担となるが、公平性の観点から、早期に一部負担範囲の改善をすることが肝要であると要望する。

【4、医師会に対する本市が支払っている委託料についての質疑応答・意見・要望】

◆内藤智司

 予防接種や健診など多岐にわたって委託されているが、中でも平成28年度の休日夜間応急診療所にかかわる委託料について問う。

 まず、委託料の内容については?

◎松原健次医療事業課長 

 医師派遣に係る委託料なので、9168万2896円です。この中には二次受け病院へ支払う費用2382万1128円も含まれている。

 次に年末年始応急診療業務委託料については、指定病院に支払う委託料で115万2000円、指定病院とは、12月31日から1月3日までの年末年始の期間中に、休日夜間応急診療所が診察していない時間帯に年末年始に救急医療特別体制をとるため、一次診療をした病院です。

 次に、休日夜間応急診療所診療委託料については、まず、保険者から受け取る診療報酬と患者の自己負担金の合計は1億5136万6633円です。この診療報酬全額から休日夜間を運営するための経費である看護師賃金、医療系消耗品費及び医薬材料費を除く消耗品費、光熱水費、通信運搬費、医師賠償責任保険、建物や設備の維持管理にかかる手数料及び委託料の費用の合計1677万5448円を差し引きして、診療委託料として1億3459万1185円を医師会に支払っている。

◆内藤智司

 医師派遣に係る委託料及び事務委託料を合わせた9168万2896円と、それから1億3459万1185円で2億2627万4081円となるが、一般的に診療報酬内で経営され、利益を生んでいるのが通常だと思うが、なぜ休日夜間応急診療所には診療報酬以外に委託料を支払われているのか?

◎松原健次医療事業課長

  休日夜間応急診療所は、夜間は365日、22時から翌朝6時まで、休日は10時から19時まで、土曜日は15時から19時まで診療をしている。医師派遣の委託料の単価は、夜間診療及び休日診療は6万7475円で土曜診療が2万9830円となり、平日の勤務に比べ医師の人員確保の費用を要するため、診療報酬だけでは賄うことは難しく、医師会に対し別途業務委託料を支出している。

◆内藤智司

 人員確保が難しいため別途支払っているが、診療報酬の収支を本市は確認した上で医師派遣に対する委託料を別途支払っているのか?

   また医師派遣委託費の根拠は?

◎松原健次医療事業課長 

 平成28年度においては約1700万円の経費負担を求めた。また、平成29年度には、二次受け輪番病院にかかる費用の支払い方法を日額払いから転送人数による実績払いに変更したことにより、平成28年度の実績で2382万1128円であったものが平成29年度予算では最大で117万円となっており、2265万1128円の減額となった。

 市医師会とは、市の委託料だけでなく、休日夜間応急診療所にかかるフルコストで検証し、休日夜間応急診療所の委託料や運営のあり方について引き続き協議を行う。

◆内藤智司

 休日夜間応急診療所の役割は、市民にとっては必要不可欠であることは間違いないと思う。しかし、過去から見直しがされることなく続いていたことが現状であると思う。全国的に休日診療所の委託に対して本市のような待遇を実施している自治体は見当たらない。不足が生じた場合の補填をしても、本市のように手厚い委託料は見当たらないと思う。また、医師の体制についても、診療時間別の診療者数が午後10時から午前1時まで、大体全体の7割から8割が受診されている。この実態を考えると、現在の体制人数を検討すべきと考える。委託費及び人員体制について、医師会との話し合いを強く要望する。

 今回、私はこの決算委員会で、「経常収支比率が100を超えたことに対して分母を増やして分子を減らす、または分子を1増やしたことでそのことで分母が10になる、そういった手法によって、これからやはり奈良市のこういった経常収支比率というものを、もっと弾力的にしていくべきではないか」ということを指摘したと思っている。

 そして、新斎苑の話で、本会議から今回の決算委員会の中でDBO、DBかOを外すのか?そうでないのか?という議論がされてきたと思う。このことについては、今回、債務負担行為76億円を含めて補正予算を判断する上において、我が会派も、市長総括の中で疑義があるのか?もう一度たださなければならない。そういったところも含めて検討したいと思うが、斎苑に関しては、これまで我が会派はずっと推進してきた立場において、それをきちっとした形で市民に説明ができることを、今度市長総括の中で改めて検討する。