奈良市令和5年3月 予算決算委員会市民環境分科会 03月13日-01号
- 【1,新斎苑建設に伴う地域還元事業計画と本年度の執行、来年度の予算について】
- 【2,グリーンサポート制度の事業について】
- 【3,堆肥化事業について】
【1,新斎苑建設に伴う地域還元事業計画と本年度の執行、来年度の予算について】
◆内藤智司
新斎苑が建設、開業してから、本当に市民の皆さん、安らかに活用をされていることと感じている。我が地域でも新斎苑にまつわる話が出ており、「きれいなところでした」など聞いた。これも地元自治会、地域の皆さんが協力していただいてできたたまものと思っているし、この建設に至っては、非常に多くの皆さんに御苦労をいただいたと思っている。
さて、そうは言いつつも、この新斎苑に関しては、多くの課題を残している。
1つは地域還元をどこまでやるのかという話もあり、限られた予算の中で、どのように計画して執行していくんだということを、我々は常にチェックしながら、次年度の計画に向けて見ていかなければならないと思う。
課長の考えは?
◎近原英孝斎苑管理課長
地域活性化対策事業については、横井東町自治会、白毫寺町連合自治会、鹿野園町自治会の3自治会を対象に、新斎苑整備事業を進めるに当たり、協定書を締結した上で防犯カメラ、街路灯の設置や道路の維持補修、防災対策などの行政の通常業務に加え、新斎苑建設に係る地域活性化対策事業と位置づける集会所・共同倉庫等の建て替えや、農業用水路等の改修や農道整備など、それぞれの地域課題の解決に向けて実施している事業だ。
これら地域活性化対策事業は、関係自治会との覚書に沿って、その内容や優先順位を都度協議したものを予算編成の中で精査し、予算計上している。
令和4年度では、行政の通常業務を除く、いわゆる地域活性化対策事業として、横井東町自治会では、集会所に併設する共同倉庫の建て替えとして4009万円や、ため池の底樋改修で1804万円、農道整備に係る用地測量、詳細設計や農業用水路整備等に3049万円。また、白毫寺町連合自治会については、町民センター建て替え等に向け、設計業務を1343万円で行っている。鹿野園町については、ため池改修や農業用水路整備を849万円で行った。これらの総額1億1054万円について、執行、また一部については、令和5年度への繰越しを予定している。また、別途、横井東町と鹿野園町の自治会で水源の水質調査・点検及び調査に伴う周辺道路及び経路の維持確保などの環境保全業務をそれぞれ500万円、550万円、また白毫寺町振興会に東山霊苑の美化活動等の管理業務を300万円で行っている。
令和5年度については、行政の通常業務を除くものとして、横井東町において、ため池の消波ブロックの改修工事や、令和4年度に詳細設計を行った新設農道の整備工事、農業用水路改修工事を行う予定。白毫寺町については、農業用水路改修工事を、また鹿野園町では、令和4年度に実施に至らなかった集会所建て替えに向けた調査、測量を行う予定。これらの総額として6100万円を予算措置する。
また、4年度に引き続き、火葬場周辺環境保全業務を3団体に合計1350万円で行っていただく予定。
◆内藤智司〈意見・要望〉
この事業に関しては、それぞれの事業によって所管するところが変わり、そこでの予算執行と思うが、我々としては、新斎苑に関わるこの地域還元対策。その予算のタイミング、決算のタイミングで、一覧で見る「まとめ」があれば、より分かりやすいのではないかと思うので、今後、資料要求をしなくても、帳簿などを出していただけるようにお願いしておきたい。
我々も議会で議決して、この事業を進めてきた以上、後々のことも含めて市民の皆さんにお伝えするということも必要だと考えている。
【2,グリーンサポート制度の事業について】
◆内藤智司
予算説明調書は、204ページにその必要性、事業の目的等、復唱になるが、「公園美化維持管理及び設備点検、地域団体に対し報奨金を交付することによって、公園を快適かつ安全に利用していけるような市民の自発的な活動推進を目的とする」とある。
改めての紹介だが、その中で、この204ページのグリーンサポート制度の事業、新年度の予算が1606万円ということで、前年度よりやや増加している。
予算説明調書によると、令和4年4月1日で、グリーンサポートの登録団体数は141団体、登録公園数が173公園であるが、まず、このグリーンサポートの登録団体数と登録公園数について、令和4年度までの5年間の推移については?
◎高本英明地域づくり推進課長
各年度の4月1日現在、平成30年度は登録団体数が121団体で、登録公園数が154公園、平成31年度においては127団体160公園、令和2年度では132団体165公園、令和3年度は138団体168公園、令和4年度については、141団体173公園の登録となっている。
◆内藤智司
団体数も公園数も徐々に増えつつある。団体の増加に応じて必要な予算措置もされていると思うが、これまでのグリーンサポートにおける(出来上がってもう10年ほどになる)成果、それから今後継続していくための課題等については?
◎高本英明地域づくり推進課長
グリーンサポート制度については、報奨金を交付して、地域の団体に公園の美化や維持管理などを行っていただいているが、毎年度、登録団体を対象に実施しているアンケートにおいては「地域の公園がきれいになってよかった」との回答や、「地域の親睦が深まっている」との回答を多くいただいている。
登録団体数についても増加してきており、成果として、公園の美化促進につながるとともに、市民参画・協働に対する意識の醸成にもつながっているものと認識している。
一方で、アンケートにおける活動において困っている点として、「メンバーの高齢化」、「刈払い機が使えるメンバーの不足」といったことも御意見として多くいただいている。今後、この制度を維持していく上で、どのように担い手を確保していくのかといった点が、大きな課題であると考えている。
◆内藤智司
グリーンサポート、徐々に増えていっている。これは全体の街区公園、今173公園だが、何%ぐらいという数字は持ち合わせていないのか?
◎高本英明地域づくり推進課長
街区公園全体の大体30%か40%ぐらいの公園となっている。
◆内藤智司
高齢化などによる担い手の不足が課題であるとのこと。
グリーンサポート制度の今後の方向性については?
◎高本英明地域づくり推進課長
地域の公園を地域住民の方々で自らきれいにしていただく、このグリーンサポート制度については、市民参画・協働のまちづくりの推進につながるとともに、本市の公園維持管理経費の縮減にもつながるものであるので、今後も維持し、普及促進を図っていく必要がある。
このため、各団体の実情に応じて、公園における斜面などの危険性を考慮して、グリーンサポートの活動の対象範囲の相談に丁寧に応じるなど、団体の活動が継続できるよう配慮を行うとともに、新年度においては、担い手不足への対策の一つとして、広い面積や緩やかな斜面においても、安全かつ手軽に草刈りができる自走式の草刈り機を市で購入し、希望される団体に貸出しすることができるよう準備を進める。
◆内藤智司
先ほど「グリーンサポートの活動が市の経費削減にもつながっている」と答弁があったが、これは年2回、業者がやれば、おおよそ平米単価100円ぐらいだと聞いる。これをグリーンサポートになれば、物置とか用具代とかも含めて、大体40円ぐらいと聞いているので、この事業がどんどん広まっていけば、行政としてのコストパフォーマンス、コストダウンが図られていくというところでは、これは地域としても、その財源も含めて、お互いにウィン・ウィンになるという意味からも、私は推奨していきたい。
今後の担い手の確保という点では、地域づくり推進課でも力を入れて進められている地域自治協議会の組織の枠組みも活用して、地域全体の力で公園を維持管理してもらうといったことも行政として必要ではないかと考えるが、地域自治協議会との連携については?
◎高本英明地域づくり推進課長
地域自治協議会が設立されている地区においては、地域自治協議会が中心とな、グリーンサポートの登録団体とも一体となって担い手を確保していただき、地域全体の公園の美化、維持管理のために活動していただくことができたら、グリーンサポート制度の維持、拡大を図る上で、非常に効果的である。
また、地域自治協議会に団体の統括を行っていただき、地域全体で公園の維持管理を行っていただくことができれば、地域自治協議会の運営強化、また、財源の確保にもつながるものと考えているので、地域の御意見を伺いながら、その具体的なスキームについて検討を進める。
◆内藤智司〈意見・要望〉
我が地元、明治地区ではグリーンサポートを、大体15街区公園ある中で、私の自治会と隣の自治会の今3公園が、以前よりこの制度を活用し草を刈っているが、その他は業者が刈っていたり、公園ボランティアの方がやっておられたり、様々だが、この2団体の自治会の公園を見て、周りの人たちは本当に羨ましがっている。年間を通じて草がないという状況の一方で、自治会長が一人で刈っておられるような自治会もある。また、腰までのびた草が放置された公園もある。80歳になられる高齢者の方々が集まって、気つけよなと言いながら、刈っている自治会もある。
今回、地域自治協議会で1年間そういった検証を行い、これを地域自治協議会で取り組めないかということも含めて地域の方と相談した。会議を重ね、やっと草刈りチームを発足することができ、若い消防団の皆さんなどが参加してくれる予定だ。
地域で一緒に草刈りをやっている人たちが登録してくれて、隣の公園も応援に行こうということで、取りあえず初めに、明治地区自治協議会のメンバーで草刈り活動をしていく。
そうすることによって、各地域の公園が人を集められる。公園に草が生えていたら、誰もそこで井戸端会議なんてしない。社会福祉協議会は、「新たなつながりプロジェクト2022」というサポートの資金を支援してもらって、何か地域で人を集められる施策をしてくれないかということも含めて、自治協議会である。そういった予算も使いながら自治協議会で草刈り機を買った。それを持って、順番に草を刈っていけば、地域全体の公園が、人が集まるコミュニティーの場となると思う。明治地区だけでも100円が40円でできるということになれば、地域づくり推進課でも支援の輪が広まっていけばいいと期待したい。
そういった活動は、グリーンサポートだけにかかわらず、どんどん地域の担い手はなくなっている。
単身で住んでおられる高齢者が市役所へ行きたくても行けない、公民館でさえも無理、そんな家から出られない方に対しての手の差し伸べ方も、地域全体で担っていくことというのがこれからの我々の社会であろうと思っている
2040年、団塊の世代がそこに到達すると、そこから高齢者というのは、少なくなっていくらしいが、逆に言えば、そこまでは増えていく。まだまだ地域に対してのそういった担い手というのは必要になってくる。そこに行政も全部手を差し伸べられないだろう。しかし、ここにどうやって差し伸べていくかというのは、今の地域自治協議会を活用すれば、各地域で特徴のあるものができていくと思うので、行政として連携を取りながらやってほしい。
【3,堆肥化事業について】
◆内藤智司
環境清美工場の焼却炉の負担軽減、それと、カーボンニュートラル実現の一つの方法として、令和3年から実験的に行っている草木及び食品残渣(給食等の残渣のことだが)、その堆肥化事業について、令和5年度も引き続き規模の拡大を目指していくと予算説明調書には書いてあるが、現在、工場で焼却処分をしている草木、学校給食の残渣を堆肥化し、その堆肥を使用して農作物をつくり、それが地域内で消費されるという地域資源還元、この仕組みに取り組んでおられるということだが、現在の堆肥化事業の進捗状況については?
◎山森直人廃棄物対策課長
今年度は当初より年末にかけ、環境清美センター内において電気工事など、堆肥化事業の作業スペースの整備を行い、本年1月より実証実験として堆肥化事業をスタートした。
堆肥の材料には、工場へ搬入される草木類、学校給食の残渣を使用している。作業の工程については、まず、搬入された草木類から草木以外の異物を除去し、1次破砕処理を行い、次に、1次破砕した草木類の2次破砕処理、そして2次破砕処理した草木類に給食残渣と発酵促進菌を加えての攪拌処理、最後に、攪拌処理した混合物をコンテナ型の発酵促進装置に投入して約2週間発酵させるという内容で実施している。
今年度、現時点での実績は、草木類は約1万キロ超、給食残渣については約400キロ超を処理しており、約9,000キロの堆肥の生産を行っている。
なお、この事業で生産した堆肥について、市内農業事業者に令和4年9月から11月にかけて、本市の堆肥と市販の堆肥をそれぞれ使用した試験栽培を行った結果、本市の堆肥のほうが生育もよく、収量、品質ともに良好で、安心・安全な堆肥として利用するメリットは十分にあるとの評価をいただいている。
◆内藤智司
この堆肥化事業の来年度の取組については?
◎山森直人廃棄物対策課長
現在も試行錯誤しながら事業を進めている状態であり、引き続き実証実験として、年間通じて事業を実施することで良質な堆肥がどの程度生産できるのかについて、検証を行っていきたい。
また、生産した堆肥を農業事業者などに提供し、試験的に作物の栽培に使用してもらい、その結果を報告いただくことで、堆肥の安全性や有効性などを検証していきたい。
◆内藤智司
この堆肥の安全性、有効性が確認できたとして、今後の堆肥の使用先の確保についてどのように考えているのか?
また、この事業を進めることによって得られる効果は?
◎山森直人廃棄物対策課長
地域での資源循環の仕組みを構築するためにも関連部局とも連携し、この堆肥化事業を地域の農業事業者に知っていただき、幅広くシェアをいただけるように取り組んでいきたい。
廃棄物を焼却せず資源として循環させることで、環境清美工場の負担軽減や、それに伴う温室効果ガスの排出削減効果が得られるとともに、有機堆肥を使用することにより、土壌中の炭素の蓄積も促進され、CO2の排出量を減らすといった効果も期待できると考えている。
◆内藤智司〈意見・要望〉
今回、この環境部門に関しては、堆肥の効果について質問したが本来、環境対策、本当にこれから2050年をゼロカーボンとしていくためには、環境政策的にはこの環境清美工場から出るCO2、これをゼロにしなければならないと考えている。
これはそのうちの一つであり、クリーンセンター自身、建設に当たっては、このことを主眼に置いて原則としてやっていくということの中で、今そういった施設ができている。本当にいろんな事例を先日も紹介したが、夢のある設備だ。それを市民の皆さんにアピールしたい。
この堆肥事業も、CO2をなくしていく。これは世界にとって一番今求められている。民間企業でもこのCO2、SDGsが継続していかない限り、世界の企業としては認められなくなっていくだろう。これは自治体でも同じだ。早くに、「2050年ゼロカーボン」を宣言されている市町がある。奈良市も本当に来年度ゼロカーボンを宣言していただくようにお願いしたい。
それと、クリーンセンターと一貫して、今の現有施設、ここへの取組、本当に来年度本腰を入れて、10年もたす炉に修繕してもらいたい。
今現場で本当に必死になって、今の設備を維持していただいている方を一刻も早く救う。そのためには、4炉を全部ではなく、限定した2台なら2台、3台なら3台、そのためにはゴミを減量していくこと。このことは、一番今市民ができる活動だ。
雑ごみ、あの政策を訴えられたときに、私も地元で始めたがなかなか浸透しない4。これも地域と一体になって、行政が、例えば、アドバルーンを上げたりなど、キャンペーンをしようと進言した。ごみ減量という難をまさに市を挙げて、そのことを市民に訴えていくべきだと思う。今の炉の現状を隠さず、全部皆さんにオープンして見ていただいて、「だから、皆さんごみを減らしてください、次には、必ず夢のある設備を造っていきます」と、このことを訴えていっていただきたい。
我々もそれに対して一丸となってやっていくことが、この難局を乗り越える方法の一つだと思う。
遅々として進まないクリーンセンター建設事業、現有施設を10年もたすのための改修は、本当に今の奈良市にとっては一大課題だ。これをみんなで乗り越えられるように私たちも協力する。地域と一緒になってさせていただくので、どうぞそこを先導していただける奈良市の皆さんであってほしいとお願いする。