平成30年9月 予算決算委員会 09月19日
平成30年9月 予算決算委員会 09月19日
【1、財政健全化への取り組みについて】
【2、その他 意見・主張・要望】
◆内藤智司
冒頭 市長は就任以降、待機児童対策を初めとする子育て支援、学校の教育現場の充実に力を入れて、そのほか観光振興の分野でも強い思いを持って施策を実施してきた。これらの施策は市民にも評価され、子育て世代の方が転入してくるなどの成果もあらわれてきていると感じる。 一方では、大規模事業としては、西大寺駅周辺の整備など進行中のものもあるが、新斎苑整備事業はまだ着手に向かっているといった状況であり、クリーンセンター建設については広域化などの話もあるが、まだまだこれからといった状況にある。
3期目の任期で道筋をつけていくのが市長に課せられた大きな課題ではないかと思っている。また、こうした施策や事業を進めるには、これまでトップダウンとして自身がいろいろな決断、決定をし、指示をしてきたわけだが、そのおかげでスピード感を持って、これまでの市政でできなかったことをなし遂げてきたという側面も一定あると思うが、やはりその反面では、超過勤務の増加や病気休暇者が増えるなど、職員が疲弊している一面もある。
今後の市政のことを考えると、職員が自ら考えるボトムアップの組織に変革し、職員が元気な奈良市役所に変えていかなければならない。このことは、私が感じているだけではなく、多くの市民が見ている。そして、職員が元気であることが、市役所の最大の責務である、市民サービスの向上につながるものであると思っている。
しかし一方で、市民のニーズに応え、市民の暮らしを向上させるために市政運営を力強く進めていくためには、市長のこの任期の間に財政の立て直しについても本気で成果を出していかなければいけないのではとも思う。
先日の総務分科会でも指摘したように、平成29年度の決算は黒字である。しかし、不用額も多く、それは経費の節約だけではなく、計画したとおりの、本当に必要なことができているのか?効果的に財源を使えているのか?疑問を感じる。これだけ執行を抑えて不用額を出しても、決算は、結果は、経常収支比率は100を2年間超えている。財政調整基金は中核市でも最下位だ。指摘した地域振興基金は繰りかえ運用したままといった極めて厳しい財政状況である。
やはり市の財政状況が厳しい、悪いといったことばかりが市民に伝わるだけでは市民も不安を感じると思うし、市の財政がよくなってきているということが市民の目に見える形であらわれないと、市民も安心して暮らすことができないのではないか。
奈良市は福祉も子育ても安心、公共施設も雨漏りなく安全、道路も穴ぼこがないといったような安心して住み続けていけるまちにしていくには、やはり財政を健全化し、財政状況がよくなったという成果が見えることが重要である。
【1、財政健全化への取り組みについての質疑応答】
◆内藤智司
3期目の課題の一つとして、財政健全化にどのように取り組み、どのように成果を出していくのか?
◎仲川元庸市長
就任以来、次の世代を担う子供たちのために、いかに我々が負担を軽減するか。という政治課題が最も重要だと考え、特に市債残高の縮減に努めてきた。
その成果としては、特別会計、公営企業会計を含めた全会計ベースの市債残高については、私が就任した平成21年度末に約2726億9575万円だった。この後、土地開発公社の解散などにより、約200億円の第三セクター等改革推進債なども発行したが、昨年度末段階では約2699億7209万円ということで、この約8年間の間で27億円余りの減少となっている。この中には国の地方交付税のかわりである臨時財政対策債も含まれており、それらの影響分を除くと、およそ367億7500万円の市債残高の縮減につながったと考える。
また、将来世代への負担を示す将来負担比率についても、こうした市債残高の縮減により、平成21年度で213.9ポイントであったものが29年度では161.1ポイントということで、52.8ポイントの改善につながった。
また、財政調整基金についても、平成29年度末残高としては、平成21年度末に14億707万6000円であったものが、17億9069万5000円と少しずつだが、残高の確保に努めてきた。
一方で、経常収支比率が100%を超えているという状況。また他の財政指標についても、他の中核市と比べると非常に低い状況にあるということについては、強い危機感を持ち、十分認識している。これについては、本市の経済環境や地域特性、また過去の市政における福祉の充実やインフラ整備を進めてきたことなど、さまざまな要因があると考えているが、いずれにしても、本市の財政状況の改善は、持続的な行政運営を進めていく上で必須であり、私の責務であると認識している。
今後、見える形で成果を出していくべきではないか?という指摘だが、当然のことであると考える。現在進めているさまざまな投資事業、西大寺駅の周辺整備や新斎苑の建設事業、また庁舎の耐震化事業、また新たに出てきた小・中学校のエアコン整備、そしてさらには、今後のクリーンセンターの建設など、市債の発行を伴うさまざまな投資的事業が今後も控えているという状況がある。これらも、当然、念頭に置きながら、引き続き市債残高の全体としての縮減をしっかりと狙いとして定め、財政の健全化を進めていかなければと考えている。
これを進めていくためには、徴税の強化、受益者負担の見直しなどの歳入の確保はもちろんだが、人件費の適正化も含めた財政健全化をより一層進めていくために、現在策定している行革の新たな重点取り組み項目などを柱とし、より一層行革に強い決意を持って切り込んでいく。
【2、その他 意見・主張・要望】
◆内藤智司
臨時財政対策債の国の肩がわりといった状況を説明されたが、確かに臨財債というのは、本来交付されるべき国の交付金の交付額が足らないときに充てられる起債だと理解をしているが、今、そのことをいえば、基本、肩がわりという形になって、償還が始まれば、その償還分が国からまた特別交付税として戻ってくるという仕組みであると理解しているが、その年年の交付税が本来100もらうべきところがショートして圧縮されて80になった。では、特別交付税の中にこの償還分が入っている。と言われても、じゃ、それがちゃんと確保できているのかというと、全体が圧縮された中で、市が償還する分がちゃんと保証されているというところについては、不明確ではないかと思うが、そこは、今後、勉強しようと思う。 その上で、今年、また臨財債を借り入れしなければならないという形になれば、本当に肩がわりなのか、肩がわりをしたままで負っているのかというところが非常に分かりづらいと思う。
それから、財政調整基金についても触れていただいたが、中核市における財政調整基金のあり方というものを見なければならない。今中核市の平均は100億円弱だと聞いている。守口市へ行った時に、7年前に、累積赤字39億円を抱える守口市。14万人の都市だが、今の市長が立て直しをするということで、今27億円の財政調整基金があるそうだ。そことの違いは、いろいろなところであると思うが、14億円を18億円にしたと。確かに維持をしているということについては、評価はあるかと思うが、中核市としての財政を調整できる実力を持っていくということは、非常に大事なことだと思う。
それから、学校のエアコン整備については、全国的な問題になっていることから、この整備が本市としては全国的に遅れていたと報道されていたが、このことは市としても喫緊の課題であるということは、議会の総意であると思う。 国・県の補助金、この分については最大限活用すべきで、早期に整備するようお願いする。そのためには、今後の補正予算の選択肢も十分あるかと思っている。県は、9億円というマックスの部分で設定されているが、ここも、国がどうするのだ。というところがまだ明確に見えていないので、市の負担がどうなるか、それによってどうなるか。それを補正予算で組んだタイミング、当初予算で組んだタイミング、それぞれによって奈良市が負担をしていかなければならない額というのが、おのずとして変わってくるような仕組みになっているそうなので、そこについては、やはり最大限の活用をすべきであろうと思う。 新クリーンセンターの建設については、今議会に議案が上程されている、事業系ごみの処理の料金値上げにおいては、課題は、新クリーンセンターの建設の大きな道筋の一つであると主張しておく。もともとごみの減量化をどうするのだ?という議論だと思う。新クリーンセンターを建てるためには今からでも10年かかる。では、今の設備を10年残す、延命しなければならない。では、3炉にして、その分ごみを減らそう。ごみ全体の処理の減量の方法は担当部局でいろいろ考えていただいている。総枠で。雑紙もそうだ。今回の事業系ごみの値上げもその中の大きな取り組みだと。ダンボールコンポストもそうだ。生ごみの処理機の補助金もそうである。それを含めて1炉をとめられる分の1万4000トンぐらいだ。1炉をとめるためには、それぐらいの量を減らすことが大前提だと思っている。そのことは、今度の新クリーンセンターの建設の炉の大きさにもなると話されていた。そのことからすると、今回の値上げの条例に関しては、行政側、市長としての思いをきちっと伝えるべきである。周知期間が長い短いの議論、私どももした。議会の議決をもらう。また議会にフライングだ。と言われる。過去そんな話もあった。では、周知できていないのに、なんでするのかという議論もあるし、それはどっちもどっちではと思うが、ただ、料金の今の160円に関しての議論は、ないと思う。周知期間が長いか、短いか、どうするのだという話であるので、そこはきちっとした方針を市として決めていくべきであろうと思う。 消防体制については、分科会のところでも議論したと思うが、もともとの職員定数の適正化計画における位置づけだったと思っている。児相の枠外という答弁に対して、では、消防もそうじゃないかということを本会議のときにお願いしたが、担当部からは、昨今の地震、風水害等の大規模災害が相次ぐ状況から、市民の安心・安全を守るためには人員体制を構築し、消防力を維持することは本市においても大変重要な課題であることは認識していると答弁があった。各部署への配置については、弾力的に今後行っていくとも話された。
別枠であるかどうかということは、問題ではないと思う。児童相談所は、子供の命を直接扱わなければならない部署であると思っている。同じように、消防局も人の命に直接触れていかなければならない市民の安心・安全の第一線の現場だと思っている。言いかえれば、福祉政策、障がい福祉課はどうなのだ?保護課がどうなのだ?それぞれの行き着く先はやはり市民の安心・安全だ。市が行わなければ、市職員がしなければならないコアな部分というのは、市長ももとからおっしゃっていた。その中で、本当に市職員がやらなければならないところ、では、民間に任せられるところは民間に任せていこう。ということを市長はずっとおっしゃっている。
市長が就任されてからの各部署の適正化において、3,000人いた職員を今第1次の適正化においては2,700人。今現在は普通会計ベースでいくと、もうすこし少ない2,400人。トータル、今29年度現在で380人弱の職員が削減されたが、それを部門別に分析すると、ちょっと不思議な現象もあるが、そこは、あえて今日は触れないでおく。 今回は、やはり消防体制が問題になっているところにおいては、繰り返すが、やはり命を預かる現場というところに対して、きちっとその現場が疲弊するとか、それぞれのところに嘆願しなければならないとかといった状況ではなく、そこのところはやっていただきたいという旨を主張しておく。 総務分科会のときに、北委員が退職手当債の問題を取り上げられた。ここは非常に連動するところだ。市全体の、市役所全体の人件費にかかわる退職債の起債が1つ大きな条件に入っている中で、やみくもに今の人数を維持するということは、確かに難しいであろうと思うし、これからの行政を考えるときに、人口が減っていく中で歳入が、どんどん交付税が少なくなってくる中で、そういうコンパクトというのは考えていかなければならないのは理解している。だからこそ民間に頼るところは民間にというところは十分考えていただきたい。
下水道の料金改定については、平成24年に議決し、翌25年度から下水道使用料金の値上げが実施された。財源不足の22億円を補うためには大幅な改定が必要なため、当時、激変緩和の観点から立米82円から108円と半分の改定をした。当然、財源不足を解消するためには、2回目の下水道使用料金の見直しを予定しなければならないはずだが、平成25年12月に市長は、行革の観点から業務や経費の見直しの徹底を行い改善するとの発言。これを受け、企業局はさらなる企業努力を実施することで、残り半分の11億円についての料金改定は先送りされた。
この結果、根本の財源不足を改善できるものではなく、無駄に改定時期を延ばしたにすぎず、このままでは来年の消費税の改定と相前後することになり、さきの委員会でも明らかになったことは、企業局で毎年懇談会が開かれて、財政状況等を学識者や市民団体の代表に説明しているその中で、下水道使用料金はできるだけ安定性を保つことが望ましい反面、長期にわたって期間を設定すると予測の確実性を失うことになるので、3年から5年程度で検討するのが適当と意見が出ていたことも明らかにった。しかし、これは議会に対して報告がされず、唐突と取り上げられても仕方がないと思う。なぜ議会の質問時に説明をしなかったのか疑問に感じる。今後このようなことがないように、最高責任者としての十分な注意をお願いしたい。
最後に、児童相談所について、向井副市長からは、本市の児童相談所事業における基本方針、基本計画は、今年度中の策定を目指すと答弁があった。このことについても、意見、要望とする。
28年度の児童福祉法の改正、児童は適切な養育を受け、健やかな成長、発達や自立を保障されることなどの権利を有することが明確化された。このことは、私どもは、繰り返し繰り返し頭の中で確認をしていかなければならないと思う。児童相談所、本当に申し上げたあの件では、事象が起きたところからのことしかできない。しかし、市が担えるところは、やはり生まれて子育て、それから産後鬱もそうだ。育成支援もそうだ。いじめもそうだと思う。子供の全てを賄っていく。その一翼が児童相談所であり、一時保護所であるという姿が、本来市ができる児童相談所だと学んだ。私もそう思う。運動場があって、講堂があって、子供たちが本当に楽しく保護されている状況、子供の人権を守る、これができるのは、やはり我々奈良市が目指す相談所であろうと思う。
子供の人権を守る、このことは念頭に置いておかなければならない。そのためには、今の担当課だけではなく、保健や教育委員会、奈良市の全部署がこのことに意識を、事業に対しての考えを持つべきだ。中核市の児童相談所が最大限、やはり子供のためになるための施設、このことを強く要望しておきたい。
これから基本計画をつくっていただく中で、ロードマップも当然要る。職員の育成ももう既に始まっているわけだから、そこのところの部分をきちっと、一番大事なのはやっぱりそこで働く職員の気概だ。これを、モチベーションを落とすことなく、新しい事業が始められるよう、強く要望しておきたい。
最後に、1つ市長にお願いがある。
我々改革新政会は、6月において半数のメンバーが入れかわり、新メンバーで今回の議会、初めて迎えることになった。本当に政党の冠がなく、自由闊達な、それぞれ個性豊かな皆さんの集まりで、一つ一つの議論を本当に真面目にやらんと1つにまとまっていかない。その分、一人一人が言い合って、一人一人がお互いの言い分を聞きながら、切磋琢磨しながら向上していると思っている。
10月から新三役を迎え、今までのことは今までとして、新たなメンバーで、理事者の皆さんも含め、ここで一旦思いをリセットして、新たな気持ちで、これから来る諸課題に対して、一つ一つ全員で議論して、一丸になって課題解決に向けて邁進していただきたい。