平成31年3月 予算審査等特別委員会 03月13日

平成31年3月 予算審査等特別委員会 03月13日

【1、児童相談所について】

【2、東山霊苑火葬場の稼働状況について

【3、針テラスについて】

【4、奈良市観光協会補助金が増加していることについて】

【5、人事課の事務業務委託料が昨年度の半額になっている件について】

【6、平成30年度の職員の時間外予算額と実績(3月までの見込み)。その評価は質疑応答・意見】

【7、予算編成について質疑応答・意見】

【1、児童相談所についての質疑応答・意見】

◆内藤智司

 児童相談所を含む仮称子どもセンター設置に伴う財源負担について、これまでさまざまな議論があったが、今日的に基本計画も基本方針も出された中で、土地や建物を合わせてどの程度の経費を想定しているのか? また、その財源内訳はどれぐらいなのか? 国からの補助や交付税措置等が幾ら、市の負担は幾らであるのか?

◎野儀あけみ子育て相談課長

   県市連携のまちづくり協定に基づき、現在、県と協議、調整を行っている。

 子どもセンター建設工事費の概算は約16億円であり、財源内訳は国庫支出金約1億円、地方債約15億円、その地方債のうち交付税措置が約2億2000万円と試算している。

◆内藤智司

 それでは、2問目として、児童相談所及び一時保護所に配置する職員は、正規職員、非正規職員で最大何人を想定されているのか? 毎年幾らの経費がかかるのか?

◎野儀あけみ子育て相談課長 

 児童相談所及び一時保護所に配属する職員は児童福祉司や児童心理司、児童指導員などの正規職員が約30人、心理療法対応員や学習支援員など非正規職員が約30人の合計60人を見込んでおり、その経費は約3億6000万円を見込んでいる。

◆内藤智司

 今年度までに前倒しで雇用した職員は何人で、年間幾らの経費がかかっているか?

◎鈴木千恵美人事課長

 平成29年度からの2年間で、計20人の職員を前倒しで雇用しており、経費として約1億6000万円です。

◆内藤智司

 それでは児童相談所及び一時保護所開設に伴い、取り組みが必要となる事業はどのようなものがあるのか? 経費はどれぐらいかかるのか? その財源内訳を含め、市の負担額はどのようになっているのか?

◎野儀あけみ子育て相談課長

   児童相談所及び一時保護所では、児童虐待などにより家庭で暮らせない子供たちを保護する一時保護や施設入所支援や里親支援事業、親や子供たちを支援するペアレンティングプログラム、子供の自立サポート事業など子供や親への支援、さらには職員のスキルアップ、児童虐待防止推進事業など多岐にわたる事業を実施しており、子供たちや家庭への支援にとっては、どれも欠かせない重要な事業である。

 現在の試算では、それらの運営費は約7億円を見込んでおり、これらの事業に対する財源内訳としては、国庫支出金と交付税措置費により賄われる。

◆内藤智司

それでは次に、児童相談所及び一時保護所開設後のランニング経費について。起債償還額も含めた年間の総額の負担について、その財源内訳は幾らか? また、国からの補助や交付税措置等が幾らで、市の負担が幾らなのか?

◎野儀あけみ子育て相談課長 

 運営費7億円に人件費3億6000万円を合わせると、年間のランニング経費は約10億6000万円を見込んでおり、その財源内訳は国庫支出金などが約3億円、交付税措置が約8億5900万円を見込んでおり、合計11億5900万円。現時点で国の示している根拠から約9900万円のプラスとなっている。

 また、子どもセンター設計・建設に係る地方債の利子を含めた償還額は年度により異なるが、最高年間約7200万円で、そのうち交付税措置されるのは約1000万円と試算している。

 これらのランニング経費と起債償還額を合わせますと、本市の負担は3700万円のプラスとなる。

◆内藤智司

 それでは次に、児童相談所及び一時保護所を設置することに伴い、施設整備に係る起債の償還額を含めると年間約10億円の財政負担が生じるということだ。これらには、国庫支出金や交付税措置もあるものの、国による財政措置の強化も現時点では明確ではなく、また、交付税そのものについても市全体で算出されるもので、児童相談所分として交付される額ははっきりしていないと思う。

 児童相談所は子供の命を守るとりでとしての極めて重要な施設であり、こうした将来も含めた市の財政負担を考えると、現在の奈良市の極めて厳しい財政状況の中で建設に着手して、財政的な裏づけも含めてしっかり運営していけるのか?

◎野儀あけみ子育て相談課長 

 児童相談所の設置には、人材の育成、確保とともに、財源の確保は重要であると認識している。児童相談所の安定、継続した運営に関しては、交付税を含めた国の財政措置や、人件費を含めた事業運営に係る経費などをしっかりと精査して、関係課とともに十分調整していきたい。

◆内藤智司

 まだ、国の補助の強化もされていない状況の中で、児童相談所建設に着手するのは、時期尚早ではないかと考えまするが?

◎真銅正宣子ども未来部長 

 平成28年に改正された児童福祉法などにより、国が児童相談所を設置する中核市などに必要な措置を講ずるとした期間である平成33年度中の開設を目指し、現在準備を進めているところだ。

 これまで、国の財政措置としては、平成30年度から児童相談所整備費の2分の1が地方債の対象となり、その元利償還金については地方交付税措置が講じられ、一時保護所整備費についても、次世代育成支援対策施設整備交付金において中核市・特別区における新設設備加算が設けられ、一定の財政支援は拡充をしてきた。さらに国に対しては、引き続きさらなる財政支援の拡充を求めていきたい。

 一方で、昨年の児童虐待によります子供の死亡事案発生など、重大な事案が続いている。それとともに、児童虐待の相談・対応件数が増加をしている。また、ケースの対応が複雑化をしており、困難なケースが増加をするなど、その対策は喫緊の課題である。

 これらのことを踏まえ、本市において、児童相談所設置は子供や家庭への相談、対応、支援を充実させて、奈良市の子供たちを奈良市が責任を持って守っていく取り組みの一つであるとして、早急に、積極的にその取り組みを進めなければならないと考えているところだ。

◆内藤智司

私もそのことに関しては一切反対しない。本当に今、子供の虐待が起こるたびに全国的なニュースになっている。そういった状況の中で、奈良県、奈良市がやっていかなければならない子供の命というものに対しては、本当に早急な対策が必要なんだろうと思うが、それゆえに、しっかりとした対策を、今後運営をしていかなければならない。つくったからそれで終わりでは絶対ない。その後が大事なのであって、そのための交付税措置が運営に対して、8億5900万円、交付税措置される。

 しかし、これは何に使ってもいい金だ。交付税措置でこれだけの金がある。それを市長はまたこっちの多言語に使おうかとかいうこともできる。ではなくて、児童相談所をつくったら、人が30人だと言っているが、やっぱり60人要る。どんどんいろんな責任というか、役割を担っていきなさいということも、事件が起こるたびに国から要請がかかってくる。

 そういった意味では、国もその児童相談所に対しては、今後またいろんな施策を、補助金なり交付税措置なりを出してくると思う。それはきちっと見定めた上で、つくるに当たってはそこを守っていく。

【2、東山霊苑火葬場の稼働状況についての質疑応答・意見・要望】

◆内藤智司

 先日、大きなニュースになったと思うが、老朽化が著しい現火葬場について、これまで補修、改修を重ねてきた。平成30年度において、各炉の稼働を停止した原因及び時期とあわせて、今回、現場職員が灯油漏れを発見した経過については?

◎森田眞章生活環境課長 

 今年度の修繕については、今後の火葬業務に支障を来すことなく、火葬設備の安全性と安定性を高めるために、優先度の高い主燃バーナーの全炉交換、3炉の火葬炉内耐火物全面補修など大規模な補修作業を実施した。

 各炉の停止期間については、基本1炉を停止させての作業工程を組み、昨年9月から2月までの間に順次、1号炉、3号炉、8号炉の火葬炉内耐火物全面補修を各炉2週間、4号炉、6号炉、8号炉の耐火台車の取りかえ等を各炉3日間、2号炉、4号炉、7号炉の燃焼室の小修繕を各3日間、稼働を停止して修繕を行った。

 その他大規模修繕以外にだが、1号炉の再燃バーナー電磁弁修繕に約3週間、2号炉のスタビライザーの取りかえに約2週間、炉を停止させている。

 次に、現場職員が灯油漏れを発見した経過は、2月11日に1号炉付近で灯油のにおいを感知し、確認すると、再燃バーナーのフレキシブルホースを灯油が伝っているということが判明したため、直ちに業者に状況を説明し、ホースの取りかえ交換を行った。交換後、灯油の漏れがないことを確認したので、翌日火葬炉を稼働させた。

 しかし、火葬中に再度灯油のにおいがすることに気づいた職員が、1号炉の天井部の確認を行い、再燃バーナー用電磁弁から灯油が漏れていることを発見した。

◆内藤智司

 今回の灯油漏れについては、業者が点検して交換したにもかかわらず、原因を特定できずに、それを職員が発見したということで、大事には至らなかったということが今回の事象であったと思う。

 そういったところから、今後、故障が起きてからそこに発注して炉がとまり、また、故障して炉がとまりということになって、今、8炉あるうち6炉になったりで、その期間、市民の方には非常に迷惑をかけるというのが現実だと思う。

 今後、市民に安心してもらえる火葬業務を遂行するために、今後の運営管理についての考え方は?

◎森田眞章生活環境課長 

 これまで、年度当初に業者に火葬炉設備保守点検業務を委託し、重点改修、修繕箇所の報告を受け、火葬業務においての安全性や設備の安定性を考慮し、優先順位を決め、定期及び随時、改修並びに修繕を行ってきた。

 今年度においては、故障すれば直ちに火葬業務に支障を来す可能性が高いものから優先度をつけて、主然バーナーの取りかえと火葬炉内の耐火物の全面補修を先行して行った。今後は、職員が安心して円滑に業務につけるよう、修繕計画を作成し、対応したい。

 また、火葬場は市民にとって、人生終えんの場として大切な家族を見送る最後の場となることから、新斎苑に移転するまでの間、火葬業務に必要な修繕を実施する中で、できる限り炉を停止することがないように、これまで以上に保守点検、日常的なメンテナンスに留意し、市民に安心して利用していただけるよう、また職員が安心・安全に業務に携われるよう、火葬場の適正な運営維持管理に努めたい。

◆内藤智司

 本当に、私もうちでこのことが起きて、現場へ行った。現場の方の意見もいろいろ聞いた。本当に現場の職員の方は、「この火葬場をあと2年守らなあかんねん」という必死の思いでやっている。その姿を見てきた。

 あと、要望されたのは、今年は特に3カ月前倒しして予算を編成したという中で、750万円の修繕費を見込んでいるが、一番忙しい12月、1月、2月までの9月、10月に点検して、必要な消耗品を変えなければ、後の新火葬場につなぐまでもたない。そのことをやっぱり予算を組む上においても、保守点検するにおいても、きちっとメンテしていかないと。また同じことが繰り返されるのではないかもしれないと、現場の方が話していた。 今、現火葬場を残り2年間必死になって彼らは維持してくれているのも、課長を含めて市の体制、私たちは新火葬場ばかりに目をとられているが、守ってくれているところの現在の設備をきちっと維持していくということも、一つ大きな我々の責任だと思うのでよろしくお願いしたい。

 それと、今度新しくできる火葬場は、今DBOという、民間でしていこうとしているが、今は直営でやっている。ぎりぎりの中の人数でされているんで、実態を聞くと、そのフォローをこの生活環境課の課長を含めて、こっちの職員が担っていっている。そういった状況も多分御承知だと思う。そのことも含めて、あと残されたこの老朽化した設備をきちっと運営していただけるように要望しておきたい。

【3、針テラスについての質疑応答・意見】

◆内藤智司

針テラス事業については、2月の観光文教委員会で、我が会派の樋口議員からも、契約解除に至った経緯などを聞かせてもらった。特に観光戦略課の体制について、課長から、管理職1名を含む3人の職員で対応しているものの、専任となっていないと答弁があった。

 先日、代表質問でもうちの柿本さんがこのことについて、針テラスの現在の状況、将来像を市長に聞いた。針テラスはやはり県内の東部へ移動する際の起点、多くの利用者が見込まれる施設であると。東部の活性化の中でも振興の拠点、大きな位置づけを持っている施設であると認識しているということだった。そして、今問題になっていまる、三興から奈良市へ帰属させた後、この分についての針テラス事業が地域の活性化につながる。そういった方針で検討していきたいという答弁があった。

 改めて針テラスを担当している事務方の仕事の状況について、どのような事務が発生しているのか? また、今後想定される業務にはどのようなものがあるのか?

◎今中正徳観光戦略課長 

 針テラス事業に係る三興との契約解除後の業務内容については、第一に針テラスの利用者にできる限り不便をおかけしないよう、施設の暫定的な運営に伴う業務として、トイレを初めとする清掃や施設の警備にかかわるものや、破産管財人や市の顧問弁護士と協力して南館で営業しているテナント業者への説明を初め、北館も含めた針テラス全体の施設の維持管理について調整を行っているところだ。

 また、北館、南館を奈良市に帰属させるため、法的手段を含めた今後の進め方について、市の顧問弁護士との連絡調整や、昨年9月に一審判決が下された三興との針テラス使用料の確認に係る控訴後の裁判の進め方についての調整に取り組んでいる。

 今後新たに発生する業務としては、針テラスが奈良市に帰属した後の道の駅としての新たな事業構想の作成と、それを具体に進めていく業務が想定される。

◆内藤智司

 改めて、針テラスのことに関してお伺いしたが、今日の状況については10億円の債権を回収できない状況、そして針テラスの運営自体は、今、市の職員が懸命になってやっている。帰属した上においては、次の業者というか、会社を探していかなければならない。

 その間、本当にここの担当課に係る業務というのは、専門家に任せておけばいいという状況ではないと私も思う。そういった意味では、人事配置の分についても要望されていると聞いている。それを専門家に任せておけばいいとして、最終その10億円を取り損ねたり、針テラスの事業がとまってしまったりということになれば、本当に大変なことになると思う。

 市としては、人事を尽くしていただきたい。人事を尽くして天命を待つしかないとは思うが、とりあえずできる限りの手は尽くして、針テラスの事業がある一定落ち着けば、そこはそこでまたもとへ戻せばいいわけであって、今大事な局面であるということは確かであると思うので、よろしくお願いをしたい。

【4、奈良市観光協会補助金が増加していることについての質疑応答・意見】

◆内藤智司

 奈良市観光協会補助金の額が平成29年度から徐々に増えている。以前から指摘をしているが、平成31年度予算から今年度の予算が1680万円増えているこの理由については?

◎今中正徳観光戦略課長 

 まず人件費については、地方創生交付金事業等に従事してきた嘱託職員3名をプロパー職員として登用することと、将来の観光協会を担う人材を育成することを目的として、プロパー職員2名を新規採用することに伴い1890万円の増加となっている。

 事業面としては、観光パンフレット製作費において、夏のキャンペーンパンフレットを観光協会の情報誌「ならり」に統合して製作委託するため、その費用として540万円が増加となっている。

 また、ICTを活用した多言語対応による観光案内の強化事業として、AIチャットボットの導入に2000万円、観光協会の顧客情報を管理し、マーケティング等に生かすことができるシステムの導入経費360万円を新たに計上している。

 一方で、地方創生交付金事業の終了のため3500万円が減額となったほか、みやこサミット等の都市間連携事業の見直しや蓮の社寺をめぐるロータスロードを自主財源化するなど、減額に取り組んだ。結果として総額1680万円の増額となった。

◆内藤智司

 今年度の新規事業で、ICTを活用した多言語対応チャットボットなのだが、このことについて、現在では既にQRコードや多言語コールセンター、それから案内板やパンフレットの多言語化に取り組んでいると思うが、新年度予算でこのチャットボット、ICTが取り入れられた観光案内を強化するシステムを導入する理由は?

◎今中正徳観光戦略課長 

 外国人観光客の増加に伴い、総合観光案内所と近鉄奈良駅観光案内所の外国人の利用人数は平成25年の6万7834人から平成30年の16万5158人と増加している。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博などを控え、今後も奈良を訪れる外国人観光客は増加する見込みである一方、滞在時間は近畿2府4県で最下位というIC乗車券の利用調査報告も報道されていることなどから、外国人観光客により深い奈良の魅力を知っていただき、滞在時間を延長させることが重要となっている。

 外国人観光客が持つスマートフォンやタブレット端末を利用し、人工知能AIを活用して対話形式で案内するシステム、いわゆるチャットボットの導入は旅中での観光案内をより身近なものにし、AIが日々学習することで、案内板やパンフレットのように一定固定化された情報に比べ、より観光客のニーズに合った情報が提供できるとともに、観光案内所の混雑緩和に資することも想定されることから、将来の観光案内所にかかるコストの削減にもつながるものと考えている。

 また、外国人観光客とAIとの対話は全てデータとして蓄積でき、趣向性データを集積することで、観光プロモーション等の活動に生かす予定だ。  さらには、今年度発生した大型台風のような災害時において、災害情報や公共交通機関の運行状況、避難所情報などを自身のスマートフォン等で簡単に確認できるようになり、旅の安全にも寄与できるものと考えている。

◆内藤智司

 この中身はいろいろもっと深掘りをしたいが、基本、インバウンド、外国人に対しての要はおもてなしというところで、これ国庫支出金が1000万円、市単が1000万円の2000万円の事業だと新規事業の中で確認はできているが、先進市というか、前例的にはハウステンボスさんが導入されている。導入時は243体ロボットがあって、現在は84体らしい。中身は何かというと、要は多言語が複雑過ぎて認識できない、役に立たないという理由らしい。

 そういったことも検証しながら取り入れないと、と思う。ただ、全体でいうと、今2%給与を削減しようとする中で、観光客のために、外国人のために、それに人件費から充てがおうとしていると言われても仕方がない状況の中で、これはいかがなものかなと申し上げておく。

【5、人事課の事務業務委託料が昨年度の半額になっている件についての質疑応答・意見】

◆内藤智司

 平成31年度の人事課の事務業務委託料が昨年度の半額になっているが、この理由については? ◎鈴木千恵美人事課長   事業の見直しにより、総務事務の委託を平成31年9月末で終了する。なお、総務事務センターの機能そのものは継続し、直営で運営するためのスタッフとして、補助的業務を担うための非常勤嘱託職員を任用する予定だ。

◆内藤智司

 なぜ、委託を9月末で終了するのか?

◎鈴木千恵美人事課長 

 総務事務センターについては、人事課職員の時間外勤務の大幅な削減が見られ、一定の成果が得られた。しかし、総務事務センターの品質のチェック等、人事課における関与を完全になくすことはできないことから、委託コストを上回るだけの人事課職員の削減が困難だった。また、新たな契約に向けた見積額が大幅に増額になったこともあり、委託から直営に見直す。

◆内藤智司

 委託するに当たっては、採算が合わないということだと思う。

 直営で運営するためのスタッフが、なぜ非常勤嘱託職員になるのか? もともと正規職員でやっていた業務ではないか?

◎鈴木千恵美人事課長 

 以前のような職員の長時間労働を発生させないため、補助的な業務を担う職員として非正規職員を任用しようとするもの。

◆内藤智司

 補助的業務ということで、正規職員でないという答弁だと思う。

 これ、平成28年の10月に取り組んだはず。そのときにもう議論はした。そのときに、当時の総合政策の担当をしていた参事に申し上げた。委託していくことに対しては、そのときも、できる業務があるのなら、それは別に反対するものではないが(ほかの部署でも一緒。介護認定も委託している)。そういったときに、それを委託してしまえば、その業務自体を自分たちでしなくなるわけだから、そのノウハウというのが蓄積されていかない。では、その業務に対して市としてどう責任とるんだ。どうやって継承していくんだ、ということを私はそのときも申し上げた。

 今回、一旦その業務が民間に委託されて、今度返ってくるわけだが、それを支障なく業務として遂行していけるか。そこのところを非常に危惧する。そういったことを十分念頭に置いて、採算に合わないから臨時職員でやるというのがいいのかどうか、よくわからないが、指摘をしておく。

【【6、平成30年度の職員の時間外予算額と実績(3月までの見込み)。その評価は質疑応答・意見】

◆内藤智司

 平成30年度の職員の時間外勤務手当の予算額と実績、3月までの見込みで結構なので、その評価を聞きたい。

◎鈴木千恵美人事課長 

 平成30年度の職員の時間外予算額は6億円となっているが、それに対して決算見込み額は7億3000万円程度になると予測している。

 目標の6億円を超えており、前年度と比べて5000万円程度の削減となり、無駄を省き効率的な業務を推進するよう、職員の意識改革が進んできたものと考えておりますいる。

◆内藤智司

次に、平成31年度の職員の時間外の予算額は?

◎鈴木千恵美人事課長 

 平成30年度と同額の6億円を計上している。さらなる業務改善、業務の民間委託化、RPAの活用などを通じて、時間外勤務の抑制に努めたいと考えている。

◆内藤智司

 RPAの活用については、昨日阪本委員からも質問があったが、それがどう時間外の抑制につながるかというのはよくわからない。そこに係る活用に至るまでの業務がどれだけあるのか、よくわからないが見守っていきたい。

 組織編成に伴う各部、各課の職員の業務量の影響については?

◎鈴木千恵美人事課長 

 今回の組織改正は類似した業務や重複した業務の整理を行った上で、組織の統合再編を行うことで、限られた人的資源を有効に生かしていくことを目的に実施しており、部、課などの再編を含む簡素化を図り、より効率的で効果的な行政運営を目指すものだ。

 組織編成の見直しは、各課の職員の生産性の向上を目指しているが、そのためには、働き方を見直す職員一人一人の意識改革と管理職の適切なマネジメントが重要であると認識している。

◆内藤智司

 組織編成を行い、2部が1部、2課が1課、そういってスキルを管理し、スパンを広めていく。職員にとっても人的効果、いわゆる生産性を上げるという意味では、業務量は決して少なくならないと思う。一人一人の職員の仕事がだ。

 そこの上にもって、予算に上がっていた管理職加算の削減、なおかつ時間外の削減、人件費の削減をしながら、仕事を増やして管理を広めていく。そういったことに対して、本当にどうなのでしょうというのが、今のところの感想だ。

 では次に、人事的に、針テラスの事業に係る人員配置の考え方は?

◎鈴木千恵美人事課長 

 現在抱えている課題の解決だけではなく、針テラスを今後どのように運営していくかといった将来的な部分も踏まえ、中長期的な視点を持って取り組む必要があると認識している。

 その対応については、法務上の問題は弁護士による対応が主となる部分も多いと考えるが、あわせて担当課職員の業務量が増加し、負担が増すことが想定されることから、今後の状況を見ながら、適切な職員配置に努めたい。

◆内藤智司

 護士にお願いするのは法務上の問題であり、針テラス事業における業務はこれからますます増大していくものと考える。また、本市においても、これは今重要な局面であると思う。

 一定の時期については、専任する役職及び担当者が必要ではないのかと思うので、意見、要望しておく。

 次に、人事院勧告に伴う平成30年4月1日適用の給与改定を3月で行うのはなぜか?適用するなら本来12月だったと思うが?

◎鈴木千恵美人事課長 

 人事院勧告に伴う改定だけではなく、他の給与制度の改定も含めて条例改定を一括で提案しようとしていたため、3月議会での提案となった。

◆内藤智司

 それでは、人事院勧告に伴う賃金の引き上げを条件に、給与制度、それから自主削減を交渉の取引にするのはなぜか。これ、1万円引き上げるから5万円下げるということだ。これは決して正当なやり方ではないと指摘をしておく。

 次に、人件費削減の内訳として、期末手当の管理職加算分が今回廃止されようとしているが、適正化を図るとされているが、いつごろから検討されたのか?

◎鈴木千恵美人事課長 

 奈良市職員の手当について、他の中核市に比べて金額水準が高いことが、今年度に実施された奈良市行財政改革重点取組項目懇話会において議題となった。

 各手当別に見ると、地域手当や期末勤勉手当等について高水準となっており、期末勤勉手当については、その算定の基礎額に大多数の中核市では用いられていない管理職加算を用いていることが要因であると分析し、今回の提案となった。

◆内藤智司

 今、賃金制度の見直し、行財政改革重点取組項目懇話会では、もともと地域手当の見直しをされて検討していたと思うが?

◎鈴木千恵美人事課長 

  奈良市行財政改革重点取組項目懇話会において、奈良市の地域手当の支給率は10%であり、県内でも高水準であること、奈良市の財政状況等も踏まえて議論する必要があるのではないかとの意見が出た。

 地域手当の支給率の引き下げについても検討を行ったが、地域手当については、国の基準に基づいて支給しているものであることから、今回の提案はしていない。

◆内藤智司

 給与制度の適正化の名のもとに改正を行う場合であっても、これはこれまで個人のライフサイクルの中にその給与が入っているわけだから、その個人のライフサイクルに適用させるためにも、緩和措置も含めて見直ししていくものだと思う。

 それを自主削減2%とあわせて行うということについては、やはり財源対策としか受け取れないということは申し上げておきたい。

【7、予算編成について質疑応答・意見】

◆内藤智司

 平成31年度の予算編成方針の大きな柱として、スケジュールの大幅な前倒しがあった。例年10月ごろに出していた予算編成方針を7月に出され、3カ月前倒しして予算編成の作業を進めておられた。

 これは時間的余裕を持って次年度の事業計画を立てて、事業の必要性、手法、経費の精査を行うという目的との説明だった。それに加えて、事務の平準化による働き方改革の推進も狙いの一つであるということだったが、この点について、私は8月の総務委員会でも、予算編成が長期化することによって、かえって査定作業の負担は増えるおそれがあるのではないかと指摘した。

 3カ月も前倒しして予算編成を進めてこられた成果と課題について、どのように評価をされているのか?

◎小西啓詞財政課長 

 まず予算編成方針を通知してから予算要求締め切りまでの期間が例年1カ月程度であったものを、7月10日から8月31日までの2カ月弱の期間とした。これにより、予算要求作業の期間を例年に比べて長く確保し、各課において余裕を持って事業計画書の作成ができたのではないかと思っている。

 また、財政課の査定についても、例年に比べると期間が確保できたものと考えている。さらに、市長との調整についても、例年12月末ないし1月初旬から行っていたところ、11月中旬から開始し、施策の方向性等について時間をかけて調整できたものと考えている。

 次に、事務の平準化については、1月までの全部局の合計で前年度に比べ超過勤務時間が減少しており、例年の予算要求期間である10月から11月までで2割弱減っており、他の取り組みと合わて、一定の縮減効果はあったものと考えている。

 また、財政課についても、1月までの累積で対前年度比マイナス24.9%と減少しており、予算査定については、特に深夜や土日に及ぶ作業の軽減が図れたのではないかと感じている。  なお、課題としては、8月末に一旦要求を締め切った後の事情の変化や、国の施策の動向による要求の追加、変更への対応について、また、さらに早期の予算案の取りまとめについて検討を進めていく必要があると考えている。

◆内藤智司

 時間外勤務は減少したという評価だ。特に財政課で大きく削減されたとの答弁であり、このことについては、そうであるなら一定の評価はできる。

 しかし一方で、9月の予算決算委員会の総務分科会で質問に対して財務部長は、今回は新たな取り組み、試みであり、試行錯誤しながらしていくということだった。  そこで、次の予算編成、いわゆる32年度の当初予算編成についても、この7月からの予算編成スケジュールを継続されるのか?

◎小西啓詞財政課長 

 さらに効率的、効果的な予算編成を進められるよう、今回の結果を踏まえ検討したいと考えている。

◆内藤智司

 管理職の残業時間は考慮されていないのではないかと思うし、予算編成が長期化することで、財政課だけでなく、各課に負担がかかっている面もあると思う。

 財政課の評価としては、平準化され、膝詰めできめ細やかな予算編成ができたとも聞いているが、これが全庁的にそういうところの評価に至っているのか?そこは財政課として今回の前倒しに対しては、振り返りはしておいていただきたいと思う。財政課だけの自己満足にならないように、全庁でそのことは共有していただきたいと思う  時間をかけて見直しを行ったはずの予算についてだが、職員の人件費をカットして帳尻を合わせた予算であり、新規事業についても、その必要性や政策効果が十分に時間をかけて議論されたとは思えない。

 本市の財政状況は経常収支比率、いろんな計算があっての話だと思うが、いずれにしても収支比率が100%を超えているような状況で、特に30年度補正予算では財政調整基金、これ5億円を切り崩して補正している。31年度にもこの財調を2億円切り崩して予算編成している。

 本当に決算が黒字で確保できるのかも今のところ、見通しは聞いても教えてもらえないと思うが、危惧する状況だ。それどころか、地域振興基金40億円がまだ返還されていない状況だ。もうずっと以前から指摘はしているが、返す気はあるということだ。しかし、1円も返っていないので何とかしてくださいと言うしかない。

 こうした中で、新規事業でベンチャーエコシステムや観光案内の多言語化、本当に必要なのか疑問は感じる。それにましてや人件費をカットせざる得ないような状況で、子供の命を預かる児童相談所はこれから必要な職員を確保して、しっかりと運営できるのか?

 また、数十億円見込まれると言われる、今回新規で計画される、40万円で計画される地籍調査を本当にできるのか?甚だ疑問だ。