奈良市  令和5年9月 定例会  09月13日-04号

【環境清美工場大規模改修と新クリーンセンターについて】 

◆内藤智司 

大規模改修、今回140億円を補正予算として出されたが、まず今回この9月の定例会に補正予算として出された大規模改修に至った経緯については?

◎環境部長(山口浩史) 

 大規模改修については、新クリーンセンターの稼働を目指している令和14年までおおむね10年間、いかに安定稼働させることができるのかというところで検討した。

 現在、本市の年間ごみ焼却量が約7万9000トン、1日当たり約217トンのごみを日々焼却していく必要がある。現在の焼却炉は4炉体制だが、1炉当たりの焼却能力は約70トン程度となっており、安定稼働に向けては3炉体制が必要になると考えている。

 これを念頭に、傷みの激しい3号炉、4号炉を全面改修するとともに、共通設備についても併せて改修するということで、3号炉、4号炉、2炉の機能回復が見込まれると判断した。

 さらに残る2炉のうち、2号炉は比較的傷みが少ないということから、日常の定期点検で稼働を続けられると判断して、1号炉は最も古く、機能回復の見込みが薄いことから、緊急時の予備炉として維持していくという判断に至った。

◆内藤智司 

では、今回、140億円の債務負担という形になるが、金額にすれば本当に多額だと思っている。それゆえに、今回この議会で慎重に審議をしていかなければならないと思っている。

 その上で、今回、総務部長に聞くが、140億円の改修工事の債務負担行為が提案されている。老朽化した工場において改修を進められる段階において、基幹部分を追加で改修しないといけなくなると・・・。さらに事業費が膨らむことも懸念されるが、今回の140億円が全ての事業費として理解してよいのか?追加の費用が見込まれないのか?

◎総務部長(吉村啓信) 

 今回の大規模改修工事は、3号炉、4号炉及び複数の炉に共通する設備が対象となっている。3号炉、4号炉の改修とほかの炉のオーバーホールが重なる令和7年7月から8月及び令和8年2月から3月、また、共通設備の改修を予定している令和8年6月から11月、この期間については区域外処理が必要になると見込んでおり、この処理に要する経費はそれぞれ必要となる年度の予算に計上することになると考えている。

◆内藤智司

 140億円以外に必要と想定しなければならない費用は、区域外処理だけか?

◎総務部長(吉村啓信) 

必要な経費だが、今回の工事に関する債務負担行為と区域外処理だが、工事のことなので、どんなことが起こるか分からない。そういうことが発生したら、追加の費用も必要になってくる場合もあるかもしれないが、今のところ必要な経費を計上している。

◆内藤智司 

 それでは、大規模改修工事におけるスケジュールについて、工期の延長の可能性はあるのか?

◎環境部長(山口浩史) 

 工事のスケジュールについては、プラントメーカーとの調整の中で、現実的な工程を示されていると考えている。特に環境清美工場の設備改修においては、おおむね屋内での作業となることから、天候に左右されることは少ないと考えている。

 しかし、工事期間に関西万博の準備期間が重複することから、部品の調達や設備の製造、納品に不測の事態が生ずる可能性が想定されるが、長期にわたる工事期間内で何とか完了するよう、今後、選定する工事の請負業者と調整したい。

◆内藤智司 

では、次に、焼却炉施設においては大規模改修工事を行うが、施設を運転する職員においても、相次ぐ故障対応で過重な負担がかかっていることや、工場の運転に熟練した職員の確保が高齢化により困難になっていることも聞いている。どのように認識しているのか?

◎環境部長(山口浩史)

 老朽化した現環境清美工場での炉の運転については、熟練の技術や経験が必要となっている。そのため、経験を持った職員から経験の浅い職員への技術の伝承は重要と考えている。確かに職員の高齢化という深刻な問題はあるが、新クリーンセンター建設までを見据えた今後において、稼働に支障がないよう職員間で技術の継承をしたい。

◆内藤智司〈意見〉

 140億円の改修費は、交付税処置等により、市債は約100億円になるとも聞いている。市長はこれまでの市政運営によっては、もっと早くにこれを判断しておれば、140億円がもう少し減額できたのではないかと思う。多くの議員もこのことについては、早くから議会ごとに申し上げてきた。その時々に判断しなかった市長の責任は、私はやはり重いのではないかと思っている。

 140億円は上限額ではなく、最低必要な下限額である。このことは、承知をしていかなければならないと思う。

区域外処理費に関しては、仮に今40年たった炉を入れ替えようとしているわけだ。車で考えれば、40年前のエンジンを造って、それを今の車体に載せることになる。色々ひずんでいたり、基礎や、鉄筋が本当にまともなのか。躯体が崩れていたり、耐震診断がされていないなど・・・。

 さらに言えば、事務棟も耐震を多分していないと思う。答弁はもらっていないが・・・。そこで10年間、職員が仕事をしないといけない。本庁舎はちゃんと耐震したのに。私は、職員が働く職場は、きちっとその辺も含めて考えていくべきであろうと思う。エンジンを載せ換える車体が本当に大丈夫なのか。上限額ではなく最低必要な下限額であるということを指摘しておきたい。

 しかし、我々はこの補正予算を今躊躇することは許されないと感じている。これは今すぐに議会の採決となったら、賛成しなければならないと思っている。

また、今言っているように、この後幾ら金額が積み上げされようが、引き返すことはできない。140億円を決めて、工事しなければならない。そのことを我々は覚悟して、この140億円を将来に背負わせることを選択しなければならない。このことは、市長自身も覚悟しての140億円だと思う。

 将来の財政負担については、分科会で明らかにしていきたい。それも、私たちは市民に説明する責任があるからだ。この140億円が200億円になるのかならないのか。区域外処理は当然出てくる。それが将来にわたって、今までの市債の残高、これから始まる市債の償還、これらも含めて140億円を見直していかなければならないと思う。

 もう1つ大事なことは、焼却炉はお金をかければ10年間延命できるかもしれない。人はそんなわけにはいかない。市長、副市長、それから財政に携わる総務部長、人事に携わる総合政策部長、皆さんは工場の職員さんが焼却炉をどのように運転されているか理解されていますか?

 以前、会派で視察に行ったときに、運転室まで見た。そこで運転士さんをしばらく見ていると、いろんなスイッチを触っていた。「これは何ですか?」と聞くと、「入り口と出口の温度を見ながら火加減を調整している」と。「ごみの量によって、質によって焼ける焼けないがあるから」その温度を見ながら火加減を手で調整していた。こんなことは熟練された方しかできないし、誰かが病気になって休んだからはい、次この人というわけにはいかない。そこのところを皆さん理解しなければならないと思う。

 それと、それも再任用の方が今それぞれ配置されていて、その技術力で助けてもらわないとできない状態である。それだけこれから高齢化が進んでいくということだ。そこのところは本当に本庁の中でも十分に検討されるべきだと思っている。保守されている職員さんが毎日起こる故障に対応されて、もう疲弊し切っている。誰か本庁から替わってあげられるのか?

 資料には、一括業務委託の言葉が出ている。このことは、真剣に私は検討されるべきと指摘をしておく。もちろん焼却炉の技術的な判断ができる人、この人が運転できるのだから。今の職員さん、本当に私は危惧する。今すぐにでも人事課長、総合政策部長が行って、実態を確かめるべきだと思う。

 新クリーンセンターの建設については、これまでの質問と重複するところは割愛して、最後、環境部長、具体的な計画もない中でということで、資料もない中で市長に一生懸命足を運んでいただいているが、本当に14年に稼働できるのか、このことは疑問だ。

 工場を一定改修した中で、スケジュールにとらわれず、じっくりと本当にほかの地域もないのか議論をしていってはどうかと考えるが?

◎環境部長(山口浩史) 

目標にしているが、現環境清美工場については、大規模改修工事を実施することで、14年度まで何とか安定稼働させたいと考えている。これ以上延命させることは、現実的ではないと考える。

 また、新クリーンセンターの建設についても、今後の工期を考えたときに、順調にスケジュールが進んだとしても、令和14年度からの稼働がぎりぎりであると考えており、現環境清美工場の稼働限度期間を考えた場合、新クリーンセンターの建設にも早期に取りかかる必要がある。

◆内藤智司〈意見〉

 環境清美工場の稼働限度期間を超えた場合、新クリーンセンター建設を早期にしていかなければならない。少なくとも5年前から、多くの議員が訴えてきたと記憶している。今回の新クリーンセンターを早く建てようと。仲川市長の2期目のマニフェストにも、既に表現されていたと記憶している。

 ただ、取組をされていって、策定委員会の中であっちこっち右往左往されていて、広域化が軸となって、現地とそれから七条という2本立ての中で広域化にシフトしていったという経過もありながら、今回に至っていると思う。

 しかし、市長が建設地を七条にと大きく加速されたのは、今回の区域外処理を伴った3号炉の事故停止が起爆剤になったのではないかとも思える。にわかに策定委員会を解散するとか、コロナ禍で進んでいなかった地元説明会を何の資料も持たずに突然始めたり、これまで二の足を踏んでいた現工場の大規模改修の補正予算を、内示会で市長が自ら説明に来られた。大規模改修の説明を市長が直接来てされる。これはびっくりした。それもあり、それらのことからあっという間に地元から請願書が議会に提出された。

 新斎苑のときのことが思い出される。実際、いまだに地元鹿野園の皆さん、自治会が分裂したままだ。今回、議会全体で問題になっている公民館問題においても、飛鳥地区が賛成、反対で二分されているようだ。このまま七条のほうも、土地を買われる方々は8割、9割という形で賛成、買ってほしいというところと、今、請願書が出ているような、まだ別の地区からも請願書が出るようなうわさもされている。このままいってしまうと、地元が二分されたままこの話が進んでいくという中で、我々は同じ轍を踏むわけにはいかないと思う。

 私は、七条でいいとか、そんなことを言うつもりは全然なく、それができるのなら早く建設をしなければならないと・・・。新斎苑のときと同じ立ち位置だ。しかし、地元の今の状況の中で進めていくことは、できないのかなと。今、出ている、これから出ようとしている請願、要望書等が全て辞退された中で進んでいくことが前提だと思う。