平成30年12月 補正予算等特別委員会 12月10日

平成30年12月 補正予算等特別委員会 12月10日

【奈良市行政組織条例の一部改正についての質疑応答・意見・要望】

◆内藤智司

 代表質問でも今回の議案については取り上げたが、まずは市長から基本的な考え方を聞いた。今回の組織を拡大していくことの目的、特に大きくなる総合政策部、総務部、市民部、この辺の統合再編の意図、それに伴うメリット、デメリット。基本私は、組織というのは本来下部組織、課の再編なり、改革なりされ、それがおのずと部の再編という形が望ましいと思っているが、その辺の考え方についても、代表質問でも聞いた。その中身の具体的な部分について聞きたい。

 まず、市長答弁の中で、市長は「複雑多様化する行政課題にスピード感を持って対応し、組織を細分化し課題解決をしてきた」というところで、前回のその組織の細分化をした組織編成の改正をされたのは何年度か?

◎打上勧行政経営課長 

 組織改正は毎年行っており、条例改正を伴ったものとして、直近で平成29年度に改正して、部相当としていた保健所を健康医療部とした。  なお、部の増加を伴った改正については平成26年度に行い、その際に財務部と会計契約部を創設した。

◆内藤智司

 昨年度、保健所を健康医療部へ組織変更を行った。その手前に、平成26年度に財務部、会計契約部を創設して、組織を大きく再編されたという記憶がある。このときは今の議会での常任委員会の組織変更も重ねての改正であったと記憶をしている。

 一方で、今回の改正は定員適正化計画に沿った職員数の削減や大量退職による職員構成への対応が必要になったためと、市長は答弁をされたが、平成26年度以降の職員の削減数は?

◎鈴木千恵美人事課長 

 平成26年度に組織編成を改正したそれ以降の4月1日現在の奈良市全職員数については、前年度と比較して、平成26年度が82名減、平成27年度が79名減、平成28年度が52名減、平成29年度が40名減、平成30年度が31名の増加となっている。

◆内藤智司

 定員適正化計画に沿った職員数の削減とのことだが、定員適正化計画と削減された乖離数を、同じように平成26年度以降の職員の削減数については?

◎鈴木千恵美人事課長 

 平成25年度については、計画数2,982名に対し、実職員数は2,940名で、実職員数のほうが42名少ない。平成26年度については、計画数よりも実職員数が96名少なく、平成27年度については、計画数よりも実職員数が161名少なく、平成28年度については、計画数よりも実職員数が8名少ない状況だ。平成29年度については、計画数よりも実職員数が1名少なく、平成30年度については、計画数よりも実職員数が77名多くなっている。  平成30年度については、一時的な業務量の増加や市民サービスの提供体制の充実に対応するため、新たに非専門的任期付職員の採用を開始したこと、また児童相談所の開設などの新規事業等により職員の採用を増やしたことが要因となっている。

◆内藤智司

 業務の整理を行った上で組織の統合再編を行うことにより業務に投入できる人的資源を確保するとあったが、具体的にどういうことか?

◎打上勧行政経営課長 

 例えば一般的に部の数が多くなった場合に、部をまたがる課題への対応に当たっては調整を要することが多くあり、そこに人員を割く必要も生じてくる。また、部内の共通事務を行う間接部門にも人員を割く必要も生じる。組織の統合再編により、関連分野の業務を一括して所管させた場合、このような調整が必要なくなり、また間接部門の人員も削減できることから、それだけ直接の業務に従事する人員を確保することができる。

◆内藤智司

 それでは、今までの答弁から、多様なニーズにスピーディーに対応するために組織を細分化したことと、定員適正化計画以上の職員を削減してきたことが明らかにされたが、ここには大きな矛盾を感じている。ここ数年の庁内の状況を見ると、このことが組織としてのひずみを大きくしているような感が見受けられる。

 代表質問では、大量退職の構成変化への対応が以前にも増して必要と答弁されたが、これまで構成変化への対応をされてこなかったのが、このひずみの結果である。このことは当初よりずっと指摘してきたと思う 大量退職により構成変化をするのは、何年も前から想定できていたはずであり、市長は人員を削減することを優先させたと感じている。結果として、人材不足から課の業務を経験しないまま役職になり、また職員数が不足していることから、役職者が担当者の補助をしなければならない。こういった実態が見受けられるのではないか。管理者としてのマネジメントができていない、一人一人の業務負担を見られていない、そのために病んでいる方々が何人おられるのか。そういうところも、やはり今回の26年度の改正以降の中で反省をしなければならないのかと思っているし、このことについては、この26年度の組織編成をするときに、25年の定例会でこういったことは指摘をされているところだ。  この辺のところについて、今日の状況をどのように捉まえているのか?

◎向井政彦副市長

  市民の多様な、また変化するニーズ、そしてまた解決するべき新たな課題に対応するために、それぞれの時期に適した組織の見直しというものを行ってきたということだと思っている。

 しかし、その組織を構成するのは、やはり今いる職員一人一人ということだ。組織というのは、なかなかベストというのは難しいと思うが、いずれにしても、職員がどれだけやる気とやりがいを持って仕事に取り組めるか。それが一番重要であると考える。特に、職員や組織を動かしていくこの管理職は、市の方針をしっかり共有して、その目的達成のために職員をしっかり取りまとめ、経営感覚とともに生身の人間を理解して円滑な組織運営を図る、そういった能力が必要である。

 本市においては、近年、管理職になる年齢が若くなり、いわゆる係長とか課長補佐などの重要ポストの経験が少なくそのまま課長になってしまうという現状がある。また、そういうのも一因かもわからないが、病気休暇者が出ているということも承知している。

 今回この組織改正についても、やはり一人一人の職員を生かせるように、業務の見直し、人員配置の適正化、そして能力向上などにつなげて、ひいては市の行政の推進につながっていくようにしていきたい。

◆内藤智司

 次に、市長の答弁の中では、「来年度、平成31年度についても継続して部の再編を含む組織の簡素化を図り、効率的な行政運営を目指す」との答弁があったが、今回の改正とあわせて、全体像を具体的に教えてください。

◎打上勧行政経営課長 

 本会議で市長が答弁したとおり、今回は簡素で効率的な組織を目指そうとしたものです。職員数の減少、職員構成の変化に対しては、今後も対応の必要があり、組織のあり方については、来年も継続して最適な形を模索していかなければならない。

◆内藤智司

 それでは、次に、総合政策部、それから総務部、財務部、会計契約部の4部が2部に、それから市民活動部、市民生活部の2部が1部になるということだが、単純には部の大きさが統合前の倍になるという印象がある。これまで課題が多いということで、それに対応した組織を編成してきたとい考えるが、課題が減っていないのに組織を減らす、本当に対応できるのか心配だ。

 そこで、組織編成と人事、情報を加え、最適な組織編成と職員の定員適正配置を一体的にすること、また行財政改革と財政状況の改善に向けて実効性のある推進体制が必要であることは、一定の理解はできると思う。以前からこのことは主張してきたところだ。

 その上で、人事課の抱える業務のウエートと組織編成を掌握していく管理範囲における体制について、人事に携わってこられた向井副市長に、また総務部に財務部を統合することにより、主に行財政改革、財政や税務を担う管理体制について、財務部長と会計契約部長を経験された西谷副市長にそれぞれお聞きしたい。

◎向井政彦副市長

  政策を推進するに当たり、組織編成と職員の適正配置、これは一体的に考えると、一体的にやっていくというのが適切ではないかなと思う。そういう意味でも、それらをしっかりやっていける、任せられる、そういうような人材の配置というのが大変重要だ。 ◎西谷忠雄副市長  総務部そのものは市の組織、いわゆる運営を支える役割を持つ重要な部署の一つであり、一体化していくということが必要であると考えている。その分、所掌範囲が広くなるので、例えば行財政改革及び財政部門、税務部門など、その分野や課題に応じた必要な人材の配置が必要である。

◆内藤智司

 次に、市民生活部と市民活動部が統合して市民部というふうな改正になっていったかと思うが、現在の市民生活部長、それから市民活動部長にそれぞれ聞きたいと思う。

 現在抱えている部の課題を踏まえて、統合されることにより想定されるメリット、デメリットについて?

◎川尻茂市民生活部長

 新たな市民部の編成の中には、市民生活部の所管する証明書の発行などのほかに、担当する各地域の自治会等各種団体との連携調整や地域のイベントなど、地域の振興に関する業務等、市民活動部の業務と密接に関連する地域振興の業務もある。出張所改革や地域自治協議会との協働については、地域の自治会などの団体と市との直接のかかわりの中で課題を発見し解決していくことが必要であり、これらに係る情報を部内で共有することによって、効率的かつ効果的な施策展開もできる。

 一方、市民生活部の観点からの課題は、市の重要課題である新斎苑整備事業の進捗管理やコンビニ交付導入の進捗、東部地域の振興、窓口業務の改革等、多岐にわたる業務の課題等もあり、市民活動部の6課を統合するということで言えば、事務量が相当なものなる。

◎園部龍弥市民活動部長 

 市民生活部との統合で、現在抱えている部の課題を踏まえて、統合されることにより想定できるメリット、デメリットについては、市民活動部との統合による利点だが、先ほど市民生活部長が答弁したとおり、市民活動部は自治会などの関係団体とのかかわりが強いこともあり、部が統合される場合、これらの情報を内部で共有することによって、施策がより効率的、効果的に進められることと考えている。

 一方、統合による課題は、市民活動部の観点から言うと、31年度から順次、地域自治協議会が設立されることもあり、今後さらに業務のウエートが大きくなるものと考える。さらに、市民活動部では100カ所を超える施設を所管し、その多くは老朽化により改修を必要としておる中で、今後の対策についても検討課題の一つと考えている。さらに、地域や文化、スポーツ関係の団体とのかかわりが多く、市民生活部と統合された場合はより広範囲にわたる対応が必要となってくる。

◆内藤智司

 特に今、市民活動部と市民生活部が抱えているその地域自治協議会、今まさに準備会が設置されて、いよいよ本格化していく中で、庁内の体制をどうするのかといった大きな課題もあるし、新斎苑等、多くの大きな課題を抱えているという中で、これが1つの大きな部となるわけだが、やはり統合される市民部の内部体制を大変危惧するところだ。次長というポストもあるが、やはり別に特命担当される管理者などの体制が必要ではないかとに考えるが、この辺については?

◎向井政彦副市長

  今回の市民部の設置については、ただいま両部長が申し上げたように、組織のマネジメントであったり、業務の着実な進捗という面においては、いろいろ指摘がされているということは認識をしている。

 今回の改正は、組織のスリム化を目指すということだが、それにより業務が停滞したりすることはあってはならない。まずはしっかり任務を果たしてもらえる部長を任命することだが、次長級も含めて必要な人材を必要な部署にしっかり配置するということは、当然必要と考えている。

◆内藤智司

 今回あえてそれぞれの部長、今年度で退職される立場なので、率直な意見だったと思うし、それに対して、本当にこの市民部が抱える、両方に抱えるそれぞれの課題に対して、今、副市長おっしゃいましたように、遅延することなく解決に向けてしていくための人員配置というのは、私も必要だと思うので、その辺は今後3月までに配置の体制を構築されていく中で、本当に強く要望しておきたい。

 次に、人事課長に聞くが、各部の特定の事務を担当する理事、参事の過去5年間の経過を確認した。組織改正があった26年度以降、各部において参事の数が27年、28年とある中で、29年、30年、特に今年度の30年においては、かなりの数が削減されているところが見られるが、その経過については?

◎鈴木千恵美人事課長 

 新規事業や強化事業などを主に推進するため、特命的な立場で事務を統括することを目的として部に配置している。過去5年の推移としては、部、それから室の統廃合による組織の簡素化や定員適正化計画による職員数の適正化、また担当事業の完了に応じて、年度ごとに職員数に差が生じている。

◆内藤智司

 それぞれの抱える年度年度の課題に対しての特命という形では、その増減というものは、答弁通りだと思うが、その分、次長職もそれぞれ配置されている中で、この参事、理事職というのは、その特命を持った、一つの大きな役割を持った中でのポストだと認識している。

 代表質問の市長答弁の中で、「部組織の各階層である課や係が十分機能し、分担が徹底されることで、管理職がこれまで以上にマネジメントに専念できる環境を整え、その役割を十分果たすことで克服する」という答弁があったが、具体的にどのように考えているのか?

◎鈴木千恵美人事課長 

 管理職の人数は、組織の統合再編に対応したものになり、管理職以外の職員としては業務に投入できる人的資源を現在以上に確保できることから、管理職はマネジメントに専念できるものと考えている。また、管理職がこれまで以上にマネジメントに専念できる環境を整え、その役割を十分に果たすための体制については、まず今年度から管理職を対象とした研修を充実させており、マネジメント力の向上等人材育成に努めている。

◆内藤智司

 今回の条例改正は部の再編だが、この再編により大きくなった部も含めて、組織が機能するには、まずやはり係長がしっかりその係をマネジメントする。その上で課長が課をしっかりマネジメントをすれば、部がどんなに大きくなってもというのは大げさかもわかりませんが、それぞれの課がしっかりしていれば、その対応ができるのではないかと思う。その意味では、やはり課長職や係長職の育成は非常に大事だと思う。研修のあり方、それからキャリア形成の整備、いわゆる経験の積み方、それから人事異動の考え方、人事が人材育成に力を入れるような体制整備が、私は不可欠であると思う。  副市長に改めてその考えを聞く。例えば、人材育成担当に専属の管理職を置くようなことも含めての考え方については?

◎向井政彦副市長

組織を動かしていく、構成しているのは一人一人の職員なので、その能力を高めてよりよい組織にするというためには、人材育成は大変重要と考えている。実際には、やはり係長、課長を中心に、若い職員は自分のところの課の上司を見ながら経験を積んでいくということだと思うので、今後もその人材育成には注力をしていきたいと思っているし、必要な体制整備というものも図っていくことが必要だ。

◆内藤智司

 私もサラリーマンを経験して、今年退職した人間だが、やはり会社に入ったその新入社員が行く末どうしていくのだという企業のその人の成り立ちというのは、異動であり、研修であり、時々のキャリア形成だと思う。人事異動自身も一つのキャリア形成を担うものであって、我々技術屋はその道をどういうふうに、将来、市役所で言えば、課長にどのタイミングで、部長にどのタイミングで、そのためにはどういう経験がこの人には必要だということを一人一人考えながら人材育成を図っていくものだ。組織というものはそうでなければならないと思っている。そういった意味では、人事の担う役割というのは、非常に大きなものがあると思うので、ぜひとも今の中身についても十分考慮してほしい。

 そして、部長を含めた管理職も業務量に応じた配置が必要である。これまでの要求資料にあるように、理事、参事がその時々で配置されている。理事や参事という名前では、その責任や権限がどこまであるのか、庁内の中、外にもわかりづらいと思う。国や県では、何々審議官とか何々振興官などと固有で名前をつけて責任や権限を内外ともに明確にしている。部長の負担を分担するという意味では、そういった方法もあると思うが?

◎向井政彦副市長

  参事や理事の担当業務については、いわゆる特命事項として、発令時に所属部長を通じて、その担当業務を指示している。参事、理事というだけでは、その業務が庁内外に伝わりにくいという面があるかと思う。担当業務を明確にする、固有の名称をつけるということにすれば、その責任や権限、また指示系統も明確となり、職員自身の意識の向上にもつながるかと思う。  今後、その業務、業務名も含めてどのように規定するのか、限定するのか、それも含めて検討したい。

◆内藤智司

 今回の組織改正においては、これまでの継続してきている事業、そして今後大きな事業が多く控えている中において、職員の今まで持ってきた経験値等が重要なポイントであると思う。これまでも幾度となく、時々に主張してきたが、再任用職員の活用のあり方だ。一定のポストの職位をもって任用していくことが、今まで培ってきた職員が再任用をされる活用については効果的な活用であるというふうにも考えるが?

◎向井政彦副市長

  現在、市の職場においては、正規職員、再任用職員、嘱託職員、臨時職員など、多種多様な職員で協力しながら業務を進めている。その中で、再任用職員は300名を超えている。正規職員が2,700名弱だが、再任用職員は300名を超えている状況だ。やはりこの人材を有効に活用する、それが今後の組織運営においては大変重要だと思う。特に、経験不足で若い管理職が増えているという状況の中では、この豊富な経験、知識、また人脈も持っている、そういうやる気のある再任用職員には、その業務の継続性という意味だけではなく、業務そのものにも責任と権限を持って、やりがいを持って活躍してもらいたいと思っているので、そのような仕組みを至急に検討したい。

◆内藤智司

 今回は議案第111号の行政組織条例の一部改正について深く質問したが、26年度に細分化をして、今回改めてまた今までの経過を見ると、もうその26年度の手前に戻ったというふうな感もある。そういった意味では、職員削減されていく適正化、今後職員数をスリム化していかなければならないといった状況の中で、その職員一人一人の生産性を上げていかなければならないのは、管理職の責任だと思う。その管理職がきちっとマネジメントできる体制づくり、これは今回の組織編成の大きな役割だと思うし、そのためには、人材育成といったものの考え方をきちっと市役所の組織として持つべきだと思う。そういった意味で、今後3月までに、それ以降も今後の組織編成というものに対しての考え方を、きちっとオール奈良市として考えるようお願いする。