平成29年9月 決算審査等特別委員会 09月25日
平成29年9月 決算審査等特別委員会 09月25日
【1、新斎苑の補正予算について】
【2、待機児童への対応について】
【3、連絡所の運営のあり方について】
【4、その他意見・主張】
【1、新斎苑の補正予算についての質疑応答・意見・要望】
◆内藤智司
新斎苑の運営費の76億円の債務負担行為を含めての補正予算について、当初より、市民にとって最重要課題であると、どこの場所であってもこれは建てていかなければならないという立場で推進をしてきた。
今回、実際の工事費、運営費等が上程され、審議しているが、我々も、いち早く担当課と勉強会等を重ね、DBOとかPFIの持つ意味、比較等、いろんな検証を行ってきたが、今回の決算委員会の理事者の答弁の中において、幾つかの不安を抱かざるを得ない。そういった状況の中で、ここで聞いている、今回当選した新人も含めて、本当に76億円の債務負担行為まで含めた予算を決められるのか? 今回市長に、我々がこの決算委員会で不安、疑問に思う内容について、改めて見解を聞きたいと思う。
今回のDBO方式については、11月の新斎苑基本計画の中できちっと明確な方向性が示されていた。しかし、その当時に出されたときの計画案に対しては、自然災害への議論が中心となって、本当にそこの場所がいいのか悪いのか。この論が中心になって、事業手法については、我々議会としても議論をしてこなかったというのは事実だと思う。そんな中で、去年の12月に補正予算が可決をされて、新斎苑の整備事業が具体的に進み、ことしの5月でしたか都市計画決定がされた中で、今回、補正予算という形になったと思う。
しかし、昨年1月に基本計画案を、市民にパブリックコメントを出したとき、本当に市民の方々はこの重要な課題に対して、異例なパブリックコメントの提出があったことも我々は記憶に新しいところだ。2,000通を超えるパブリックコメントがあったと思うが、その中で、この事業手法についての意見もあったように聞いている。どのような意見があったのか、改めて問う。
◎仲川元庸市長
昨年1月に発表した奈良市新斎苑基本計画案に対して、昨年1月4日から29日までの間、募集した。その中では、2,200通余りの、通常のパブコメでは考えられないほどの数の意見が届いた。
特に、事業手法に関する部分については、「運営方法は専門家などで十分協議が必要である。」という意見。また、「民間委託される予定のようですが、20年から50年の長期にわたり運営管理していかなければなりません。今後の使用に際して、時代の変化に対応する規定を作成してほしい。」という意見。また、「民間に委託することも含め、検討をしていただければよいのではと思われます。食事の提供できる企業を探して、タイアップしてもらえれば。」という意見。また、「民間に施設の運営を業務委託するほうが広義の意味で住民サービスへの向上が期待できる。」という意見。また、「なぜ奈良市が主体的になってやらなければならないのかわかりません。民間になぜ任せられないのですか。」という意見。また、「さらなるコストダウンを図れるように。」という意見などがあった。直営での運営を希望する意見はなかった。
◆内藤 智司
パブリックコメントを出したときに、既に市民の皆さんは民間による運営を認識した中でのことだと思うし、そのことに対しての違和感はないとコメントが出ていた。
その中で、民間手法としてのPFIとDBOの比較が、その結果はどうだったのか?
◎仲川元庸市長
民間手法の活用は、どちらも大きな意味ではPPP手法に分類されるものだと考える。その中で、市としては、PFIとDBOの比較検討も行ってきた。
その内容については、全員協議会で配った資料にもあるが、PFI方式を採用した、一部に民間資金を導入すること。その結果として金融機関をSPCの中に入れるという部分が違う。PFIのメリットについては、金融機関を巻き込むことによって、事業の管理に金融機関によるモニタリング機能が働くという利点がある。
一方で、民間の資金を導入するということになると、やはり金利の問題があり、これは市が調達をする起債に比べまると利息が割高となり、コスト面ではDBOよりもPFIのほうが高額になる。また、SPCの設立が必須となり、金融機関も入れたSPCの設立に、DBOよりも多くの時間が必要になる部分もデメリットとして考えて、これらを総合的に勘案した結果、DBOの採用に至った。
◆内藤智司
それでは、DBO方式のOの部分の運営期間が15年というのは長いという意見も決算委員会の中で出ていたと思う。実際に、DBOやPFIを採用している施設ではどのような状況なのか。
今回の15年に関して、都祁の針テラスの、委託30年の問題があるような意見も出されていたと思う。しかし、あの事業については、業者に対しての選定の問題、また契約書の中身の問題等、今回の部分と大きな違いがあるのではないかと思う。
一方、市立奈良病院は10年の指定管理を行っており、今回、既に2回目の契約期間中で、間もなく13年を迎えるところであるが、国立病院時代と違って目を見張るような充実ぶりで、市民の信頼も高く、市民の安心・安全に大きく寄与しているものではないかと思う。また、長期契約の後も、新たな市や市民の要求、例えばドクターカーや病児保育、それから利用料金制度の導入、市と事業者の協議の中で実現している。また、看護専門学校や興東診療所の開設などの協力に対して、お互いに信頼関係を築き、円滑な運営がなされていると思う。
この2つは、失敗と成功のよくわかる例だと思う。一概に委託期間の長い、短いで事業の失敗、成功を判断すべきではないのかと思うし、それぞれのメリット、デメリットをしっかり把握し、市としての責任を持った体制が必要だと思うが、このことについて、どのように考えているか?
◎仲川元庸市長
今回、我々がDBO方式を採用するに当たり、まず他市でどのように行っているのか調査した。まず、先進市における委託期間は、PFIやDBO方式を採用しているところは、おおむね15年から20年というところだ。盛岡市や小田原市、岡崎市、一宮市、津市は15年、札幌市、宇都宮市、越谷市、泉佐野市、呉市などは20年となっている。
今回の事業手法の検討に当たり、民間事業者の意向調査を行った結果でも、15年という答えが多かった。15年以上となると多くの変動リスクを抱えることになり、主なものとしては、大規模な改修が15年程度で迎えるということから、その費用を今から想定して盛り込むのはリスクが多過ぎると思っている。
事業者側からすると、人的な配置や人材育成、また運営業者の意向を反映した設計や施設、設備の配置などの投資を行うということを考えれば、やはり5年程度で事業者がかえられてしまうとことになると、その投資に対するリスクは大き過ぎるのではないかと考えている。また、市としても、やはり大変重要な施設なので、安定的で継続的な運営が肝心で、事業者が頻繁にかわるということは、市民サービスにも影響が大きいのではないかと考えている。
市としては、事業者の選定に当たり、その提案能力はもちろんのこと、信頼性を最大限重視した選定を行うことが重要であり、要求水準書が基本となるものの、それ以降における市、もしくは市民からの要望などにも柔軟に対応ができる部分も強く求めたいと考えている。
また、運営のスタート後も、定期的に事業者と市がトップレベルで協議会を開催するなど、定期的なモニタリング・コントロールをしっかりと保持することが市の責任として大変重要だと思っている。この点については、当然のことながら、市民や議会の皆様にも情報開示を行い、定期的なチェック体制をしっかりと市の責任として果たしたいと考えている。
◆内藤智司
今回、保安林の位置についての質問があったと思う。その確定に至った経緯が取り上げられたが、県の持つ資料と整合性がとれていないという指摘もあった。このことは、もう既に我々は前任期のときに、いろんな形の中でその議論をしてきたと認識していたが、先日の質問の中でこれが明確にされなかったということについては非常に不安を感じている。
この保安林の位置確定に至る県との調整やその他の経緯はどのようなものだったのか?
◎仲川元庸市長
保安林というものは、水源の涵養、土砂の崩壊、その他の災害の防備、生活環境の保全形成など、特定の目的を達成するために、農林水産大臣または都道府県知事から指定をされる森林です。そして、我が国の森林面積の約半分、国土面積の約3分の1が保安林になっている。
今回の新斎苑の事業計画を行う中で、用地買収が必要なために、所有者が持っている一団の土地について、まず境界を確定する必要があった。その作業を行うに当たり、一団の土地の中に保安林があり、その対応については所管をしている県の森林整備課のほうに確認している。県からは、県の図面は公図をもとにしているため地番境界を確定するものではなく、確定をするには現地での筆界確定が必要であるという指導があった。また、保安林の位置については、県としても正確な把握はしておらず、地権者や近隣住民からの聞き取り、また現地に構造物があるなどの客観的な資料や合理的な根拠があれば、位置を指定できるという話だった。
こういったことから、地権者の確認のもと、市として境界の確定を行い、地番界について基本計画に記載をした。
県との図面の違いがどこであるのかは、市としては、保安林台帳附属図、それから保安林台帳附属図の補助図の2点について確認をしているが、それぞれ表記されている位置関係が異なっており、この点について県に確認をすると、県からは正確なものではないと回答があった。
そのような経緯を踏まえ、計画地の西側の山の保安林については、地権者とともに市が責任を持って現地を確認し、筆界を確定したので、市が示している図面が正確なものだと考えている。
◆内藤智司
県との決定経緯については一定の理解をしたいと思う。
それでは、新斎苑の最後の質問だが、DBOのOを切り離してDBでできないか?こういった議論の中で、合併特例債もさることながら、やはり「33年3月31日に完成させてスムーズに移行しなければならない。今の現火葬場を4月から使えない、空白期間ができることに対して市民に多大なる迷惑をかける」といった、今回の総括質疑の中でも市長の答弁があったと思うが、それでは、現火葬場の敷地の借り主との借用期限について、どのような約束になっているのか?
◎仲川元庸市長
白毫寺町の西勝寺と土地借用の契約を結んでいる。なお、平成23年3月に東山霊苑火葬場の移転について、奈良市の最重要課題と認識し、合併特例債の活用期限である平成33年3月末までに確実に竣工するという内容で合意書を交わしている。また、先日の白毫寺連合自治会の皆様との話し合いの中では、平成33年4月以降は、必ず現東山霊苑火葬場を使用しないことを明記するように、合意書の変更についても求められている。
◆内藤智司
今回の火葬場の建設に当たり、一昨年から議論をしてきた中で、本来、この運営方法についてももっと早くに議論をしなければいけなかった。そうすればPFI、直営、DBO、こういったものを深く審査、議論できたのではないかなと思う。思うが、今、断面、総合的にコスト、それから22億円の合併特例債、それから4月からの運営にスムーズに移行していかなければならない。そういった総合的な判断をすれば、今の断面でいけば、DBOにしなければならないのかなということも踏まえて、我々は最終判断していきたいなと思っている。
◆内藤智司(追加質問)
DBOのOを切り離した場合に、平成33年3月までに間に合うという表現をしたと思うが、改めて市長にDBOのOを切り離した場合に、例えばこれからの仕様書の作り変えとか、業者の選定とかいった状況の中で間に合うのか、合わないのか?
◎仲川元庸市長
現在、考えているスケジュールとしては、10月上旬に事業者の募集を開始し、プロポーザル方式で事業者の選定を行った上で、年度内には業者を決定し、30年度から3年間で設計、工事、そして33年度からの運営の開始を計画している。
これらについては、基本的にはDBO一貫して作業をしてもらうと考えているが、仮にOを切り離して考えると、いわゆる要求水準書の修正等が必要となり、これにおおむね2カ月程度はかかるのではないかと考えている。そういったことを考えると、やはり使用期限内での確実な事業の竣工ということに影響を与えることが強く予測されることから、市民にも多大な御迷惑をかけると考える。
今回、議会の中でもさまざまな意見、指摘を十分認識しているので、さらにしっかりとした事業として行えるように努力をしたいと考える。
【2、待機児童への対応についての質疑応答・意見・要望】
◆内藤智司
採用する臨時保育士の人数に対し、離職する人数のほうが勝っている現状であること。公の保育園の保育教育士は、私立では受け入れてもらえない児童、例えば多岐にわたるアレルギーに対応しなければならないこと。これを公の責任として受け入れているといった現場の声をもっと聞かなければならないということ。それから、10人の正規の募集に対して110人の応募があるのに、なぜ保育士が足りないのか。幼保一元化の基本計画が確立するまで正規の保育教育士の人数は減らすべきではない。少なくとも現在不足している人数は正規で採用するべきであるということも指摘をしてきた。 市長は、待機児童対策については、公立園の保育士の確保の問題が最重要課題であると繰り返し答弁した。実際には、平成28年4月の待機児童は85人、平成29年4月の待機児童は163人、先般、新聞報道でありました9月の待機児童は167人、増えている現状から見ても、民間園の増設、あるいは新築だけに頼るのではなく、公立の園の受け入れをいかに進めるかが大きな課題であると思う。
幼保再編計画が未確定である中、公立園での待機児童の受け入れに対して、これまでの議論を踏まえ、どういう方策で臨もうとしているのか?
◎仲川元庸市長
私も政策の中で重視しているもので、本市の最重要かつ喫緊に解決すべき課題だと認識している。これについては、2年以内の解消を掲げている。 待機児童解消には保育士不足が一番大きなネックになっているということについては、私も理解している。そういった中において、正規の保育士については、本年4月に募集をした来年の春に入庁する職員については、採用の予定が当初10名程度であったところを、その2倍の20名の合格者を出し、保育士の確保に努めている。現在は、経験者の保育士の採用を、準備している。
そういった中において、一方で、今後の待機児童の需要の予測や大きな時間の流れの中では少子化という課題もある中において、正規の職員で100%カバーをするということも、一方で現実的でもないという状況もある。そういった中において、今回提案した、非専門的任期付職員制度について、これが成立した場合には、本市の保育業務における人員面でのベストミックスを図っていくことにつながるだろうと期待している。
いずれにしても、待機児童の解消に向けては、本市が有する経営資源を最大限活用し、保育士の確保に努め、早期に課題が解決できるように取り組みたい。
◆内藤智司
待機児童の問題には、本当に早急に対策をしていかなければならない。公の保育園の現状は、本当に大きな問題を抱えて行っていることを再度述べておく。
【3、連絡所の運営のあり方について質疑応答・意見・要望】
◆内藤智司
担当課からは、経費縮減に向けた取り組みをしていることは確認できたが、連絡所の利用状況において、来所者の少ない連絡所があることも指摘した。 一旦、事業仕分け等をした時に、廃止論が紛糾をした状況の中で、今存続をしているわけだが、今すぐ廃止とかいう問題ではなく、1つの案として、来所者数の少ない連絡所については1週間フルで開けるのではなく、A連絡所については月水、それからBについては火木という2カ所を1つのグループでやることによって、人件費の経費が削減できるのではないか。こういったことも提案した。
市長の考えはどうか?
◎仲川元庸市長
利用者が減少傾向にある状況は、私も認識している。一方で、これから本格的な高齢化を迎える中において、どのような住民サービスの提供手段が適切であるのか。ということを議論すべき時代に来ていると考える。その中では、特に出張所改革やコンビニなどでの住民票の発行など、さまざまな市民サービスの充実に向けた検討も今、進めている。
一方で、今、地域においては、地域自治協議会の設立に向けた議論も進んでいる。この議論の中では、地域の、いわゆる拠点をどこにするか。という課題も出ており、自治連合会の中でも今後の連絡所の方向性も合わせて、連絡所のある自治連合会との合意形成を図っていく必要があると考える。それに際しては、さまざまな方法論についても、ぜひとも参考にしたいと考える。
◆内藤智司
連絡所自体の機能というのは維持できるもの。市民サービスの、サービス低下にならない形の中で効率的に運用できるのではないかと思うので、ぜひとも検討していただきたいと思う。
【4、その他意見・主張】
◆内藤智司
国民健康保険料の税外債権、それから生活保護法の第78条の徴収金における未収金の問題についても通告したが、委員会の中で一定の理解をした。 人手不足で解決すべき課題が未解決のままになっている問題については、国民健康保険料や生活保護法の第78条の徴収金だけの問題ではなく、税務にも同様の問題が生じていたと承知している。しかし、税務の問題については、これまで国税のOBを中心に任期付職員を採用したり、非常勤の嘱託職員の採用をしたりということで、人員を増加した結果、市税全体の徴収率、現年、滞納分も含んで大幅な改善がされて、約25億円の税金を確保するに至ったと聞き及んでいる。この事例は、人手をかければ成果を出すことができる証しではないかと考える。だから、国民健康保険料など税外債権の未収金にしても、生活保護の徴収金の未収金にしても、あるいは待機児童の問題にしても、その解決の要素はマンパワーの投入であると思う。職員1人を採用して職務に励んでもらえば、それが5にも10にもなる、そういった成果が上げられるのではないかと思う。
また、この問題は行政の公平性につながるものであり、人手が不足しているから、ある人からは回収できるがある人からは回収できない。ある子供は入園できるけれどもある子供は待機児童になる。こういった状態は、行政執行の公平性という公務の基本的な責任をないがしろにしているものと考える。公平性の確保は行政の基本であり、そのためには一定の人員の必要性もある。業務に必要な人員の確保ができないことが行政の公平性にもかかわる問題であるということは改めて述べておきたいと思う。
人手不足から成果を出せないというのは言いわけにしかならない。人手が足りないならば、躊躇なく職員を採用する。そうすれば成果が上がる。これは単にお金の問題だけではなく、公務の公平性の問題であると強く要望しておく。一定の成果を上げる、また行政を公平に進めていくためのマンパワーが必要であり、このことを踏まえて、待機児童の解消や税外債権の未収金の問題など、市政上の重要な問題の解決に取り組んでいただきたいというふうにほしいと思う。