平成30年3月定例会 03月06日
奈良市 平成30年3月定例会 03月06日
【1、クリーンセンターの関連について】
【2、新斎苑建設事業について】
【3、教育関連予算について】
【4、本庁舎耐震化整備事業について】
【5、将来を見据えた人事計画、会計年度任用職員の来年度の取り組みについて】
【6、奈良県総合医療センター移転後の跡地について
【7、児童相談所設置について】
【8、その他 意見・要望】
【1、クリーンセンターの関連についての質疑応答】
◆内藤智司
現在、建設候補地は白紙状態であり、市長は、広域化や現地建てかえも含めたあらゆる手法により問題解決を図るとしているが、具体的には何ら進展のない状況だ。一方、環境清美工場の老朽化が進んでおり、候補地が決定しても新しい工場が移転するまで8年から10年を要することが明らかになり、一刻の猶予もない状況だ。
奈良市自治連合会においては、クリーンセンター建設候補地の公募を自治会に呼びかけることや、市民の皆様にごみ問題を知ってもらう機会として、ごみ問題を考える市民集会を開催するなど、取り組みをされている。特に、ごみ問題にいては、市民に十分な理解をいただくことが大切であり、また市民の皆様にも参画をいただくことにより協力をいただけるものと考える。
そうした観点から、工場の延命化対策、ごみの減量化対策、新クリーンセンターの建設計画について、市長の考えを聞く。
まず、環境清美工場の延命化対策については、奈良市の環境清美工場は稼働してから30年以上が経過し、施設の老朽化が進み、毎年多額の修繕費を要しており深刻な状況であると、各紙面の報道にもあるが、新クリーンセンター建設計画が進まない状況において、新工場が稼働するまでの間、現工場を維持管理していく上でどのような延命対策を考えているのか?
2点目として、老朽化した工場の負担軽減を図ることや新クリーンセンターの規模を最小限にするためにも、ごみの減量化は避けて通れないと思うが、今後さらなるごみの減量化についてどのように取り組むつもりなのか?
3点目として、クリーンセンター建設計画について、私たち会派は、最新の施設として神戸市が今年度から運転稼働させている港島クリーンセンター及びごみ処理の新しい手法として生ごみでメタンガスを発生させバイオガス発電をする新しい施設を持つ、兵庫県朝来市にある南但クリーンセンターにも視察に行ってきた。
そこで、ごみ処理の手法はいろいろあり、それぞれ一長一短があると思うが、バイオガス発電などの新しい手法の検討について、現在どのように考えているか? ごみ発電による電力を周辺地域へ供給することや、売電収入を地域に還元するような仕組みや、その取り組みについてどのように考えているか?
◎市長(仲川元庸)
環境清美工場の延命化対策については、施設の老朽化が進んでおる、来年度は、焼却炉棟の床や柱の補強及び焼却炉排ガス関連設備の取りかえや改修など、緊急性の高い箇所から順次整備を行いたいと考えている。また、現工場を稼働させながらの改修工事となるので、3年程度で計画的に延命化を進めるとともに、新クリーンセンターが稼働するまでの間は、施設の維持及び適正な運転管理を継続したいと考えている。
また、ごみ減量についての取り組みは、家庭系ごみの組成分析において、燃やせるごみの17%を占めているチラシや包装紙、紙類、紙袋などの雑紙と言われるものがリサイクル可能であることから、廃品回収ルートに誘導することでごみの減量化を進めたいと考える。
具体的な方策としては、地域での集団資源回収において雑紙を取り扱うよう、自治会やPTAなどの集団資源回収実施団体、また資源回収の業者に対して啓発活動を行うことや、排出者である市民の皆様に対しても、雑紙として取り扱える紙については排出方法を見直すよう情報提供をしていく。
生ごみ処理機器の購入費用助成制度については、平成12年度から実施をしてきたもので、これまでの助成の実績や、平均的な家庭でのごみの排出状況に対応した製品の普及価格帯の調査などから見直した結果、補助上限額を拡大することにより生ごみの自家処理を促進したいと考えている。
また、家庭ごみ排出の際の生ごみの水切りや分別の徹底などについては、これまでも取り組みを進めているが、さらに啓発活動を進めたいと考えている。
そのほか、家庭や事業者より一般廃棄物が環境清美工場に持ち込まれる際の持ち込みごみ手数料については、近隣市と比較して、現在最も低い水準にあることから、適正な水準に引き上げることもあわせて検討する。
ごみ処理の新しい手法については、他市の先進的な事例では、生ごみなどの有機質をバイオガス化によってメタンガスを生成し、発電や燃料に利用される施設が建設されていると聞いている。これは、ごみ焼却施設とメタンガス化施設を併設することにより、処理量が小規模であっても安定したごみ処理と発電が行えるシステムとなっている。
新クリーンセンターの機能については、奈良市規模のごみ量を安定して処理できることが第一条件であり、ほかに建設費用、またランニングコストを含めたトータルコストや利便性、安全性、環境負荷など、さまざまな要件のもとで総合的に判断していくことが重要だと考えている。
ごみ処理手法については、今後も新しい技術開発が進むと思われるので、最新技術の情報収集に努め、よりよい手法を研究したい。
ごみの焼却によって生じる発電、電力をどのようにするかは、最近のごみ処理施設では発電設備が設置され、ごみ焼却によって発生する熱を回収することで電力が生み出されるものがある。これは、環境省による循環型社会形成推進交付金の交付対象施設がエネルギー回収型廃棄物処理施設とされており、これからのごみ焼却施設については、ごみ発電は必須の機能でもあると言える。
他の多くの自治体では、基本的にはごみ発電をした電力はまず施設内で自家消費をするというのが通常であり、余剰となった場合には電力会社に売電し、収入につなげるということが一般的かと思う。この売電収入については、再生可能エネルギーの普及を図るため、電力会社に一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけたFITと呼ばれる制度の適用も一部受けられ、現在の単価では1キロワット当たり税抜きで17円、20年間買い取られるという制度だ。
例えば、他市の事例では、平成28年4月から稼働されている日量焼却量が525トン規模の高効率発電施設においては、1年間で売電収入が約9億円という施設もあると聞き及んでいる。これは現在の制度によるものであり、将来の電力需給によって制度の見直しも考えられることから、本市においても、最新の技術や制度をしっかりと情報収集し、発電した電力の有効な利活用についてもあわせて検討したい。
ごみ発電による電力の利活用を地域の活性化につなげていくということについては、周辺地域の皆様の地域振興、またまちづくりに貢献ができる可能性があると考えている。新クリーンセンターについても、ごみ発電による売電や、また売電による地域の活性化を実現していくことが一つの理解をいただくためでの大きなポイントになろうと考えている。そのためには、具体的なモデルプランなども示して、地域の皆様の御意見も伺いながら、地域の活性化策をともに検討していくことが必要だ。
具体的には、ハード面では施設周辺への電力供給、また熱の供給によるコミュニティ施設や体育施設、福祉施設、防災施設などの整備なども考えられ、ソフト面としては、防災・防犯に役立つサービスの提供に売電収入の一部を充てるということも可能かと存じている。
市としては、新クリーンセンターは、最新の環境技術の導入により、快適で安心・安全、清潔な施設が実現できること、また地域にとっては将来のまちづくりが可能となる多くの価値を生み出すエネルギー施設ともなることなど、これらの点についてもしっかりと市民や地域の方々にお伝えし、理解につなげたいと考えている。
【2、新斎苑建設事業について質疑応答】
◆内藤智司
12月定例会で土地購入のための補正予算が可決し、いよいよ業者選定となる公募がされる中、入札不調の知らせが届いた。1グループのみの上限を超えての失格だった。1カ月後に2回目の公募とのこと。上限額を上げず、募集要項の見直しによる公募を行うとのこと。今回提案のある1グループでの選定委員会の審査の結果、最優秀提案者として、議案として議会にその判断を委ねられたところだ。
1回目の公募が不調となり、今日までの一連の状況については、議員全員による全員協議会で市長説明がなされたものの、やはり拙速な対応に透明性を欠いていることは否めない。この事業は、長年の市民の念願であることは今さら言うまでもなく、その中にあっても、当然、公共事業としての透明性が担保されなければならない。
1つは、募集要項見直しによる公募における見直し額の積算について? 2つ目は、事業者選定委員会における1回の審査で適正な評価がなされたのか? 3点目、事業者選定委員会ではさまざまな評価がなされていると思うが、提言内容が事業へ反映されていくのか? また運営等についても監視できる仕組みについては?
◎市長(仲川元庸)
新斎苑の募集項目の見直しによる再公募については、当初の募集においては、1グループから提案書の提出がったが、市の提示した上限額を超えた提案であったため失格となった。これは、新斎苑事業のコストが私どもの積算に比べて、市場での評価がよりコストがかかるという判断であったと考えている。
2回目の募集については、安易に予算を増額するということなく、将来の市の負担も考えた中で、事業費総額については予算の中で対応していくべきだと考えたので、不明確な部分やコスト高につながろうと考えられる部分については可能な限り見直しを行い、再度募集をした。その作業の中においては、各項目の費用の増減などについては想定したところだが、今回の募集については、事業費総額の範囲の中で事業者に提案を求めるプロポーザル方式であるので、一から積算をやり直すという形ではなく、トータルの予算の中で提案をいただこうと考え、2回目の募集をした。
次に、事業者選定委員会における審査が1回で適正な評価ができるのかについては、提案者の提出をいただいた後、直ちに各委員の皆様に提案書を配付し、委員会当日まで熟読いただく中で、当日の質問項目などを事前に検討した。これにより、委員会の運営を円滑に進めることができ、当日においても、事業者からのプレゼンテーションを受けヒアリングを行う中で、その後の委員会内での真摯な議論を踏まえて、最優秀提案者として選定した経緯だ。提案内容の評価についても、提案内容を委員個々の見地から評価いただき、要求水準どおりの提案をゼロとした中で、要求水準をどの程度上回っているかという見方で、加点方式で評価をいただいた。 選定委員による総評としては、例えば事業理解についても基本計画のコンセプトを踏襲し、社会情勢の変化への対応策の提案があるといった内容、また設計においても他の御遺族との動線が交錯せず会葬者の心情に配慮されているなど、提案内容を十分理解された上で意見をされており、適正な評価をいただいたものである。
次に、事業者選定委員会の評価における提言については、要求水準とあわせて、今後の施設整備、また運営に反映していくか、注視していく必要がある。
施設整備に関しては、建築や土木、火葬炉整備などを一体的に行う複雑で大規模な工事だから、品質やスケジュール管理を徹底するようにとの意見もあった。市として業務計画書の提出や現場の施工状況の確認など、工事監理を行うコンサル業者による監視に加えて、市の担当者も当然のことながら随時現場と調整し、現場監督を徹底していくことで対応できると考えている。
また、維持管理運営については、15年間という長期にわたることから、その継続性や安定性を担保できるようにとの意見もある。これについても、業務計画書等をもとに運営状況のモニタリングを定期的に行う中で、よりよい市民サービスが提供できるよう常に見直しを行い、努力をしたい。 一方で、地域住民の方々の理解について、さらに努力をするようにとの指摘もあり、これまで同様に、地域の住民の皆様との協議を重ねる。今後は、事業者も交えて協議を行っていくことで、事業への意見や要望を可能な限り反映ができるよう、しっかりと対応をしたい。
今後、事業者の提案をもとに、設計・施工・維持管理運営、それぞれの内容について、より詳細に検討したい。
【3、教育関連予算についての質疑応答】
◆内藤智司
奈良市教育委員会としての教育方針の柱として、市独自の少人数学級編制について聞く。 この事業は、低学年における児童一人一人に教員がしっかりと向き合うことができる教育環境づくりから始まり、仲川市長のマニフェストで全学年へと展開されてきた。しかし、今年度及び来年度の当初予算案において、少人数学級の縮小がされている。教育委員会としての方針も含め、その経過については?
2つ目に、いじめ対応教員については、平成25年から小学校全学年で少人数学級編制を行ってきた中で、不登校児童・生徒や普通学級の中で特別な支援を要する児童・生徒が増加し、いじめの報告件数が小学校、中学校とも減少が見られない深刻な課題として、平成28年度の重点施策として取り組んできた。1年後には、配置した学校において効果が具体的に出てきたと評価をしながら体制を縮小し、特別支援教育支援員の増員に方針の変更がなされた。そして、来年度においては、いじめ対応において大きくかじを切って予算編成が提案されている。その考え方については?
3つ目に、一条高校講堂の建てかえについてだが、昨年10月28日に、一条高校がよのなか科の授業に建築家の隈研吾氏を招き授業を行った際に、隈氏は、講堂の建てかえに対する生徒たちの強い熱意を感じ、設計を引き受けてくれたと聞いた。そして、一条高校の保護者や卒業生が実行委員会を組織し、その設計費用や施設、設備の充実のための費用を寄附金として集めることで、そうした多くの関係者の皆さんの熱い思いと努力に対して敬意を感じている。 そこで、今後、建築費用等のコスト面について十分な精査をしていく必要があると思う。そのことを踏まえて、市は、そういった多くの皆様の思いのこもった隈氏の設計による新講堂建設の実現に向けて取り組んでいただきたいと思うが?
また、平成32年度に行う予定の一条高校創立70周年記念行事を新講堂で行うことができれば大変意義深いものとなると思う、その見通しについては?
◎教育長(中室雄俊)
奈良市独自の少人数学級編制の経過についてだが、本市における少人数学級編制は、平成19年度に義務教育入門期である小学校1年生を対象に30人学級を開始した。その後、対象学年を拡大する方向で進め、平成25年度から平成27年度の3年間は、全学年において少人数学級編制を実施した。平成28年度は、中学校への接続を見据えて対象学年を見直し、小学校5・6年生を国の基準である40人学級編制に戻した。 また、2020年度から実施する新学習指導要領では、子供の主体性を引き出し、他者とやりとりしながら学習を進め、学びを深めていくことが重視されている。さらに、クラスサイズを小さくするだけでは解決が難しい課題が生じるなどの学校現場の実情に合わせて、柔軟に対応していくことも必要になってきた。
そこで、平成30年度については、小学校3年生以上は、低学年よりも人数の多い集団で学ぶ環境をつくることで、グループ活動や子供同士の学び合いが活発になり、多様な考え方に触れながら学びを広げていくことが必要となることから、国の基準である40人学級編制とする。
なお、義務教育入門期の小学校1・2年生については、基本的な生活習慣や学習規律の定着に重点を置き、これまでどおり30人学級編制を継続して行う。
一方、さまざまな学校現場のニーズがある中で、例えば少人数学級であっても授業中に教室から飛び出したり、パニックになったりする児童・生徒に対して、個別に対応しなければいけない状況がある。通常学級の中での特別な支援を要する児童・生徒への対応のニーズが増加傾向にあることから、平成30年度は、特別支援教育支援員を大幅に増員して、本年度の97人体制を140人体制にすることによって、児童・生徒の学習支援や安全面へのサポートを強化し、さらにきめ細かな対応を進める。
次に、いじめ対応の予算編成の考え方についてだが、いじめ問題等生徒指導上の課題の多い学校には、重点的に対応できるようにいじめ対応支援教員を配置し、子供たちの様子を観察するために教室への入り込みをしたり、子供や保護者の相談に乗ったりしてきた。
平成28年度は、小学校14校、中学校8校の計22校へ配置した。その結果、多くの学校でいじめへの対応が定着して、いじめ認知件数が減少したことから、平成29年度は、成果のあった6校へは配置をせず、小学校8校、中学校8校の計16校に配置している。
教育委員会としては、指導主事と学校支援コーディネーターがチームを組み、校内の組織やいじめ防止の取り組みを点検し、校内の巡回をするなど2年間にわたり学校訪問を実施した。その結果、いじめに関する校内委員会の定例化や奈良市独自のチェックシートを活用して、いじめの発見や対応について一定の奈良市のスタンダードが確立されたと判断した。
平成30年度は、学校支援コーディネーターを1人増員し、2チームから3チームに強化し、計画的に学校訪問をしたり、いじめが発生した学校に一時的に滞在したりして、指導や支援をする滞在型の訪問や、重大ないじめ事象が発生した際の緊急対応にも備えるなど、いじめ対応の強化を図っていく。 また、いじめに悩む児童・生徒が相談したいときに相談できる体制として、24時間の電話相談を実施する。加えて、いじめの通報や相談をソーシャル・ネットワーキング・サービス、SNSでできる仕組みを小学校5・6年生、中学校全学年に導入する。
このような取り組みや新たな仕組みを導入することでいじめの未然防止、早期発見と迅速な対応を図り、奈良市の児童・生徒の命を守っていきたい。 次に、一条高等学校の新講堂の建設についてだが、同校の保護者や卒業生が、自ら寄附を募られ建設のための実行委員会を立ち上げ、隈 研吾氏に設計を依頼した。でき上がる設計図書は、著名な建築家によるものというだけではなく、多くの皆様の思いがこもったものになると考えている。
本市としても、そうした皆さんの思いを実現していきたいと考えるが、それには、建設費用等のコスト面や機能面などにおいて、奈良市唯一の高校としてふさわしい設計内容にする必要があると考えている。あわせて、隈 研吾氏は、2月7日の記者会見で基本プランを発表された。その席上、「建物のメーン講堂は、経済性を考慮して非常に単純な鉄骨構造にしている。外壁の一部に奈良の木を使うが、雨がかかりにくいようにし、また、加工においても直線材を組み合わせるなど、お金のかからないようなディテールになっている。」とも発言されて、コスト面が重要であるとの認識をしていただいた。これらのことを踏まえ、設計段階から実行委員会等と綿密な協議を行いたい。
また、平成32年度に一条高等学校が創立70周年を迎える。その記念行事を新講堂で行うことができれば、関係者の皆様にとり大変意義深いものとなるので、それまでの完成を目指して進めたい。
【4、本庁舎耐震化整備事業についての質疑応答】
◆内藤智司
本庁舎の今後の姿は、今、前で工事中の国際級ホテル、コンベンション施設、新大宮周辺のまちづくりビジョン、本庁舎の周辺にも多くの観光客が行き交うものと思う。新大宮周辺のまちづくりの中で本庁舎のあるべき姿を求め、このたび耐震補強整備の方針が決められたということだが、1つ、本庁舎耐震補強整備の概要については?
2つ目は、財政面でどのような検討したのか? 3つ目は、予算の中に本庁舎の窓口の一元化について予算化されているが、このことについての考えは?
◎市長(仲川元庸)
本庁舎の耐震化整備については、緊急防災・減災事業債、いわゆる緊防債の適用期限が平成32年度までとなっていることから、庁舎利用者の生命、身体の安全確保の観点はもちろん、財政面からも平成32年度末の完了が重要だと考え、取り組みたい。
耐震補強の改修の工法としては、西棟、東棟については、強度抵抗型の補強方法を採用し、必要な耐震性能を確保するとともに、中央棟においては、外部の北側に4層の耐震壁、また、鉄骨ブレースの外づけフレームを増設して、執務スペースなど庁舎内部の補強をできる限り少なくし、補強工事後の執務スペースの減少を最小限にとどめ、「いながら工事」も可能になるものと考えている。この工法を採用することにより、庁舎内部の補強箇所が少なくなり、昨年2月に整備検討報告書で報告された庁舎耐震整備手法の比較表で示されている工事費40.2億円から、さらに工事費を縮減することが可能となり、また、工期についても短縮が可能だと考えている。
また、財政面での検討についてだが、耐震補強工事の場合は、長寿命化に関する工事部分を除き緊防債が利用でき、本庁舎の耐震補強を行うに当たっては、この緊防債を活用する予定だ。緊防債は、耐震性能を向上させるための補強や、改修工事に係る費用を対象に地方債充当率が100%、そのうち地方交付税の交付金算入率が70%となっており、他の事業債と比較しても、財源的には非常に有利なものだ。
一方で、建てかえの概算工事費については、現地建てかえで82億円、移転建てかえの場合は127億円となっており、これらの場合には緊防債が適用できないことから、地方債充当率90%、地方交付税の算入が事業費の22.5%である、公共施設等適正管理推進事業債を活用することとなり、耐震補強による場合と比べると、結果として本市の負担が大きくなるものと考えている。 本庁舎の窓口の一元化については、本庁舎は、建築から既に40年を経過していることから、耐震化工事にあわせて長寿命化も実施したいと考えている。本庁舎の窓口の一元化については、庁舎の機能向上の観点からも、本庁舎における行政組織の見直しを行った上で、市民サービスの質的向上のため、窓口一元化などの本庁舎窓口の改善を行うことを検討していきたい。
【5、将来を見据えた人事計画、会計年度任用職員の 来年度の取り組みについての質疑応答】
◆内藤智司
会計年度任用職員制度は平成32年4月に移行する必要があるが、移行までの期間が非常に限られたものとなっている状況だ。
そこで、平成32年4月に向けたスケジュールは? 会計年度任用職員制度の導入にあっては、他の自治体の例にあるように、例えば非常勤職員の保育士について、特別職として任用しているため、会計年度任用職員制度の導入に際しては一般職に変更されることに伴い、付与していた労働基本権を失う者が生じたり、地方公務員法の適用関係が変更となるような大きな課題が生じる場合もある。
奈良市においては、臨時・非常勤の職員は、現状では、基本的には一般職の職員としての任用としているため、課題はないようだが、移行の過程では膨大かつ綿密な移行業務を行うことが求められると思う。制度導入に向けた相応の準備体制が必要になると思うが、その点に関する考えは?
さらに、今後、具体的な制度設計を行う中で、期末手当の支給、休暇制度の充実などの処遇の改善を図っていくことが必要となるが、それに関する基本的な姿勢は?
◎市長(仲川元庸)
この制度については、移行スケジュールして平成32年4月の施行とされており、あと2年間という限られた時間だ。国が示すスケジュールも参考にしながら、平成32年度の新制度実施に向けてしっかりと準備を進めたい。
準備に当たっての体制としては、制度移行に向けて業務の棚卸し、また、正規職員と臨時・非常勤職員の業務分担の見直し、勤務条件の決定といったものが必要となってくることから、人事課と関係各課が連携を図りながら準備を進めていくことが重要だ。
新制度の具体的な賃金や休暇等の制度については、引き続き国が示す制度の動向、また、他の自治体の動向も注視しながら検討を進めたい。
◆内藤智司
会計年度任用職員の取り組みだが、「新制度の準備のためには、人的な観点だけではなく行政経営的な観点も踏まえて、膨大かつ綿密な業務を行う必要がある」とい答弁だったが、準備において具体的な考え方が示されておらず、確認する意味で聞く。
人事課においては、恒常業務の片手間でできる業務ではないことは、先般の総務委員会でも明らかにされている。行政経営との連携した専任部署の職員配置が不可欠と考えるが、担当の係を配置する考えについては?
◎市長(仲川元庸)
人事制度での変更であるということのみならず、いわゆる行政経営的な観点、また、各所属の現場の状況も踏まえた制度設計をしていくことが重要だと考えている。そういった意味において、御指摘のように専任者を配置するということも当然含めて、しっかりとした体制で、効率的、効果的に準備作業をしっかりと進めていきたい。
【6、奈良県総合医療センター移転後の跡地についての質疑応答】
◆内藤智司
新年度予算案には、平松周辺地区でのまちづくり基本構想策定などの経費として2000万円が予算化、計上されている。ことし5月に移転する現奈良県総合医療センターの跡地利用を県市連携により進めていくための経費だと思うが、これまでの議会の答弁では、「地元のまちづくり協議会に市はオブザーバーとして参加をしている、県が策定する基本構想に、市として地域包括ケアシステムの拠点としての導入機能を県に提案したい」とあった。県所有地である総合医療センター跡地の活用を県が検討することに対して、市は意見を述べる立場でなかったと理解できるが、今回の予算案では、市が奈良県総合医療センター跡地の活用、基本構想を策定するという内容になっており、立場が逆になっているように思う。
1点目として、奈良県総合医療センター移転後の跡地について、市が基本構想を策定するための予算を計上している理由は?
2点目として、平松周辺地区のまちづくり基本構想を策定した後にはどのような流れで事業を進めていくのか?そして県との役割分担がどのようになっているのか?
◎市長(仲川元庸)
市が基本構想を策定する予算を上げている理由だが、現奈良県総合医療センターがある平松周辺地区のまちづくりについては、平成27年1月に県との間で包括協定を締結している。この協定の中ある役割分担を定めた条文では、まちづくり基本構想の策定は市の役割となっている。また、基本構想策定などの財源としては、地方創生推進交付金を充当することとしており、県との協議により、市が申請をすることとなったことから、市側で予算計上を図った。
また一方で、県との役割分担ということについては、本地区のまちづくり基本構想策定をした後、その基本構想に定めた導入機能を担う民間事業者を公募する手続に入ることとなる。公募のための募集要項や仕様書の作成、事業者の選定、事業実施に関する協定書や契約の締結といった流れが想定されるが、その部分において、現在協議中の部分もあるが、あくまでもこの当該地は県有地ということなので、その点を念頭に置いて、県ともしっかりと役割分担を明確にしながら、協力関係の中でしっかりと進めたい。
【7、児童相談所設置についての質疑応答】
◆内藤智司
市長は、今年度の中核市の市長会において、「児童相談所に関する地方分権検討プロジェクトに参加した中で、児童相談所を設置するためには財源の確保や専門的人材の育成確保、そして国や都道府県との役割の明確化など、継続的かつ安定的な国からの支援策が必要」と、「児童相談所を設置するための検討課題について国への提言を求めていくもの」とし、本市においても、児童虐待の相談件数の増加、児童相談所を求める要望書を受け、本市における今後の喫緊の社会課題を早急に対応すべく、児童相談所の早期設置に向けて今年度から子育て相談課内に児童相談所設置準備室を新たに設置され、早期の開設に向けた取り組みをなされてきたと思うが、奈良市において児童相談所を設置する場合の施設設置費と人件費の奈良市の負担については?
◎市長(仲川元庸)
新たな児童相談所設置に係る経費として、中核市市長会による調査から、施設整備費については、児童相談所及び一時保護所を新築する場合の経費としては、約6億円程度を見込んでいる。このうち国からの補助については、一時保護所に係る整備費に対して約1割の補助が出るものと想定している。 一方で、人件費については4億円程度、さらに、子供を施設に入所委託する場合や一時保護所の運営費等の事業費として6億円程度が必要であると想定をしている。そのうち国の交付税需要額としては8億円程度と見込んでいる。
このように、国による財源措置については十分ではない部分もあることから、中核市市長会などを通じて国に対し、早期に適切な財源措置を講じるよう要望していく。
◆内藤智司
一時保護所に係る費用の約1割が国庫負担という形で答弁だったが、額面的にどの程度なのか?
そして、奈良市において児童相談所を設置する場合、その施設をどのように整備するのか? また、市の児童相談所開設後の奈良県の中央こども家庭相談センターとの関係はどうなるのか?
◎市長(仲川元庸)
一時保護所の設置の約1割が国からいただけるということで、その金額は約3000万円程度だ。
今後どのように施設の整備をしていくのかだが、現在、各自治体の児童相談所の情報収集を行うとともに、先般立ち上げた有識者による検討会議の意見も参考にしながら、子供の最善の利益を最優先とした本市の児童相談所として必要な規模、機能等を検討し、児童相談所の設置を行いたい。
また、本市が児童相談所を設置した場合には、市内の子供への対応は、これまでの県から市に移管され、本市が行うことになるので、全ての子供を虐待から守る取り組みや子供の自立を支援する取り組みを、よりこれまで以上に効果的に実施できるものと考えている。
また、奈良県との関係については、里親の支援や、また、施設入所等の業務について、引き続き協力、連携を図りたい。
【8、特別職の退職手当についての質疑応答】
◆内藤智司
今回の議会において、特別職の退職手当の条例に対する改正案が提出された。これまで特別職の退職手当を不支給とする特例条例が議会に提案されるたびに、再三不支給にすることへの疑問を呈してきたが、やはり退職手当というものは給与後払い的な意味合いを有しており、優秀な人材を確保する意味でも、その必要性について意見を申し上げてきた。特別職ともなると、当然その責任が伴ってくるが、それに対しての処遇が十分充実していることも必要であると考える。
以前から議会でも議論になっているが、今回、特別職報酬等審議会での審議を経て、その答申を受けて条例改正案が出された運びになったと思う。答申を拝見すると、退職手当算出時の調整額の廃止や、退職手当の支給額として40%の減額となる内容となっている。その水準については、他中核市などの比較検討のみならず、社会情勢、財政状況、市民感覚など、さまざまな視点から総合的に判断して決定された。
この答申を受け、市長としての考えも加味して改正案を提出されたわけだが、特別職の退職手当についての今後の考え方は?
◎市長(仲川元庸)
特別職の退職手当について、今後どのようにしていくのかという考え方を聞かれたが、今回、特別職報酬等審議会の議論の中においては、退職手当の必要性自体についても議論をいただいた。退職手当には賃金後払い的性格、また、任期満了後の生活保障的性格、勤続報酬的な性格があり、また、優秀な人材の確保のためには、制度としては必要であるとの答申だった。この審議会において、さまざまな意見があったが、その意見を踏まえた上で、本市の現下の財政状況に対する市民感覚も最大限考慮をいただいた上で、退職手当額の大幅な削減をせよとの答申を頂戴した。
私どもとしても、その答申内容を真摯に受けとめ、今回の条例改正案を提出した。今回の答申をいただき、それに基づき改正案を提出したわけだが、今後の社会情勢、また、他市の状況、本市の財政状況については、今後も引き続いて注視し、適宜見直しの議論を行っていくことが重要だと考えている。
その意味においては、これで議論が終結ということではなく、今後も引き続き特別職の報酬等のあり方については、研究、検討していくことが重要だと認識している。
【8、その他意見・要望】
◆内藤智司
クリーンセンターの関係だが、ごみ処理は、市民の毎日の快適な生活に密接にかかわってくるものなので、ごみ処理が混乱したり停滞することは、行政としては許されないことと市長も認識していると思うので、きちんと老朽化した工場の補修の手当てを進めるとともに、市民の協力を得てごみの減量化を一層進めることが必要であるということで申し述べたい。
新しい施設を建てるに当たっては、今決めても10年先、その上で今の老朽化を10年持たさなければならない。そのためには、やはりごみの減量化を図っていかなければならない。その施策の一つとして、雑紙等の再資源という形を、これを地域に求めていかなければならないということは、今の分別に対しても市民に協力をしていただいているわけだから、その上に雑紙を分別するとなれば、市民や地域の皆さんに協力を求めていかなければ実現できないと思う。そういった意味では、協力している自治会にポイントや、インセンティブを付与しながら進めていくことも実効性のあるものと思う。このようなごみの分別を自治会へ、奨励金やクリーンセンターのごみ発によるメリットを、その施設周辺の地域の活性化につながるということも提案していく。
万博公園は太陽光、それから燃料電池を有してエネルギーを創設する設備として、ふだんはリゾート設備として家族や周辺の旅行客など皆さんで楽しんでいただける施設。一旦災害が起きると、そこが防災拠点となって、避難所としてエネルギーを創設しながら避難ができるといった有効活用ができ、防災面でも非常にすばらしい施設として運用をされている。
ごみ発によって生み出される資源を、地域に住む皆さんに、有効に活用できる。そうしたら、10年先の将来がどんな世界なのだろう。ガソリン車よりも電気自動車が増えていくならば、その売電を利用して、その地域の皆さんに無料で使っていただける充電設備をつくるとか、子供たちが安心して通えるような形での、例えばGPSを持って、各それぞれの電柱にアンテナを張ってきめ細やかな対応ができる。これは、今、有料でもそのネットワークはあるのが、そこに市の売電の収益を充てて無料で皆さんに使っていただく。老人が徘回する防止策としてそのGPSを使うといったことも、これから安心して地域の皆さんが住んでいただけるまちづくりができるのではないかと。一旦有事、災害が起きると、そこが拠点となる施設、これは本当に地域の皆さんに受け入れていただける提案ができるのではないかなと思う。
クリーンセンターの問題については、残された時間はないと思う。一刻も早く決断して行動することが市長の最優先だと、強く要望する。 会計年度の任用の導入に当たっては、必要な体制を整えていくことが重要なところだと、今、市長の答弁にもあった。
業務の棚卸しや正規職員と臨時職員、非常勤職員との業務分担の見直し、今まさに市長がこれからやろうしている業務改革の中で、業務を見直すことによって正規職員がやるべき仕事、そして、非常勤・臨時職員に担っていただく仕事、これを切り分けることによって、ともすれば民間に委託する業務がどれなのだということが、この業務によって明確にされてくる。
職員の定員適正化計画の中で、業務量が一体どれだけあって、どれだけの職員が要るのか、今回の取り組みによって十分把握がしていける内容だと思う。専門チームをつくって、ぜひともこのことについては進めてほしいと思う。これの一番の目的は、非常勤・臨時職員さんの処遇改善です。国の働き方改革の中の一環の取り組みであることから、そのことについても十分限られたスケジュールの中で進めていただけたらと思う。
そして、特別職の退職手当てにつては、市長のマニフェストの中で特別職の退職手当を廃止するというところから、今回復活するということに関しては、本当に前進できた考え方だと思うが、その水準に関し本則を改正していくということに対しては、疑問を感じる。今、審議委員会の検討委員会の附帯意見でも、市民の感覚とか、それから、特に現在の本市の財政状況を踏まえた中での水準と申されているが、それならば独自カットで時限性のある内容でカットをしていくべきであって、私は本則をさわりにいくことは、例えば市長が次の方にかわる、特別職も次の方にかわるときに、上げる、もとへ戻すということをどうやって立証していくか。一旦下げてしまえば、上げることというのは、非常に今以上にエネルギーが要ると思う。本則をさわらずに、その時々における財政面を考慮するならば、独自カットで対応すべきと思うので、その点について意見しておく。
そして今、教育長に少人数学級の考え方、それから、いじめ対応の考え方を聞いた。そして、教育長の教育方針の根幹、これは、教師一人一人の資質、力量が最も大事なのだと常々話された。そのためには、研修を繰り返すことが必要であり、その考え方は、私も共感する。
教育の専門家である教育委員会が、その教育方針を、その時代時代によって変化、変えていかなければならない、かじを切っていかなければならない。そのことが現場の先生、それから子供たちの育成に対していいのだということをされていく。方針を考えていくことに関しては何の異論もない。今回のいじめ対応に対しても、特別支援の考え方に対しても、何ら申し上げることはない。
ただ、そのプロセスが問題ではないかと思う。よりよい教育方針は、それを発揮していただく現場の先生と共有しなければならないと思う。予算ありきで教育方針はつくられてきているのではないかという指摘もある。そういうことではなく、教育委員会の教育方針というのは、1年かけてどうしていくのだ。そのためにどんな予算が要るのだ。それを行政に要求していくのだ。というプロセスが私は大事だと思う。 今回の教育関係の予算編成に対しては、さらに議論をする。