平成31年3月 総務委員会 03月11日

平成31年3月 総務委員会 03月11日

「奈良市職員の退職手当に関する条例及び奈良市企業職員の給与の種類及び

基準に関する条例の一部改正について」

◆内藤智司

 継続審査ということで、今回、付託されている「職員の退職手当の条例」、それから、「企業局の職員の給与の条例の一部を改正する」という案件を、今回、三橋委員が提案されたわけだが、我々としては、これをジャッジ、判断していく上においては、やはり慎重なる審査をしなければならないと思っている。

 その上で、前回の委員会以降、我々としても調査を行い、関係するところについてもヒアリングもした上で今回質問に臨む。

 今回の条例改正案の提案理由は、「非違行為の発覚時点の相違による職員間の不公正を解消させるため」とある。今回のきっかけになったのは、民生金庫の運用資金の不正行為に関する職員の懲戒処分についてだ。

 今回の処分は、部長を戒告処分、当時の次長を停職1カ月相当、課長を減給10分の1の6カ月としたものだ。

 今回の事案の経過と処分の理由については?

◎鈴木千恵美人事課長 

 民生金庫運用資金の不正行為について内部通報があったため、人事課において部長、当時の次長、課長のほか関係職員から事実関係を聞き、本人の署名、捺印により発言内容に間違いがないことを確認した。

 その後、認定した事実関係をもとに、奈良市職員分限懲戒審査委員会において審査され、処分量定が決定した。具体的には、部長については、担当職員の不正に疑念を抱いたにもかかわらず、次長からのお金の取り扱いについて不正はなかったという報告を受けた後に、具体的な調査内容の確認を怠ったという責任を問い、戒告とされた。

 当時の次長については、部長から確実に調査せよと指示されているにもかかわらず、課長に対し内々で処理せよと受けとめられるような曖昧な指示を出したこと。また、当初から不正が疑われる事案であるにもかかわらず、自身では実質的な調査をせずに部長に不正はなかったと報告していたこと。事実を把握した段階で人事課や法令遵守監察監へ報告をしなかったことに対し、停職1カ月相当という判断がなされた。

 課長については、次長の指示を課内で内々で処理せよと受けとめ、不正を行った職員の親族から被害金を返済させたのみで処理を終わらせていること。また、返済させた被害金額の計算も不明確、不正確で、いわゆる丼勘定で不適切なものだった。

 所属長として処理のてんまつを次長に報告する際にも、職員の使い込みがわかり、弁済させたが、内々の処理でよいのか等の伺いをすべきであったことに対し減給6月という処分がなされた。

◆内藤智司

 今、それぞれの処分量定の違いについて聞いたが、分限懲戒委員会のヒアリングの中身は、我々が知り得ることというのは、まだかなわないことだが、基本、処分を受けた方々は、そのヒアリングに対して自分自身認め、署名、捺印されているという状況については確認をした。  ただ、処分量定の中で、不正を疑われる事実があるにもかかわらず、人事課や法令遵守監察監へ報告をしなかったと問われているが、これは、誰が人事課や法令遵守監察監に報告すべきだったのか?

◎鈴木千恵美人事課長 

 事務の不正を把握した時点で、課長、次長から部長に事実を報告した上で、3人とも課長級以上の職員であることから、誰がということではなく、当該3人の職員全員に報告義務があったと思う。

◆内藤智司

今回の事案については、部長も当然、次長も課長もこれにかかわった周囲の管理職も不正が疑われていたとのことだが、そういうことを認識していたのか。

 その意味では、今回の処分量定を鑑みると若干の違和感を抱かれても仕方がないと思われる。周囲から見るとその責任を現場に押しつけたように感じられるし、また、そういう声も職員間でも出ているのは、事実だ。

  この点について、総務部長としての受けとめは?

◎吉村啓信総務部長 

 今回の事案では、不正を行った職員本人を懲戒免職処分とし、直属の課長を減給処分としている。課長の行為は不適切なものだ。

 また、課長の処理全般への関与度も大きく、当時の次長への報告は完全なものとは言えず、また、親族に被害金の返済を求めている時点で不正を認識し、報告の遅延、おくれは明らかであり、黙認と同等と思慮されるものであったため、減給6月とした。

◆内藤智司

 今回の事案について、かかわった管理職のうち1人でも危機管理が備わっていれば、私は今回の事案には至っていなかったと思えて残念でならない。これまで本市職員の不正は、後を絶たない状況である。しかし、ほとんどの職員は日々、毎日まじめに公務に励んでいる。一部の間違った行為で市役所全体の信頼がそのたびに損なわれていく、職員の働きがいにも影響することであると思う。

 今後、決して不正を起こさせない、不正を見逃さない、そういった危機管理を徹底し、健全な組織風土を醸成していくことが最優先でしなければならないことであろうと、これは私がこの審査に入るときにもそのことは申し述べたと思うが、この点については?

◎向井政彦副市長 

 一部職員の不祥事により、市民の市役所全体に対する信頼を一気に失うことになり、また、日々真面目に公務に励む多くの職員の士気を下げ、また、やる気を損なうことになるということについては、まことに残念であり、遺憾であると思っている。

 職員の不祥事撲滅のためには、これまでも機会あるごとに指導、注意喚起も行ってきたが、今後もさらにこれを組織の危機として捉え、危機管理の徹底と風通しのよい健全な組織風土を構築していくことが最優先であると考えている。そのためには、職員一人一人が法令を遵守し、服務規律に違反しないという強い自覚を持ち、特に今回は管理職の対応にも問題があったが、管理職員には率先垂範して服務規律の確保を図るとともに、部下職員の公正な服務の確保に努め、その行動について適切な指導、監督すべきことを再度徹底したい。

 また、今回のような、特にこういう現金にかかわる業務については、その職員が不正を行いにくい、そのようなチェック体制、組織環境が大変重要だと考えている。そのため、適時事務監査や職場環境の点検なども必要であろうと考える。これからも市民の信頼を回復させるために不正をさせない、不正ができない、そのような組織づくりを行いたい。

◆内藤智司

 今回のこの調査に当たり、人事課長はもちろんのこと、対象の部長、それから当時の次長、それから課長にも直接話を聞いた。

 話を聞いている中で、若干差異はあるようにも思うが、そこは、本人たちも、ヒアリングの調書の分については納得し、捺印したということなので、共通して話していることは、報道が一つキーワードになっている。あたかも組織と言うか、管理職が放置していたとか、丸くおさめようとかいう表現もあったかと思うが、一人一人聞くと、「全くそんなことはない」と話したし、「ましてや隠蔽を示唆したこともない」と話された。

 対象の皆さんがおっしゃられているのは、二度とこのような職員があらわれないように、そして、報道についても、やはり誰かが犠牲になったというふうな報道をされたことに対してもひどく憤りを感じているわけだが、職員が不正を「行った。出来心もあるし、魔が差したということもあろうかと思うが「起こさせない」、そして不正を見逃さない」、こういった組織風土、仕組みというのが大事だ。

 今回の改正案というのは、私は、出口をどうするつもりなのかと思う。しかし、「起こさせない」、「見逃さない」、そのこと自体が職員を守ることだ。不正を行った人は、その本人も生涯、一生と言うか、この市役所での人生を放ってしまう。また、その家族も不幸にさらすということになる。

 それをきちっとした、危機管理をすることによって、職員を守ってやる。そのことは、私は一番大事だと思う。出口で血どめするのではなくて、やはり血が出ないように入り口でそれを防止するということのほうが大事だと思うし、これから管理職の役割というのは、どんどん広がって、深くなっていくと思う。そのことを踏まえて今後全市挙げて、取り組んでいただきたい。