平成30年1月 市民環境委員会01月26日
平成30年1月 市民環境委員会01月26日-01号
【1、クリーンセンターの件で建設計画に関連して】
【2、地域自治協議会について】
【1、クリーンセンターの件で建設計画に関連しての質疑応答・意見】
◆内藤智司
市長は昨年、東里地区での移転計画を断念して、クリーンセンター計画問題については広域化や現地建てかえを含め、あらゆる手法でクリーンセンター問題の解決を図ると、マニフェストにもうたってあり、年始の冒頭の新聞の奈良づくりの中でも述べていた。市長の方向性は、現状を考えると、一刻も早く建てていかなければならないと考えていると思う。
一方、昨年末の12月16日に、奈良市の自治連合会の主催による奈良市のごみ問題を考える市民集会があった。私も市民の一人として参加したが、その議論の中では、ごみ処理施設の移転問題について相反する立場の意見が、それぞれ連合会の参加された中の方々から主張されていた。一方では、平成17年に成立した公害調停を遵守して、現施設の移転を進めることが行政、奈良市としての当然の責務である、その約束を守ってほしいとの意見が上げられていた。その一方では、現奈良市の環境清美工場敷地での建てかえが経済的に見て合理的であるということや、健康被害の訴えがこれまでもその事実は確認されていない、現在の技術では公害のないクリーンな施設が実現しており、安心と安全についてもう一度考えるべきではないかという対立した主張があったと思う。今回は、そういった状況を踏まえて何点か質問する。 健康被害や環境汚染の有無について、客観的な観点から、また科学的に根拠、データを確認したいと思う。左京小学校では、敷地内に観測局を設けて各種データの観測をされていると聞くが、そのデータと、左京以外の観測地でのデータの比較、こういったものがあるのか?
◎南阪敏治環境清美工場長
観測データの比較については、左京小学校、佐保台小学校、朱雀小学校及び飛鳥小学校に固定観測局を設け、定期的に二酸化硫黄、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、塩化水素及びオキシダントのデータを測定している。浮遊粒子状物質及び二酸化窒素については4つの観測局において測定しており、二酸化硫黄、塩化水素及びオキシダントについては、左京局と佐保台局の2カ所での測定となっている。
そこで、平成28年度の測定値を比較いたしますと、浮遊粒子状物質と二酸化窒素においては、4つの観測局の中でも飛鳥局が高い値を示した測定値もある。一方、左京局、佐保台局で観測している二酸化硫黄、塩化水素、オキシダントについては、両局とも類似した数値を示している。
◆内藤智司
市民集会の中では、移転を求める声の中である弁護士が、ほかの地区等は日常的に公害に侵されているという実態を皆さんにわかってほしいと切実な訴えがあった。だが、それは本当に客観的、科学的に調べた現状か?と思う。そういった意味では、今の施設、最新の施設も含めて、現地の方々にもう一度やはりそのことの理解を深めていくということも大事かと思う。
次に、最新のごみ焼却炉、施設の観測データについて聞く。最新の排ガス技術を用いた他の自治体での新しいごみ焼却炉施設の排ガス測定値についてどのような状況になっているのか?
◎松田伸一クリーンセンター建設推進課長
例として、平成28年3月に竣工した近畿圏内のほかの自治体施設でのデータを参考に話す。
当該ごみ焼却施設から排出される排ガスデータは、国が定めた法規制値を遵守していることは当然だが、施設管理者側が法規制値に対してより厳しく自主規制値を定めて、その数値を目標として運転管理が行われている。実際には、排出される排ガスの測定値はその自主規制値をも下回っていることがホームページでも公開されており、最新の技術を用いた施設では、法規制値を大きく下回って運転されていることがわかる。
具体的な例で見ると、ダイオキシン類では、法規制値に対して自主規制値はその2分の1以下を数値目標として運転されているが、実際の測定値では、法規制値の0.1ナノグラム-TEQパーノルマル立米を大幅に下回る0.000031ナノグラム-TEQパーノルマル立米が最大となっており、法規制値から見ると3000分の1以下の数値におさまっている。
以上のように、最新のごみ処理施設は公害に結びつくようなものではなく、環境負荷に配慮をした、より安全・安心でクリーンな施設を実現できるものと考えている。
◆内藤智司
最近の施設、28年3月に竣工した施設は、私も行ったが、豊中市、伊丹市、あの辺で開業した施設が、そうだったと思う。
先日24日に、去年の29年3月に竣工した港島クリーンセンター、これはポートアイランドに昨年運開したが、先日行った。600トン規模の施設だったが、今の比較で、ダイオキシン類等のデータ、排出量も聞いてきた。炉によって若干の差はあるが、この0.1に対して0.003とか、あとゼロが4つついて69とかそういった形で、非常に性能、公害に対しての技術というのが進歩しているということがわかるかと思う。そういった意味でも、今後本市で計画されている技術は、さらにまたよくなると理解をしていかなければならない。それを広く訴えていかなければならないと思う。
一般的なクリーンセンターなどのごみ施設は、迷惑施設として住民にはなかなか受け入れがたいが、現在のクリーンセンターではごみ発電が常に設置、併設されて、いわゆる熱源を利用してという形のごみ発を備えているところが多い。自家消費をしている、余剰電力を電力会社に売電をしてその収入を生み出すとも聞いている。
このことから、奈良市の新クリーンセンターにおいて、施設から生み出される電力を利活用した周辺地域のまちづくり、地域振興等も考えられると思うが、現在、奈良市でそのあたりをどのように考えているのか?
◎松田伸一クリーンセンター建設推進課長
最近のクリーンセンターは、ごみの焼却により発生する余熱をより積極的に有効利用しようとする熱回収施設となっている。そこでは、余熱により蒸気を発生させてタービンを回し発電をする、ごみ発電所のようになっているのが最近の事例だ。
発電された電気の利活用については、多くの自治体施設では売電による収入を得るメリットを得るところが多いが、この収入の一部を新たな財源として、施設周辺のまちづくりや地域活性化対策として利活用することも考えられる。例えば、余熱を利用した温浴施設などのコミュニティー施設、周辺の公共的施設への電力供給、また、災害時の防災拠点として非常用電源の設置や、焼却炉本体からの発電により災害時にも電力供給ができることなども考えられるし、地域と一緒に考えていくことで、よりよいものにすることを検討したい。
◆内藤智司
先般行った、ポートアイランドのクリーンセンターだが、そこにもごみ発、発電機を備えていた。まだ半年しか運転されていないので、1年間のというのはなかなかなかったが、その電力収入は5億1600万円だ。そこは200トンを3基備えているが、半年で5億1600万円、年間にして10億円の収入を期待している。計算値からするとそういう値が出て、半年間の実績もそれでいけると言っていた。
奈良市が今、単市で計画されているのは370トンと聞いているし、これが広域化という形になれば、同規模の発電機が備えられると考えると、そういった年間10億円といった収益、5億円といった収益を地域にどうように還元できるか。これは基本的に嫌悪施設にするのか、その施設があることによって、そのまちがこんないいことができるのだということを検討して、その施設を中心に新しいまちづくりを、これから10年先を考えていくことが、十分可能かと思う。
例えば、万博公園があるが、そこは今公園となっている。あそこに太陽パネル発電機を、そこに蓄電池を置いて、常時そこの施設の自己消費をしているが、それがいざ有事の災害が起きたときに、あそこは避難場所として利活用も、今実際使われている。いわゆる発電をすることによって、そこの公園全体が防災基地になるという取り組みの中で今運営をしている。
発電機を1つ持つことによって、そこを防災拠点、避難場所として、そこの地域の人たちをそれによって災害から守るということにも十分活用できるし、日ごろはどうなのかといえば、その収益をもってそのまちの人たちが安心して暮らせるような施策、こういったことにも投資ができるのではないか。それをこの港島クリーンセンターはこの全て10億円を一般収入にされていたが、逆に使えば、それを基金として、その地域の防犯対策、防災対策、こういったところにも使えるんじゃないかなということも含めて考えれば、その基地があることによって住民の皆さんが意気に生きられる、安心して生活できる、そういったまちづくりを考えていくことも一つ大きなテーマかと思う。
それでは、現在の施設の維持管理、これから最低でも10年かかる、今の施設をどうするのか?
現在の環境清美工場の維持管理、それに伴うごみ処理の体制全般について。
また、排ガスの検査など日常の運転管理もさることながら、現在の環境清美工場の老朽対策は、新クリーンセンター建設稼働まで少なくとも現施設で運用しなければならない。そのために、炉の維持管理をどう考えているのか?
◎山村栄之環境部長
新クリーンセンターの建設まで現在の焼却炉を安定して稼働させるための方法としては、例えば、昭和57年竣工で最も古く維持コストがかかっている1号炉を停止し、残りの3炉に対し、延命化に必要な工事を集中的に行うことなどが考えられる。
◆内藤智司
それでは、老朽化によって炉の処理能力が低下する、または4炉から3炉ということになれば、当然炉に投入するごみの量を減らさなければならないが、大体どの程度減らすことが必要と考えられるのか?
◎山村栄之環境部長
1号炉を停止し、残りの3炉で運転するということになれば、現在焼却している年間約8万トンの可燃ごみのうち、2万トン程度を減量しなければならない。
しかし、1炉当たりの稼働効率の向上や搬入ごみの自然減などにより、減量の程度を緩和できる可能性はあると考えている。
◆内藤智司
それでは、8万トンのうち2万トン程度減量しなければならないということになるが、今現在、奈良市では分別が非常に進んでおり、ごみの量も、全中核市と比べても高水準の中で減量しているが、それをさらに減らしていくというのは非常に厳しいと思うが、このごみを減らす対策として有効な施策は?
◎山村栄之環境部長
これまでさまざまな機会を捉え、市民や事業者の皆様に訴えてきた。ごみ減量キャラバンで地域に出向いたり、ごみアプリなど広報媒体の活用で分別の徹底をお願いしたこともあり、燃やせるごみの排出量は、28年度までの10年間で約1万7000トン減少している。さらに2万トン程度を減量するとすれば、新たに計画を立てた上で着実に減量に取り組むことが必要となるため、現在その計画の策定に取り組んでいるところだ。
ごみの減量施策としては、一例として、家庭系の燃やせるごみの約17%を占め、分別が徹底できていないチラシや包装紙、紙袋などの雑紙を資源ごみとして捉え、地域での集団資源回収の取り組みの拡大を市民の皆様に改めてお願いしたいと考えている。また、水分を多く含み、家庭系燃やせるごみの約41%を占める生ごみについても、水切り、分別を徹することも訴えたい。
そのほか、間接的な減量効果が期待できるものとして、近隣他市と比較して現在最も低い水準だが持ち込みごみ手数料を、適正な水準に引き上げることも検討したいと思う。これには、主な排出者の市内の事業者、あるいは事業系収集運搬業者への十分な説明が必要と考えており、その上で、奈良市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により実施したいと考えている。
◆内藤智司
今も家庭ごみを分別しているが、時によれば取り残しなど、分別できずに、回収されずに置いていかれるといったこともしばしばある。その上に、雑紙なりという形になればさらに、分別しなければならない。しかしそのことは、これからクリーンセンターを10年向こうに建てていかなければならない。その間、今の炉をもたさなければならない。そのためには、2万トンを減らさなければならない。これは、ものすごく現実的な課題だと思うが、それを市民に協力してもらわなければ達成できない。市民と一緒になってやらなければならないと思う。
一つやり方としては、連合会が市民集会をするということは、連合会、自治会自身もそういった問題意識を持っていると思う。そこを十分活用して、逆に発想すれば、自治会が意気に分別をできるような施策などを考えていければと思う。
私自身、自治会活動をやりながら連合会にも入っているが、自治協議会というのを今設立しよう、準備しようとしているが、そこにごみの量をこうやって減らす、減らしたらこんなこともできるのだと考えながらすれば、自治会、連合会の中で十分それを伝達しながら地域で取り組まないと出来なと私は思う。そういったことも考えていく必要がある。ごみを減らせば支出が減ると、収益が出ます。その一部を地域に還元できるとか、も考えていけば、地域全体で考えていけるのかと思う。
去年、「分別をお願いします。」と連合会を通じて自治会に話がきた。そのときも私が自治会で話したのは、「それだけ今老朽化が進んでおり、パンク寸前なのです。もう市民が協力しないと、次のクリーンセンターが新しくできるまで今の炉がもたないのです。」そういった切実な訴えをしながら自治会の皆さんにお願いした。こういった雑紙までも分別しなければならない切実さを何とか訴えていければと思うで、その施策は、またいろんな方面で皆さんと協議していければいいかと思う。
【2、地域自治協議会についての質疑応答】
◆内藤智司
先般、地域づくりセミナーが自治連合会の主催で開催された。そこでいろいろな問題提起を、講師をしていただいた立命館大学の乾先生がいろんな地域づくりに対して問題提起をした話を聞いた。
今、一生懸命、連合会が行政と一緒になってこの住民自治組織を立ち上げ、何とかしてつくっていきたいという思いだ。私は推進する立場でいつも質問している画が、一番大きな問題は、今一生懸命やっている人たちは高齢だ。70歳を超えている方々が今一生懸命されているので、それはもう元気で活動されているが、この制度をつくって向こう10年、どうするのだというのは大きな問題だと思う。
今意気に一生懸命新しいまちを作っていくのだということはいいが、それを次の担い手に引き継ぐ構図がなければ、今作ってすぐ5年先、10年先どうなっているのかと不安を抱えながらやっていくというのは、非常に問題だと思っている。そういった意味の中では、これは行政も地域も、この担い手不足ということに対しては十分認識していると思う。 この地域の担い手不足の対策、後継者問題について、行政としてどう考えか?
◎矢倉靖弘協働推進課長
現在自治連合会と連携して創設を検討している地域自治協議会が、地域における各種団体の連携協働の仕組みであり、今までの既存の地縁組織とは異なり、区域内の全住民が構成員となる組織であることから、この取り組みが新たな担い手づくりの一つの方策になると考えている。
検討を進める中で、自治連合会の地域自治協議会検討委員会での議論や、各地域で実施している地域課題について考えるワークショップなどでも、担い手不足ということは各地区から声が上がっており、切実な問題であると感じている。また、先日実施した地域でのワークショップの中で、参加者やファシリテーターから発言があり、楽しみながら活動をするということが担い手不足を解消するためには重要であり、今まで地域の活動に参加されてこなかった方々に、まずは自分のかかわりのあるところ、興味のあるところから参加してもらえるような仕組みが必要ではないかと考えている。
平成30年度において交付を検討している地域自治協議会準備会への交付金については、そういった新たな担い手の発掘のための取り組みにも活用していただきたいと考えている。また、交付金による支援にとどまらず、取り組み方法についても積極的に協力したいと考えている。
◆内藤智司
2つ目として、今奈良市の連合会の地域自治協議会検討委員会の活動をされているが、活動状況については?
◎矢倉靖弘協働推進課長
平成29年度は、50地区ある連合会のうち27地区が参加し、6月より毎月開催されて、地域自治協議会の制度設計、拠点施設の検討に加え、各地区での出前講座の実施や地域自治組織づくりのマニュアル作成など、これから地域自治協議会を立ち上げようとしている各地区の支援を行っている。1月21日には各地区の自治連合会、社会福祉協議会、民生委員・児童委員協議会、自主防災・防犯組織の代表者を対象に地域づくりセミナーが開催され、講師を招いての講演会と意見交換が行われた。
市としては拠点施設の整備について、現在希望の既存施設を提供できないか、関係課で協議、検討をしているところであり、利用可能な場合、できる限り地域が利用しやすい施設とするため、ふれあい会館化についても並行して検討してきた。組織づくりのマニュアル作成や地域づくりセミナーの開催に当たっては、市としても協力を行ってきた。
今後も、この検討委員会を通じて各地区におけるさまざまな状況を理解し、意思疎通を図りながら、地域自治協議会の仕組みづくりや設立支援を行いたいと考えている。
◆内藤智司
地域づくりセミナーに参加して、乾先生の考え方が、反対する人、賛成する人いろいろでしたが、私は非常に共感できるところが多くあった。今まで行政もそうだし、連合会もそうだし、このことについてはまず枠を作ってというのを前提に、市も窓口を一本にしなさいよと言っていた。乾先生が教えてくれたのは、枠をまず作るのではなく、震災が起きたときの真野地区の話を熱心にされていた。災害が起きたときの状況を教えていただいて、参加するところから始まる。地域の方が、子供を持つ親御さんたちとかそういった方たちがこの地域に参加すれば、自分たちの生活、子供たちを守る、そういったことに役立つのだ、意気に感じるのだというところの取り組みをまず始めていったらいいではないか。そこから枠ができていくではないか。それが真野地区のあの震災の形なのですよ、切実に話された。
非常にこれからのまちづくり、地域づくりをしていく上においては、楽しみながら活動できる、このことを原点にしていけばいいものができるのではと思う。これから連合会の皆さんとも協議しながら進めていけたらいいかと思っている。